kinple金融(kinyu-)の世界をsimpleに

木造建物の耐用年数と建物の寿命は違う|法的耐用年数の決め方6つ

2020 10.21この記事はPRを含みます

耐用年数とは

年数が経過することによって劣化するものには、耐用年数が定められています。耐用年数とは、読んで字のごとく、何年耐えられるかという数字です。

土地は年数が経過しても劣化しないため、耐用年数は定められていません。建物は劣化するため、建物の構造によって法定耐用年数が定められています。

木造の建物の耐用年数と建物の寿命は違う?

木造の建物の耐用年数は22年ですが、22年過ぎたら建物に住めなくなるわけではありません。耐用年数は減価償却の計算に使われるもので、正確には「法定耐用年数」といいます。

法定耐用年数が過ぎると減価償却上、資産価値がゼロになります。これはあくまでも法律上のことであって、耐用年数と建物の寿命は違います。

木造建物の耐用年数のポイント3つ

耐用年数といわれると、もうその建物には住めなくなってしまうのかと心配になってしまいます。ですが、耐用年数とは不動産で減価償却に使われる年数で、実際の建物の耐用年数とは異なります。

木造建物の耐用年数のポイントを3つに絞って解説します。

耐用年数のポイント1:法的に定められた建物を使用できる期間

耐用年数は、「法的に定められた建物を使用できる期間」ではありません。減価償却資産がゼロになる年数であって、耐用年数を過ぎたからその木造建物に住んではいけないというわけではありません。

ですが、耐用年数は木造住宅の寿命の目安にはなります。耐用年数になったらリフォームを検討するなど、長く住むための目安にすると良いでしょう。

耐用年数のポイント2:減価償却費の計上に使用される

耐用年数は減価償却費の計上に使用できる年数です。住めなくなるわけではありませんが、経年劣化によって資産としての価値は下がり、いつかは資産価値がゼロになります。この資産ゼロになるまでの期間が耐用年数です。

建物の資産価値がいつまであるのか分からないと、会計処理上困ってしまいます。そのため設定されているのが、耐用年数です。

耐用年数のポイント3:融資時の資産価値の目安

耐用年数は、融資時の資産価値の目安にもなります。例えば、築10年の木造住宅を購入してローンを組もうとした場合、木造住宅の耐用年数は22年なので融資期間は12年後までが目安となります。

耐用年数を過ぎると資産価値としてはゼロなので、ローンなどの融資を受けるのは厳しくなります。ですが、地方銀行などでは融資を受けられる場合もあるので、あくまでも目安になります。

木造の建物の耐用年数の決め方6つ

耐用年数は、減価償却費が計上できる年数だとお話ししてきました。この耐用年数ですが、どうやって決めているのでしょうか。

木造の建物が劣化していくのは分かりますが、なぜ木造建物の耐用年数は22年なのでしょうか。そんな疑問に答えるべく、木造の建物の耐用年数の決め方を6つご紹介します。

耐用年数の決め方1:建物の構造

耐用年数は、建物の構造によって異なります。建物の構造ごとの耐用年数は次のようになっています。

・軽量鉄骨造:19年
・木造:22年
・重量鉄骨造:34年
・鉄筋コンクリート造:47年

建物の構造ごとに「防水」「床」「外装」「窓」「構造体」の耐用年数の平均を、その建物の耐用年数としています。鉄骨や鉄筋を使った建物に比べると、木造建物は耐用年数が短いです。

耐用年数の決め方2:建物の用途

耐用年数は建物の構造だけでなく、建物の用途によっても異なります。木造建物の耐用年数である22年は、住宅用の場合の耐用年数です。

木造の建物でも、飲食店として使用する場合は20年、ホテルや旅館として使用する場合は17年です。同じ木造建物でも、使用する用途によって耐用年数が変わってくるので、不動産投資などをする際には注意しましょう。

耐用年数の決め方3:建物に使用される設備

木造の建物とは別に、建物に使用されている設備にも耐用年数が決められています。金属製のアーケードなら15年、蓄電池電源設備は6年、給排水設備・衛生設備・ガス設備は15年などです。

木造の建物だから耐用年数は22年と思っていると、建物に付随している設備は耐用年数を過ぎているということもあります。建物と、建物に使用されている設備は耐用年数が別と覚えておきましょう。

耐用年数の決め方4:建物に使用される資材

木造の建物の耐用年数は22年ですが、建物に使われている資材にも耐用年数が決められています。建物の耐用年数は、いわば建物に使用される素材の耐用年数の平均といってもいいでしょう。

例を挙げると、陶器瓦葺きの屋根は25年から50年、モルタル壁は20年から40年、塩ビタイルの床は30年などです。他にも資材によって細かく耐用年数が決められています。

耐用年数の決め方5:建物に使用される器具

木造の建物だけでなく、建物に使用される器具にも耐用年数があります。家具・家電であれば5年、ベッドは8年、子ども用の机や椅子は5年、冷暖房器および電気・ガス機器は6年です。

他にも事務機器なら3年から10年、看板・広告器具なら2年から10年、理容・美容機器は5年など、細かく耐用年数が決まっています。建物にどんな器具が使用されているのかも、確認が必要です。

耐用年数の決め方6:法定・物理的・経済的な耐用年数で決まる

実は耐用年数にはいろいろ種類があり、ひとつではありません。法的耐用年数のほかにも、物理的耐用年数や経済的耐用年数などがあります。

物理的耐用年数は、建物が物理的に劣化し限界性能を下回ると判断される年数のことです。経済的耐用年数は、継続使用するための修繕費が改築費用を上回る年数とされています。

このように、いろいろな耐用年数がありますが、よく使われているのが法定耐用年数です。

木造の建物の耐用年数と寿命3つ

木造の建物の耐用年数は22年ですが、耐用年数は寿命ではありません。22年過ぎたからといって、建物の寿命というわけではなく建物に住めないということもありません。

では、木造の建物の耐用年数と寿命とはどんな関係があるのでしょうか。耐用年数と寿命の考え方を3つご紹介します。

耐用年数と寿命の考え方1:実際の寿命はメンテナンスによる

木造の建物の実際の寿命は、耐用年数に関係なくメンテナンスによるところが大きいです。耐用年数を過ぎても、しっかりメンテナンスをしていれば快適に生活することができます。

実際に築22年以上という家は珍しくありませんし、きちんと生活できています。耐用年数はいうなれば目安です。家のメンテナンスなどを考える目安として、耐用年数を覚えておくといいかもしれません。

耐用年数と寿命考え方2:構造や設備により異なる

木造の建物の寿命はメンテナンス次第とお伝えしましたが、構造や設備によっても変わってきます。例えば給排水設備・衛生設備・ガス設備などの耐用年数は15年です。

木造の建物よりも先に設備が寿命を迎えることもあります。設備の耐用年数が過ぎたからといって、すぐに使えなくなるわけではありません。ですが、ガス設備などは老朽化を放って置くと事故に繋がることもあるため、点検が必要でになります。

耐用年数と寿命考え方3:修繕で寿命は延び法的耐用年数の評価も上がる

例えば耐用年数を過ぎてしまった建物だとしても、修繕やリフォームを行うことで寿命が延び法的耐用年数の評価も上がります。壁紙や床の張り替えなど小規模な修繕の場合は、法的耐用年数が延びることはありません。

物件の資産価値が大きく変わるようなリフォームは、減価償却が必要になり法的耐用年数が上がります。

木造の建物の減価償却資産の法的耐用年数4つ

木造の建物の減価償却資産の法的耐用年数を解説します。木造の建物といっても、住宅だけではありません。

店舗もあればホテルや旅館なども木造の建物を利用しているところはあります。木造の建物の減価償却資産の法的耐用年数を、使用用途や設備に分けて4つご紹介します。

1:住宅用・事務所用

木造の建物の減価償却資産の法的耐用年数は、住宅用が22年で事務所用が24年です。店舗は住宅用と同じとされ法的耐用年数は22年です。

ひとつの建物を2つ以上の用途で使用している場合は、別々に法的耐用年数を決めるのではなく主にどちらの用途で使用しているのかで決定します。住居兼事務所であれば、住んでいる以上は住居とみなし法的対応年数は22年となります。

2:飲食店

木造の建物を飲食店として利用する場合の、減価償却資産の法的耐用年数は20年です。住宅用よりも法的耐用年数が短くなっているので、注意が必要です。

飲食店は常に人が出入りし、厨房からは湿気や油の飛び散りなども考えられます。住宅用として使うよりもハードな使い方になってしまうため、法的耐用年数がやや短いのは致し方ないでしょう。

3:一般的な電気設備

一般的な電気設備の法的耐用年数は、6年から15年です。細かく見ていくと蓄電池電源設備が6年、それ以外の照明設備などの電気設備が15年です。

蓄電池電源設備は購入したメーカーや小売店などでメンテナンスが受けられるので、そういったものを利用すると良いでしょう。

4:給排水・衛生設備・ガス設備

木造の建物の給排水設備・衛生設備およびガス設備の法定耐用年数は15年です。建物と同じく耐用年数を過ぎたからといってすぐに使えなくなるわけではありませんが、生活に大切なライフラインなのでメンテナンスは必要です。

耐用年数を過ぎたら買い替えかメンテナンスかを、信頼できる業者に診断してもらうことが必要です。

木造の建物の耐用年数は寿命ではないことを理解しよう

耐用年数は、減価償却の計算に使うための年数であり、実際の建物の寿命ではありません。耐用年数を過ぎたからといって、住めなくなるとか住んでいたら法的な罰則が下されるといったことは一切ありません。

ただし、中古住宅を購入してローンを組むような場合は耐用年数が大きく関わってくるので注意が必要です。

\ お金の勉強をしよう/
ページの先頭へ