仮想通貨を取引していて、ネム(XEM)の名前を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
ネムは、ブロックチェーン技術を用いた決済・送金プラットフォームとして開発されました。現在では、プラットフォームを利用してトークンを発行するなど、用途を拡大中です。
また、シンボル(XYM)という、ネムをアップグレードした仮想通貨を発行し、注目を集めています。
この記事では、ネムの特徴から価格推移、今後の見通し、おすすめの取引所、シンボルの特徴まで解説するので、ぜひ取引の参考にしてください。
※以下の情報は、全て2022年1月現在の情報です。
目次
ネム(XEM/NEM)の特徴
通貨名 | ネム(NEM) |
シンボル | XEM |
価格 | 13円 |
時価総額ランキング | 87位 |
主な取引所 |
|
公式サイト | ネムの公式サイト(Discord) |
ネム(NEM)は、「New Economy Movement」の頭文字からとった名称で、ブロックチェーン技術を用いた決済や送金のための新たなプラットフォームとして開発されました。
ネムのプラットフォーム上で使用される仮想通貨がネム(XEM)です。
ネムは、シンガポールを拠点とする非営利組織「NEM財団」によって2015年から運営されています。
仮想通貨は徐々に発行枚数を増やしていくものが多いですが、ネムは公開当初に90億NEMが発行され、それ以上は発行されない仕組みになっています。
ネムには次の特徴があります。
- 処理速度が速い
- 独自のコンセンサスアルゴリズムを採用
- ハーベスティングを実施
- セキュリティ性が高い
- 独自のトークンを発行可能
順番に解説します。
処理速度が速い
ネムの処理速度は、ビットコインの10倍です。
ビットコインは決済処理や送金に10分程度必要であるのに対して、ネムは約1分で完了します。
ネムは決済や送金効率を高めるための通貨として開発されたため、処理速度の速さは大きなメリットと言えます。
世界ではビットコイン決済を広める動きがありますが、法整備やインフラが問題となり浸透していません。
ネムは決済通貨として期待できるため、デジタル法定通貨プロジェクトとの連携の可能性も秘めています。
独自のコンセンサスアルゴリズムを採用
ネムは、PoI(Proof of Importance)と呼ばれる、独自のコンセンサスアルゴリズムを採用しています。
PoIは、ネムの保有量や取引量、取引回数など、ネムへの貢献度の大きい人から優先的に取引が行われるシステムです。
ハーベスティングを実施
ネムは「ハーベスティング」と呼ばれる、独自のマイニング方法を採用しています。
ビットコインのマイニングで採用されているPoWは、マイニングを実施するために高性能なパソコンや大量の電気が必要なため、マイニング報酬を得る場合、お金を持っている人が有利です。
一方、ハーベスティングではネムの保有量や取引量、取引回数からマイニングを決定しています。
その結果、高性能なパソコンや電気が不要となり、平等さを保てるだけでなく、電力を削減できるため、環境にもやさしい通貨になっています。
ただし、ハーベスティングを行うには、10,000NEM以上の保有が必要です。
セキュリティ性が高い
ネムは、セキュリティ性が高く、安全なプラットフォームとして知られています。
ネムでは、「Eigen Trust++」というセキュリティシステムを採用しています。
Eigen Trustは、ノード同士が監視や評価を行うことで、悪質なノードを見極めるシステムです。
1つのノードが出したトランザクションの正確さを、他のノードが監視、評価します。
これを繰り返すことで、正確な処理ができていないノードは悪質なノードと判断され、排除されるのです。
その結果、高いセキュリティ性を保っています。
独自のトークンを発行可能
ネムでは、「ネームスペース」というプラットフォームを利用して、簡単に独自のトークンを発行可能です。
ネムは、独自のブロックチェーンを持っており、ネームスペースで発行されたトークンは、ネムのブロックチェーンを使って発行されます。
すでに多数のトークンが発行されているため、これからトークンを発行したい方も、安心して利用ができます。
ネムの新プラットフォーム・シンボル(Symbol)がネムに与える影響
▲出典:Symbol公式サイト
https://jp.symbolplatform.com/
ネムは、2021年にアップデートを行い、シンボル(Symbol)と呼ばれる新たなプラットフォームを開始しました。
シンボルは、その開始と同時に、ジム(XYM)という仮想通貨を発行しています。
ジムの概要はこちらです。(2022年1月27日時点)
通貨名 | ジム(シンボルと呼ばれることも) |
シンボル | XYM |
価格 | 21円 |
時価総額ランキング | 213位 |
主な取引所 |
|
公式サイト | シンボルの公式サイト |
現在、ネムのホームページは閉鎖しており、Discordが運営されているのみです。
また、ネムのTwitterアカウントは、シンボルについての発信に切り替わっており、日本語版のネムのTwitterアカウントは2021年7月以降、更新されていません。
つまり、ネムを運営しているネムグループは、今後シンボルに注力する可能性が高いと言えます。
さらに、シンボルはネムを様々な面でアップデートしたプロジェクトであるため、今後のシンボルの動きは、ネムに以下のような影響を与える可能性が高いです。
- シンボルへの期待を反映した価格上昇
- セキュリティを考えた乗り換えの発生
- トークン発行の簡略化に伴う乗り換えの発生
なお、「シンボル」についてはこちらの記事でも扱っています。
シンボルへの期待を反映した価格上昇
今後、シンボルへの期待が高まり価格が高騰することがあれば、連動してネムの価格が上昇する可能性があります。実際、シンボルがローンチされた際、ネムの価格は大きく上昇しました。
シンボルでは、今後もさまざまなプロジェクトが計画されているため、それらがリリースされるタイミングでも、ネムの価格に影響が生まれる可能性があります。
セキュリティを考えた乗り換えの発生
シンボルはセキュリティ面でネムからアップデートされており、セキュリティを考えてネムよりもシンボルを選ぶ人が増える可能性があります。
シンボルは、「マルチレベルマルチシグ」というセキュリティシステムを導入しています。
これは複数のマルチシグアドレスが参加できる仕組みで、ネムに導入されているEigen Trustと比べても、より強固なセキュリティシステムです。
トークン発行の簡略化に伴う乗り換えの発生
シンボルはトークンの発行に関しても、ネムからアップデートされています。トークンの発行の手軽さを考えて、ネムよりもシンボルを選ぶ人が増える可能性があるのです。
ネムでは、ネームスペースと呼ばれるスペースをレンタルして、独自トークンを発行します。
一方、シンボルはスペースをレンタルすることなくトークンを発行できるため、より簡易なトークン発行のプラットフォームと言えます。
今後、シンボルにはネムになかった新たなシステムが多数導入されるため、シンボルの動向は要チェックです。
ネム(XEM/NEM)のこれまでの価格推移
ネム(XEM)のこれまでの価格推移を見てみましょう。
2019年の価格推移
▲出典:TradingView(以下チャート同じ)
https://jp.tradingview.com/
こちらの画像は、2019年の米ドルに対するネムの価格推移を示したチャートです。
ネムは、5月〜7月にかけて価格が上昇し、その後は下降し続けています。
5月から7月にかけて価格が上昇した要因は、5月にアメリカでConsensusと呼ばれる仮想通貨やブロックチェーンに関する世界最大規模の会議が行われたためです。
世界中の開発者や企業、ファンド、投資家が参加した会議で、仮想通貨に注目が集まり、市場全体の価格が上昇しました。
その後、ネムは価格低下を起こしていますが、その原因は、ネム財団が組織の再編を行ったのに伴い、ネム財団の倒産が噂されたためです。
実際には倒産していませんが、悪いイメージが残り、そのまま価格を下げる結果になりました。
2020年の価格推移
こちらの画像は、2020年の米ドルに対するネムの価格推移を示したチャートです。
ネムは、2月と12月に価格の高騰が見られます。
2月の価格高騰の要因は、ネムをカタパルトした新ブランド「シンボル(Symbol)」が、2021年3月に運用開始されると発表されたことです。
その後はしばらく、ネムの価格は4円ほどで推移していましたが、シンボルの運用開始予定である2021年が近づくにつれて、ネムへの注目が集まり再度価格が上昇しています。
シンボルの運用開始を1ヶ月後に控えた2020年12月には、最大で約30円と、2020年1月の10倍近くまで価格が上昇しました。
2021年の価格推移
こちらの画像は、2021年の米ドルに対するネムの価格推移を示したチャートです。
ネムは、2021年3月15日にシンボルのネットワーク運用を開始しました。3月17日にはネムの保有者に1:1の割合で仮想通貨のジム(XYM)が配布されています。
これらのシンボルのプロジェクト開始の影響を受け、2021年3月にはネムの価格も最大で約90円まで上がりました。その後は、仮想通貨市場の影響を受ける形で値動きをしています。
4月から5月にかけて、シンボル開始時に比べてネムの価格は下がりました。一方、NFT市場の盛り上がりを受けて仮想通貨全体に注目が集まったことで、ネムの価格にも多少の影響が出ています。
その後は、イーロン・マスク氏の発言や、中国市場の仮想通貨規制の影響により、仮想通貨市場は下落の傾向が続き、2021年12月のネムの価格は、15円ほどにまで下がりました。
シンボルのプロジェクトが始まったため、「ネムの価値がなくなる」と考える方もいますが、運営からはネムのブロックチェーン開発を今後も続けていくことが公表されています。今後しばらくは、ネムの値動きに引き続き注目です。
ネム(XEM/NEM)の今後に期待できる理由
ネム(XEM)の今後の価格に影響するポイントとして、次の3点が考えられます。
- シンボルのアップデート
- 取引所への新規上場
- ネムの利用拡大
順番に解説します。
シンボルのアップデート
ネム(XEM)の今後の価格に影響する1つ目のポイントは、シンボルのアップデートです。
シンボルがアップデートされ、性能や需要が高まるほど、ネムの価値は下がっていくことが予想されます。
シンボルは、ネムをアップデートする形で発行されたプロジェクトであるため、シンボルはネムの性能を大きく上回っている状況です。
つまり、ネムはシンボルの下位互換にあたるため、これからネムを利用する価値は低いと言えます。
「今後もネムのブロックチェーン開発も進める」と公表していますが、期待値は低いと予想されます。
取引所への新規上場
ネム(XEM)の今後の価格に影響する2つ目のポイントは、取引所への新規上場です。
今後ネムの価格上昇は全く期待できないわけではなく、ジムが取引所への新規上場をすると、ネムの価格が上昇する可能性があります。
ネムは、すでに多くの取引所が扱っているため、新規上場する可能性は低いですが、ジムを扱っている取引所は少ないため、新規上場が期待されるのです。
ネムとジムは親密な関係があるため、ジムの上場に注目が集まり価格が上昇すると、ネムの価格にも影響する可能性があります。
ネムの利用拡大
ネム(XEM)の今後の価格に影響する3つ目のポイントは、ネムの利用の拡大です。ネムの利用を促すようなイベントやアップデートがあると、ネムの価格上昇が期待できます。
今後に期待できる点は、決済通貨としての普及です。ネムは、ビットコインが抱える送金や決済遅延の問題を解決する手段として開発されました。今後、仮想通貨決済が普及し、ネムが決済通貨として使用されると、需要が高まり価格にも影響します。
また、ネムは、トークン発行のためのプラットフォームを提供しています。ネムを利用して発行されたトークンで実績が出ると、ネムの価格が上昇する可能性があります。
ただし、現状ではネムの新規プロジェクトやアップデートの情報はありません。投資の際には、今後のニュースを中止する必要があります。
ネム(XEM/NEM)購入におすすめの取引所
ネム(XEM)は、国内の有名取引所で取引可能です。その中でも、次の3つの取引所がおすすめです。
- Coincheck(コインチェック)
- bitFlyer(ビットフライヤー)
- DMM Bitcoin(DMM ビットコイン)
それぞれ独自のメリットを持っているので、取引所を選ぶ際の参考にしてください。
Coincheck(コインチェック)
仮想通貨取引所Coincheck(コインチェック)は、コインチェック株式会社によって運営されています。
Coincheckは、取引サイトやアプリが使いやすく、仮想通貨取引の経験が少ない初心者にも利用しやすいと、評判の取引所です。
取扱通貨が豊富なことも、魅力のひとつです。また、仮想通貨の積立やレンディングなど、様々な取引方法を提供しているため、自分に合った取引方法を見つけやすい取引所と言えます。です。
無料で口座開設できるので、この機会にCoincheckの口座を開設してはいかがでしょうか。
bitFlyer(ビットフライヤー)
bitFlyer(ビットフライヤー)は、株式会社bitFlyerが運営する仮想通貨取引所です。
他の取引所と比べて、少額から仮想通貨を取引できるため、bitFlyerは初心者でも購入のハードルが低い取引所と言われています。
ネムの場合、最小で0.00000001NEM、つまり1円からネムを購入できるのです。
また、セキュリティ面でも高い評価を受けています。業界最長の7年以上にわたってハッキング0を達成していることは、大きな安心材料です(参照:公式サイト)
無料で口座開設できるので、この機会にbitFlyerの口座を開設してはいかがでしょうか。
詳細はこちら[/btn][/center]DMM Bitcoin(DMM ビットコイン)
DMM Bitcoin(DMMビットコイン)は、レバレッジ取引の取り扱い銘柄が多いことで有名な暗号資産取引所です。
レバレッジ取引とは、小さな値動きでも大きなリターンを期待できる取引方法を言います。DMM ビットコインでは、最大で2倍のレバレッジをかけた取引ができるため、挑戦的な投資をしたい方におすすめです
また、運営会社の株式会社DMM ビットコインは、FXのサービスも提供しており、そのノウハウが仮想通貨取引のサイト設計にも生かされています。初心者から上級者まで使いやすいシステムです。
無料で口座開設できるので、この機会にDMM Bitcoinの口座を開設してはいかがでしょうか。
ネムとビットコインの違い
よく混同される、ネムとビットコインですが、両者の違いは次の3点です。
- 承認方式及び報酬
- 取引の処理速度
- 時価総額の違い
承認方式及び報酬
ネムとビットコイン、それぞれの承認方法と報酬は、次の通りです。
ネム | ビットコイン | |
承認方式 | PoI(Proof of Importance) | PoW(Proof of Work) |
ビットコイン | ハーベスティング | マイニング |
ビットコインは、PoWによる承認を行っているため、高性能なパソコンと膨大な電気代がかかり、基本的に資産を持っている人の方が有利となる仮想通貨です。
一方、ネムは、ネムの保有量や取引回数などにより承認を決定するPoIを採用しているため、公平性が保たれるだけでなく、電力の削減になり環境にもやさしい通貨だと言われています。
取引の処理速度
ネムとビットコインは、取引の処理速度が異なります。
- ネム:約1分
- ビットコイン:約10分
ネムの方が10倍の速さで取引可能です。
時価総額の違い
ネムとビットコインの時価総額は、次の通りです。
- ネムの時価総額:約1,192億円(市場ランキング87位)
- ビットコインの時価総額:約92兆円(市場ランキング1位)
時価総額は、投資家からの人気度を示す指標です。
ネムとビットコインには大きな差があることがわかります。
ネム(XEM/NEM)の取引にチャレンジしよう
今回は、ネム(XEM/NEM)について解説しました。
ネムは決済通貨としての利用を目指して開発されましたが、現在ではトークン発行のプラットフォームなど用途を拡大しています。
ネムの価格は、一時低迷していましたが、新しいプラットフォーム・シンボルの運営開始の際には、価格上昇の相乗効果が見られました。
一方で、今後投資家がネムよりもシンボルを選ぶ可能性もあり、今後のニュースに注目です。
ネムとシンボルの動向を注視しつつ、取引にチャレンジしましょう。