テレビや新聞などで不動産投資の広告を目にすることが多くなっています。
その一方で、不動産投資で失敗する人が後を絶ちません。
不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)が、2017年にサイトの会員を対象にした「不動産投資に関する意識調査(第7回)」によれば、今までに不動産投資をしたことがある回答者のうち40.7%の人が「不動産投資で失敗したことがある」と答えています。
ここでは、不動産投資でよくある失敗にはどのようなものがあるのか、よくある失敗例をあげながら、どうすれば失敗しないかについて考えてみます。
不動産投資の広告のなかには、自己資金(自分の預貯金)がなくても不動産投資が始められることをアピールしたものもあります。
少ない自己資金で不動産投資が始められると効率が良さそうですが、そのような話には気をつけたほうがよいでしょう。
昨今は日本銀行のマイナス金利の影響で、金利が低く、かつローンを組みやすい借りやすい状況にあります。
フルローンと呼ばれる頭金のいらないローンも組むことが可能です。
そのため見かけ上は自己資金ゼロで物件の購入ができます。
しかし、実際には物件を購入するためには、物件とは別にさまざまな諸経費がかかります。
基本的にローンで借りられるのは物件価格までで、物件を購入するための諸費用はカバーできません。
物件購入の諸費用は物件価格の5%~10%かかることが一般的で、物件価格が3,000万円であれば、150万円~300万円の諸費用が必要になります。
物件を買うための資金をすべて自己資金で賄うのはハードルが高く、投資の効率も悪くなってしまうので現実的ではありません。
しかし、目安として物件価格の2割程度の自己資金は用意しておくようにしましょう。
不動産投資で避けたいリスクの一つに「空室リスク」があります。
空室であるということは、家賃が入ってこないことを意味します。
家賃収入がないからといって、ローンの返済を待ってもらえるわけではありません。
空室があると収入がないのにローンを返済する「持ち出し」になってしまいます。
空室が長引くと、入居してもらうために家賃を引き下げざるを得なくなります。
入居して最初の数か月の家賃を無料にする「フリーレント」が行われることもあります。
こういった点でも、空室は不動産投資の収支を悪化させる要因になります。
空室を出さずに適正な家賃を継続的に得るためには、地域の賃貸住宅の需給関係をよく調べることと、住居そのものの魅力を高める工夫が大切です。
自分が住むわけではないためか、不動産投資では実際の物件を見ないで購入を決める人もいます。
実際の物件を見ておかなければ、後になってリフォームなど想定外の出費を強いられることがあります。
利回りが高い物件は投資対象としては魅力的に見えますが、リスクが高いことも頭に入れておかなければなりません。
利回りが高いということは、物件の状態が悪く、安くしなければ売れなかったりといった何かしらの事情がある可能性があります。
仮に状態が悪いと入居してもらうためには住居のリフォームが必要であり、その分初期費用がかさんで利回りは低下してしまいます。
投資を決める前には、実際に物件を自分の目で見て問題がないかをよく確認することが必要です。
ここまで不動産投資に失敗した3つの例をご紹介しました。
不動産投資で失敗する人の多くは、不動産投資に必要な最低限の知識を勉強しないで、広告や営業マンのセールストークだけをもとに投資判断をする傾向があります。
不動産投資は、投資というよりは事業に近い性質があります。
広告やセールストークの利回りを安易に信用するのではなく、その利回りがどのように計算されたかを自分自身で確認することが必要です。
広告やセールストークでは、収入は多めに、費用は少なめに見積もられることがあるので注意しましょう。
不動産投資を行う際には、成功例を真似るよりも、失敗例を見て同じ失敗をしないように気をつけることの方が大切です。
この記事でご紹介した失敗例だけでなく、インターネットで失敗例を検索しリストアップしたり、実際に不動産投資家の集まりなどに出向いて経験者から失敗例を聞いたり、より多くの失敗例を知り、同じ失敗を自分がしない工夫をしていくことが、より大きなリスクヘッジとなります。