加給年金とは?支給条件とは?|加給年金について正しく理解しましょう
2020 10.21この記事はPRを含みます
加給年金とは
加給年金とは、厚生年金保険に加入している被保険者が一定の条件を満たし、年金受給開始年齢に達したときに、その者と生計を維持している配偶者または子どもに加算される年金のことです。
厚生年金保険に加入していても配偶者や子どもが貰えるとは限らず、いくつかの条件に合致した場合のみ対象となります。加給年金とは通常もらえる年金に対し、一定条件を満たすと上乗せし、もらえる年金で厚生年金保険のみにある制度です。
加給年金制度の仕組み
加給年金制度とは厚生年金保険加入者が年金受給可能となったときに、生計が一緒の配偶者や子どもがいれば上乗せしてもらえる年金のことです。
いわゆる家族手当的な意味をもつ加給年金制度ですが、加給年金を受給するには厚生年金保険の被保険者期間が一定期間を超えていることや、厚生年金受給開始時点で配偶者の年齢が何歳か、子どもが何歳かと条件があります。
また、受給可能額も家族構成や受給権者の年齢によって変わります。
加給年金の支給条件3つ
加給年金は誰もが貰えるというものではなく、支給条件を3つ満たさなければ支給されません。ここでは加給年金の支給条件3つをご紹介します。加給年金が自分に該当するか気になるという方は、自分や配偶者や子どもが以下の条件に該当しないかをよく確認してみましょう。
加給年金支給の条件1:65歳になった時点で生計を維持している配偶者か子どもがいる
加給年金支給の条件に、65歳になった時点で生計を維持している配偶者か子どもがいるというものがあります。
加給年金は、厚生年金被保険者が65歳に到達し(または老齢厚生年金支給開始年齢に達し)、そのときに生計を維持する65歳未満の配偶者または18歳になる年度末日までの子どもがいることが条件のひとつとなっています。
加給年金支給の条件2:配偶または子どもの年収が850万円未満
加給年金支給の条件に、配偶者または子どもの前年度の年収が850万円未満(または所得が650万5千円未満)である必要があります。
加給年金は厚生年金被保険者本人に支給される年金ではなく、その配偶者または子どもに支給される年金のため、対象となる配偶者や子どもの年間の所得が一定の金額を超えた場合は、厚生年金被保険者が生計を維持しているとはいえなくなり、受給対象ではなくなります。
配偶者の年齢制限
加給年金支給条件に、厚生年金被保険者の配偶者の年齢は65歳未満であること、という年齢制限が設けられています。ただし、配偶者が大正15年4月1日以前に生まれたという場合は、65歳未満という配偶者に関する年齢制限は発生しません。
もし、被保険者が65歳に到達したときに配偶者が65歳未満だったという場合は、その後配偶者が65歳に到達し、その他の条件をクリアした場合には、加給年金の支給対象となります。
子どもの年齢制限
加給年金支給条件に、厚生年金被保険者の子どもの年齢は18歳未満までという年齢制限が設けられています。
ただし、対象となる子どもが障害等級一級または二級の障害を持つ場合は、年齢制限は20歳まで繰り上げられます。
加給年金の対象となる子どもは何人いたとしても、条件さえ満たしていれば受給できます。また、子どもの数に応じ、加給年金の支給額は増加していきます。
加給年金支給の条件3:厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある
加給年金支給の条件に、厚生年金保険被保険者の加入期間が20年以上であることがあります。
ただし、例外として、旧厚生年金法から現法への移行期間に設けられた「中高齢の資格期間短縮の特例」対象となっている場合は厚生年金保険被保険者の加入期間が15年~19年の場合も、加給年金を受給できるとされています。
この場合の被保険者期間は、共済年金の被保険者期間について対象期間に合算されなくなります。
加給年金の額
加給年金が支給される条件を満たした場合に加給年金が支給されることになりますが、加給年金の支給金額は対象者により金額が変わってきます。
また、配偶者の加給年金額は厚生年金を受給者の生年月日によっても変わります。ここでは、加給年金で受け取ることができる金額についてみていきます。
加給年金額
厚生年金被保険者の配偶者と子どもが受給できる加給年金額は、対象者別に以下の金額になります。
ただし、厚生年金被保険者の配偶者が受給できる加給年金額は、後述のように老齢厚生年金を受ける人の生年月日に応じて、33,200円~166,000円特別加算されます。
対象者 | 加給年金額 |
---|---|
配偶者 | 224,900円 |
1人目・2人目 | 各224,900円 |
3人目以降の子 | 各75,000円 |
配偶者加給年金額の特別加算額
配偶者の加給年金額の特別加算額は、老齢厚生年金を受けている者(受給権者)の年齢によって金額が異なってきます。配偶者加給年金額の特別加算額は以下のようになります。
老齢厚生年金受給者の生年月日 | 特別加算額 | 加給年金合計金額 |
---|---|---|
昭和9年4月1日~昭和15年4月1日 | 33,200円 | 258,100円 |
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日 | 66,400円 | 291,300円 |
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日 | 99,600円 | 324,500円 |
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日 | 132,700円 | 357,600円 |
昭和18年4月2日以後 | 166,000円 | 390,900円 |
加給年金の申請方法
加給年金は厚生年金被保険者の支給条件とその配偶者または子どもの支給条件を満たした場合に受給可能となりますが、何もせず自動的に貰えるのではなく、申請をしなければ受給できません。
加給年金を受給するには、受給権者の戸籍抄本もしくは戸籍謄本、世帯全員の住民票の写し、受給権者の子どもや配偶者の所得証明書または非課税証明書をそろえて、年金事務所または年金相談センターに行って加給年金受給の申請をします。
加給年金受給の条件を満たす配偶者がいる場合
加給年金は厚生年金被保険者が老齢厚生年金を受給する時点で、その配偶者が受給条件を満たす場合に支給されます。
また、受給権者の生年月日に応じ、加給年金額に上乗せされる特別加算額が決定します。配偶者の加給年金額の基本は224,900円ですが、特別加算額が加わることにより、258,100円~390,900円ほど受給できることになります。
支給停止の条件
加給年金は受給権者の条件とその配偶者または子どもの受給条件を満たした場合に支給されますが、加給年金の支給停止条件に合致した時点で支給が停止されます。
加給年金の支給停止条件とは、配偶者の場合と子どもの場合で内容が違います。以下に加給年金支給停止条件をまとめましたので、ご参照ください。
振替加算とは?
加給年金を受給するためには上述のような受給条件を満たす必要がありますが、停止条件に合致すれば受給はできなくなります。
しかし、もし受給権者の配偶者が65歳で支給を停止された場合は、加給年金は停止されますが振替加算が受給できることがあります。ただし、振替加算を受給するには条件があり、その条件に合致する場合のみ受給可能となります。
振替加算の金額
振替加算の金額は配偶者の生年月日に応じて変動します。配偶者の生年月日により政令で定める率が決まり、年が若いほど減額されます。
たとえば、大正15年4月2日から昭和2年4月1日では政令で定める率が1で年額にして224,900円ですが、昭和40年4月2日から昭和41年4月1日では0.067となり、振替加算額が15,068となります。また生年月日が昭和41年4月2日以降は振替加算がゼロとなります。
振替加算の申請方法
振替加算の申請方法ですが、年金を請求する場合の裁定請求書にある「配偶者の年金証書の基礎年金番号・年金コード、配偶者の氏名および生年月日」を正確に記入することにより、自動的に受給できるようになります。
そのため、年金を請求する場合には、上記の項目を忘れずにきちんと記入する必要があります。この記入がない場合は、振替加算が行われないことになります。
加給年金を正しく理解しましょう
加給年金は厚生年金被保険者が老齢厚生年金を受給する時点で受給権者本人と配偶者または子どもが支給条件に該当する場合に受給でき、通常の年金に加えてもらえる年金です。
ご自分が加給年金受給対象かをしっかりと確認し、条件に該当する場合は申請して受給しましょう。また、加給年金は放っておいても必ずもらえるものではなく、必ず申請しなければならないので注意が必要です。加給年金を正しく理解して活用しましょう。