不動産売買契約書の目的と主な規定内容7つ・注意点も詳しくご紹介
2020 06.4この記事はPRを含みます
不動産売買契約書とは
不動産売買契約書は不動産売買契約の締結の際に取り交わすものです。
不動産の売買契約は、不動産売買契約書に売り主と買い主が署名、押印することで成立します。不動産売買契約書自体は仲介をしている不動産会社が作成しますが、内容に関しては売り主、買い主共にしっかりと知っておくことが重要です。
この記事では不動産売買契約書について詳しく解説していきます。
不動産売買契約書の目的
なぜ不動産売買契約書を作成する必要があるのでしょうか。
一般的に不動産売買を行う場合、不動産売買契約書はかならず作成されます。また、不動産会社が不動産売買の仲介をおこなう場合は、契約が成立すれば速やかに宅地建物取引士が記名、押印した不動産売買契約書を交付することが宅地建物取引業法により義務づけられています。
ここでは不動産売買契約書の目的について解説します。
対象不動産と契約条件の明文化
不動産売買契約書は、対象不動産の取引内容や契約条件を明文化するという目的があります。
不動産は大変高額な高単価商材です。そのため、不動産取引においてはさまざまな手続きや手順を踏む必要があります。
そのため、不動産売買契約書は書面で取引内容や契約条件を明文化することで、契約当事者である売り主、買い主の双方が不利益を被ることなく契約を完結できるように作成されています。
不動産売買契約書の主な規定内容7つ
一般的に、不動産売買契約書には契約当事者が必ず確認するべきポイントとも言える7つの規定内容があります。不動産売買を行う場合には、規定内容についてしっかりと理解し、契約を結ぶようにしましょう。
ここでは不動産売買契約書の主な規定内容7つについて紹介します。
規定内容1:売買対象不動産
不動産売買契約書は売り主が所有している売買対象不動産について規定しています。
まずは不動産売買契約書に記載されている売却物件の表示に誤りがないかを確認しましょう。一般的に、登記記録に基づき、対象となる売買対象不動産の土地や建物の所在や地番、面積などの詳細情報が記載されています。
また、マンションやアパートの場合には、区分所有建物について詳細情報なども記載されます。
規定内容2:売買代金・手付金と支払時期・支払方法
不動産売買契約書は売買代金、手付金の額および支払日について規定しています。
次に、売買代金や手付金などの金額と支払日、支払方法を確認しましょう。手付金については、手付金が解約手付、証約手付、違約手付のうちどの手付けになっているか、さらに金額は売買代金の何割程度になっているかを確認し、適当な金額になっていることを確認しましょう。
規定内容3:売買対象不動産の面積
不動産売買契約書は売買対象となる土地、建物などの面積に関して規定しています。
土地は登記記録に表示されている土地面積を採用する方法と、実測面積を用いる方法の2種類があります。また、土地の面積は登記記録に記載されている土地面積と異なる場合もあるため、売り主が引き渡しまでに実測を行うこともあります。
さらに、登記記録に記載されている面積と差が生じた場合には、売買代金を精算する場合があります。
規定内容4:所有権の移転・引渡し時期と登記
不動産売買契約書は所有権移転と引き渡し時期、登記手続きの日に関して規定しています。
「その他約定事項」では所有権移転や引き渡し日について記載されているため、引っ越し予定を踏まえて問題がないかどうか確認しましょう。
一般的に、所有権移転と引き渡し日は代金の支払いと引き換えに行われるため、同日になることが多いです。
規定内容5:瑕疵担保責任
不動産売買契約書は瑕疵担保責任に関して規定しています。
瑕疵担保責任とは、不動産引渡し後に隠れた欠陥などが見つかった場合、売り主が修復などの責任を負うというものです。契約時には売り主が瑕疵担保責任を負うか否か、負う場合は期間について取り決められます。
一般的には、瑕疵担保責任期間は引渡しから3ヵ月程度が多いです。隠れた瑕疵に関するトラブルは多いため、注意するようにしましょう。
規定内容6:契約解除・違約金
不動産売買契約書は契約違反による解除や違約金に関して規定しています。
売り主、もしくは買い主が債務不履行を行った場合には、相手方は契約を解除することができます。さらに契約に違反した側に違約金の支払いを請求することができるといった内容を規定しています。万が一のことを考えて、内容については確認しておきましょう。
一般的には、違約金は売買代金の20%までの範囲で設定されます。
規定内容7:特約事項
不動産売買契約書は融資利用の特約に関して規定しています。
買い主の多くは銀行から融資してもらい、不動産の売買代金を支払うことが一般的です。しかし住宅ローンの借り入れができなかった場合、支払えず契約違反になってしまうため、審査に落ちた場合には無条件で売買契約を解除できるローン特約を規定します。
ただし、買い主のミスでローンを借りることができなかった場合、この特約は適用されません。
不動産売買契約書の注意点6つ
不動産売買契約書には6つの注意点があります。
ここまで紹介したとおり、不動産売買を行う場合には規定内容について、しっかりと理解してから契約を結びましょう。一般的な規定7つと合わせて、不明瞭な規定がないかなども注意して確認する必要があります。
ここでは不動産売買契約書の注意点6つについて紹介します。
注意点1:重要事項説明書の確認
重要事項説明書の記載内容について注意して確認しましょう。
不動産売買契約書では、売買対象となる不動産の範囲や売買代金などの内容と合わせて、重要事項説明書の記載内容について注意して確認します。また、登記記録などの重要事項説明書の付属書類についてもしっかり見ておきましょう。
注意点2:土地面積の実測精算の有無
土地面積の実測精算の有無について注意して確認しましょう。
土地の面積は、登記記録に記載されている土地面積と異なる場合もあるため、売り主が引き渡しまでに実測を行う場合があります。またその結果、登記記録の面積と差が生じた場合には、売買代金を精算することもあります。
それらの清算を行う、もしくは行わないといった内容について事前にすり合わせます。不動産売買契約書で規定することになるため、注意するようにしましょう。
注意点3:瑕疵担保責任期間・設備修補責任期間
瑕疵担保責任期間・設備修補責任期間について注意して確認しましょう。
不動産売買契約書の契約条件に不明瞭な点がないかどうかは、締結時に必ず確認しておく必要があります。たとえば、売り主が瑕疵担保責任を負う場合、瑕疵担保責任期間や設備修補責任期間などが明確であるかという点は重要です。
瑕疵担保責任期間や設備修補責任期間は、短ければ売り主に有利になり、長いほど買い主に不利となるため、注意が必要です。
注意点4:残代金の支払い日・引渡し日
残代金の支払い日や引渡し日について注意して確認しましょう。
売買代金や手付金の額および支払日には、残代金が記載されています。また、支払い日についても規定されているため、適切に設定されているかどうか確認しましょう。
さらに先ほど解説したとおり引渡し日は所有権移転と同じ日になることが多いですが、住み替えなどのケースによっては引き渡し日が別途規定されることもあるため、確認しておきましょう。
注意点5:手付解除の期限
手付解除の期限に関しては注意して確認しましょう。
何らかの事情により契約を解除せざるを得なくなった場合、手付解除を行うことがあります。そのため、手付解除の取り決めの内容についてはしっかりと確認するようにしましょう。
また、契約によっては当事者間で手付解除の期間について期限を設けることも可能となっているため、手付解除が可能な期間については注意するようにしましょう。
注意点6:ローン解除特約
ローン解除特約に関しては、特に売り主は注意して確認しましょう。
先ほど紹介したとおり、ローン解除特約では買い主が銀行の住宅ローンの審査に落ちた場合、無条件で売買契約を解除できることを規定しています。
ただし売り主にしてみれば、買い主の信用度によっては不動産売買契約を解除されてしまうリスクを負うということになります。そのため、ローン解除特約に関してもしっかり留意して契約を結ぶようにしましょう。
不動産売買契約書の作成の流れ
不動産売買契約書は、売り主、買い主の双方が立ち会い、手続きを行います。
不動産売買契約の当日は、売り主は土地・建物登記済証、印鑑証明書、建築確認通知書・検査済証などの必要書類、買い主は本人確認書類や手付金を準備したうえで契約を行います。
また、契約内容について双方が納得できればそれぞれ署名、押印を行い、買い主が売り主へ手付金の支払いを完了することで、不動産の売買契約が成立します。
不動産売買契約書の作成の際に必要なもの
不動産売買契約書を作成する場合には、必要書類などを用意する必要があります。
不動産売買契約書を作成する場合、売り主、買い主それぞれが必要書類や印鑑などを事前に用意する必要があります。不動産の種類や売却方法によっては必要書類が異なる場合もあるため、実際に不動産売買を行う場合にはしっかり確認するようにしましょう。
ここでは不動産売買契約書の作成の際に必要なものを紹介します。
売主
売り主はさまざまな書類を用意する必要があります。必要な書類は以下の通りです。
・土地、建物登記済証または登記識別情報
・印鑑証明書
・建築確認通知書、検査済証
・測量図、建物図面、建築協定書
・物件状況等報告書
・設備表
・固定資産税、都市計画税納税通知書
・管理規約、管理組合総会議事録(マンション売却の場合のみ)
・収入印紙
・本人確認書類
・実印、仲介手数料の半金
買主
買い主は手付金や本人確認書類などを用意する必要があります。必要な書類は以下の通りになります。
・収入印紙
・本人確認書類
・手付金
・印鑑、仲介手数料の半金など
不動産売買契約書の内容・注意点をしっかり理解しておこう
不動産売買契約には多くの手続きが必要になるため、不動産売買契約書の作成について把握しておくことが必要です。
不動産売買契約は普段馴染みがない分、いざ不動産売買を行う場合には不安になることもあるでしょう。そのため、不動産売買契約書の内容や確認しておくべきポイントについて理解しておき、契約の際には内容や条件を必ず確認しましょう。
不動産売買契約がうまく行われなかった場合、様々なトラブルがおきてしまい失敗する可能性があるため、この記事を参考にしっかり準備しておきましょう。