不動産投資の代表的な3つのリスクと対策

投資にリスクはつきものです。

しかし、株式投資やFXなど他の投資に比べると、不動産投資は考慮すべきリスクが限られているため、リスク対策をしやすい、またしっかりとリスク対策を行なっておけば失敗しづらいという特徴があります。

本記事では、不動産投資をする上で考慮すべきリスクの中から代表的な3つのリスクと、対策方法について詳しく解説いたします。

空室リスク

不動産投資のリスクとして代表的なものは「空室リスク」です。

マンションやアパートなどの不動産を所有し、入居者に賃貸することで収益を得るのが不動産投資です。

不動産の購入は自己資金でも行えますが、一般的に不動産投資を行う際にはローンを組み、毎月の家賃収入の中からローンの返済をしていきます。

そのため、賃貸住宅が空室になると、そこからは収益が得られなくなり、返済だけを行うことになってしまいます。

入居者が入れ替わる際の、ごく短期間であればやむを得ないところですが、数か月以上空室が続くと返済だけが続き、不動産投資の収益が悪化します。

空室リスクの影響は、物件の所有形態によって異なります。

アパートやマンションの1棟全体を所有している場合は、すべての住居が空室になることはあまりありません。

収入が減ることはあっても、ゼロになる可能性は低いと考えられます。

一方、1部屋だけ所有している場合は、その部屋が空室になると収入が全くない状態になってしまいます。

空室が続いている部屋は入居者を募集するために家賃を下げざるを得なくなり、その点でも収益が悪化し続けます。

総務省統計局が実施している「住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家の数と空き家率は一貫して増加しています。2013年では空き家数は820万戸、空き家率は13.5%に上っています。

地方を中心に空き家が増えていることが社会問題になっていますが、都市部でも需要に対して多くのアパートやマンションが建っているところがあります。

最近では、相続税の課税対象が広くなったことで、相続税対策としてアパートやマンションを建てる人も増えています。

全国的に見ると不動産投資の空室リスクは高まっているのが現状です。

空室リスクへの対策

空室リスクを避けるためには、地域の実情をよく調べて、継続して賃貸住宅のニーズが見込めるかどうか判断することがポイントになります。

建物の老朽化・入居者トラブルのリスク

不動産投資では、建物のメンテナンスや入居者の人間関係が収益を左右することがあります。

これは株式など他の投資商品にはない特徴です。

どのような建物であっても、建ててから年月が経てば老朽化してきます。

部屋の内部のリフォームはもちろんのこと、外壁の塗り替えやエントランス・廊下など共用部分の清掃などの定期メンテナンスも欠かせません。

定期メンテナンスを怠ると入居者が退去してしまうだけでなく、次の入居者が見つからず空室が続くことになりかねません。

また、アパートやマンションでは入居者同士のトラブルが起こる可能性があります。

管理会社に任せないで自主管理をしている場合は、オーナーとして当事者の間に入らなければならないこともあります。

さらに、トラブルを嫌って入居者が相次いで退去すれば、収益が一気に悪化してしまいます。

さらには、住居で火災や事件が起こることも考えられます。

住居内で不審死があった場合は特殊なリフォームが必要になり、大きな出費になります。

さらに、次の入居者を募集するときには、「心理的瑕疵(かし)物件」として事件の内容を公開する必要があります。

所有物件が心理的瑕疵物件になると、家賃を大幅に引き下げても入居者が見つからず、収益が悪化してしまいます。

建物の老朽化・入居者トラブルのリスクへの対策

不動産設備のトラブルについては、収支計画を立てる段階から適切な修繕費を見込んでおくことが必要です。

業者が作成した収支計画では、利回りを良く見せるために修繕費が低く見積もられる場合もあるためよく確認しましょう。

入居者どうしのトラブルを未然に防ぐことは簡単ではありませんが、入居審査を厳格にして入居者を選別することは可能です。

また、近隣トラブルは騒音が原因となっていることが多いため、リフォームをするときに遮音性の材質を使うのもよいでしょう。

家賃保証契約のリスク

空室リスクを緩和するために、「家賃保証」を提案する不動産業者が多くなっています。

「一括借り上げ」または「サブリース」と呼ばれることもあります。

家賃保証では、オーナーが所有するアパートやマンションを1棟丸ごと不動産業者が借り上げる形態で契約します。

空室があっても、オーナーは一定額の賃料を受け取ることができ、空室リスクがなくなるというメリットがあります。

ただし、家賃保証の契約は一定年数ごとに更新され、更新するたびに賃料が引き下げられてしまいます。

オーナーは最初の賃料がずっと継続されると認識していて、契約更新の時点でトラブルになる事例が多くなっています。

国土交通省でもこういった事例を懸念し、対策を行なっていますが、完全な対策とはなっていないのが現状です。

トラブルになる背景には、契約時に不動産業者が家賃の変更についての説明を十分に行っていないことがあげられます。

オーナーの立場では、契約にあたっては不動産業者の説明をよく聞いて、わからない点があればわかるまで質問する姿勢が大切です。

説明を聞いてもわからない場合や、質問しても的確な回答が得られない場合は、契約をしないほうがよいでしょう。

【※参考:国土交通省「サブリース事業に関わる適切な業務の実施に関する通知について」

リスクを上手にコントロールしよう

ここまで、不動産投資で考えられる代表的なリスクを3つご紹介しました。

不動産投資には他にも金利の上昇や災害、税金などさまざまなリスクがあります。

不動産投資は他の投資商品に比べて考慮すべきリスクが限られているのが特徴ですが、投資である以上、これらのリスクをゼロにすることはできません。

しかし、リスクを低くするように最大限自分でコントロールすることはできます。

自分でリスクをコントロールしやすいのが不動産投資の特徴です。

不動産投資をするときは、投資をして儲けたい感情が先走ってリスクには目をつぶりがちになります。

リスクを考慮せずに行う投資はギャンブルと同じです。

リスクの特徴を理解して、感情に流されないよう冷静に判断することが成功の秘訣です。

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