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現状渡しのトラブルを回避する4つの注意点|メリットとデメリット

2020 10.21この記事はPRを含みます

現状渡しとは

不動産売買における現状渡しとは、物件の瑕疵(かし)を修復せずにそのまま買主に引き渡すことを指します。

不動産売買で土地や建物を売却する場合、一般的には買主に不動産を引き渡す前に、売主側で物件の壁のヒビなどの瑕疵を修理します。しかしさまざまな事情から、現状渡しとして引き渡すこともあります。

現状渡しは「現状有姿」や「現況渡し」とも呼ばれることがあり、いずれも現状の状態で引き渡すことを意味します。

売買契約と引き渡し

不動産売買での売買契約と引き渡しにはどのような違いがあるのでしょうか。

不動産取引で不動産を売買する場合、「売買契約」と「引き渡し」という2つのポイントがあります。ここでは不動産売買における売買契約と引き渡しについてそれぞれ解説します。

売買契約とは書面による合意が必要

不動産売買での売買契約では合意が必要です。売買契約を締結する場合、売主と買主が口頭で合意するだけでも成立はします。しかし不動産の売買契約では売買契約書を作成し、合意を行うことが一般的です。

売買契約書にはローン条項についてや、売主の瑕疵担保責任についてどこまで責任を負うのかなどについて取り決めを行い、両者が合意する必要があります。

引き渡しとは物件のカギを買主に渡すこと

不動産の引き渡しとは物件のカギを買主に渡すことを指します。

不動産売買で売買契約が結ばれた物件は、買主が物件の代金を決済するのと物件の引き渡しが同時に行われるのが原則となります。また、一般的に物件の場合はカギを買主に渡すことによって引き渡しが行われます。

土地の引き渡しの場合、土地に建物が建っているときは解体などで別途費用がかかりますが、現状渡しであれば建物を解体する必要はありません。

現状渡しするときの4つの注意点

不動産を現状渡しする場合の注意点をご紹介します。不動産を現状渡しする場合、物件の瑕疵を修繕する必要はありません、また、土地であれば土地に建っている建物を解体したり、埋蔵物を確認するといった必要も無くなります。

しかし現状渡しをする場合にはいくつか注意しなければいけないポイントがあります。ここでは現状渡しするときの4つの注意点をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

注意点1:不動産会社に不具合を正しく報告する

不動産を現状渡しする場合は不動産会社に不具合を正しく報告するようにしましょう。売却する建物の不具合は、どんなに小さな不具合でも査定時に伝えなくてはいけません。また、報告した問題点は契約書に明記して、買主と共有する必要があります。

わかっている問題点をすべて報告しておかなければ、売買契約後に契約解除されたり、損害賠償を請求されるケースもあるため注意しましょう。

注意点2:「契約書」に「瑕疵担保免責の条項」を入れておく

不動産を現状渡しする場合は契約書に瑕疵担保免責の条項を入れるようにしましょう。

現状渡しでは建物に修繕などを行わずに買主に引き渡すことになりますが、引き渡し後1年以内に雨漏りなどの不具合が見つかった場合、特約がなければ瑕疵担保責任により売主に賠償責任が生じます。

そのため、「引渡し後の不具合については売主は瑕疵担保責任を負わない」という瑕疵担保免責の条項を入れておくようにしましょう。

注意点3:売主が残置物やごみを撤去・処分する

不動産を現状渡しする場合は売主が残置物やごみを撤去する必要があります。

建物に残っている家電やゴミなどは売主がすべて処分して、空にしなければいけません。仮に残置物をそのままで買主に引き渡す場合は、契約書に明記して同意を取っておく必要があるため注意が必要です。

注意点4:不具合を直すかの判断は不動産会社の査定を受けてから

不動産を現状渡しする場合、不具合を直すかの判断は、不動産会社の査定を受けてからにしましょう。

物件に修繕した方が良いような問題点があったとしても、現状渡しを考えている場合はまず、現状渡しで査定してもらいましょう。修繕して売却する場合と、現状渡しで売却する場合の差が修繕費用よりも小さい場合は、修繕しないほうが結果的には得になると言われているからです。

現状渡しのメリット

現状渡しにはさまざまなメリットがあります。

一般的に物件を売却する場合、建物の修繕が必要になりますが現状渡しでは修繕せずに引き渡すことができます。ここでは現状渡しのメリットをご紹介します。

修繕費用やリフォーム費用などがかからない

現状渡しでは修繕費用やリフォーム費用を捻出する必要がないというメリットがあります。

物件の修繕にかけた費用は価格に上乗せできるため、購入希望者が見つかれば最終的には回収できます。ただしなかなか購入希望者が見つからなければ値下げも検討しなければいけないため、修繕費用をかけなくてよいのは大きなメリットだと言えるでしょう。

手間と時間をかけずにすむ

現状渡しでは修繕のための手間や時間をかけずに引き渡せるというメリットがあります。

現状渡しは修繕費用を捻出する必要がないだけでなく、そのための時間や手間をかけなくて済みます。そのため、物件の売却が楽になるというメリットがあります。

現状渡しのデメリット

現状渡しにはいくつかのデメリットもあります。

現状渡しにはメリットがあることをご紹介しましたが、一方でデメリットもあります。ここでは現状渡しのデメリットをご紹介します。

相場より査定額が下がる可能性がある

不動産の現状渡しは相場より査定額が下がることがありデメリットになります。

中古物件の購入希望者は、できるだけ綺麗で問題点のない物件を探しています。しかし現状渡しの物件は、問題をそのままにして引き渡すことになるため、周辺にある物件相場よりも査定額が下がると言われています。

また、購入後に買主側でリフォームするのが前提となっているため、物件価格も低めに設定しなければ売れにくくなる点がデメリットだと言えるでしょう。

値引き交渉されやすくなる

不動産の現状渡しは値引き交渉されやすくなるというデメリットがあります。不動産売買では値引き交渉を行うのが一般的なので、現状渡しの場合も当然値引きは発生します。

また、現状渡しは不具合をそのままで引き渡しを行うということもあり、買主はより安くしてほしいと考えて値引き交渉をしてくるでしょう。そのため、最初から価格を抑え過ぎないようにしましょう。

現状渡しに向いている物件とは

現状渡しに適している物件には特徴があります。所有している物件を現状渡しで売却しようと考えている場合は、まずはその物件が現状渡しに向いているかどうかをチェックしましょう。

ここでは現状渡しに向いている物件についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

築年数30年以上の古い物件

築年数30年以上の古い物件はリフォーム向きなので現状渡しに向いています。最近は購入後に、自分好みにリノベーションしようと物件を購入する人も多いです。そのため、古い物件を現状渡しで安く購入したいという人もいるようです。

また、古い物件はいざ直すとなると、直さなくてはいけない点が多すぎるため、値段を下げてでも現状渡しで売却してしまった方が、売主にも大きなメリットがあると言われています。

築年数10年以内の物件

築年数10年以内の物件は人気があるため現状渡しに向いています。築年数10年以内の築浅の物件は建物や設備の傷みが少ないため、中古物件市場では人気が高いようです。そもそも痛みが少ないため現状渡しにも適しています。

また、築年数10年以内の物件は価格の下落幅も少ない傾向にあるため、現状渡しであっても必要以上に価格を下げる必要もないでしょう。

現状渡しは正しく申告してトラブルを回避しましょう

現状渡しを行う場合は注意点に気を付けましょう。

現状渡しは物件を修繕する必要がないため、修繕のための費用や時間などをかけずに売却することが可能です。ただし現状渡しでトラブルにならないためにも、瑕疵を隠さず申告する必要があります。

ぜひこの記事でご紹介した、現状渡しをするときの注意点や現状渡しのメリット、デメリットなどを参考に、正しい手順で現状渡しでの物件の売却を行うようにしましょう。

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