「ビットコインの税金は雑所得なので高い」
「利益の55%が税金として取られる」
ネガティブな声を聞くことも多いビットコイン(仮想通貨)の税金ですが、正しい計算方法はあまり知られていません。「税金計算はややこしいもの」というイメージから、理解を先送りにしてきた人も多いのではないでしょうか。
しかし、税金計算がわからない限り、納税に関する不安は晴れません。確定申告の締め切り直前に焦ることにもなります。そこで本記事では、ビットコインをはじめとする暗号資産の税金計算の方法を解説します。
解説者
※以下の情報は、すべて2022年6月現在のものです。
目次
ビットコイン(仮想通貨)の税金は売買益と年収をもとに計算する
ビットコイン(仮想通貨)の税金は「売買で得た利益」や「年収」をもとに計算します。簡単な計算式は「(仮想通貨の売買益+年収)*税率=納税額」です。
※本来は利益の合算後に「控除(こうじょ)」を差し引きますが、複雑になるためここでは省略します。
例として、次のケースの税金を計算してみましょう。
- 会社の給与:350万円
- 仮想通貨の売買益:300万円
住民税率は一律10%なので、住民税額は「650万円*10%=65万円」です。
所得税は次の表のとおり「650万円*20%-427,500円」と計算して「872,500円」です。
課税される所得金額 | 所得税率 | 控除額※ |
1,000円 から 195万円未満 | 5% | 0円 |
195万円から330万円未満 | 10% | 97,500円 |
330万円から695万円未満 | 20% | 427,500円 |
695万円から900万円未満 | 23% | 636,000円 |
900万円から1,800万円未満 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円から4,000万円未満 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
※上記表の「控除額」は所得税率をかけた後に差し引くものであり、本記事の序盤に記載した、給与と売買益の合算後に指し引く控除とは別物です。
課税対象650万円の場合の所得税率は「195万円までは5%」「330万円までは10%」「650万円までは20%」と、段階的に高くなります。
税率ごとに何度も計算するのが面倒なため、実際には「対象額全体に税率をかける」「控除額を差し引く」という手順が一般的です。
ビットコイン(仮想通貨)の取得単価の計算方法
ビットコイン(仮想通貨)の納税額を計算をするには、通貨の取得単価の算出が必要にあります。課税対象の金額は「売却価格-取得価格」で計算するためです。
取得単価の計算方法には以下のふたつがあります。
基本的には総平均法を用いることになりますが、両方の算出方法を紹介します。
「移動平均法」
「移動平均法」による取得単価の計算式は「(保有額+新規取得額)/(保有枚数+新規取得枚数)」です。通貨を取得するたびに取得単価を計算し直すのが移動平均法の特徴です。
例として、次のケースを考えてみましょう。
- 4月1日:400万円で1BTCを購入
- 6月1日:300万円で1BTCを購入
- 7月1日:500万円で1BTCを売却(日本円に交換)
- 8月1日:500万円で1BTCを購入
取得価格は、4月1日時点では1BTC=400万円ですが、6月1日時点では「(400万円+300万円)/(1BTC+1BTC)=350万円」となります。
損益は「売却価格-取得価格」で求められるので、7月1日の利益は「500万円-350万円=150万円」です。
8月1日の取得単価は、8月1日に最も近い購入日に計算した取得単価である350万円を用いて「(350万円*1BTC+500万円)/(1BTC+1BTC)=425万円」と計算します。
「総平均法」
「総平均法」による取得単価計算は、12月31日に一度だけ行います。計算式は「年度内に取得した通貨の合計金額/年度内に取得した通貨の枚数の合計」です。
例として、次のケースを考えてみましょう。
今回考えるケース
- 4月1日:400万円で1BTCを購入
- 6月1日:300万円で1BTCを購入
- 7月1日:500万円で1BTCを売却(日本円に交換)
- 8月1日:500万円で1BTCを購入
取得単価は「(400万円+300万円+500万円)/(1BTC+1BTC+1BTC)」で1BTC=400万円です。
損益は「売却価格-取得価格」で求められるので、7月1日には「500万円-400万円」で100万円の利益が発生することになります。
ビットコイン(仮想通貨)の税金計算に役立つツール
ビットコイン(仮想通貨)の税金計算において、とくに大変な部分は取引履歴の取得です。利用しているすべての取引所・個人ウォレットの利用履歴を集める必要があります。そんな利用履歴の取得・管理に役立つツールを紹介します。
税金計算用のツール
ビットコイン(仮想通貨)の税金計算に特化したツールが存在します。取引所や個人ウォレットと連携させることで、自動で取引履歴を記録して、税金を計算してくれるツールもあります。
取引が頻繁に発生する「イールドファーミング」を利用している人は、ツールを導入することで、税金計算の手間を大幅に減らせます。
補足担当者
表計算ソフト
ビットコイン(仮想通貨)の税金計算は、Excelやスプレッドシートを使えば、取り組みやすくなります。仮想通貨取引を定期的に表計算ソフトに記録すれば、どんな取引があったかと悩むことはありません。
表計算ソフトへの入力は手動なので、取引量が多い場合は大変です。しかし、表計算ソフトは無料のため「何からはじめるべきかわからない」という人は、まずは試しに使ってみてください。
表計算ソフトのフォーマットは、国税庁が紹介しているものを参考にしてみましょう。
ビットコイン(仮想通貨)の税金計算に関するよくある質問
ビットコイン(仮想通貨)の税金計算についての疑問と、その回答をまとめました。
仮想通貨の納税方法は?
仮想通貨は「確定申告」により納税します。確定申告とは、1月1日から12月31日までに発生した所得を計算・申告する手続きです。
確定申告の具体的なやり方は「仮想通貨の確定申告が必要な人は?課税のタイミングや計算方法を解説」を参考にしてください。
確定申告が必要なのはどんな人?
所得税の確定申告が必要なのは、主に次のような人です。
所得税の確定申告が必要な人
- 会社勤務やアルバイトをしていて仮想通貨の利益が20万円以上ある人
- 扶養に入っていて仮想通貨の利益が48万円以上ある人
- フリーランスや個人事業主(利益にかかわらず)
確定申告には、所得税の確定申告と住民税の確定申告があります。住民税の確定申告は、利益が1円以上あるなら必要なので、注意してください。
利益が発生するタイミングは?
ビットコイン(仮想通貨)取引で利益が発生する主なタイミングは次のとおりです。
- 仮想通貨を別の通貨に換えたとき
- 仮想通貨で商品を買ったとき
利益の発生タイミングの詳細は『暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ) – 国税庁』をご確認ください。
税金を申告しなかったらバレる?
ビットコイン(仮想通貨)の税金を申告しなかったら、バレる可能性が高いです。仮想通貨の取引は取引所や「ブロックチェーン」の履歴から調べられるためです。
解説者
ビットコイン(仮想通貨)の税金計算は準備が大切
ビットコイン(仮想通貨)の税金計算をスムーズに行うには準備が大切です。「税金は売買益や年収から算出する」「利益計算には『総平均法』を用いること」を理解したうえで、日々の取引を行いましょう。
税金計算が心配な人におすすめなのは、利用する取引所を限定することです。
税金計算をするには使っている全取引所から利用履歴を取得する必要があります。使っている取引所が少ないほど、利用履歴の取得が楽になります。
使う取引所を厳選するなら「Binance(バイナンス)」がおすすめです。取り扱い通貨や運用方法が豊富なBinanceなら、幅広い使い方ができます。Binanceは海外取引所ですが、登録は簡単です。ぜひ使ってみてください。