仮想通貨やビットコインについて調べていると、必ず登場するキーワードの一つが「マイニング」です。
特にビットコインのマイニングは、環境への負荷が大きいため、SDGsの観点からも話題になっています。ニュースなどで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、マイニングが何なのかわからない、という方もいるでしょう。そこで今回は、ビットコインのマイニングの目的・重要用語・やり方などについて解説します。
※以下の情報は、全て2022年3月現在の情報です。
目次
仮想通貨(ビットコイン)のマイニングとは?
マイニングとは、ビットコインをはじめとする仮想通貨の取引データを承認する作業です。
日本円や米ドルなどの法定通貨の場合、国の中央銀行によって取引が管理されているため、各機関が承認作業を行っています。
しかし、仮想通貨の場合、中央銀行のような中央集権的管理者がいないため、他の人が承認する必要があります。そこで採用されたのが、マイニングです。
マイニングは、ネットワーク上で仮想通貨を取引する際、第三者によって不正などが行われていないかを確認し、承認します。
マイニングを実施する「マイナー」は世界中に存在し、専用のソフトが入ったPCを使ってマイニングを行ってきました。マイニングでは報酬がもらえるため、マイニングを仕事にしているマイナーもいます。
また、マイニングにはいくつか種類があり、手法もさまざまです。ビットコインではPoW(Proof of Work)と呼ばれる方法が採用されています。
仮想通貨(ビットコイン)のマイニングの目的
マイニングの仕組みがわかったところで、目的について説明します。
仮想通貨(ビットコイン)のマイニングの目的は次の2つです。
- 取引の承認
- マイニング報酬の獲得
それぞれ説明します。
①取引の承認
1つ目の目的は仮想通貨取引の承認です。
仮想通貨は、法定通貨とは異なり、中央銀行のような中央管理者がいません。そのため、不正取引が行われても、対応できない状況でした。そこで、取引の承認作業(マインニング)を行うことで、仮想通貨を安全に取引できる環境を作っています。
仮想通貨を取引すると、ブロックチェーン上に、「いつ・誰が・どれだけビットコインを取引したか」を記録したブロックが生成されます。
ブロックに記録されたデータが正しいかを、マイナーがチェックして承認しているのです。承認されると、ビットコインの取引が成立します。
②マイニング報酬の獲得
2つ目の目的はマイニング報酬を得るためです。ビジネスと考えても良いでしょう。
ビットコインが採用しているPoWの場合、マイナーが取引の承認作業を行い、ブロックチェーン上に新たなブロックを生成します。
このときに、マイナーに対して報酬としてビットコインが支払われるため、報酬を狙ったビジネスが成り立ちます。
ただし、マイナーは世界中に存在しており、専属契約しているわけではないため、マイニング報酬を得るためには、他のマイナーよりも早くマイニングを終える必要があります。
しかし、ブロックの生成には膨大な計算が必要であるため、高性能なハードウェアが大量に必要です。
さらに、大量のハードウェアを動かすための電力・ハードウェアを冷ますための冷却設備・非常用のバックアップ電源などが必要であるため、高い資金力が求められます。
そのため、個人がマイニングで報酬を得るのは厳しく、企業が設備投資して実施しているのが現状です。
一方で、大量の電力使用で、火力発電によりCO2排出量が増えるなど、環境への悪影響が懸念されています。
そこで、新たなマイニング手法が次々と誕生しています。
仮想通貨のマイニングの種類
仮想通貨のマイニングは、大きく3種類あります。
- ソロマイニング
- プールマイニング
- クラウドマイニング
それぞれ説明します。
①ソロマイニング
ソロマイニングは、一人で参加するマイニングです。高額な機材と高度な専門知識が必要ですが、一人なので気軽に参加できます。
ただし、ビットコインのマイニングの場合、ソロマイニングで稼ぐのは不可能な状況です。
その理由は、企業などが大きな資金力を活かし、ビットコインのマイニングに参加しているためです。
企業が揃えたハイスペックな設備に、個人で太刀打ちするのは不可能と言えます。
一方、発行されたばかりで、競争も少ないアルトコインであれば、ソロマイニングでも稼げる可能性があるでしょう。
②プールマイニング
プールマイニングは、自分のPCをインターネットで共有し、間接的にマイニングに参加する方法です。
ソロマイニングが一人であるのに対し、プールマイニングは複数のマイナーで協力します。
複数人で協力してマイニングに参加するため、ソロマイニングに比べると報酬が得やすいです。
しかし、マイニングの報酬額はPCの計算力(処理能力)によるため、より高性能なPCが必要です。
また、報酬が分散するため、ソロマイニングや後述するクラウドマイニングより報酬が低い傾向にあります。
③クラウドマイニング
クラウドマイニングは、マイニング事業を行っている企業に出資して、企業が報酬を得た際に報酬をもらう方法です。
マイニングの知識や高性能PCがなくても、資金力さえあればマイニングに参加できます。
ただし、出資額によってはソロマイニングより初期費用が高く、手数料もかかることにご注意ください。
また、マイナー企業に出資金を持ち逃げされるリスクがあります。
クラウドマイニングをするときは、出資先のサービス内容や実績を詳しくリサーチしましょう。
仮想通貨のマイニングに関する重要用語
次に、仮想通貨マイニングに関する用語を4つ紹介します。
- ハッシュ関数
- ハッシュレート
- ディフィカルティ
- PoW
それぞれ紹介します。
ハッシュ関数
ハッシュ関数は、あらゆる入力値に対して固定値を返す性質を持つ関数です。
またハッシュ関数により出力された結果をハッシュ値と言います。
マイニングでは、PCによって大量の計算が実行されており、そこで行われているのがハッシュ関数を用いた計算です。
計算式は複雑であるため省略しますが、マイニングではハッシュ値が一定の値より小さくなるまで計算を繰り返します。
ハッシュ値が特定値になったときに、取引が成立し、マイニング報酬も支払われます。
このときの特定の値のことをナンス値と呼んでいます。
マイナーは、ブロックを作成するとき、「いつ」「誰が」「どれだけの量の仮想通貨を取引したか」をハッシュ値に変換して、その値をブロックに書き込んでいます。
すべての書き込みが終わると仮想通貨の取引が完了します。
ハッシュレート
ハッシュレートとは、マイニングをするときの1秒当たりの計算速度です。
ハッシュレートの単位はH/sで表され、1秒間に1回ハッシュ関数が計算されると1H/sと表記します。
マイニングでは、世界中のマイナーが同時に計算を開始します。マイニング報酬を得るためには、誰よりも早い計算が必要です。
個人でマイニングをする場合は、ハッシュレートを確認して、競合に勝てるのかを把握しておく必要があります。
ビットコインのハッシュレートは、2021年時点で約145エクサH/s(1エクサ=100京)です。
一般的なPCのハッシュレートは15H/sであることを踏まえると、個人がビットコインのマイニングで稼ぐことがいかに無謀かわかります。
ディフィカルティ
ディフィカルティとは、マイニングでナンス値をつける難しさの指標です。
ディフィカルティでは、ハッシュレートを参考にして、10分に1回、ナンス値を見つけられるよう、2週間に1度調整されます。
ビットコインのマイニングの場合、報酬を得るためによりハイスペックなPCが導入されているため、ディフィカルティは上昇し続けています。
ディフィカルティが上がると、現在使用しているPCでは対応できなくなる場合があり、稼ぎ続けるには、よりハイスペックなPCに交換する必要があります。
PoW(Proof of Work)
PoW(Proof of Work)は、ビットコインに採用されているマイニングです。PoWは、マイニングの担当者を、マイナーが使用するPCのマシンパワー(情報の処理速度)をもとに決定する方法です。
より強い(演算能力が高い)PCほどマイニングに参加したときにブロックを生成しやすい傾向があります。つまり、より高性能なPCを持っている人が、マイニング報酬を得やすいのです。
ただし、PoWは大量の電力使用し、環境に悪いため、批判の声も多い状況です。
PoWが抱える問題を解決するために、PoS(Proof of Stake)など、さまざまなマイニング手法が誕生しています。
今後、マイニングへの参加を考えている人は、PoW以外のマイニング方法を理解しておくことも重要です。
仮想通貨のマイニングに必要なもの
仮想通貨のマイニングに参加したい人向けに、自分でマイニングをする場合に必要なものを紹介します。
クラウドマイニングの場合は、お金さえあればできるため、今回は除外します。
必要なものは、次の4点です。
- マイニング用の高性能PC
- PCを冷ます機材(大量の電力と電気代)
- マイニング用のソフト
- ウォレット
それぞれ紹介します。
マイニング用の高性能PC
マイニング用に高性能のPCが必要です。
一般的なPCはハッシュレートが低く、マイニング報酬を狙ってもライバルに勝てません。
仮に勝てたとしても電気代がかかって利益が出ないこともあります。
市販のPCではゲーミングPCなどが処理速度が高いですが、マイニングで本格的に稼ぐなら、部品を購入してオリジナルのPCを作る必要があります。
PCを冷ます機材
PCを冷却する機材が必要です。
マイニングでは、PCが高速でデータ処理を行うため、電気を消したPCから大量の熱が発生します。熱により電子機器が高温になると、ショートするため、マイニング中は冷却が必須です。
家電量販店などで、PCを冷却するためのファンなどが販売されているので、確認してみてください。
マイニング用のソフト
マイニングには専用のソフトが必要です。ソフトをダウンロードすると、マイニング用の計算ができます。
現在は、複数のマイニングソフトが提供されていますので、サービスの規模や手数料の安さを目安に、ソフトを検討しましょう。
また、マイニング用のソフトは海外のものが多いですが、日本語対応のソフトもあるため、確認してみてください。
ウォレット
マイニング報酬を受け取るために、仮想通貨ウォレットが必要です。
ビットコインのマイニングであれば、ビットコインがウォレットに送金されるため、受け取る準備をしておきましょう。
ウォレットは、仮想通貨取引所やウォレット専用のサービスから作れるため、まだ持っていない人は確認してみてください。
仮想通貨のマイニングのやり方
マイニングに必要なものがわかったところで、仮想通貨のマイニングのやり方を紹介します。
手順は次の通りです。
- 高性能PCを購入する
- 冷却ファンなど必要な機材を購入する
- 機材をPCに取り付ける
- ウォレットを作成する
- マイニングソフトをインストールする
- マイニングソフトとウォレットを接続する
- マイニング開始
上記の手順はソロマイニングのための方法です。プールマイニングでは手順がさらに複雑になるため、利用する場合は調べることをおすすめします。
マイニングのやり方を伝えるのは簡単ですが、実際にマイニングを始める場合は、多額の資金と知識が必要です。それだけのお金と知識を賭ける価値があるかを確認した上で挑戦しましょう。
仮想通貨のマイニングにかかる税金
仮想通貨のマイニングで報酬を得た場合、課税対象になります。税区分は、雑所得に該当し、確定申告が必要です。
ただし、マイニングの場合は、PCなどの機材、電気代、手数料(プールマイニングの場合)など、さまざまな経費がかかります。よって、確定申告では、報酬額から経費を引いた金額を申請します。
また、仮想通貨はボラティリティが高いため、報酬を得たときよりも、価格が上がっていることも、下がっていることもあります。
価格が変動した状況で、売却して日本円に換金した場合は、売却時の金額での所得計算が必要です。
仮想通貨に関する確定申告については、「仮想通貨の確定申告が必要な人は?課税のタイミングや計算方法を解説」で解説しています。気になる方はご確認ください。
仮想通貨(ビットコイン)のマイニングでよくある質問
仮想通貨(ビットコイン)のマイニングでよくある質問に回答します。
ビットコインのマイニング報酬はいくら?
現在のビットコインのマイニングの報酬は6.25BTCです。
ただし、報酬額は半減期ごとに下がる仕組みで、今後はさらに下がるためご注意ください。
ビットコインは、発行上限枚数が2,100万枚と決まっています。
上限が決まってる状況で、マイニング報酬額を固定してしまうと、あっという間に上限枚数に達し、ビットコインの価値が上がらない状況になります。
そこで、半減期を設けることで、定期的にマイニングの報酬額を半分にすることで、発行上限に達することを避けています。
ビットコインの半減期は4年ごとに設定されており、2012年は25BTC、2016年は12.5BTC、2020年は6.25BTCと報酬額が推移しています。
次の半減期は2024年の予定です。
半減期で報酬額が下がることを考慮すると、これからビットコインのマイニングに参加するメリットは小さいと言えます。
マイニングにかかる費用は?
ソロマイニングとプールマイニングの場合、初期費用だけで数十万円かかります。高性能のPCや、カスタマイズ用の機材が必要です。
さらに、維持費としてPCや冷却用のファンを動かすための電気代がかかります。マイニング用のPCは消費電力が大きく24時間稼働していることも多いため、日常生活を送るよりも多くの電気を消費するでしょう。
クラウドマイニングの場合、機材の購入などがないため、数千円から始められます。ただし、より高い報酬を得たい場合は、より多くの投資が必要です。
また、メンテナンス費用として、日額で数円の手数料が発生します。
個人がマイニングで稼ぐのは難しい?
個人がビットコインのマイニングで稼ぐのは、年々難しくなっています。その理由は、財力のある企業が、よりハイスペックな設備を整えてマイニング事業に参入しているためです。
ビットコインのマイニングはPoWであるため、報酬を得るにはスピード勝負に勝つ必要があります。個人が企業に勝るほどの設備環境を整えるのは難しいため、個人では稼ぎにくいと言えるでしょう。
また、ビットコインの場合は半減期によりマイニング報酬額が減るため、これから新規参入して、設備費を回収できる可能性は以前よりも低い状況です。
マイニングは環境に悪い?
ビットコインのマイニングで採用しているPoWは、大量の電気を使用するため環境に悪いと言われています。
一般的なPCのハッシュレートは15H/sほどであるのに対し、マイニング用のPCは約145エクサH/s(1エクサ=100京)です。この値は、今後さらに増えると予想されています。
ハッシュレートの高さは、計算量の多さに対応し、計算量が増えると、より多くの電力が必要です。
電力の多くは火力発電によるものであるため、消費電力が多いほど、CO2を排出していることになります。したがって、PoWは環境に悪いと言われています。
この問題を解決する手段として、PoS(Proof of Stake)などのマイニングが開発されています。
仮想通貨(ビットコイン)のマイニングを理解して取引に挑戦しよう
今回は、仮想通貨(ビットコイン)のマイニングについて解説しました。
数年前は個人でマイニングをする人もいましたが、近年は財力のある企業が参入しているため、個人がマイニングで稼ぐのは難しくなっています。
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