国民年金保険料の学生納付特例制度のメリットとデメリット|利用しないメリットを解説
2023 10.31この記事はPRを含みます
学生納付特例制度とは
日本国内に住んでいるすべての人に対して、国民年金の被保険者となる20歳になった時点から、「国民年金保険料の納付」が義務づけられています。しかし、保険料を納付できない事情がある学生等に対して、国民年金保険料の納付を猶予する制度があります。
学生納付特例制度の概要
「学生納付特例制度」とは、20歳以上の条件を満たした学生等が申請し、承認を受けることによって、学生でいる間は国民年金保険料の納付に猶予期間が設けられる制度のことです。また、学生納付特例制度を利用することで、将来的な年金受給の権利を確保することができます。
学生納付特例制度の対象者
「学生納付特例制度」の対象者は、大学(または大学院)、短大、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校、各種学校、一部の海外大学にある「日本分校」に在学中の学生等で、夜間、定時制課程や通信課程に通う学生も含まれます。
ただし学校教育法で規定されている「修業年限が一年以上」の課程がある学校に限ります。また、これらに属する学生本人の本年度所得が、一定基準額(118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等)以下の方が対象となります。尚、家族の方の所得の多寡は問われません。
学生納付特例制度のデメリット4つ
国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人に対して加入する義務があります。
国民年金保険料は収入の有無に関係なく一律のため、20歳以上の学生は保険料の支払いが難しい方もいるでしょう。このような場合、「学生納付特例制度」を申請すれば、国民年金保険料の支払いを延期することができます。
学生納付特例制度は一見メリットのように感じますが、実際は正しい仕組みを理解していないとデメリットになるかもしれません。ここでは、学生納付特例制度の4つのデメリットをご紹介します。
学生納付特例制度のデメリット1:老齢基礎年金の支給額が減る
学生納付特例制度は年金保険料の納付の「猶予」であって「免除」ではありません。
この特例を申請すれば、老齢基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間には算入されますが、年金額には反映されません。したがって追納しなければ「老齢基礎年金の支給額が減ってしまう」というデメリットがあります。
学生納付特例制度のデメリット2:老齢基礎年金の計算が複雑になる
学生納付特例制度を利用し、かつ追納しなかった場合には、受給できる老齢基礎年金額の計算が複雑になるというデメリットがあります。
通常、国民年金保険料は40年間(480か月)で全額納付した場合、満額で「795,000円(令和5年4月分から)」となりますが、猶予を受けて追納しなかった期間の分だけ減額されます。
仮に1年間(12か月)にわたり学生納付特例制度を利用した場合、減額される年金額は「満額×(12÷480)」という計算で求めることになります。
学生納付特例制度のデメリット3:年金制度が変更になる可能性がある
年金制度は、その制度自体や、年金に関わる他の制度が変更になる可能性があります。
例えば国民年金保険料は、毎年の物価や賃金によって調整されているので、保険料は毎年変化し年々増加しています。また平成29年8月1日には、老齢基礎年金を受け取るための資格期間が25年から10年に変更になりました。
「学生納付特例制度」については、平成12年4月創設当時「定時制課程の学生」は既に社会人であるとされ、その対象の除外となっていましたが、平成14年4月1日から「夜間部」「定時制課程」「通信制課程」に在学する学生も特例の対象となりました。
このように年金制度やそれに関わる制度が変更になる可能性があるので注意しなければなりません。
学生納付特例制度のデメリット4:保険料の追納を考えなければならない
この学生納付特例制度によって「猶予された保険料」を追納できる期間は10年です。10年を過ぎると追納はできませんから、30歳になる前には追納を始めないと、未納期間の追納の権利がなくなってしまいます。
さらに、制度の承認を受けた翌年から3年目以降に追納する場合には、経過期間に応じて納付額が加算されるため、追納時期が遅くなるほど「毎月の保険料が高くなる」というデメリットがあります。
ですから早期の追納を考えなければなりません。老齢基礎年金を満額受給したい場合は、猶予期間分の金額を全額追納することで可能になります。
学生納付特例制度を利用しないメリット3つ
学生にとって、親の援助なしに毎月の国民年金保険料「16,520円(令和5年時点)」の支払いは容易ではありませんから、猶予を与えられる「学生納付特例制度」は一見都合の良い制度に感じるでしょう。
しかし、実際はこの制度を利用しないほうが良いこともあります。ここでは、学生納付特例制度を利用しないことで得られる3つのメリットをご紹介します。
学生納付特例制度を利用しないメリット1:老齢基礎年金の支給額が減らない
学生納付特例制度を利用すれば、年金保険料の支払いに「猶予期間」が設けられますが、「免除」されるわけではありませんから、追納しない限り老齢基礎年金の支給額は減額されてしまいます。
その点、学生納付特例制度を利用せずに40年間きちんと年金保険料を支払っていれば、老齢基礎年金の支給額が減ることはありません。
学生納付特例制度を利用しないメリット2:付加年金への加入が可能
学生納付特例制度を利用した場合、付加年金および国民年金基金は利用することができません。
付加年金(付加保険)は、「国民年金第1号被保険者」ならびに「任意加入被保険者」が、定額保険料に付加保険料(月額400円)を上乗せして納付することで、受給年金額を増やすことができます。学生納付特例制度を利用しなければ、付加年金への加入が可能になります。
付加年金額は、【200円×付加保険料納付月数】となります。40年間まともに収めれば、年間「96,000円」も上乗せされます。したがって支払った付加保険料は年金受給開始後2年間で回収することができます。
学生納付特例制度を利用しないメリット3:所得税・住民税の軽減
学生納付特例制度を利用せずに、保護者に国民年金保険料を立て替えてもらえば、保護者が支払った子供の保険料は保護者の社会保険料控除となります。
なので、所得税、住民税を軽減することができます。
学生納付特例制度のメリット3つ
今までは、学生納付特例制度のデメリットや加入しないことでのメリットなどを紹介してきました。
ですが、学生納付特例制度にも加入することで得られるメリットもあるので、ここでは3つのメリットを紹介していきます。
学生納付特例制度のメリット1:受給資格期間の計算が有利になる
国民年金保険は65歳から老齢基礎年金を受給することができます。通常、原則として65歳からもらえるかどうかは、「受給資格期間」を満たしているか、いないかによって判断されます。
「学生納付特例制度」は国民年金保険料の支払い猶予期間中であっても、「老齢基礎年金」を受け取るために必要な受給資格期間に算入されます。
ですので、面倒な受給資格期間の計算が有利になるというメリットがあります。
学生納付特例制度のメリット2:国民年金の支払いの猶予
「学生納付特例制度」は、20歳から60歳未満までに当てはまる全国民が加入しなければならない国民年金の保険料の支払いを学生であれば遅らせることができる制度です。
現在保険料は、毎月「16,520円」(令和5年時点)ですが、学生にとって毎月の「16,520円」の出費は「義務」とはいえ大変でしょう。
そこで、年金保険料の支払いが困難な学生のために、保険料の支払いに猶予期間を設けたのが学生納付特例制度です。申請すれば学生でいる間は、支払い期間に猶予が与えられます。
学生納付特例制度のメリット3:障害年金の受給
障害年金とは、国民年金法、厚生年金保険法等に基づき、厚生年金、国民年金、共済年金すべての人を対象に支給される公的年金の1つです。
交通事故で障害者になった場合や生まれつきの知的障害の場合、または疾病、負傷によって所定の障害の状態となった場合に支給されます。
「学生納付特例制度」の承認を受けていれば、たとえその期間の保険料が未納であっても、万が一の事故などで障害を負った際の「障害基礎年金」の受給資格を確保できます。
学生納付特例制度を受ける場合の手続き方法
学生納付特例申請書に学生証の写しを添付し、近くの年金事務所の窓口に提出します。郵送で提出することもできます。承認された期間の年金保険料は猶予され、承認を受けた期間の年金保険料は10年以内であれば追納することができます。
申請期間は、過去期間については申請書が受理された月から「2年1か月前」(既に保険料が納付済みの月は除く)まで、将来期間については「年度末」まで申請することができます。
ただし、当年4月から翌年3月までの12か月間が、1枚の申請書で申請可能な期間です。必要に応じて年度ごとに申請書を提出します。
学生納付特例制度のデメリットを理解して利用しよう
「学生納付特例制度」は国民年金保険料の支払いの免除ではなくて、あくまでも猶予期間を与えられる制度です。学生の間は国民年金保険料を支払わずに済みますが、追納しなければ老齢基礎年金の支給が減額されるデメリットがあります。
申請後、制度の承認を受けた「翌年から3年目以降」に追納する場合、経過期間に応じた納付額が加算されるデメリットがあることもしっかり覚えておきましょう。
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