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不動産売却後に確定申告が必要なケースは?確定申告の流れとその際の注意点

2021 07.2この記事はPRを含みます

目次

不動産売却後は確定申告が必要か

不動産を所有している方の中には、新しい家に引っ越したり不要になった不動産を売却する方もいるでしょう。不動産を売却した後に確定申告をして税金を払いますが、必ず必要なわけではありません。

 

基本的には、不動産を売却しても利益が出なければ、確定申告をする必要はないです。しかし確定申告をすることで減税になる場合もあるので、個々のケースを確認するようにしましょう。

確定申告

そもそも確定申告とは

そもそも確定申告とは、どんなものなのでしょうか。確定申告は、1月1日から12月31日までの期間に得た収入から経費などを引いた残高、所得をまとめ、それにかかる税金を計算して翌年の2月16日~3月15日までの期間に国に納めることを言います。

 

個人事業主の方なら毎年、確定申告をしていますが、会社員の方は自分でする機会がないので良く知らない方も多いのではないでしょうか。

確定申告の時期について

確定申告とは、毎年1年間の所得から税金を計算し、翌年2月16日から3月15日の期間に納めることを言います。

 

ただし2月16日や3月15日が土曜または日曜に当たる場合は、日程がずれるので注意が必要です。また2020年は新型コロナウィルスの感染拡大防止の為、期限が4月16日まで延長されました。なお、期限後(4月17日以降)の申告書の受付も柔軟に行われています。

不動産売却後に確定申告が必要な場合

不動産売却後に確定申告が必要になるのは、売却によって利益が出た場合です。売却した代金から、手続きにかかった費用を差し引いた金額を譲渡所得と言います。この譲渡所得がプラスになった場合に、税金を納める必要があります。

 

また譲渡所得が無くマイナスになっていても、特例という税制上の優遇を受けたい場合には確定申告が必要です。特例とは、一定の条件を備えたマイホームの買い替えなどが該当します。

土地や建物の譲渡所得に対する税金

不動産売却後に確定申告が不要の場合

不動産の売却後に確定申告が不要なのは、譲渡所得が無く、逆に損失が出た場合です。この場合は、不動産売却後の確定申告は必要ありません。

 

しかし、譲渡損失があっても、マイホームの買い替えなどで住宅ローンを利用する場合などは特例に当たります。確定申告をすると所得税が還付されるのでおすすめです。

確定申告の流れ6つ

確定申告をする必要がある場合は、その手順を個人で行うかまたは税理士に依頼するか決める、必要な書類を準備する、譲渡所得税額を計算する、書類を記入する、税務署で確定申告をする、納税または還付を受ける、の6点です。

 

慣れていないと、どれも難しそうですが不動産売却だけならそれほど難しくありません。順番に詳しく解説します。

確定申告の流れ1:個人で行うか税理士に依頼する

確定申告には、個人で行うか税理士に依頼するかの2種類の方法があります。もし個人で行う場合は、申告書を記入して税務署に提出するやり方と、e-Taxというインターネットを使う方法があります。

 

e-Taxで申告するにはマイナンバーカードが必要ですが、税務署に行く必要もなく24時間受け付けてもらえるというメリットもあります。税理士に依頼する場合は料金がかかりますが、面倒な手続きを任せて時間を節約できるでしょう。

e-Tax

個人で行う場合

個人で確定申告をする場合は、申告書に記入して税務署に提出するか、オンラインで行うe-Taxの2種類があります。申告書は、税務署で取得できます。

 

確定申告の時期には税務署で税務署員が無料で相談に乗ってくれるケースもありますが、事前に電話などで予約しておくことをおすすめします。また税務署員や税理士が集まって確定申告の相談会を開いている事もあるので、そちらを利用するのも良いでしょう。

税理士に依頼する場合

個人で確定申告をするのが難しい、時間がない、という方は、税理士に依頼するのも考えてみてはいかがでしょうか。税理士に依頼する場合は費用が掛かりますが、節税や控除のアドバイスを受けられる、書類作成を代行してもらえるといったメリットもあります。

 

不動産売却に伴う確定申告だけなら、それほど難しくはありません。税理士への費用を押さえたい場合は、個人で行うと良いでしょう。

確定申告の流れ2:必要書類の準備

確定申告を行うには、確定申告書以外にも譲渡所得内訳書、不動産の売買契約書、登記事項説明書、仲介手数料、登記費用などの領収書といった様々な書類が必要です。

 

いくつかは税務署や法務局で入手できるので記入し、領収書は紛失しないように保存しておくのが良いでしょう。必要な書類が揃っていないと、申告後に修正申告をしなくてはならなくなるので注意が必要です。

確定申告の流れ3:譲渡所得税額を計算する

不動産売却後に確定申告をするには、不動産の譲渡所得を割り出し、そこから譲渡所得税額を計算する必要があります。譲渡所得を計算するには、譲渡価格と取得費をまず割り出さなくてはいけません。

 

譲渡価格とは、今回の売却価格から経費を除いた金額です。取得費とは、不動産を購入した時の価格に当時の購入にかかった費用を足し、減価償却費を引いた価格です。また、今回の売却にかかった費用も計算しておく必要があります。

譲渡所得税額の計画方法

譲渡所得税額は、譲渡価格-取得費という計算式で算出した譲渡所得金額に譲渡所得税率を掛けることで算出できます。

 

譲渡所得税率は、不動産の所有年数によって変わってきます。所有年数が5年以下の場合は短期所有、5年以上の場合を長期所有として税率もそれぞれ違います。

課税譲渡所得金額の計算

確定申告の流れ4:必要書類を記入する

譲渡所得税額を計算したら、提出する書類を記入していきます。必要書類は、確定申告書B・申告書第三表・確定申告書付表兼計算明細書の3種類です。

 

書類に直接記入する以外にも、国税庁のホームページで確定申告書等作成コーナーを利用して入力し、e-Taxを利用して提出する方法もあります。こちらを利用すると、数値の計算などを自動でしてくれるというメリットがあります。

確定申告の流れ5:税務署で確定申告をする

書類を作成し終わったら、税務署に提出して確定申告を行います。確定申告の方法には、税務署に持参する・郵送で税務署に提出する・e-Taxで申告するの3種類があります。

 

窓口に持参する場合は、提出できる日時が限られますが、e-Taxなら24時間受け付けているので、忙しい方には便利なシステムです。利用するためには事前にマイナンバーカードを取得して、税務署に電子申告等開始届出書を提出しておく必要があります。

確定申告の流れ6:納税や還付を受ける

確定申告を済ませても、そこで終わりではありません。申告内容に従って納税または還付を受ける必要があります。

 

納税する場合は申告が終了したら、納付期限までになるべく早く収めるのが良いでしょう。還付を受ける場合は、希望する受け取り方法も併せて申告しましょう。

納税する場合

納税する場合の支払い方法は、QRコードを利用したコンビニ払い・e-Taxでの電子納税・振替納税・クレジットカード払い・窓口納付の5種類です。

 

どの納付方法も、支払期限は確定申告書の提出期限と同じなので、不動産売却をする時に予め、準備しておくのが良いでしょう。忘れたなどの理由で期限を過ぎると、延滞税が発生するので注意が必要です。

還付を受ける場合

確定申告をして還付を受けるには、預貯金口座への振り込みか、ゆうちょ銀行または郵便局で直接受け取るかの2種類です。

 

基本的には確定申告をしてから1カ月~1カ月半ぐらいで受け取れますが、e-Taxを利用して申告すると、それより早く3週間程度で受け取ることができます。

【税金の還付】

不動産売却後の確定申告に必要な書類6つ

不動産売却した後、確定申告時必要になる書類は、登記事項証明書・譲渡所得の内訳書・確定申告書B様式・仲介手数料などの領収書・ 分離課税用の申告書・購入時や売却時の不動産売買契約書の6種類です。

 

聞き慣れていないと難しく聞こえますが、この章で1つずつ解説します。

不動産売却後の確定申告に必要な書類1: 登記事項証明書

登記事項証明書とは、法務局に登記してある不動産の登記簿の内容を証明する書類で、取得する為には法務局に申請する必要があります。不動産登記謄本とも呼ばれ、人間の戸籍謄本の様なもの、と考えるとわかりやすいでしょう。

 

不動産の所有者や権利者、どんな不動産なのかが記載されています。取得するには、不動産が所在する地域の法務局に行って申請します。オンライン申請も可能で、これなら全国どこからでも申請できます。

不動産売却後の確定申告に必要な書類2: 譲渡所得の内訳書

譲渡所得の内訳書は、税務署で取得できる書類で、売却した不動産の詳細を書いて提出します。詳細とは売却した不動産の所在地や所有者、売買契約日や引き渡し日などです。

 

また代金の受領状況や取得するのにかかった費用、減価償却費なども記載して提出します。

不動産売却後の確定申告に必要な書類3: 確定申告書B様式

確定申告B様式というのは、税務署で取得できる確定申告をするための記入用紙で、一般的には青色申告と呼ばれています。AとB、2種類があり、サラリーマンなど給与所得がある方や専業主婦など収入がない方が不動産売却を行った場合はAに、個人事業主などの方はBに該当します。

 

e-Taxを利用して確定申告を行う方は、紙ではなく国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーで記入して提出します。

不動産売却後の確定申告に必要な書類4:仲介手数料などの領収書

仲介手数料などの領収書は、不動産売却時の仲介業者に支払った手数料や収入印紙に対する領収書です。仲介業者から発行され、経費として計算するので、支払った金額がわかるものが必要です。

 

万が一、紛失してしまった場合は、銀行口座の明細や振り込み票など、仲介業者に支払ったことがわかるものがあれば代用できる可能性もあります。

不動産売却後の確定申告に必要な書類5: 分離課税用の申告書

不動産売却後の確定申告で必要な書類の5つめは、分離課税用の申告書です。いろいろな所得がある方は、それを合計して税金を計算します。

 

しかし不動産売却での譲渡所得は例外となるため、分離課税用の申告書の提出が必要になります。書類は確定申告書B様式と同じく、税務署で取得するか、オンラインでダウンロードして記入するかのどちらかになります。

不動産売却後の確定申告に必要な書類6: 購入時や売却時の不動産売買契約書

不動産売却の確定申告する際に必要な書類の6つめは、購入時や売却時の不動産売買契約書です。どちらもコピーで構いません。

 

購入時・売却時、どちらの不動産売買契約書も、取得費を計算し譲渡所得を証明するために必要な書類です。相続などで購入時の不動産売買契約書が無く、取得価格不明の場合は、概算取得費を使って算出します。

確定申告書の注意点5つ

確定申告書を書く時の注意点は、控除所得に注意する・書き方・わからない時の相談方法・税理士に依頼する場合・提出方法の5点です。

 

常日頃から確定申告をしている個人事業主の方は別ですが、企業に勤めていて会社がやってくれている方は、初めてで戸惑う方も多いと思います。この5点に留意しながら、書き進めていくと良いでしょう。

確定申告書の注意点1:控除所得で節税が可能

不動産売却で確定申告をする場合、一定の条件を満たせば特別控除が受けられます。代表的なものは、自宅を売却した時に、譲渡所得から3,000万円を控除できる特別控除や、所有期間が10年以上の物件への軽減税率の適用などです。

 

譲渡所得から3000万円の特別控除は他の特例とは併用できませんが、これを使うと所得税と住民税が課税されずに済むため、節税を考えている方は忘れないようにしましょう。

譲渡価額

確定申告書の注意点2:書き方に注意

不動産売却後に申告書を記入する時には、国税庁のホームページにある申告書の記入例などを参考にするのが良いでしょう。

 

また、譲渡所得や経費など、正しい数字を記入する必要があるので、売買契約書や領収書などの添付書類を予め手元に置いておくようにしましょう。e-Taxを利用すると、金額を入力すると自動で計算してくれますが、事前にe-Taxを利用して確定申告をしたいという申告が必要です。

確定申告書の注意点3:確定申告で分からない場合

確定申告でわからないことが出てきた場合は、税務署に問い合わせるのが良いでしょう。しかし確定申告の時期は署員も忙しく、対応が難しくなります。この時、活用したいのが、自治体が主宰している無料相談会です。

 

この相談会は平日だけでなく土・日にも開催されていたり、市役所や公民館などで開催されており、参加しやすくなっています。また税務署の署員や税理士が相談に乗ってくれるので一度、問い合わせてみると良いでしょう。

確定申告書の注意点4:税理士に依頼した場合の費用

手続きが煩雑でわからなかったり、忙しくて時間が取れない場合は、税理士に依頼することもできます。不動産売却の確定申告だけであれば、費用は5万~10万円程度です。

 

費用は掛かりますが、必要な書類を揃えたり申告書の書き方を指導してくれるので、間違ったまま提出してしまい修正することもありません。また自分では見落としがちな節税についても教えてもらえるので、不安な方は依頼することを考えてみても良いでしょう。

確定申告書の注意点5:提出方法に注意

確定申告書の提出方法は3種類あると説明しました。窓口に直接持っていく場合は、税務署が開いている時間に行く必要がありますが、提出時に税務署員にチェックしてもらえるというメリットがあります。

 

e-Taxでは期限までの間いつでも提出することができますが、事前に電子申告等開始届出書を税務署に提出して申告をしておかないと利用できないので注意が必要です。

ポイントを押さえて不動産売却後の確定申告をスムーズに行おう

不動産売却後の確定申告は、売却利益が出た時はもちろん、損失が出ていても特例を使う場合は行う必要があります。最初は難しく思えるかもしれません。

 

しかし添付書類をすべて揃えておく、無料相談会などを利用して申告書を記入する、会計ソフトを利用したり税理士に依頼することも検討するなどやり方はいくつかあります。ポイントを押さえてスムーズに確定申告を行いましょう。

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