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新耐震基準とは|新耐震基準適合建築のメリット6つと注意点3つ

2020 06.29この記事はPRを含みます

新耐震基準とは

「新耐震基準(しんたいしんきじゅん)」とは、1981年6月1日以降に新たに施工された、建築物の耐震基準です。

「新」という言葉で分かるように、新耐震基準が制定された1981年6月以前にも耐震基準はあり、そちらは「旧耐震基準」と呼ばれています。

物件情報を見る際、「新耐震」や「旧耐震」と書いてあった場合、それはこの新耐震基準や旧耐震基準のことでしょう。新耐震と記載されていれば、新耐震基準を満たした建物です。

建築:住宅・建築物の耐震化について|国土交通省

新耐震基準と旧耐震基準の違い

新耐震基準と旧耐震基準の違いは、その「耐震性」にあります。もともと旧耐震基準は、1924年の「関東大震災」という関東地方を襲った大地震後に制定されています。

それから長い年月が経ち、その合間にも1964年の新潟地震、1968年の十勝沖地震や1978年の宮城県沖地震など、多くの地震の発生と地震に耐えうる建築技術の進歩を受け、1981年6月に大幅な改正がされることになりました。

2000年にも改正されている耐震基準

大きな地震が発生し、建物の強度を見直しながら決められた新耐震基準ですが、そこで終わりというわけではなく、1981年以降も必要に応じて改正を繰り返しています。

なかでも2000年に行われた改正は、日本に多い木造住宅に目を向けたものでした。

この基準では建物の地盤を調査し、その地盤に合った基礎形状にすることや、柱頭や筋交いの接合方法を明確に決めることなどの、耐震性を引き上げる改正がされています。

木造住宅の耐震性について|林野庁‐農林水産省

新耐震基準か確認する方法

物件が新耐震基準に則った建物であるかは、「建築確認済証」の発行日で確認が可能です。発行日が、新耐震基準が施行された1981年(昭和56年)6月1日以降であるかを確認しましょう。

また、建築確認済証は売主が管理していることが多いですが、売主が建築確認済証を紛失しているような場合は、基本的に再発行はできません。

しかし、建築確認済証の内容が記録されている、確認台帳記載事項証明書を発行してもらえる可能性があります。発行できるかどうかは自治体によって異なるため、確認してみましょう。

新耐震基準適合建築のメリット6つ

日本は地震が多く、大地震の発生回数も多いと言われています。

そのため、少しでも地震の被害を抑えるために、新たな耐震基準の改正がなされているのは前述のとおりですが、この「新耐震基準」を満たした建築物については、いくつかのメリットがあります。

ここからは、新耐震基準に適合している建築の主な6つのメリットをご紹介して行きます。それぞれのメリットを理解し、住宅購入や建設の際の参考にしてはいかがでしょうか。

メリット1:住宅ローン減税

1つ目の新耐震基準に適合している建築のメリットは、住宅ローンの減税が受けられる可能性があることです。ただし、木造とマンションそれぞれに築年数による制限が定められているため、注意が必要です。

また、定められた以上の築年数でも「耐震基準適合証明書」を取得し、いくつかの条件を満たせば住宅ローン減税を受けることが可能です。

「耐震基準適合証明書」とは、その建物が新耐震基準を満たしていることを証明する書類です。

住宅ローン控除を受ける方へ|国税庁

メリット2:登録免許税軽減

2つ目の新耐震基準に適合している建築のメリットは、以下に挙げる条件を満たしていれば「所有権移転登記の登録免許税の軽減」を受けられることです。

その条件とは、自分が居住するために購入した物件であること、築年数が木造20年・マンションなら25年以内、床面積50㎡以上であることなどです。

この築年数を超える物件であった場合でも、「耐震基準適合証明書」があれば所有権移転登記の登録免許税の軽減メリットを活用できるかもしれません。

No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

メリット3:不動産取得税軽減

3つ目の新耐震基準に適合している建築のメリットは、中古住宅であっても新耐震基準に適合し、床面積の条件を満たした物件なら、不動産取得税の軽減が受けられる場合があることです。

新耐震基準を満たさない中古物件でも、耐震工事をして要件を満たせば不動産取得税の軽減を受けられます。

ただし、不動産取得税がどの程度軽減されるかはそれぞれの都道府県によって違いますので注意してください。

メリット4:固定資産税軽減

4つ目の新耐震基準に適合している建築のメリットは、現在基準を満たしていない住宅でも、新耐震基準を満たすように耐震改修工事を行えば、1年間に限り「固定資産税」が軽減されることです。

ただし、この軽減を受けるためには物件の建築時期や費用、新耐震基準を満たしているかどうかなどの条件があるため、事前に確認をしましょう。

また、「増改築等工事証明書」や「住宅耐震改修証明書」などの書類の提出が必要です。

耐震改修促進税制|国土交通省

メリット5:すまい給付金

「すまい給付金」は2019年の消費税引き上げの影響を、軽減するために導入された給付金です。この給付金は、新築住宅と新耐震基準などの条件を満たした中古住宅を取得した際に申請できます。

すまい給付金を受けるためには床面積50㎡以上、新築なら第三者による現場検査を受けている必要があります。

中古の場合は、売主が宅地建物取引業者で新耐震基準に適合していること、売買時に第三者の検査を受けていることなどが条件です。

すまい給付金とは|すまい給付金

メリット6:地震保険の耐震診断割引

地震保険に加入したときも、新耐震基準に適合した物件であれば割引を受けられる可能性があります。

耐震等級割引では、国土交通省が定める耐震等級を有していた場合に、地震保険の保険料が10%~50%程割引される場合もあるでしょう。

旧耐震基準では、基本的にこれらの割引はありません。逆に、新耐震基準よりさらに厳しい耐震基準と言われている免震構造の建物で「免震建築物割引」を受けた場合も割引される可能性があります。

地震保険|日本損害保険協会

新耐震基準についての注意点3つ

ここからは、新耐震基準で気をつけるべき注意点がありますので、そちらも押さえておきましょう。

気をつけるべき注意点とは、新耐震基準に適合しているかどうかの判断で建築確認を受けた日がポイントであるということ、そして新耐震基準だけでなく耐震等級もあるということ、インスペクションを頼むとよいというポイントの3つです。

以下に、それぞれのポイントについて詳しく解説していきますので、メリットと注意点の双方を理解しておきましょう。

注意点1:建築確認を受けた日がポイント

新耐震基準かどうかを判断する際は、建築確認を受けた日である「建築済確認証」の日付を確認しましょう。

新耐震基準の施行開始日が1981年6月1日なので、それ以降に建った建物なら新耐震基準だ、と考えるのは誤りです。

例えば建築に時間のかかるマンションなどは、建設が完了したのが1981年以降であっても、建築基準が「旧耐震」の場合があるので注意が必要です。

注意点2:耐震等級のチェックも忘れずに

建築物には、耐震性能を知るための基準として「耐震等級」というものがあります。

新耐震基準は、ある意味最低限の耐震性能となっているため、それ以上の耐震性能を知るためには、国土交通省の「住宅性能表示制度」の耐震等級を知ることが重要です。

新耐震基準を満たしているから安心だ、と物件を購入してしまうのではなく、その物件の耐震等級についてもチェックしてみましょう。

新築住宅の 住宅性能表示制度 住宅性能表示制度ガイド|国土交通省住宅局住宅生産課

注意点3:インスペクションを頼むと心強い

住宅やマンションを購入する際には、新耐震基準や耐震等級だけでなく、物件自体についてよく知るために「インスペクション」を依頼すると心強いでしょう。

インスペクション(inspection)は、検査・調査・点検を意味する言葉です。

マンションなどの大きな不動産を購入する際は、慎重に判断する必要があります。耐震診断とはまた別に、建物全体のチェックとしてインスペクションを頼んでおくと安心でしょう。

新耐震基準適合なら耐震基準適合証明書が発行される

ここからは、新耐震基準に適合している場合に発行される「耐震基準適合証明書」について詳しく紹介していきます。

新耐震基準に対するメリットを受けるためには、「耐震基準適合証明書」を発行してもらう必要があるケースがいくつかあります。

とくに、新耐震基準をもともと満たしていなかった建物が耐震改修工事をしたような場合や、築年数の条件をクリアしようとした場合に要求される証明書となっています。

耐震基準適合証明書について|一般財団法人日本耐震診断協会

耐震基準適合証明書とは

「耐震基準適合証明書」というのは、現行の耐震基準である新耐震基準に適合した建築物である、ということを証明するための書類です。

耐震基準適合証明書を発行してもらうには、建築物の耐震診断を受ける必要があります。予備調査・一次調査・二次調査を経て最終的に現行の耐震基準に適合していると判断された場合、耐震基準適合証明書が発行されます。

耐震補強工事を行った後に発行することも可能です。

耐震基準適合証明書の申請先

耐震基準適合証明書の申請ができるのは、建築士事務所の建築士や指定性能評価機関などです。

耐震基準適合証明書の申請をすれば耐震診断を受けることになり、上部構造評点が1.0以上であれば耐震基準適合証明書を発行してもらえます。

評点が1.0以下であった場合には建築物の耐震補強工事を行い、その後に改めて申請する必要があるでしょう。

耐震基準適合証明書の発行までには、3か月以上かかる可能性があるため早めに依頼しましょう。

耐震基準適合証明書に必要な書類

耐震基準適合証明書の発行に必要な書類は、検査済証の写しまたは台帳記載事項証明書、販売図面か間取り図、建物登記事項証明書の写し、物件状況等報告書などがあります。

これらの耐震基準適合証明書の必要書類は、賃貸マンションでも戸建てでも変わりませんので準備しておきましょう。

なお、検査済証については、2000年以前には発行されていないケースがあります。その場合は、台帳記載事項証明書で代用できます。

耐震基準適合証明書にかかる費用

耐震基準適合証明書にかかる費用のうち、建築物の耐震診断には約15万円~20万円、耐震基準適合証明書の発行については約2万円~5万円程度の費用がかかるでしょう。

耐震基準適合証明書を取得するには耐震診断を受ける必要があるので、どうしても費用がそれなりにかかってしまいます。

新耐震か旧耐震か、マンションか戸建てかなどの条件によってもかかる費用は変わりますし、依頼する業者によっても違うので確認しましょう。

新耐震基準をきちんと理解しよう

今回の記事では、新耐震基準についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

地震の多い日本では、マンションや住宅を購入する際に耐震基準を満たしているかが大きな判断材料となるでしょう。

新耐震基準は常に改正されてきたこと、旧耐震基準の建物でも耐震基準を満たす方法があること、新耐震基準の建築物かどうかの確認方法などを理解して、確実な不動産取引を行いましょう。

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