【種類別】不動産担保価値の評価方法6つ|建物の評価方法の手順
2020 06.4この記事はPRを含みます
担保評価とは
担保評価とは、金融機関が融資を行う場合、融資額の決定に際して該当不動産の売却可能額を判断する評価のことです。
融資をするために金融機関が不動産物件の現在価値をつけます。債権を回収できなくなったときには、担保にした不動産を売却して、資金回収が滞りなくできる保証とするものです。
不動産はすぐに買い取り先が見つかるとはかぎらず、事務処理の経費もかさむので市場価格より低く計算されます。
第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
担保評価の重要性
担保の評価は、融資金額を左右する判断材料であり、評価額は融資金額に大きな影響を与えます。
担保は、金融機関が売却をするときにいくらになるかを見積もるため、実際の市場価格とは異なります。担保評価された額=融資額になりませんが、融資額を決定する大きな要素です。
不動産の担保評価内容は金融機関から開示されませんが、一般的なおおよその評価手順を知っていると、いざというときに安心です。
受けられる融資金額が変わる
担保評価は、融資額を決める判断材料の1つです。
不動産の担保評価は、地価や建設費、中古物件相場、賃料相場などを含めて算出されます。不動産は売却までの時間が長くなり、事務処理のコストがかかるため、市場価格よりも低く見られる場合が多いでしょう。
担保評価だけで融資額が決まるわけではなく、融資の申込人の様々な情報を考慮して最終的な金額が定まります。
担保評価と融資金額の関係性
担保評価と融資金額の関係性は、原則的に比例しています。
融資金額は、担保評価のみで決定するわけではなく、個人の属性が考慮されます。個人の属性とは、申込者の年齢、性別、職業、勤務年数などの多くの個人情報です。
最終的な融資金額は、個人の属性も加味されて決められます。つまり、個人の属性の評価が高いと信用度が増して融資額が担保評価以上に決定されることも少なくありません。
個人の属性
個人の属性とは、個人の信用を図るための物差しです。
個人の収入や支出の状態を分かりやすく把握する様々な観点の事柄が項目に入ります。例えば、職業、配偶者の有無、勤続年数、借金の有無などです。
融資をする上でのプラスとマイナスの項目をチェックして、個人の属性から信用を図ります。そのため、担保評価で足りない金額を個人の属性でまかなえるかが融資金額に関係してきます。
担保評価
担保評価は、不動産物件を売却した場合にいくらになるかを把握するため、融資金額の増減に影響を与えます。
希望金額に担保評価が足りないからといって全く検討の余地がないわけではありません。
不動産物件は金融機関の担当者が、物件の現地の状況や登記がなされているか、法律上の違反がないかなどを慎重に調査します。
種類別の不動産担保価値の評価方法6つ
不動産を種類別にわけて、担保価値を評価する方法を6つ紹介します。
今回ご紹介する土地の評価方法は、路線価や基準地価を調べてから、土地の評価額の算出方法を決めて、物件の基準地価をもとにして金額を割り出すという手順をとります。
建物の評価方法は、1㎡あたりの建築単価を調べて、建築価格を算出し、出てきた数値に現在価値割合を掛けて現在額を算出するという流れです。
別の方法もありますが、上記の流れで計算する方法を紹介します。
土地の評価方法手順
土地の評価方法の手順は3点あります。
路線価もしくは基準地価を調べる、土地の評価額の算出方法、物件の面積に路線価もしくは基準地価をかけるという順番です。現状の路線価格や基準地価を元に評価額の算出方法を決めて、実際の物件に当てはめて計算します。
おおよその金額は個人でも計算できるので、一度試してみてはいかがでしょうか。金融機関側の視点に立ってみると、見えなかったことに気が付けるかもしれません。
土地の評価方法手順1:路線価もしくは基準地価を調べる
土地の評価方法の手順の1つめは、路線価もしくは基準地価を調べることです。
路線価とは、相続税を決定するときに基準としている土地の価格です。国税庁が毎年発表し、その年の1月1日時点の土地評価額です。
基準地価とは、都道府県が国より細かい地点を調査して、現状に即した価格で公示している価格です。
土地の評価方法手順2:土地の評価額の算出方法
手順の2つめは、土地の評価額の算出方法を決めて価格を計算します。
土地の評価額には、積算法と収益還元法の2通りの計算方法があり、担保物件に合わせた計算方法を使います。積算法が一般的で、路線価を基準金額として、およそ80%で計算します。実際の取引額より少なく見積られることが多いでしょう。
金融機関は、債権が回収できるようリスクを最小限に抑え、売却できる金額を考慮しているからです。
土地の評価方法手順3:物件の面積に路線価もしくは基準地価をかける
手順の3つめは、物件の面積に路線価もしくは基準地価をかけて金額を算出します。
一般的には路線価を使うことが多く、路線価×土地の面積(㎡)=土地の担保評価としています。単純に金額だけを元に出している数値です。
土地の場所によって評価額を上げることがあります。担保物件は金融機関側にとって資産に変わる可能性があるので、需要のある地域は資産価値を多く見積もることができるからです。
路線価方式による評価 路線価方式では、評価対象地が接する路線の路線価に、必要な画地調整率(評価対象地の形状等(奥行距離、不整形の度合い、角地など)に基づき、価額を補正する率)及び地積を乗じて評価額を算出します。路線価は、土地の価額がおおむね同一と認められる一連の土地が面している路線ごとに評価した1平方メートル当たりの価額です。
建物の評価方法手順
建物の評価方法の手順のポイントは3つあります。
手順としては、1㎡あたりの建築単価を調べる、建築価格を算出する、算出された建築価格に現在価値割合をかけるという流れです。
建物は新築時と年数が経た時点では価値に違いが生じるので、同じ構造の建物を現在建てるとしたらいくらかかるのかを計算し、耐用年数から経過年数を差し引いて金額を割り出します。建築単価に決まりはないので、金融機関独自で計算することが多いです。
建物の評価方法手順4:1㎡あたりの建築単価を調べる
手順の4つめは、1㎡あたりの建築単価を調べることです。
技術の進歩や人件費、材料費などで建築物の現状単価を調べなければなりません。
再調達価格として建築物の構造によって目安の金額があります。木造・軽量鉄骨造は14万円/㎡、鉄筋コンクリート造は18万円/㎡、鉄骨・鉄筋コンクリート造りは20万円/㎡です。
上記の金額は銀行によって若干の差が出てくるので注意が必要です。
自分で計算する場合には、一般的な目安金額をもとに計算をするとよいでしょう。
建物の評価方法手順5:建築価格を算出する
手順の5つめは、建築価格を算出することです。
建築価格は、1㎡あたりの単価×建物の面積(㎡)で算出できます。
建物の場合は、建築からの年数を差し引く必要があり、計算された金額は時価といいます。
耐用年数は、木造・軽量鉄骨造は20年、鉄骨造は25年、鉄骨・鉄筋コンクリート造は40年です。法定の耐用年数は決まっていますが、計算のもとにする額は金融機関によって異なる場合があります。
建物の評価方法手順6:算出された建築価格に現在価値割合をかける
手順の6つめとして、算出された建築価格に現在の価値割合をかけます。
現在の価値割合は、法定耐用年数から建築後の経過年数をひいて、現在の価値を導き出します。
最終的に、1㎡あたりの単価×建物の面積(㎡)×残存年数(=法定耐用年数-経過年数)÷法定耐用年数で、計算することができます。
土地と建物の担保であれば、両方の金額を合計して積算価格になります。
担保評価のポイント2つ
担保評価のポイントは2つあり、「掛目」と「現地調査と資料の差異を確認」することです。
掛目は、金融機関が融資を行う際に担保に一定の数値を掛けて金額を算出する率のことです。
現地調査と資料の差異とは、実際に現地に行って確認したこと(騒音、悪臭、日照など)が資料から判断できるかを確認することです。調査と提出された資料の差異も担保評価に影響を与えます。
担保評価のポイント1:掛目を考慮
ポイントの1つめは、掛目を考慮することです。
掛目は、金融機関が独自で設定している数値で、融資の安全性を確保するために使っています。各金融機関内で、担保物権を不適切に評価しないようにすることが目的です。
掛目は担保によって率が異なります。例えば、預金であれば100%、不動産であれば70%などです。担保評価額よりさらに低い額で判断されることを覚えておくとよいでしょう。
(不動産担保)土地 評価額の 70%建物 評価額の 70%
担保評価のポイント2:現地調査と資料との差異を確認する
2つめは、現地調査と資料との差異を確認することです。
現地調査をして始めて分かることがあります。例えば、日照や騒音、悪臭や測量の可否、登記しなければいけない大きさの造作物の有無などです。
資料に適正に記載されているかどうかは信用度を図るうえにおいても重要です。とくにマイナスになる項目を意図的に記載していない場合は、信用の問題につながることは間違いないでしょう。
担保評価においての注意点2つ
担保評価においての注意点が2つあげられます。
1つめは、流動性の低い土地の評価です。活用の可能性が低い土地は広くても担保価値が低くなる可能性があります。実際に売却ができないような場所では、土地の面積が広くても思ったより担保価値が低くなることがあるでしょう。
2つめは、建物の評価は売却価格相場も加味されることです。建物は経過年数によって価値が下がるので、売却価格相場の変動も重要な点です。
担保評価においての注意点1:流動性の低い土地での評価
注意点の1つめは、流動性の低い土地での評価は、多様な側面が考慮されます。
流動性が低いとはどのようなことでしょうか。交通の便が悪く人の行き来が少ないという物理的なことだけでなく、不動産取引に関わる人が多いかどうかも影響があります。土地の路線価や基準地価の数値のみではなく、個別のニーズが評価に影響します。
担保評価は相対性が高いですが、流動性の高低で評価に差が出てくる可能性は否めません。
担保評価においての注意点2:建物の評価は売却価格相場も加味される
注意点の2つめは、建物の評価は売却価格相場も加味されることです。
建物は経過年数によって価値が下がっていくことが確実な資産ですが、リフォームを行うと中古物件の価値が付加されます。購入してリフォームを行う予定の場合は、リフォーム代金が担保評価として加味されることがあります。
建物の内部の状態によって売却価格に変動があるため、今後の売却価格相場が担保評価に入ってくるのでしょう。
不動産の担保評価方法を学ぼう
不動産の担保評価方法は、知識の1つとして学んでおくと安心です。
不動産の担保評価方法は、不動産業に関わっている方だけでなく、不動産を所有している方やこれから不動産を取得しようとしている方は、財産管理方法の一部として知っておくとよいでしょう。
担保評価は不動産の価値を判断する方法の1つです。金融機関内のルールはわかりませんが、計算方法があるということを知っておいて損はないでしょう。