金投資の方法5選|それぞれのメリット・デメリットやリスクについても解説
2021 06.2この記事はPRを含みます
そもそも金投資とは?
金投資とは、貴金属の金が持つ資産価値に対して投資を行うことです。他の市場と同じく金はボラティリティの対象になり、貴金属の投資法の中では比較的に始めやすい部類とされています。
株式・債券・預貯金など紙の資産はそれ自体に価値を有する実物資産ではなく、発行した企業や国の信用・業績で価値が決まります。金は紙の資産と違い実物資産として認められてきたため、これまで一度も無価値になったことはないと言われています。
長期投資に向いている理由
金投資は、長期投資に向いていると言われています。その理由は、世界情勢の変化に強いためです。投資に関係深い世界情勢の変化とは、株安・紛争・テロなどです。
これらが起きると安全資産として金を買う人が増え、価値が上がる傾向にあります。また、鉱物として存在量に限りがあるため、無価値になりません。世界で価値が共通している点も無駄になるリスクの減少に結び付き、長期投資に向く理由となるでしょう。
金の価格の決まり方
金の資産価値は、発行企業や発行国の信用または業績で決まります。注意したい点は、金の取引は米ドルで行われることです。
国内の金価値は、海外の輸入品と同じく為替変動の影響を受けます。つまり、日本円の価値が上がる(円高)の時は国内の金価値が下がり、日本円の価値が下がる(円安)の時は国内の金価値が上がります。また、株式や預貯金と違って利息や配当が生じない点にも目を向けた方が良いでしょう。
金投資の方法5選
金投資の方法は、純金積立・金貨や金地金・金ETF・金関係の投資信託・金先物取引の5つです。
それぞれの特徴・メリット・デメリットをご紹介していきますので、比較・検討を行いたい時の参考にしてください。
金投資の方法1:純金積立
金投資の方法1つ目は、純金積立です。主に地金商・金属メーカー・証券会社・商品先物業者が取り扱う方法で、定額か定量で毎月自動的に金を購入できます。
通常、1000円単位で積立可能です(業者によって積立の月額を営業日で日割りして少額ずつ毎日積立も可)。手数料は売値・買値のスプレッドの他、購入手数料(多く2.5~3.5%)・入会費・年会費(0~1000円程)・保管手数料(0~年3000円程)がかかります。
メリット
純金積立のメリットは、自動積立・少額から可能・盗難リスクなし・金現物保管が可能な点です。少額で積立を行うと、ドルコスト平均法の影響で定量購入よりも購入単価を抑えることができます。
盗難リスクには注意ですが、他方法と比べて金現物に交換できることが多いです。金現物の他に、ジュエリーや金貨に等価交換できる場合もあります。ただし、等価交換では引き出し手数料と郵送手数料(3000~5000円程)がかかります。
デメリット
純金積立のデメリットは、手数料がやや高い・保管方法次第で業者破綻リスクあり・売却額が一定を超えると確定申告が必要になる点です。手数料はドルコスト平均法で購入単価が安くなることを踏まえれば、そこまで大きな問題にはならない場合もあります。
保管方法は、金の保有者が積立を取り扱う会社や業者になる保管方法だと、その会社や業者が破綻した時に積立した金を失うことになります。安定性のある会社・業者を選びましょう。
消費寄託と混蔵寄託の違い
投資における金の保管方法は、消費寄託と混蔵寄託の2つです。消費寄託は積立の金を保管会社(販売業者)が運用し、その収益の一部を受け取れます。金の所有権が保管会社に移るため、会社が破綻すると資産を失うリスクがあります。
混蔵寄託は、複数の顧客の金を混合保管する方法です。所有者は預けた人なので、保管会社は運用できません。そのため収益は生じませんが、適正に分別保管されていれば会社が破綻しても資産は戻ります。
金投資の方法2:金貨・金地金
金投資の方法2つ目は、金貨・金地金です。金製の硬貨や金の延べ棒といった金現物を保有する方法です。
金貨は宝飾店やデパートなどで取り扱いがあり、一般的に1/10トロイオンス(約2万円)~1トロイオンス(約19万円)で販売されています。金地金(インゴット)は、地金商・金属メーカー・商社などで取り扱いがあります。購入サイズは最低1g~最高1kg以上で、購入時は1gあたりの手数料と消費税がかかります。
メリット
金貨・金地金で金投資を行うメリットは、金現物を手元で保有できること・売却時に消費税を受け取れることです。高級感があるため、現物で保有したい気持ちになる方も多くいます。中には、会社に預けたくないという理由で自分の手元に置く人もいます。
また、購入時は手数料と消費税がかかりますが、売却時には逆に消費税を受け取れます。その分も収益になるので、消費税が高価している今これからにとってはメリットになるでしょう。
デメリット
金貨・金地金のデメリットは、保管コスト・業者の破綻リスク・盗難リスク・高めの手数料・一定の売却益で確定申告が必要な点です。業者の破綻リスクは保管方法次第、手数料は基本やや高めで少量だと特にかかります。
確定申告に関しては、売却時の所得が譲渡所得として課税されるので、他所得を合わせて総合課税対象になります。年末調整を行っている会社員でも、給与や退職所得以外の所得が一定額を超えると確定申告が必要です。
金投資の方法3:金ETF
金投資の方法3つ目は、金ETF(金の上場投資信託)です。上場投資信託は証券取引所に上場している投資信託で、証券会社が販売しています(購入手数料0~0.1%)。
金に投資可能なETFは、東証ETFと海外ETFに大別されます。東証ETFは東証の円建て取引で、通常は証券会社経由で発注されます。海外ETFは米国の証券取引所に発注するため外国証券と地引口座の開設が必要ですが、東証非上場のETFに投資可能です。
メリット
金ETFのメリットは、年間保管手数料の安さ・証券口座で一元管理・業者破綻と盗難のリスクがない点です。ETFで必要になるコストは主に売買手数料と管理費用ですが、上場しているため投資信託よりも管理費用が低くなります。
また、管理会社や証券会社が破綻しても、投資家の資産は守られます。ただし、形態がリンク積型ETFの場合は、その発行会社が破綻するなどでETFの価値が下落または無価値になる可能性があります。
デメリット
金ETFのデメリットは、自動積立が難しいこと・金現物を保有できないことです。金ETFは幾度売買する必要があるため、毎月の自動積立は難しい方法です。特に取引所における流動性が低い銘柄の場合は、売買時に大きな値動きが起きる可能性もあるため注意が必要です。
また、金ETFは基本的に現物保有不可ですが、会社や商品によってはできます。その場合は、金を一定の量購入することで現物交換できるシステムになっています。
金投資の方法4:金関係の投資信託
金投資の方法4つ目は、金関係の投資信託です。複数の投資家から集めたお金を1つの資産にまとめ、専門家が株や債券の商品などに投資運用を行い、運用成果に応じて各投資家へ投資額相応の分配がされます。
証券会社・銀行が販売しており、購入手数料0~2%と保有残高に沿った管理費用がかかります。管理費用は信託で異なりますが、年率の割合で保有期間に従い日割りで課金されます。
メリット
金関係の投資信託のメリットは、最低購入金額が低い・自動積立可能・証券口座で一元管理可能・業者破綻と盗難のリスクがない点です。最低購入金額は会社や商品によりますが、最近は最低100円の証券会社もあります。
投資信託の運用資産は法令で顧客の財産として信託銀行で分別管理することが定められているため、万が一携わる破綻しても資産は守られます。さらに、保有残高は証券口座に記録されるので盗難のリスクもありません。
デメリット
金関係の投資信託のデメリットは、現物保有ができないこと・管理費用が金ETFよりやや高めなことです。投資信託の値段は購入後も金の価格に連動するため、後から現物交換することはできません。
また、売却益は譲渡所得として申告分課税になります。しかし、特定の口座を選ぶと源泉徴収によって確定申告が不要になります。さらに、株式や投資信託との損益通算も可能です。
金投資の方法5:金先物取引
金投資の方法5つ目は、金先物取引です。先物取引は将来の決められた日に取引時に決められた価格で売買する取引で、損益通算後の利益は20%(所得税15%・地方税5%)+復興特別所得税の申告分離税となります。
日本で取引可能な金先物は、商品先物取引所に上場している取引所でしかできないものです。そのため、発注は商品先物取引業者や証券会社経由で行います。
メリット
金先物取引のメリットは、現物投資よりコストが低い・売り買いどちらからでも始められる・レバレッジを効かせて大きな額で取引可能な点です。レバレッジ効果は、証拠金の差し入れによって投資資金(元手)の数倍の金額を吸収できることを言います。
これにより、先物取引では小さい資金で大きい金額の取引が行えます。リターンが大きくなって利益が増す可能性がある一方、それと同じだけ大損失になってしまう可能性もある方法です。
デメリット
金先物取引のデメリットは、中長期の投資に向かないことです。金投資は基本的に長期運用に向いていますが、金先物取引に関しては不向きだと言われています。なぜなら、取引期間の満了日ごとに決済が必要になるためです。
そもそもレバレッジを効かせた商品は長中期用のプランではないので、短期トレーディングで効率的に利益を上げるための方法となります。また、値段が大きく変動した時は、追加の証拠金差し入れが必要になります。
金投資の4つのリスク
この世に存在する投資法には、必ず何かしらのリスクがあります。
金投資にあるリスクは主に4つ、為替変動リスク・価格変動リスク・信用リスク・流動性リスクです。それぞれの内容をご紹介しますので、金投資を始める前に目を通しておきましょう。
金投資のリスク1:為替変動リスク
金投資のリスク1つ目は、為替変動です。金の価格の決まり方で触れたように、為替変動は円高の時に国内での価値が下がり、円高の時に国内での価値が上がることを言います。
日本国内で身近な日本円の価値変動と金の価値変動は逆に動くため、運用・管理・売却などの面で注意が必要です。
金投資のリスク2:価格変動リスク
金投資のリスク2つ目は、価格変動リスクです。
金投資商品の相場は株式やETFと同じなので、価格が変動するリスクは切り離せません。このリスクが最も低い方法は純金積立で、その他に金以外の金融商品に分際投資することでリスク軽減を図れる場合もあります。
金投資のリスク3:信用リスク
金投資のリスク3つ目は、信用リスクです。
金現物の裏付けを持つ純金積立では信用リスクが生じませんが、現物による裏付けを持たない金ETFなどの場合は発行した企業や国の信用リスクが発生します。信用性の高い発行元を選ぶことが大事です。
金投資のリスク4:流動性リスク
金投資のリスク4つ目は、流動性リスクです。
流動性リスクは売買が極端に減ることで取引が成立せず、売りたい時に売れない可能性があるリスクを指します。金は流動性(売買される量)が多いとされますが、中には流動性が少ない銘柄もあるため、銘柄選びが重要になります。
金投資で発生する税金とは?
金投資には、消費税・所得税・相続税・贈与税が関係してきます。消費税は地金金や宝飾品などを購入した場合に発生し、売る時にもかかります。売却時は消費税込みの金額になるため、消費税率が同じ時に売ることでプラマイゼロになります。
所得税は現物保有だけでは生じない税金で、現金を売却して利益を得た時にその売却益に応じて課税対象となります。相続税は相続、贈与税は贈与した時に、それらを受けた相手に生じるものです。
金以外の貴金属でも投資は可能?
金以外の貴金属でも、銀やプラチナで投資が行えます。銀は通貨用途があり、価格が比較的手頃です。価値変動は金に似ますが、市場の規模が小さいので価値の上下が激しく、工業資材として景気動向の影響を設けます。
プラチナは近年注目されている貴金属で、金より希少性が高い貴金属です。気象なので単価は高いのですが市場は小さく、産出量の6割程度が工業用なので景気に左右される傾向(株式と同じ動きをする傾向)が強いです。
様々な金投資の方法を理解しよう
金投資は基本的に長期運用に向いている投資法で、将来性が高いことから注目されています。
しかし様々な方法があるため、それぞれの特徴を理解し、メリット・デメリットを考慮して自分や家庭に合った金投資方法を選択しましょう。