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内容証明郵便のメリット3つと書き方8つ|内容証明書く際の注意点

2020 06.4この記事はPRを含みます

内容証明郵便とは

内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰に対して、どんな内容の文章を送ったのかを記録として残すことができる郵便です。

普通、郵便で手紙を送ると、手紙の内容は送った相手と送られた相手にしか分かりません。しかし、内容証明郵便では、こちらが送った文章と全く同じ文章の控えを郵便局に提出します。

そのため、内容証明で送られた内容は郵便局側に把握され、家賃滞納者に対して特定の文章を送ったことを証明してもらえるのです。

家賃滞納で内容証明が必要な場合

では、具体的に家賃滞納問題において、内容証明郵便が必要な場面とはどのような場面でしょうか。家賃滞納というデリケートな問題もあって、手紙の内容を郵便局側に提出することに、抵抗を覚える人もいるかもしれません。

しかしあえて内容証明郵便を利用することで、家賃滞納問題にありがちないくつかのシチュエーションで有利に働きます。

内容証明が必要な場合:滞納者の電話が繋がらない

一つ目は、家賃滞納者と電話で連絡が取れない場合です。もしくは、多少は連絡が取れるものの、なかなか電話に出ないという場合も、内容証明郵便の出番でしょう。

仮に1回目の督促など、スムーズに連絡が取れた場合は、いくら家賃滞納していたとしてもまだ内容証明郵便を送る段階ではありません。口頭でも交渉できるでしょう。

口頭での交渉の段階を過ぎ電話に出ない時は、内容証明郵便によって、家賃滞納者に確実に連絡できます。

内容証明が必要な場合:滞納者が部屋にいない

二つ目は、家賃滞納者が部屋にいない場合です。家賃滞納者は時として「部屋にいないので話ができなかった」と言い逃れをしようとすることがあります。しかし、内容証明郵便を送ることで、ひとまずこちらは相手に対し家賃請求のアクションを起こしたことを証明できます。

また、内容証明郵便に配達証明をつけて送ることで、相手が実際にいつ督促を受け取ったかも把握できるでしょう。

内容証明のメリット3つ

家賃滞納があった場合に、あえて内容証明郵便を利用することで、いくつかのメリットがあります。

面倒でも手続きをしておくと、後々家賃滞納者とのやりとりや、裁判などで有利になることもあるため、まずはメリットを把握しておくと良いでしょう。

内容証明のメリット1:文書の送付を公的に証明できる

一つ目のメリットは、督促の文章を送ったことを第三者に保証してもらえる点です。家賃滞納となると、相手側は郵便を送っても「届いていない」と嘘をついて誤魔化そうとすることがあります。「送った」「いや、受け取っていない」の水掛け論になることもしばしばです。

そこで、内容証明郵便を送ることで、こちらが必要事項を確実に相手に伝達したという証明ができます。郵便局によって記録されるため、相手は言い逃れをすることができません。

内容証明のメリット2:法的措置の前段階として用いられる

二つ目のメリットは、法的措置に踏み切る覚悟を相手に示すことができる点です。家賃滞納の支払い交渉はまず口約束で行われることも多いでしょう。相手は、「はぐらかしていれば逃れられる」「少し期限を延ばしてもらえるかもしれない」などと期待するかもしれません。

しかし、内容証明郵便を送ると、相手は段階が一歩進んだと認識するでしょう。「このままだと裁判になるかもしれない」と相手の危機感を煽ることができます。

内容証明のメリット3:訴訟における効果的な証拠を残せる

三つ目のメリットは、実際に裁判になった場合、内容証明郵便が証拠の一つになる点です。いきなり裁判を起こすのではなく、きちんと段階を踏んで警告したこと、また実際に警告を確かに相手に送ったこと、そしてそれを相手が受け取ったことが、内容証明郵便と配達証明のオプションで確実に証明されます。

書面という確実な証拠が家賃滞納者側だけでなくこちら側にも、また郵便局側にも残るため、裁判でも有利になるでしょう。

内容証明の書き方8つ

内容証明は正式な記録に残すためのものでもあり、書き方にもある程度決まりがあります。自由に書ける部分と、決まりに沿わなければいけない部分とがあるため、気をつけましょう。

正しい形式にのっとっていないと、郵便局で受け付けてもらえないため、間違った形式のまま送ってしまう可能性はありません。しかし、書き直しなど手間がかかります。そこで、内容証明の書き方の注意点を、8つに分けてご紹介しましょう。

内容証明の書き方1:文書の形式・内容

まずは体裁から見ていきましょう。内容証明郵便は、文字数や行数が決まっています。紙には特に決まりがありません。しかし、公式な書類であるならば、A4のコピー用紙などきちんとした紙を使いましょう。

A4のコピー用紙1枚に、縦書きなら20文字×26行のみ、あるいは横書きで、20文字×26行もしくは26文字×20行が一般的です。あるいは、文字数を半分にして行数を倍にした、13文字×40行でも構いません。

内容証明の書き方2:賃貸借契約の特定

次に内容です。そもそも、まずどの契約に対する請求なのかをしっかり明記しなければなりません。家賃滞納者と結んでいる賃貸借契約の内容について、改めて明記しましょう。

どこにあるどの物件を、誰が、誰と、どんな条件で契約しているのかなど、誰が見ても明らかなように書きます。最低限、物件の住所や建物名などを記載するとよいでしょう。

内容証明の書き方3:契約日

契約日も書いておきましょう。家賃を支払い、受け取る関係にいつからあるのか、建物をいつから貸しているのか、しっかりと明記しておくことで、こちらも公式の書類として役立ちます。

また、契約しているのがいつからいつまでであるかだけでなく、そのうちいつから家賃滞納しているのかも明記しておきましょう。

内容証明の書き方4:家賃金額

次に、肝心の家賃金額を書きましょう。まず、今現在契約上、毎月いくらの家賃を支払うことになっているのかを明記します。例えば月8万円なら、そのまま月額賃料8万円(税込)などのように書けば問題ありません。

この書き方には特に決まりがあるわけではないため、誰にでもはっきりとわかればそれでよいでしょう。

裁判の証拠ともするため、支払うべき家賃を一度書面上で明確にしておくのがおすすめです。

内容証明の書き方5:支払催告する迄

記載した契約内容に基づき、家賃滞納の解消、支払いを求める旨を書きましょう。契約状態にあること、家賃の支払いが滞っていること、支払いを求めることを順を追って明記します。

また、書くにあたってはある程度格式張った書き方にした方が、正式な文書であるという雰囲気が出て、家賃滞納者を緊張させることができるはずです。例えば例文としては以下のようになります。

例文

私は貴殿に対し、下記の通り賃貸借契約を締結しています、しかしながら、貴殿は平成○年から令和○年までの○年○ヶ月間、支払うべき家賃○万○千円を滞納しております。

つきましては、○年○月○日の支払い期限までに、下記振込先の口座まで家賃滞納分全額のお支払いをただちに済ませていただけますよう、お願い申し上げます。

内容証明の書き方6:滞納の総額

次に、重要な滞納している家賃等費用の総額を書きます。家賃と併せて記載することでよりわかりやすくなるはずです。家賃8万円で半年滞納なら「家賃滞納6ヶ月分、48万円(税込)」などでよいでしょう。

こちらも家賃同様、特に決まりがあるわけではないため、誰にでも正しい金額がわかるかたちであればそれでよいでしょう。また、家賃を支払ってもらうための通告ですので、併せて支払先の口座番号なども明記しておくと親切です。

内容証明の書き方7:支払期限

支払い期限も必ず明記しておきましょう。家賃滞納者への内容証明は、督促状を証明つきで出すという側面もあります。この手紙をいつ出したのかという日付と共に、支払い期限も記載しておくことで裁判で使える証拠になるでしょう。

ただし、「送ってから2日以内」のような極端な日付を記載すると、裁判で不利になることもあります。支払い期限は最低でも一週間程度先の日付とするのが常識的な範囲です。

内容証明の書き方8:解除する旨の意思表示

最後に、家賃滞納したまま支払わなかった場合のペナルティも通告しておく必要があるでしょう。支払わなかった場合、契約解除することや、場合によっては法的措置に踏み切る用意があることなど、状況に応じて必要なことを漏れなく記載します。

ペナルティがなければ、相手はまた言い逃れする可能性もあります。法的措置まで記載していることを記載した方が、相手はこちらの本気を感じ取り支払いに応じてくれる確率が上がるでしょう。

例文

お支払い期限までに滞納された家賃全額のお支払いを確認できない場合、あらためて契約解除等の通知をすることなく、本契約を解除させていただくことを通知いたします。また、滞納された家賃をその後もお支払いいただけない場合、訴訟等の法的手段に出ることを、あらかじめご承知置きください。

お支払いを確認できない場合、本契約を一方的に解除いたします。また、法的措置も検討させていただきますので、ご承知置きください。

内容証明を書く際の注意点2つ

内容証明郵便は便利ですが、実は送る時に普通の郵便とは異なる制約もいくつかあります。特に、初めて内容証明郵便を送る人が引っかかりがちなのが、以下の2点です。

家賃滞納者へと内容証明郵便の文章を書く前に、必ず把握しておきましょう。また、詳しいルールについては郵便局のホームページにも記載されているので、併せて確認するとよいでしょう。

内容証明を書く際の注意点1:文書1ページに書ける文字数は520文字以内

内容証明で送れる文章には文字数に上限があります。内容証明で送れる文字数は、1枚あたり最大で520文字です。原稿用紙1枚強という分量になるため、家賃滞納者へと伝える必要最低限のことを記入すれば終わってしまう可能性もあるでしょう。

2枚以上送ることも可能ですが、その分料金が高くなります。内容証明で伝えたいことが多数ある場合は、できるだけ要点をまとめた内容を考えた方がよいでしょう。

内容証明を書く際の注意点2:同封物は入れられない

内容証明で送れるものはあくまで文章だけです。返信用封筒や振込伝票、写真、その他何らかの私物などを同封することはできません。

内容証明は特定の文章の控えを提出することで、その控えと同じ内容の文章が、相手方に送られたことを証明するものです。そのため、文章以外のものは対象外となります。

どうしても送りたい場合は、内容証明の範囲外になることを承知の上で、郵送や宅配など別の方法で相手方に送るしかないでしょう。

家賃滞納の内容証明郵便で対応しよう

家賃滞納は大家にとって悩みの種。今後何回も家賃滞納者へ対応する可能性もあります。また、時間が経つと相手も資金繰りが苦しくなり、内容証明郵便をもってしても家賃滞納分を回収できる可能性が下がっていくでしょう。

まずは、一度しっかりと内容証明郵便の書き方や使い所を頭に入れておきましょう。いざ必要になった時、慌てたり不安になったりする前に、内容証明郵便をスムーズに使えるようにしておくことが大切です。

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