数秒から数分で完結する短期トレードを繰り返すのが「スキャルピング」です。スキャルピングは主にFXで利用される手法ですが、仮想通貨取引でも用いられています。
仮想通貨は価格の変動幅が大きいため、大きな利益を狙うことも可能です。しかし、リスクや稼ぐためのコツを知らずに始めてしまうと、大きく損をする恐れもあります。
そこで本記事では、スキャルピングのメリット・デメリットやコツを紹介します。スキャルピングにおすすめの手数料が少ない取引所も紹介するので、参考にしてみてください。
※以下の情報は、すべて2022年7月現在のものです。
目次
仮想通貨のスキャルピングとは
スキャルピングとは、数秒や数分などの短い時間で取引を繰り返すトレード手法のことです。他のトレード手法とスキャルピングを比較すると、以下のようになります。
トレード手法 | 取引完結までの時間 | トレード回数 |
スキャルピング | 数秒~数分 | 数十回~数百回/日 |
デイトレード | 1日 | 数回/日 |
スイングトレード | 数日~数週間 | 数回/月 |
ポジショントレード | 数か月~数年 | 数回~数十回/月 |
スキャルピングは1回のトレードの時間が非常に短い、ということがわかります。
「エントリー(取引開始)」から「イグジット(決済)」の間隔が狭いスキャルピングでは、大きな利益は狙えません。しかし、勝ちを積み重ねることができれば、最終的な利益は大きくなります。
解説者
仮想通貨のスキャルピングのメリット
仮想通貨でスキャルピングをするメリットは、以下のとおりです。
それぞれ解説していきます。
トレードの経験が積める
スキャルピングをすることで、仮想通貨トレードの経験が積めます。
スキャルピングは主要なトレード方法のなかで、最も取引回数が多い手法です。回数をこなして分析を行えば、勝てたパターンや負けたパターンを学べます。
他の取引手法でもしっかり振り返りを行えば、経験値を積んでいけますが、最も慣れる速度が速いのはスキャルピングです。スキャルピングで短期売買のコツをつかめば、「デイトレード」などに活かすこともできます。
大きく負けることが少ない
一度に大きく負けにくいのも、仮想通貨スキャルピングのメリットです。スキャルピングは1トレード当たりに狙える利幅が小さい分、損も小さくなります。短期で売買すると決めていれば、素早くトレードに見切りを付けて、損失を抑えることもできます。
また、スキャルピングでは未決済状態の取引を翌日に持ち越さないので、「寝ている間に価格が不利な方向へ動くかもしれない」という心配は不要です。
未決済の取引を翌日以降に持ち越す「スイングトレード」や「ポジショントレード」の場合、価格が予期せぬ方向に動いて、強制的に取引が決済される恐れもあります。強制的に決済されると大きな損失が確定するので、注意が必要です。
補足担当者
市場が冷え込んでいても影響を受けにくい
仮想通貨のスキャルピングは、市場が冷え込んでいる時期でも影響を受けにくいです。
弱気の相場では価格は狭い範囲でしか推移しませんが、小刻みな価格の上下でも利益をあげられるスキャルピングなら、いつもと変わらず取引できます。
一方で、中長期的なトレードを行っている場合、市場が冷え込んでいる時期は普段ほどの利益は見込めません。
このようにスキャルピングでは、基本的にどのようなマーケット状況でも、一定のペースでトレードを行えます。
仮想通貨のスキャルピングのデメリット
仮想通貨のスキャルピングには、以下のようなデメリットもあります。
それぞれ見ていきましょう。
支払うことになる手数料が比較的高い
仮想通貨のスキャルピングでは、支払う手数料が比較的大きくなります。
スキャルピングは数秒から数分の間で取引を繰り返す手法です。取引所の手数料はトレードごとにかかる仕組みなので、取引回数が多いスキャルピングを行うと、手数料が高くなってしまいます。
1回あたりの手数料は小さくても、年間で考えると何万円になることもあるでしょう。
そのため、スキャルピングを行うなら、手数料が少しでも安い取引所を選ぶことが重要です。
解説者
時間的・心理的に負担がかかる
仮想通貨のスキャルピングは、人によっては、時間的・心理的な負担がかかりやすいと言われています。
スキャルピングを行うなら、トレードの最中は取引画面を集中して見続けないといけません。細かな利幅を狙うスキャルピングでは、ちょっとした値動きを見逃すだけでも損失につながってしまうためです。
1回あたりのトレード時間が短いスキャルピングは、忙しい人でも無理なくできるように思えます。
しかし、集中力を要するため「仕事終わりにトレードをするつもりだったが、余力がない」ということも少なくありません。集中力が切れた状態でトレードをしてしまうと、取引数量や取引金額の入力を間違えて、損失を出してしまう恐れもあります。
このように、スキャルピングは拘束時間が長く、集中力を要します。自分に合わないと感じたら、他の取引方法に切り替えましょう。
慣れるまでは思ったように勝てない
仮想通貨のスキャルピングは、慣れるまでは思ったように勝つのは難しいです。トレードには必ず勝つ人と負ける人がいます。経験豊富なトレーダーもいるなかで、はじめから勝てることは多くありません。
そのため、スキャルピングで勝てるようになるには、気長にトレードに取り組む必要があります。
「はじめは大きく負けなければ良い」と割り切れる人に、スキャルピングは向いています。逆に、気がせいて「勝たないと気が済まない」という状態になってしまう人は、スキャルピングに向いているとはいえません。
補足担当者
仮想通貨のスキャルピングで稼ぐコツ
仮想通貨のスキャルピングで勝つコツには、以下のようなものがあります。
コツを知らないと、どのようにトレードを進めればよいか途中で不安になってしまうことでしょう。これからスキャルピングをはじめる人は、ぜひ参考にしてください。
手数料・スプレッドが安い取引所を選ぶ
仮想通貨のスキャルピングで勝つには、手数料が安い取引所を選ぶ必要があります。前述したように、取引回数が多いスキャルピングでは、何度も取引手数料を支払うことになるためです。
スキャルピングを行う取引所を探すときは、取引手数料だけでなく「スプレッド」もチェックしましょう。スプレッドは、販売価格に既に含まれている取引所の利益分であり、手数料の一種です。
たとえ取引手数料が無料でも、スプレッドが5%ほどに設定されているケースもあります。スプレッドが5%前後あると、トレードで勝つことは難しくなるので注意しましょう。
テクニカル分析を知っておく
仮想通貨のスキャルピングで稼ぐ稼ぐには「テクニカル分析」を知っておくのも重要です。テクニカル分析とは「ローソク足」と呼ばれるチャートの形状や並びから、今後の値動きを判断する分析手法です。
経済成長率や金利などの経済指標をもとに行う「ファンダメンタルズ分析」も有名な手法ですが、短期的な売買ではテクニカル分析のみを行う傾向があります。
テクニカル分析が有効と考えられる理由は、以下のとおりです。
- チャートは投資家の心理を反映しているため
- 多くの投資家がテクニカル分析にもとづいてトレードするため
テクニカル分析さえ知っていれば、すべての値動きが説明できるというわけではありません。しかし、他のトレーダーの動向を予測するために、代表的なテクニカル分析は知っておくほうが無難です。
代表的なテクニカル分析には以下のようなものがあります。
テクニカル分析の種類種類 | 意味・使い方 |
移動平均線 | ・過去の値動き平均したライン
・上げ相場か下げ相場かの把握に用いる |
ボリンジャーバンド | ・移動平均線の上下に引く3本のライン
・売られすぎ・買われすぎの把握に用いる |
MACD(マックディー) | ・移動平均性を応用して引いたライン
・上昇サイン・下落サインの読み取りに用いる |
損切りと利確のルールを決めておく
仮想通貨のスキャルピングで勝つには、「損切り」と「利確」のルールを決めておきましょう。損切りと利確の意味は以下のとおりです。
損切り | ・意味:損失を確定させること
・目的:これ以上の損失を出さないこと |
利確 | ・意味:利益を確定させること
・目的:相場が不利に動く前に利益を確保すること |
自分のお金がかかったトレードが始まると、冷静に判断できなくなります。
損失が出ている状況なら「もう少し待てば、利益に転じるかもしれない」と感じます。逆に利益が出ていれば「待つと、さらに利益が増えるのではないか」と期待してしまうものです。
自分に都合の良い憶測のせいで、損失が増えることは少なくありません。そのため、損切り・利確のルールはあらかじめ決めておきましょう。
レバレッジを活用する
スキャルピングで利益を上げるためには、「レバレッジ」を活用しましょう。レバレッジを利用すると、担保として預けた資産の数倍もの取引を行えるようになります。
スキャルピングは1トレード当たりの狙える利幅が狭いので、レバレッジを活用しないと、なかなか利益が大きくなりません。トレード回数を増やすことでも利益を大きくできますが、それには限界があります。
スキャルピングを行うなら、適切にレバレッジを活用しましょう。
デモトレードを活用して慣れる
仮想通貨のスキャルピングで稼ぐために重要なのが、デモトレードの活用です。
デモトレードでは、本番と同じような環境での練習が可能です。デモトレードで取引に慣れることができれば、本番環境で勝てる可能性が高まります。
ただし、デモトレードには以下のような注意点もあります。
- 緊張感のないトレードが身につく可能性がある
- トレードができると思い込んでしまう恐れがある
本番同様の環境でも、実際のお金がなくなる感覚は味わえません。デモトレードは積極的に活用したいサービスですが、ある程度慣れたら本番環境に移行して、実際のトレードを行うようにしましょう。
仮想通貨のスキャルピングにおすすめの取引所
仮想通貨のスキャルピングにおすすめの取引所を紹介します。それぞれの取引所の手数料・「スプレッド」・「レバレッジ」もまとめます。
bitFlyer(ビットフライヤー)
「bitFlyer(ビットフライヤー)」は、国内取引所で仮想通貨のスキャルピングをしたい人におすすめの取引所です。「bitFlyer Lightning」という機能が便利です。
ここではbitFlyer Lightningで利用できる「Lightning FX」について紹介します。
手数料 | ・取引手数料:無料
・レバレッジ手数料:0.04%(※) ※未決済の取引があるまま、取引所のクローズ時間をまたいだ場合に発生する |
スプレッド | なし |
最大レバレッジ | 2倍 |
bitFlyerの「Lightning FX」は、最大レバレッジ2倍とあまり高くはありませんが、手数料が低いので利用しやすいです。国内取引所のなかで、bitFlyerはトレーダー向けのサービスが充実しているので、今後のアップデート次第で、さらに使いやすくなる可能性もあります。
Bybit(バイビット)
海外の大手仮想通貨取引所「Bybit(バイビット)」も、スキャルピングにおすすめの取引所です。Bybitの取引のなかでも、スキャルピングを行える「USDT無期限」を紹介します。
手数料 | ・売買手数料(Maker):0.01%
・売買手数料(Taker):0.06% ※いずれも初期状態(「VIP0」)の手数料 ※資金調達率の付与もしくは徴収が行われる |
スプレッド | なし |
最大レバレッジ | 100倍 |
Bybitでは仮想通貨「BIT」の保有量や、取引量に応じて、手数料がさらに割安になります。また、最大レバレッジが高いので、スキャルピングがしやすい取引所です。
Bybitは日本語に対応しており、サポートが非常に丁寧なので、海外取引所を使うのが初めての人でも、安心して利用できます。
Binance(バイナンス)
「Binance(バイナンス)」も仮想通貨でのスキャルピングにおすすめです。ここではスキャルピングを行える「USD-s M」という取引(無期限先物契約)を紹介します。
手数料 | ・売買手数料(Maker):0.02%
・売買手数料(Taker):0.04% ※いずれも初期状態(「一般ユーザー」)の手数料 ※資金調達率の付与もしくは徴収が行われる |
スプレッド | なし |
最大レバレッジ | 125倍 |
BinanceのUSD-s Mは、レバレッジの高さという点でも手数料の安さという点でも、スキャルピングに利用しやすいといえます。仮想通貨「BNB」を支払時に用いるだけで、手数料が安くなる点も魅力です。
Binanceは2022年7月時点で、最も取引量が多い仮想通貨取引所です。あらゆるサービスの質が高い人気の取引所なので、迷ったらBinanceでスキャルピングをはじめてみてください。
仮想通貨のスキャルピングについてのよくある質問
仮想通貨のスキャルピングに関するよくある質問と回答をまとめました。
スキャルピングに向いている通貨ペアは?
スキャルピングに向いている通貨は、その人の戦略によって変わりますが、基本的にはビットコインをペアにもつ通貨ペアがおすすめです。
ビットコインは取引量が多いためです。取引量が少ないと、一部の人の売買に全体の相場が影響されることもあります。
スキャルピングの税金計算方法は?
スキャルピングの税金計算は「総平均法」という手法で取得単価を割り出して計算します。
税金計算の詳細は「ビットコイン(仮想通貨)の税金はいくら?計算方法やツールを紹介」をご確認ください。
仮想通貨のスキャルピングをするなら手数料の安い取引所で
仮想通貨のスキャルピングは、短期間のトレードを繰り返すことで利益を積み重ねる手法です。「心理的な負担がかかりやすい」などのデメリットはあるものの、一度に大きく負けることが少ない手法です。
「テクニカル分析」の学習や「デモトレード」の活用など、勝つためのコツもあるので、興味がある人は挑戦してみてください。
仮想通貨のスキャルピングをするなら、以下のような特徴の取引所を使いましょう。
- 手数料が安い
- 「スプレッド」が狭い
- 最大「レバレッジ」が高い
とくにおすすめなのは「Binance(バイナンス)」です。手数料が安く、最大レバレッジも高いので、取引で利益を得やすくなります。取引所選びで悩んでいる人は、ぜひBinanceを使ってみてください。