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不動産取得費に含まれるもの9つ|含まれないもの・計算の注意点も紹介

2020 06.29この記事はPRを含みます

不動産取得費とは?

不動産といえば一般的に、土地や戸建て・マンション・ビルなどの建物を指すのではないでしょうか。

不動産を購入・譲渡などで取得する場合、もしくは自分の名義にする場合に発生する費用のことを「不動産取得費」といいます。

不動産取得費の意味と概要

不動産取得費とは、不動産を取得する、もしくは自分の名義にする際に発生する費用のことですが、実際にはどのような費用が含まれるのでしょうか。

土地や建物の購入費用は当然ですが、購入する際にかかった手数料、設備費、税金、住宅など新たに建物を建てる場合にかかった建築費用、ローンを組んだ場合に発生した利息なども含まれます。

国税庁

不動産取得費に含まれるもの9つ

不動産取得費といえば、土地や建物の購入費用がすぐに思いつくでしょう。ですが意外に忘れがちなのが、不動産取得後にかかる税金であったり、ローンの利子であったりするのではないでしょうか。

ここからは、不動産取得費に含まれるものを9つ紹介していきます。不動産取得費に含まれるものには見落としがちなものもありますので、これから紹介するものを参考にして準備する際に役立ててください。

含まれるもの1:登録免許税・不動産取得税

不動産を取得するとかかってくる税金が「登録免許税」と「不動産取得税」で、不動産取得の際に必要な費用として計算すべき費用項目です。

不動産取得税は、不動産を取得したときに1度だけ納付する地方税です。申告期間は都道府県によって違いますので、都道府県の担当窓口に確認しておきましょう。

登録免許税は、不動産登記をするときにかかる税金です。「不動産登記簿」という不動産の所有者を明確にしておくための台帳がありますが、その登記簿に所有者の名前を載せるために支払う税金です。

登記をきちんとしておくことで、不動産の所有に関するトラブルを避けられる場合もあります。また、登録免許税は建物を新しく建てた場合や土地・建物を譲渡された場合など、どのような登記をするのかで税率が変わってきます。

No.7191 登録免許税の税額表|国税庁
不動産取得税 | 総務部財政局税務課

含まれるもの2:特別土地保有税(取得分)

特別土地保有税とは、一定規模以上の土地の取得や所有に対して、取得した人または所有している人にかかる地方税です。

土地の投機的な取引の抑制と有効に利用するための促進を目的とした政策税制で、土地の取得から10年間に限って課税されます。

平成15年以降の課税は停止していますので、以前、支払いをした経験のある方は間違わないようにしましょう。

特別土地保有税の概要 – 総務省

含まれるもの3:印紙税

不動産取得の際、最初に支払う税金が「印紙税」でしょう。土地や建物を購入するときの不動産売買契約書や、建物を建てるときに業者と交わす建築請負契約書といった「契約書」には収入印紙を貼ります。

収入印紙に「割り印」として押印するか、もしくは苗字などを署名することによって印紙税を納めたことになります。

税金だと気づかないまま納めている場合がほとんどのためか、不動産取得費の項目の中でも見過ごしがちだといわれています。

No.7129 印紙税の納付方法|国税庁

含まれるもの4:立退料・取壊しの費用

自分が購入を希望する建物に使用者がいる場合などは、その人に立ち退いてもらわないといけないでしょう。また、すでに建物が建っている土地を利用する場合、その建物を使用しないのであれば取り壊す必要があり、費用がかかるでしょう。

こういった場合に発生する費用が立退料、建物などの取り壊し費用となります。しかし、土地が更地だったり、使用している人がいなかったりする場合は、不動産取得費の項目に含む必要のない費用です。

含まれるもの5:測量費・造成費用

不動産取得の際に土地の購入を考えているのであれば、土地の大きさや形・範囲などが自分の希望するものなのか確認しなければいけません。

売買では売り主が測量等をして広さの提示をしますが、譲渡のときは自分で土地の測量をしないといけない場合もあります。また、建物を建築するための土盛りや地ならし、土地の埋立てなど造成する場合もあります。

以上のような理由から、不動産取得のための測量費用や造成費用は、不動産取得費の項目に含めておくといいでしょう。

含まれるもの6:訴訟費用

自分が購入した土地にすでに所有者がいたり、境界で揉めたりする場合も考えられます。話し合いで決着がつけばいいのですが、最悪の場合、裁判という手段を取らざるを得ないこともあるでしょう。

不動産の所有権などを明確にして、不動産を自分のものにするために支払った裁判費用は、訴訟費用として不動産取得費の項目に入れられます。

含まれるもの7:借入金の利子

土地や建物を購入する時の借入金の利子も不動産取得費に含まれますが、勘違いしやすいのが住宅ローンの利息の考え方です。

不動産取得費に含まれる借入金の利子とは、土地や建物を購入してから実際に使用を開始する日までの期間の利子です。

例えば、一戸建て住宅を購入し、引っ越して実際に生活を始める日までは、利子も不動産取得費になりますが、生活を始めたら不動産取得費には含まれなくなります。

No.3264 借入金の利子が取得費になるとき|譲渡所得|国税庁

含まれるもの8:購入契約解除での違約金

自分が気に入って購入契約を締結した土地や建物でも、何らかの理由によってその契約を解除しなくてはいけない場合もあるでしょう。大抵の場合、購入契約書には契約を解除する時には違約金が発生するという条件が設定されているため、違約金を支払わなければなりません。

このように、すでに締結されている購入契約を解除した場合に発生する違約金も不動産取得費に含まれます。

含まれるもの9:相続財産の譲渡の特例

不動産取得の中には売買ではなく、財産を相続することによって取得する場合があります。相続で取得した不動産などには相続税がかかりますが、相続税を支払うために土地などを売却すると、今度は売却した際に得た所得に対して税金がかかってきます。

相続によって取得した不動産には、すでに相続税がかかっているのに、さらに所得に対して税金がかかると負担額も多くなってしまいます。このような負担を抑えるための制度が「相続財産の譲渡の特例」です。

相続によって取得した不動産や株式などを一定期間内に譲渡した場合、相続税額内の一定金額を譲渡資産の取得費に加算できる、というものです。特例を受けるためには、要件があり確定申告も必要となります。

No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

不動産取得費に含まれないもの2つ

個人として土地や建物などの不動産を取得する場合、かかった経費は項目によっては不動産取得費として計上できます。

しかし、法人として不動産を取得する場合は、項目によって不動産取得費に含まれないもの、もしくは含んではいけないものがあります。

不動産取得費に含まれないものを2つ紹介しますので、参考にしてください。

含まれないもの1:事業所得などの必要経費に算入されたもの

不動産取得費に含まれないものの1つ目として、既に事業所得などの必要経費に算入されたものがあります。

必要経費は、生計を一にする配偶者などの親族に払う地代家賃などは含まれませんので注意が必要です。詳しくは国税庁のホームページなどで確認をしてみましょう。

含まれないもの2:業務用に供される資産の取得に際して課された税金

業務用に供される資産とは、自動車や船舶、航空機など登録を必要とする資産で、私的なものではなくいわゆる「業務用」というカテゴリーに分類される資産です。

自動車などは不動産ではないと思われがちですが、きちんと誰が所有しているのか登録をしなければならないので不動産に準じた扱いがなされる動産になります。

自動車なども取得税がかかりますが、この場合の取得税は、登録車が個人名義か法人名義かによって不動産取得費に含まれるか含まれないかが分かれますので注意しましょう。

No.3402 事業用の資産の範囲|国税庁

不動産取得費の注意点

不動産の取得費用は、売買契約書や領収書などがあれば自分でも計算できるのではないでしょうか。

大体どれくらいの金額が必要なのかを知っておくと、その後の計画も立てやすくなりますので、事前に計算しておきましょう。

土地と建物は分けて計算

不動産関係の税金などを計算する時は、土地と建物は分けて計算しましょう。

建物は、新築した時に比べて使っていくうちに価値が低くなっていきますが、土地は基本的に年月が経過したからといって大きく価値が変動しないという考えがあります。

ただし、土地も地価の変動などにより価値が変わることがありますので注意しましょう。

不動産取得費がわからない時の対処法3つ

実際に土地や建物を吟味して、いざ不動産を取得しようと動き出したものの何をどうすればいいのか、この項目は取得費用に含まれるのか、などと疑問が出てくることもあるでしょう。

そのようなときにはどうすればいいのか、困ったときの対処法を3つ紹介しますので、参考にしてください。

対処法1:国税局電話相談センターを利用

対処法として、間違いが少ないのは国税局の電話相談センターを利用することではないでしょうか。

国税局のホームページでは、税金に対するさまざまな疑問や税金そのものについて説明をしていますが、少し難しく感じる項目もあるでしょう。そのような時には相談センターを利用すると良いでしょう。

確定申告の時期は電話も混雑して待たされることもありますので、電話をする時期をずらしたり相談したい内容をあらかじめメモにまとめたりしておくなどの準備をしておきましょう。

対処法2:概算シミュレーションを活用

自分でできることとしては、インターネットの概算シミュレーションページを活用することです。

ネット環境が整っていれば「不動産取得費概算シミュレーション」と検索すると、いくつかのホームページが見つかりますので、その中から自分にあったページでシミュレーションをしてみましょう。

使用の際は、あくまで概算であることを理解しておきましょう。

対処法3:不動産会社に相談

不動産会社を通して土地や建物を購入する場合は、疑問点など相談してみましょう。不動産会社には、宅地建物取引士がいますので不安や疑問を解決してくれるでしょう。

不動産会社の中には、はじめからいろいろな手続きなどの諸費用も含めて売買をしているところもありますので、必ず契約書を確認しましょう。

不動産取得費をきちんと理解しよう

同じような項目であっても不動産の用途によって、どの費用に分類されるか変わるものもあります。また、不動産を取得しようとするときは、土地や建物の金額ばかりに目がむいてしまい、その他にも経費がかかるということを忘れがちになってしまいます。

不動産取得費として、どういったものにお金がかかるのかということをきちんと理解しておけば、あとから慌てて困ることもないでしょう。

不動産を取得する前にどのような費用が必要なのかを理解しておくことをおすすめします。

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