立ち退き拒否とは?立ち退き拒否を防ぐ方法5つと交渉の注意点3つ
2020 06.4この記事はPRを含みます
立ち退き拒否とは?
年金問題や、政治への不信感などによって、副業などで所得を増やそうとする人は増えています。副業にはいろいろな種類がありますが、不動産投資で賃貸物件を取り扱うこともその1つです。
賃貸物件を取り扱う際には、借主がいなければ収入を得ることはできません。しかし、状況によっては逆に借主に対して立ち退きを交渉しなければならないこともあります。
ところが、借主から立ち退きを拒否されてしまうことがあります。
立ち退きを拒否する原因4つ
賃貸物件を取り扱う際、状況によっては借主に対して「立ち退きの交渉」をしなければならない場合があります。
貸主も理由があって、借主に立ち退きを交渉しているのですが、それでも相手が拒否する場合は、無理に立ち退きをしてもらうことができません。
このような状況に陥ってしまう場合は、借主から立ち退きを拒否されてしまう何らかの原因があると考えられます。
以下に、考えられる原因4つについて詳しく見て行きましょう。
立ち退きを拒否する原因1:突然の立ち退き通告
急な立ち退きの要求は、立ち退き拒否をされてしまう大きな原因となります。急に立ち退きを要求されてしまうと、借主が引っ越しや通勤環境など生活が対応できないことがあるからです。
また、借地借家法でも、借主に対して半年から1年前には、次回の契約を更新しないことを事前通知しておく必要があります。
法的にトラブルなく立ち退きをしてもらうためには、立ち退きを要求できるような正当な理由があることが大前提です。
立ち退きを拒否する原因2:大家の身勝手な理由
上記で述べた通り、大家(貸主)が借主に対して立ち退きをお願いするためには、事前に通知が必要となります。しかし、事前に通知をしていても、正当な理由なしには立ち退きを要求することはできません。
そのため、「その物件を他の人に貸したいから」などの、大家側の身勝手な理由で借主に立ち退きさせることはできないので、立ち退きを拒否されてしまいます。
立ち退きを拒否する原因3:立ち退き料の支払いがない
必ず必要というわけではありませんが、借主が大家から立ち退きを要求されたときには、立ち退き料を要求されることもあります。
大家が立ち退きを求める際は借主との直接交渉になるため、立ち退き料も交渉材料の1つであり、その内容に納得ができなければ、立ち退きを拒否されてしまうことがあります。
ちなみに、この立ち退き料の交渉は弁護士でないと行うことができません。
立ち退きを拒否する原因4:物件が気に入っている
どのような条件を提示して交渉しても、借主がその物件を気に入っていれば立ち退きを拒否されてしまうこともあります。このような場合は、粘り強く交渉を続けることになります。
もし、大家側に正当な理由があり、どうしても立ち退いてもらわなければいけないというケースで拒否された場合は、裁判を通して立ち退きを要求することもあります。
ただし、裁判をすれば必ず立ち退いてもらえるというわけでもありません。
立ち退きを要求できる条件4つ
先に述べた通り、大家が借主に対して立ち退きを要求するためには正当な理由が必要です。
正当な理由にはいろいろなケースがあり、大家はその正当な理由をきちんと説明をし、立ち退きを拒否されないように交渉をする必要があります。
以下に、立ち退きを要求できる条件を4つ挙げて行きます。
立ち退きを要求できる条件1:正当な事由がある
借主に立ち退きを要求するためには、正当な理由が必要となります。
たとえば正当な理由には、「大家が貸し出している物件を他の用途で使う必要が出た」、「都市の再開発事業で立ち退きの必要が出た」場合などがあります。
ただし、いくら正当な理由であっても、これだけでは立ち退きを拒否されてしまうことも多く、たいていは立ち退き料の額で交渉する余地が必要になってきます。
立ち退きを要求できる条件2:建物の老朽化によるリフォーム
上記で述べた理由以外にも、立ち退きを要求するための正当な理由として認められるケースはいくつもあります。
立ち退きをしてもらわなければいけない理由でよくあるのは、「建物の老朽化」です。建物が古くなってくると、大規模な修繕が必要になったり、補強工事が必要になったりすることもあります。
「建物の老朽化」は借主の身の安全を守るために必要なことでもあるので、立ち退きの正当な理由として認められます。
立ち退きを要求できる条件3:経済状況の悪化による売却
物件の貸し出しは、必ず儲けが出るというわけではなく、時間と共に経済状況が悪化してしまい、賃貸物件を売却しなければならないという状況に陥ってしまうこともあります。
賃貸物件の取り扱いには、修繕費や空家リスク、家賃滞納、物件購入時のローン返済など、多額の費用が必要となるからです。
大家が賃貸物件を維持していくことが難しい状況と判断されるため、立ち退きを要求する正当な理由となります。
立ち退きを要求できる条件4:入居者の滞納
家賃滞納も立ち退きの正当な理由となりますが、滞納してすぐに強制的に立ち退きさせるということはできません。
まず、家賃の滞納があれば、電話や督促状などで借主に通知を行う必要があります。
もし、これらを無視して、家賃の滞納が3ヶ月を超えた場合、貸主側には契約の解除や、法的措置を行うなどの権利が発生してしまう場合もあります。
しかし、個人で強制退去などをさせることはできないため、まずは弁護士に相談することになります。
立ち退き拒否の注意点3つ
前述のとおり、正当な理由があれば借主に立ち退きの要求をすることはできます。
しかし、あくまでも「要求ができる」というだけであり、借主から立ち退きを拒否されてしまうこともあり、その場合は交渉が必要です。
立ち退きをお願いする場合は、貸主よりも借主の方が立場が強くなってしまうことが多く、場合によってはトラブルに発展することもあります。
そのため、立ち退きのお願いは慎重に、注意深く進める必要があります。
立ち退き拒否の注意点1:計画的に行う
先に述べた通り、急に立ち退きをすると、借主から拒否されてしまう危険性があります。
借主に立ち退きをお願いする場合は、最低でも半年から1年前には伝えておく必要があります。
また、建物の建て替えや取り壊しなどが理由の場合、立ち退きの計画は2年から3年前に立てることが望ましいと言えます。
その場合は、立ち退きの計画だけでなく、その理由に合わせた全体の計画を事前に先に立てるようにしましょう。
立ち退き拒否の注意点2:立ち退き料の相場を調べる
立ち退き料は、借主にとって立ち退きを拒否するかどうかの大きな判断材料となるため、先に相場を調べておきます。
借主に立ち退きをお願いする場合には、スムーズに交渉が進められるように、事前に交渉材料を揃えておきましょう。
交渉材料には、「立ち退きまでの期間や理由」などがあり、「立ち退き料」もその1つに含まれます。提示する立ち退き料の金額についてしっかり説明できるようにしておきましょう。
立ち退き拒否の注意点3:口約束ではなく書面でやり取りする
立ち退きの条件については、書面でキッチリと交渉内容をまとめて確定させておきましょう。
立ち退きの交渉がまとまっても、書面でなく口約束で済ませてしまうと、いざ立ち退きの時期になって「やっぱり立ち退きはできない」、「もう少し立ち退き料が欲しい」などと借主から言われてしまう可能性があります。
無用なトラブルを避けるために、事前に対策を講じておきましょう。
立ち退き拒否を念頭に入れた早めの事業計画が必要
大家が借主に立ち退きを要求するという場合は、それなりの理由があります。
その際に、「立ち退き料」や「弁護士費用」、「建物のリフォーム」、「建て直し・取り壊し」など、大きな費用が発生することも多いでしょう。
立ち退きをお願いしなければならないのであれば、費用や拒否などに備えて、早めに事業計画の全体を立ててしまいましょう。
スムーズな立ち退き交渉には、事前準備が肝心です。