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不動産の個人売買は出来るのか|不動産を個人売買する際の流れとその際の注意点

2021 08.3この記事はPRを含みます

目次

不動産の個人売買は出来るのか

あなたがお持ちの不動産を、不動産会社を介さずに売ることや、あなたの隣人が持っている不動産を、不動産会社を介さずに隣人から買うことは可能なのでしょうか。

 

結論から言うと、不動産を個人間で売買することは法律上問題ありません。ただ、そこには様々な注意点やメリット・デメリットがありますので、一つずつ一緒に確認していきましょう。

不動産を個人売買する際の流れ8つ

それではまず「不動産を個人売買する際の流れ」を確認していきましょう。

 

なお、ここでは「売買」のうちの「売」、つまり不動産を売却する際の流れを8つに分けてご説明します。

不動産を個人売買する際の流れ1:不動産相場を調べる

あなたがお持ちの不動産はいくらくらいで売却できるのか、いくらくらいなら買い手が現れそうなのか、不動産の「相場」を事前に調べておくことが重要です。

 

参考にできる不動産相場はいくつかあり、たとえば「固定資産税評価額」「相続税路線価」「公示地価/基準地価」「実勢・取引価格」「一括査定額」等です。これら全てを調べた上で売却額を設定するに越したことはないでしょうが、まずは不動産会社への一括査定をおすすめします。

不動産を個人売買する際の流れ2:必要書類の準備

不動産の売買には様々な書類が必要であり、そのほとんどを売り手側が準備しなければいけません。

 

具体的には、「登記簿謄本(抄本)」「公図」「固定資産評価証明書」「権利証」(「登記済証」または「登記識別情報」)「確定測量図」「該当不動産を購入した際の書類」(「売買契約書」「重要事項説明書」「設計図書」等)等があります。

 

さらに、必要に応じ「耐震診断書」や「住宅性能評価書」、設備関係の資料等も準備する必要があるでしょう。

不動産を個人売買する際の流れ3:売却価格を決める

必要書類が準備できたら、次は不動産の売却価格を決めます。基本的に「流れ1」で調べた相場価格を参考に売却価格を決めますが、ポイントは「最初は少し高めの価格を設定しておくこと」です。

 

もしあなたが買い手の場合、少しでも安く希望の不動産を取得したいと考えるのではないでしょうか。あなたの不動産の買い手も同様です。売り出し後、価格交渉されることを念頭に置き、少し高めの価格を設定することをおすすめします。

不動産を個人売買する際の流れ4:現地確認をする

売却価格が決まったら、次は不動産の現地確認をしましょう。

 

買い手からの質問を事前に想定し、もし自分が買い手であれば気になるようなことや、初めてこの土地・家に来たときに気になるようなこと等、隅々までしっかりと確認しましょう。

 

また、隣の土地との境界線はどこなのか、壁と境界線は一致しているか、不審な物が埋まっていたり捨てられていたりしないか等の確認も重要です。

不動産を個人売買する際の流れ5:販売活動をする

売却価格が決まり、不動産の現地確認も済ませました。必要書類も揃っています。ここまで来たら、いよいよ販売活動の開始です。

 

まずは個人売買におすすめのサイトに掲載してみましょう。並行して、掲載のための写真撮影や買い手が現れたときの内見に備えて、不動産の掃除をしておくことも重要です。

 

また、価格交渉される場合を想定し、予め着地点となる価格、つまり「この価格以上で売りたい」という価格を設定しておくことも重要です。

不動産を個人売買する際の流れ6:契約書の作成

販売活動を開始し、買い手が現れました。価格交渉も済ませ、いよいよ契約まで来たところで必要になってくるのが契約書です。

 

契約書は、細かい契約事項等の取り決めを行った上で作成する必要があり、売り手・買い手双方の認識を一致させるためにも非常に重要なものです。また、法的な拘束力を持つものでもあります。

 

この契約書の作成で手を抜いたりミスをしたりすると、後々トラブルの原因にもなりかねません。

不動産を個人売買する際の流れ7:売買契約をする

契約書を作成したら次は売買契約の締結です。ここで重要なのは、契約書を交わすと同時に手付金を支払ってもらうことです。

 

「流れ1~6」でご説明してきた通り、契約が成立するまでの間、売り手は多くの時間と手数を、場合によっては多くの費用も投じています。気軽な契約締結や安易な解約を防ぐためにも、契約締結時に手付金をもらっておくことが重要です。

不動産を個人売買する際の流れ8:物件を引き渡す

無事契約を締結し、買い手側での残額決済も終わりました。最後はいよいよ不動産、物件の引き渡しです。

 

しかし、引き渡しの前にまだやるべきことあります。それは「所有権移転登記申請」です。この不動産の所有権が売り手から買い手に移りました、ということを登記上にも反映させる必要があり、売り手がこの手続きを行う必要があります。

 

また、不動産売却により利益を得た場合、確定申告が必要となります。

不動産を個人売買するメリット5つ

「不動産を個人売買する際の流れ8つ」はいかがでしたでしょうか。ここからは「不動産を個人売買するメリット」を5つご紹介します。

 

不動産の個人売買では、契約条件や売却価格を自由に決められたり、仲介手数料や消費税がかからないため諸経費の節約になったりと、魅力的なメリットが存在します。

不動産を個人売買するメリット1:契約の条件を自由に決められる

個人で不動産を売買する場合でも契約書を取り交わす必要があり、その契約書には手付金の金額や支払期限、引き渡しの条件、瑕疵が発覚した場合の修復条件等、様々な内容を盛り込む必要があります。

 

不動産の個人売買では、売り手であるあなたがこれらの条件等について自由に決められる、というメリットがあります。内容によっては買い手との交渉が必要になるでしょうが、売り手・買い手双方が合意の上であれば、法に触れない限り問題ないでしょう。

不動産を個人売買するメリット2:不動産会社を通さないので自由度が高い

不動産会社に不動産の売却を依頼した場合、あなたの代わりに不動産会社が動いてくれるため、あなたご自身にはさほど手間はかからないでしょう。

 

その半面、不動産会社には不動産会社の都合がありますので、なかなかあなたの思い通りには動いてくれない可能性があります。

 

個人売買では、全てのことをあなた自身で決定し、行えるため、不動産会社に依頼する場合より自由度が高くなります。

不動産を個人売買するメリット3:仲介手数料がかからない

不動産売却を不動産会社に依頼した場合、売却時に仲介手数料を支払う必要があります。一般的に仲介手数料は売却価格の3%とされており、たとえば2,000万円で不動産を売却した場合、仲介手数料は60万円になります。

 

もしこれが個人売買であれば、その60万円は全て売り手の利益となります。また、買い手側も仲介手数料等を支払う必要がないため、個人売買はそのような面でもメリットがあると言えます。

不動産を個人売買するメリット4:売却価格が決められる

不動産会社に売却を依頼した場合でも、あなたの不動産価格はあなた自身で決めることができます。販売開始当初の希望価格から最終的な売却価格まで、決めるのはあなた自身です。

 

しかし、間に不動産会社が入っている場合、どうしても不動産会社の意見や意向等を反映させざるをえないことがあるのではないでしょうか。

 

不動産の個人売買では、売り手・買い手双方が合意していれば、あなたの希望価格で売却することも可能です。

不動産を個人売買するメリット5:消費税がかからない

「メリット3」では仲介手数料がかからないことをご紹介しましたが、個人売買ではさらに消費税もかかりません。

 

不動産会社に売却を依頼した場合、その仲介手数料には消費税がかかります。仮に仲介手数料が60万円だとすると、その消費税は6万円にもなります。

 

また、個人売買では買い手側も消費税がかからないため、たとえば2,000万円の家を売買した場合、買い手は200万円を節約できることになります。

消費税のしくみ:課税される取引
国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供に課税されますので、商品の販売や運送、広告など、対価を得て行う取引のほとんどは課税の対象となります。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html…

不動産を個人売買するデメリット5つ

「不動産を個人売買するメリット5つ」はいかがでしたでしょうか。ここからは、5つのデメリットをご紹介します。

 

不動産の個人売買では、契約条件の策定や契約書の作成、必要な調査の実施等、専門知識が必要になる場面があります。また、買い手を見つけづらかったり、買い手が見つかったとしても買い手側がローンを組みづらかったりすることがあります。

 

このようなデメリットについても、一つずつ確認していきましょう。

不動産を個人売買するデメリット1:専門知識が必要になる

「不動産を個人売買する際の流れ2」でもご説明しましたが、不動産の売買を行うためには様々な書類を準備する必要があります。また、契約書を作成したり、場合によっては測量を行ったりしなければいけません。

 

さらに、契約時には売り手自身が重要事項説明を行ったり、「所有権移転登記申請」をするための司法書士を探したりする必要もあります。これらのことを全て売り手である一個人が行うためには、相当な専門知識が要求されます。

不動産を個人売買するデメリット2:買い手が見つかりづらい

不動産を個人売買する場合、指定流通機構に不動産情報を登録することはできません。指定流通機構に登録できるのは宅地建物取引業者のみとなっているためです。

 

これは、あなたが売却したい不動産の情報が多くの人の目につきづらい、ということを意味します。そのような中で買い手を見つけるためには、売り手自身が広告を出したり、売り手自ら営業をしたりする必要が出てくるでしょう。

指定流通機構と不動産取引の流れ

不動産を個人売買するデメリット3:全て個人で請け負うことになる

個人で不動産を売却しようとした場合、全てのことを自分でやらなければいけません。また、専門家に依頼すべきことなのか、自分でできることなのか、自ら判断する必要があります。そして、それらの責任を全て自分で負うことになります。

 

たとえば、契約書に記載すべき事項を記載しておらず、後日トラブルに発展してしまった場合、その対処と責任は全てあなた個人で請け負うことになります。

不動産を個人売買するデメリット4:買い手側のローンが組みづらい

不動産を個人売買する場合、買い手がローンを組みづらい場合があります。住宅を購入する際、住宅ローンを組むことが多いですが、その住宅ローンが組めないとすれば買い手はどうするでしょうか?

 

なぜ個人売買では住宅ローンが組みづらくなるかというと、住宅ローンの不正利用や契約後のトラブル、調査や書類不足等による瑕疵が後日判明した場合の担保価値の大幅下落等を、お金を貸す側の金融機関が危惧するためです。

不動産を個人売買するデメリット5:トラブルが起こる可能性がある

不動産の個人売買における売り手と買い手は、両者とも素人である可能性が高くなります。そのため、不動産会社が間に入る取引と比べ、様々なトラブルが起こる可能性は否定できません。

 

たとえば、契約締結前の価格交渉で折り合いがつかなかったり、売却前には気づかなかった部分の瑕疵が発覚したり、契約書に記載されていない部分で問題が発生したりする可能性があります。

不動産を個人売買する際の注意点6つ

ここまで「不動産を個人売買するメリット・デメリット」を5つずつご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。ここからは「不動産を個人売買する際の注意点6つ」をご紹介します。

 

すでにご紹介した「流れ」や「デメリット」と重なる部分もありますが、もう少し詳しくご説明します。こちらもしっかりと確認していきましょう。

不動産を個人売買する際の注意点1:契約内容の確認は入念にする

契約書とは、売り手・買い手双方の認識を一致させ、双方が合意した旨を書面にしたものです。この契約書の内容を入念に確認し漏れのないようにすることで、後日起こりうるトラブルを回避することができます。

 

特に友人・知人や親戚等、今後も付き合いが続いていく関係性の中で、「言った」「言わない」から来るトラブルは避けたいものです。また、間に第三者が入らない個人売買では一度トラブルに発展してしまうと、収束を図るのが困難になる場合もあるでしょう。

不動産を個人売買する際の注意点2:サポートが必要なら専門家に頼む

「デメリット1」でも触れましたが、不動産を個人売買するためには相当な専門知識が必要となります。中には専門家にサポートをお願いしなければならない場面も出てくるでしょう。

 

そのような場合は費用を惜しまず、専門家にサポートを依頼しましょう。後々のトラブルや法律違反等を回避するためにも、全てをあなた自身でやろうとしないことも重要です。

不動産を個人売買する際の注意点3:価格に妥当性があるか判断する

あなたの不動産が高く売れるに越したことはないのですが、実際に売却を成立させるためにはその価格設定に妥当性が要求されます。

 

価格設定の際には、その価格を設定した理由を、客観的根拠に基づいて説明できるようにしておくことが重要です。

不動産を個人売買する際の注意点4:買主として適性か見極める

「デメリット4」でも触れましたが、不動産の個人売買では買い手側がローンを組みづらい場合があります。価格・条件等、全ての点において双方が合意していたとしても、買い手側にローンを組んでの購入しか選択肢がない場合、売却が成立しない可能性があります。

 

また、詐欺まがいのやり方に騙されないとも限らないため、あなたの不動産の買い手としてその相手が適正かどうか、見極める必要があると言えます。

不動産を個人売買する際の注意点5:契約不適合責任に注意する

「契約不適合責任」とは民法で定められている、買い手に対する売り手の責任のことで、以前は「瑕疵担保責任」と言われていました。

 

契約書に記載されていないことが売却後に発覚した場合、売り手はそのことに対して責任を負わなければいけません。たとえば、売却した不動産に不備や欠陥がある場合、予め契約書に記載していれば問題ありませんが、記載していなかった場合、売り手はその補修等をする責任を負います。

(買主の追完請求権)
民法第五百六十二条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search…

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
民法第五百六十六条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search…

不動産を個人売買する際の注意点6:掲載するサイトの規約を確認しておく

「不動産を個人売買する際の流れ5」でいくつかのサイトをご紹介しましたが、掲載する前にサイトの規約を十分に確認しておく必要があります。

 

サイトにより、無料で掲載できる期間や料金が発生するタイミング、掲載ルール等が異なるためです。

不動産を個人売買する際は知識を付けた上で行おう

いかがでしたでしょうか。不動産の個人間売買は法律上可能とはいえ、少しハードルが高いように感じられたかもしれません。

 

売買中や売買後のトラブルやリスクを避けるためにも、事前に確認すべきことを確認し、しっかりと知識を付けた上で個人間売買を行うことが望ましいでしょう。

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