不動産取得税はいくらになる?控除が受けられる条件とポイント2つ
2020 06.4この記事はPRを含みます
不動産取得税とは?
不動産取得税とは地方税法に基づき、土地や建物などの不動産の取得に対して課される税金です。
売買や贈与で不動産を取得したとき、もしくは新築、増築したときに、都道府県が課税する地方税で、相続の場合は非課税となります。
不動産取得税の納税方法については、取得後6ヶ月〜1年半程度の期間で各都道府県から届く「納税通知書」を使用して金融機関で納付することになります。なお、納期は各都道府県により異なります。
不動産取得税の税率
不動産取得税の税率は「不動産の価格(=課税標準額)×税率」となっています。
税率は「不動産取得税=固定資産税評価額×4%」で計算できますが、不動産取得税は課税されるばかりではありません。
たとえば、住宅の建物部分や住宅敷地の軽減要件を満たすことで、不動産取得税の税額そのものの大幅な軽減措置が設けられたり、0円にすることも可能です。また、相続によって不動産を取得した場合には非課税になることがあります。
不動産取得税の軽減と還付がある
不動産取得税には軽減と還付があります。
不動産取得税は還付で税金の軽減措置をすることができ、納税した額から払いすぎた分を返してもらうことができます。
たとえば、宅地などに関する特例措置が適用された場合の不動産取得税の式は「不動産取得税=不動産の価格×2分の1×税率」となります。新築の場合はいくつかの条件をクリアすると、「不動産取得税=(不動産の価格-1,200万円)×税率3%」で減税額を算出できます。
不動産取得税の課税対象別の軽減要件9つ
不動産取得税には課税対象別の軽減要件があります。
不動産取得税は不動産を得たときに課税されるものですが、還付で税金の軽減措置をすることができ、納税した額から払いすぎた分を返してもらうことが可能です。
住宅も宅地も要件さえ満たせれば不動産取得税の軽減ができます。しかし軽減の要件がどのようなものなのか、ご存知の方は少ないのではないでしょうか。ここでは不動産取得税の課税対象別の軽減要件9つを紹介します。
新築住宅への課税
新築の場合は要件を満たすと「不動産取得税=(不動産の価格-1,200万円)×税率3%」で還付できます。
減税額は不動産の価格から1200万円を引いたものに税率をかけることで算出できます。新築の場合の減税措置は、建物と土地でそれぞれ条件が異なるため、新築住宅とその下の土地への不動産取得税の減税条件と減税額についてそれぞれ解説していきます。
まずは新築住宅への課税での軽減要件2つについて紹介します。
軽減要件1:床面積50㎡以上240㎡以下
新築住宅への課税の軽減要件の1つ目は、床面積50㎡以上240㎡以下であることです。
新築の建物の場合、還付を受けるためには、貸家、貸家以外の一戸建住宅は、課税床面積が50㎡以上かつ240㎡以下であることという要件があります。
軽減要件2:戸建て以外の賃貸住宅は40㎡以上240㎡以下
新築住宅への課税の軽減要件の2つ目は、戸建て以外の賃貸住宅は40㎡以上240㎡以下であることです。
新築の建物の場合、還付を受けるためには、一戸建ではない住宅で貸家の場合、40㎡以上かつ240㎡以下であることという要件があります。
新築住宅敷地への課税
新築住宅敷地の場合は、要件を満たすと不動産取得税より「45,000円」もしくは「(土地1m2当たりの固定資産税評価額 × 1/2)×(課税床面積×2(200m2限度))×3%」のうち高い金額が還付により減額されます。
2021年3月31日までに宅地を取得していれば、宅地等に関する特例措置が適用されるので土地の価格を2分の1にして計算できます。
ここでは新築の土地への課税での軽減要件2つについて紹介します。
軽減要件1:土地取得から3年以内に住宅新築
新築住宅敷地への課税の軽減要件の1つ目は、土地取得から3年以内の住宅新築であることです。
新築の住宅敷地の場合、還付を受けるためには、土地の取得から3年以内に対象の土地の上に新築住宅が建てられていることという要件があります。
軽減要件2:土地取得前の1年以内に住宅新築
新築住宅敷地への課税の軽減要件の2つ目は、土地取得前の1年以内での住宅新築であることです。
新築の住宅敷地の場合、還付を受けるためには、新築住宅をつくったあと1年以内に対象の土地を取得していることという要件があります。また、未使用の新築住宅および土地の両方を建築後1年以内に同一人物が取得していることという要件もあります。
中古住宅への課税
中古の場合は要件満たすと「不動産取得税=(不動産の価格-控除額)×税率3%」で還付を受けることができます。
減税額は不動産の価格から控除額を引いたものに税率をかけることで算出できます。中古の場合も、減税措置は建物と土地でそれぞれ条件が異なるため、中古住宅とその下の土地への不動産取得税の減税条件と減税額についてそれぞれ解説していきます。
まずは中古住宅への課税での軽減要件3つについて紹介します。
軽減要件1:建物が自己居住またはセカンドハウス用
中古住宅への課税の軽減要件の1つ目は、建物が買い主の自己居住またはセカンドハウス用であることです。
中古の住宅敷地の場合、還付を受けるためには、買い主が居住用に個人で取得をしたものであることという要件があります。さらに賃貸用マンション(住宅用)は適用外となります。
また、具体的な控除額は対象の建物がいつ建築されたものかによって変動します。控除額については後述します。
軽減要件2:床面積50㎡以上240㎡以下
中古住宅への課税の軽減要件の2つ目は、床面積50㎡以上240㎡以下であることです。
中古の住宅敷地の場合、還付を受けるためには、床面積50㎡以上240㎡以下であることという要件があります。控除額は対象の建物がいつ建築されたものかによって異なります。
また、具体的な控除額は対象の建物がいつ建築されたものかによって変動します。控除額については後述します。
軽減要件3:昭和57年1月1日以降に新築されたもの(または耐震基準に適合しているもの)
中古住宅への課税の軽減要件の3つ目は、昭和57年1月1日以降に新築、もしくは耐震基準に適合していることです。
中古の住宅敷地の場合、還付を受けるためには、「①昭和57年1月1日以降に建設された建物であること」「②新耐震基準に適合していること」「③新耐震基準に不適合の住宅で、入居前に適合のための改修工事をおこなうこと」という3つ条件のうち、いずれか1つに該当することが減税に必要な条件となります。
自己が居住する中古住宅用敷地への課税
中古敷地の場合は、要件を満たすと不動産取得税より「45,000円」もしくは「(土地1m2当たりの固定資産税評価額 × 1/2)×(課税床面積×2(200m2限度))×3%」のうち高い金額で還付を受けることができます。
2021年3月31日までに宅地を取得していれば、宅地等に関する特例措置が適用されるので土地の価格を2分の1にして計算できます。
ここでは中古の土地への課税での軽減要件2つについて紹介します。
軽減要件1:土地取得から1年以内に中古住宅取得
中古住宅敷地への課税の軽減要件の1つ目は、土地取得から1年以内に中古住宅を取得していることです。
中古の住宅敷地の場合、還付を受けるためには、土地の取得日から1年以内に対象の土地上の住居を取得することという要件があります。
軽減要件2:土地取得前の1年以内に中古住宅取得
中古住宅敷地への課税の軽減要件の2つ目は、土地取得前の1年以内に中古住宅を取得していることです。
中古の住宅敷地の場合、還付を受けるためには、土地取得前の1年以内に中古住宅を取得していること、つまり住宅の取得日から1年以内にその下の土地を取得することという要件があります。
住宅にかかる不動産取得税の控除内容
住宅にかかる不動産取得税の控除内容は新築や中古など条件により異なります。
新築住宅の場合、先ほど紹介したとおり1200万円となっていますが、新築でも1300万円の控除を受けられる場合があります。
また、中古住宅の場合は耐震適合か耐震なしかによって違いがあり、さらに耐震適合の場合であっても建物がいつ建築されたかによって金額も大きく変わります。ここでは住宅にかかる不動産取得税の控除内容について紹介します。
控除内容1:新築住宅1200万円
新築住宅の場合、控除内容は1200万円となります。
新築認定長期優良住宅ではない一般的な新築住宅で、軽減の要件を満たした場合、さきほども紹介したとおり「不動産取得税=(固定資産税評価額−1,200万円)×税率3%」で還付を受けることができます。
そのため、固定資産評価額が1200万円以下の場合は控除額の方が大きくなるため、課税を0円にすることも可能です。
控除内容2:新築認定長期優良住宅1300万円
新築認定長期優良住宅の場合、控除内容は1300万円となります。
新築認定長期優良住宅の場合は「不動産取得税=(固定資産税評価額−1,300万円)×税率3%」となります。
長期優良住宅として認定を受けた住宅の不動産取得税の特例の適用期限が2年間延長され、平成32年3月31日まで従前同様の軽減措置が継続しています。そのため、課税標準額からの控除額が通常の1,200万円から1,300万円に拡大されています。
控除内容3:中古住宅(耐震適合)100万円~1200万円
中古住宅で耐震適合している住宅の場合、控除内容は新築日によって100万円~1200万円となります。
中古住宅(耐震適合)の不動産取得税は「(固定資産税評価額−控除額)×税率3%」となり、控除額は新築日によって変わります。
たとえば、1954年~1963年は100万円、1972年12月31日までは150万円といったように期間によって細かく分かれており、1997年4月1日以降は1,200万円となります。
控除内容4:中古住宅(耐震なし)3万円~12.6万円
中古住宅で耐震なしの住宅の場合、控除内容は新築日によって3万円~12.6万円となります。
中古住宅(耐震なし)の不動産取得税は「通常の税額−減税額」となり、減税額は新築日によって変わります。
たとえば、1954年~1963年は3万円、1972年12月31日までは4.5万円、1975年12月31日までは6.9万円、1981年6月30日までは10.5万円といったように期間によって細かく分かれています。
不動産取得税のシミュレーション
実際に不動産を取得した場合、不動産取得税はどのくらいかかり、どのくらい還付されるのでしょうか。
ここまで新築住宅と中古住宅の場合の還付について紹介してきましたが、実際にどの程度の不動産取得税がかかるのか、どの程度の還付が受けられるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
ここではモデルケースに沿って、新築住宅の場合と中古住宅の場合の不動産取得税のシミュレーションを紹介します。
新築住宅の場合
新築住宅の場合、納税なしになる場合があります。
モデルケースは住宅は取得価格2,200万円、固定資産評価額1,100万円、土地は面積180㎡、取得価格1,800万円、固定資産評価額1,300万円とします。
住宅は(1,100万円-1,200万円)×3%、土地は(1,300万円×1/2)×3%-軽減額216,000円となるため、軽減なしの場合に525,000円かかる税金が0円になります。
中古住宅の場合
中古住宅の場合、課税なしになる場合があります。
モデルケースは購入時期は2016年、新築年2006年、住宅は課税床面積80㎡、固定資産評価額1,000万円、土地は面積60㎡、固定資産評価額3,000万円とします。
住宅は控除額である1,200万円よりも低いため課税なし、土地は不動産取得税が45万円、控除額が120万円となりますが、控除額が税額を上回るため土地についても不動産取得税は課税されません。
不動産取得税の還付手続き
還付手続きは、不動産取得申請書の提出と不動産取得税減額申請書の提出が必要です。
都道府県によって多少の違いがありますが、一般的に不動産取得申告書と必要書類を管轄する管轄の市役所や町村役場もしくは都道府県税事務所へ提出し、その後送られてくる納税通知書にある金額を一度納入します。
納入した後で不動産取得税減額申請書と添付書類を提出すると、不動産取得税の還付を振り込みや指定金融機関で受けとることができます。
還付期限は?
不動産取得税の還付を受けるための還付期限は不動産取得日から60日以内となっています。
基本的に、不動産を取得した日から60日以内に申請する必要があります。また、申請先は不動産の所在地を管轄する都道府県税務署となります。
万が一60日を過ぎてしまった場合でも、過ぎた期間にもよりますが、税務署で相談することができます。また、60日以内に届くように郵送での還付申請をすることも可能です。
不動産取得税と還付手続きを理解しておこう
不動産取得税を理解し、必要なときに還付手続きが行えるようにしましょう。
不動産取得税は、60日の期限を守った上で不動産取得申告を行えば、減税措置を受けることで還付されます。また、ケースによっては不動産取得税課税額を0円にすることもできます。
現在は不動産を所持していなくても、いつ知識が必要になるかはわかりません。そのため、将来のためにも不動産取得税と還付手続きについてしっかり理解するようにしましょう。