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定期借家契約の特徴5つ|メリットデメリット注意点も併せてご紹介!

2020 06.4この記事はPRを含みます

定期借家契約とは

定期借家契約は、平成12年3月に施行された借家の契約形態で、契約更新のない借家契約になります。定期借家契約で定めた期間が満了すると、契約は完全に終了します。

アパートやマンションなどの賃貸契約では、2年ごとに更新が必要になったり、更新の際は「更新料」が発生したりするのが当たり前と認識している人も多いことでしょう。

定期借家契約は、従来の賃貸契約とは扱いが異なるので、きちんと認識しておく必要があります。

契約の更新がない契約で、契約期間が終了した時点で確定的に契約が終了し、確実に明け渡しを受けることができます。なお、契約期間は自由に定めることができます。

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定期借家契約が生まれた背景

定期借家契約が施行される前の賃貸借契約では、正当な事由がないと貸主は更新拒絶をできませんでした。

「正当な事由」の定義も厳しく、貸主が自分で使いたい状態にあるときも「正当な事由」と認められない場合があったため、賃貸借契約を結んでしまうと、賃貸借している家を貸主が再度使うことが難しいという状態でした。

こうした状況を背景に、貸主・借主双方の利便を図る目的で、定期借家契約という制度が設けられたのです。

定期借家契約の特徴5つ

定期借家契約は、従来の賃貸借契約(普通借家契約)と比べ、明らかに異なる特徴が5つあります。従来の賃貸借契約と同等だと思い込んで契約すると、突然住むところを失う目にあってしまう可能性もあります。

定期借家契約の特徴を理解し、従来通りの賃貸借契約なのか、それとも定期借家契約にあたるのかを把握したうえで、契約書にサインをしましょう。ここでは、定期借家契約の5つの特徴を紹介します。

定期借家契約の特徴1:更新の有無

定期借家契約のもっとも顕著な特徴が「更新がない」ということです。従来の賃貸借契約では、契約期間満了前には更新の意思確認をし、借主都合で契約が更新されます。

定期借家契約の場合は、「定期」として定められている期間が満了することで契約が終了します。契約の更新は制度上否定されるので、住み続けるためには再度契約の締結が必要です。また、契約期間満了前の一定期間内に、貸主から借主への満了通知が必要になります。

定期借家契約の特徴2:契約方法

定期借家契約は、「公正証書等の書面で契約をする」ことが必須です。「公正証書等」とあるように、「公正証書」である必要はなくほかの書類でも締結できます。

不動産会社と取引する場合は、不動産会社提示の形式で契約を結べば問題ないでしょう。定期借家契約に不慣れな相手との取引の場合は、公証役場で公正証書を作成してもらうことをおすすめします。公正証書であれば、確実に定期借家契約の要件を満たせます。

定期借家契約の特徴3:契約期間

定期借家契約は、契約名にもあるとおり「定期の契約」であることが要件です。「借主が死ぬまで」「大学を卒業するまで」といったような「いつか期限は到来するものの、それが明確になっていない」という不確定期限を条件にすることができません。

契約期間内の借主の立場を守りますが、契約期間を経過すれば、貸主のもとに借家が確実に戻ることを目的として定められている契約なので、契約期間を明確にすることは命題といえます。

定期借家契約の特徴4:中途解約

定期借家契約は、定められた契約期間中の中途解約は、貸主からも借主からも行えません。契約期間中の貸主・借主双方の立場を守るという目的があるため、それぞれの立場が不安定になる中途解約を許可していません。

契約対象が一定の基準を満たす居住用建物の場合、「やむを得ない理由」と認められる事情があれば、中途解約の申し入れが認められることもあります。原則として中途解約は不可と認識しておいた方が安全です。

定期借家契約の特徴5:契約終了時

定期借家契約の場合は、契約期間が終了すれば契約も終了します。契約更新がないので、借主は物権を返却しなければなりません。

契約終了は契約期間終了とともに到来しますが、期間満了前の一定期間内に、貸主から借主に満了通知が必要になります。期間満了通知を満了日のどのくらい前に通知しなければならないかは、契約期間の長さにもよりますが、6か月前から1年前には通知する必要があります。

定期借家契約のメリット3つ

定期借家契約の特徴について紹介しましたが、これらは従来の賃貸借契約と比較すると、制度のメリットが明確になります。

定期借家契約は、貸主・借主双方の権利を守ることができるように考えられた制度です。これは、普通借家契約では解決しづらかった問題がクリアされるように考慮されているので、賃貸借契約に問題を抱えていた人にはメリットの高い契約となっています。

ここでは定期借家契約がメリットとなるポイントをいくつか紹介します。

定期借家契約のメリット1:家賃が安い

定期借家契約では、貸主側の都合で契約期間が決められているものが多く、借主側からすると期間満了後の更新ができないため、引っ越しをほぼ確実に行わなければなりません。

そういった理由から、借主側が敬遠する向きもあり、需要と供給のバランスをとるために低い家賃で提供されることになります。

しかし、定期借家契約であることを隠し、安さのみを前面に出して借主を募る手法もあります。納得して契約するためにも、定期借家契約なのかを確認して検討しましょう。

定期借家契約のメリット2:契約期間は自由

定期借家契約の契約期間は、通常貸主側がどのくらいの期間を設定するか自由に決定することができます。

海外赴任などで、住めない期間だけを定期借家契約で賃貸することで、赴任期間が満了して再度住居として使用する際は、借主に居座られることなく明け渡してもらえます。

ただし、海外赴任の当初より短くなった場合でも、中途解約は難しいので、期間については注意して検討する必要があります。

定期借家契約のメリット3:迷惑行為をする人が長居する可能性が低い

定期借家契約では、契約期間が満了すれば、確実に借主から物件を返却してもらえます。これは賃貸借契約において、借主の強制退去が難しかった従来のシステムよりも、貸主の負担を軽減できる大きなメリットといえます。

従来の賃貸借契約では、貸主側が更新を拒むことが難しかったため、建物を建て替えたかったり、自己使用に切り替えたかったりしても、借主に立ち退いてもらうのが大変でした。

定期借家契約のデメリット2つ

定期借家契約では従来の賃貸借契約のデメリットを解消するという観点で構成要件を考えられていますが、もちろん定期借家契約ならではのデメリットも存在しています。

定期借家契約の抱えるデメリットは、メリットと表裏一体となっている部分もあるので、両方を理解したうえ、最大限にメリットを受けられるような契約内容を設定できるようにしましょう。

ここでは、定期借家契約の抱えるデメリットを2つ紹介します。

定期借家契約のデメリット1:途中解約は自由にできない

定期借家契約の「途中契約ができない」という特徴は、従来の問題点を踏まえて設定されているものの、デメリットとなる場合もあります。

途中契約ができないことで、契約期間中の貸主・借主としての権利は安定します。契約期間満了の際は契約がすっきりと完了するので、借主が立ち退かないという問題も発生しません。

しかし、中途解約ができないため、契約時に予期していなかった事象が発生しても、解約できないことになります。

定期借家契約のデメリット2:再契約は基本的にできない

定期借家契約では、契約期間満了後の更新はなく、再契約も難しいということがデメリットになる場合もあります。貸主・借主ともに、契約期間中の状況の変化は十分考えられ、それでも再契約ができないということが足かせとなる場合もあります。

定期借家契約では、書面で契約を交わす必要があるので、契約時には契約内容を細かく確認しましょう。契約書には契約期間や途中解約の条件、再契約が可能かなども記載されています。

定期借家契約に向いている人

定期借家契約のメリット・デメリットそれぞれを紹介しましたが、享受できるメリットの方がデメリットよりも多いと感じられる人は、定期借家契約による賃貸借が向いている人といえます。

転勤などで、決められた期間自宅に住めないことが確実な場合などは、赴任期間より少し短めの定期借家契約を結んでおけば、自宅を空き家にすることなく、家賃収入も得られ、赴任先から戻る時期には確実に明け渡してもらえます。

定期借家契約時の注意点

ここまで紹介してきたとおり、定期借家契約はメリットもデメリットもあるため、契約締結の際は自分にとってのデメリットが最小限に抑えられるよう、注意が必要です。

定期借家契約のデメリットは、どちらかといえば借主側が受けることが多いので、「物件が相場に対し安いから」という理由で賃貸契約を結ぼうとしている場合は、再度自分にデメリットが降りかからないか確認したうえで締結しましょう。

注意点:いずれは退去することが前提

定期借家契約は、原則として更新がない契約なので、契約期間満了がそのまま退去を意味します。契約期間は、一般的な賃貸借契約よりも長い場合がありますが、いずれ期間満了の日が来ることを忘れてはいけません。

契約期間満了が近づいたときに、猶予がないことにあせりを感じないためにも、定期借家契約で建物を借りている場合は、契約満了日までを計画的に過ごす必要があります。

注意点:契約期間満了後は法的に不利になる

定期借家契約の期間満了にもかかわらず、退去しないことは認められず、裁判に移行した場合は圧倒的に貸主が有利になります。

従来の賃貸借契約の場合は、貸主からの退去要請に対して、猶予期間が設けられたり、立退料が発生したりすることもありますが、定期借家契約は初めから期間満了とともに立ち退くことが前提になっています。

契約期間が満了した後の借主は、建物の借主として法的に守られることがなくなります。

注意点:家賃滞納は退去の理由になる

定期借家契約は、原則として中途解約ができませんが、中途解約できないことを逆手にとって家賃を滞納すると、退去を余儀なくされる可能性があります。

契約期間が残っていても、家賃滞納は契約違反にあたります。期間保証が得られない可能性が高く、契約が解除されれば、不法占拠の扱いになってしまいます。

ただし、家賃滞納が必ず契約解除となるわけではありません。特別な事情がある場合などは、催告を受ける前に貸主に交渉してみましょう。

意外とメリットが多い定期借家契約

定期借家契約を締結するためには、明確な要件が存在し、厳しい契約のようにも感じられますが、契約者の権利を守るために考えられている制度なので、享受できるメリットもといえます。

きちんとメリットを享受できるように、定期借家契約の特徴を把握し、賃貸借契約を結ぶ際に活かせるようにしておきましょう。

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