仮想通貨(暗号資産)の投資収益には、住民税が課税されます。
そのため、1年間で得られた投資収益を正しく申告する必要があります。一方で、仮想通貨にかかる住民税の仕組みは複雑です。
そこでこの記事では、仮想通貨にかかる住民税について、分かりやすく解説します。
※以下の情報は、全て2022年6月現在の情報です。
目次
仮想通貨(暗号資産)の収益に課税される住民税とは
仮想通貨(暗号資産)の収益は、住民税の課税対象です。
仮想通貨投資による収益には、所得税と住民税が課されます。所得税が国に対して納める国税である一方、住民税は地方税にあたります。
住民税は、住民票に記載された市町村へ納付しなければならない税金です。
住民税の納税額は、あなたの所得によって決定されます。そのため、仮想通貨投資によって得た収益金額に関わらず、住民税の申告が必要です。
解説者
このような理由から、仮想通貨投資にあたっては、住民税に関する理解が欠かせません。
仮想通貨(暗号資産)に課税される住民税の計算方法
仮想通貨(暗号資産)にかかる住民税の税率と計算方法を説明します。
納税者からの申告内容を元に、住民税の税額が決定します。納税者が住民税の計算をする機会はありませんが、申告内容を理解する上で重要な事項です。
住民税の税率は一律10%
住民税の税率は、一律で10%です。
住民税は、以下の2種類の税金をまとめた総称となります。
- 都道府県民税・・・4%
- 市町村民税 ・・・6%
これら2種類の税金を、住民票に記載した市区町村に対して、まとめて納税します。
累進課税制の所得税とは異なり、住民税の税率は所得金額に関わらず一定です。
仮想通貨投資による収益が発生すると、住民税の税額に反映されます。
そのため収益金額に関わらず、仮想通貨投資で得た金額を申告しなければなりません。
住民税の計算式
住民税の税額は、以下の計算式によって求められます。
(総所得-所得控除)×10%(住民税の税率)+均等割=住民税
総所得とは、仮想通貨(暗号資産)の収益のほかに給与所得や不動産所得を合算した金額です。この総所得から、所得に応じた所得控除を除外します。
住民税率10%を掛けた金額に、納税者の属性によって均等割を加算します。これにより、住民税の税額が算出できました。
この計算方法から分かる通り、仮想通貨投資による収益も住民税の納税額に影響を与えます。 補足担当者
仮想通貨(暗号資産)に課税される住民税の申告方法
住民税の申告方法を紹介します。
解説者
確定申告
フリーランスや自営業者の場合、確定申告によって住民税を申告します。
この他に、サラリーマンや公務員で雑所得として年間20万円以上の収益がある場合には、確定申告が必要です。
仮想通貨(暗号資産)によって得られた収益は、雑所得として計上します。
もし、仮想通貨投資で損失が発生した場合には、会計年における他の雑所得からの差し引きが可能です。
確定申告にて記載した内容は、税務署と市区町村の間で共有されます。そのため、確定申告をするだけで、住民税の申告も完了となります。
なお、確定申告についての詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。
仮想通貨の確定申告が必要な人は?課税のタイミングや計算方法を解説
住民税申告書
確定申告を提出しない場合には、住民税申請書を提出する必要があります。
確定申告の提出先が税務署であるのに対して、住民税申請書は市区町村に対して申告します。
この住民税申告書は、仮想通貨(暗号資産)投資の年間収益が20万円未満であったとしても提出しなければなりません。
確定申告と住民税申告書のいずれも未提出の状態だと、住民税の税額を正確に算出できません。
補足担当者
仮想通貨(暗号資産)の住民税に関する注意点
仮想通貨(暗号資産)投資にかかる住民税について、注意点を説明します。
株式投資とは異なり、仮想通貨取引所では納税に関する仕組みが十分に整備されていません。
そのため、投資家自身が情報収集をして、正しく申告する必要があります。
無申告だと地方税の脱税と見なされる場合も
仮想通貨(暗号資産)投資の収益額に関わらず、住民税の申告が必要です。
住民税は、地方自治体へ納める地方税です。所得額をもとに住民税の金額が決定されるため、仮想通貨の投資利益額に関わらず申告が求められます。
無申告の場合は、脱税と見なされるリスクもあります。必ず、住民税の申告をしましょう。
年間収益が20万円未満でも住民税申告が必要
仮想通貨(暗号資産)投資の利益が年間20万円未満でも、住民税の申告をしなければなりません。
サラリーマンや公務員で、雑所得の年間収益が20万円未満の場合には、確定申告は不要です。一方で、確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は求められます。
なぜなら、この申告は翌年以降における住民税の納税額を決める重要な情報だからです。
解説者
確定申告の必要性は投資家に広く認識されている反面、住民税の申告はあまり有名ではありません。
そのため、年間の雑所得収益が20万円未満の場合に、住民税の申告が漏れているケースもあります。
このような事態にならぬよう、仮想通貨投資で利益確定を行った際には収益額に関わらず住民税の申告をしましょう。
無職の場合でも仮想通貨(暗号資産)の住民税申告が必要
無職であっても、住民税の申告は必要です。
住民税の申告は、仮想通貨(暗号資産)投資の収益額に関係なく求められます。
もし確定申告をしている場合には、この申告内容によって代替ができます。しかし、確定申告をしない場合には、個別に住民税の申告をしなければなりません。
仮想通貨投資で収益が発生した際には、就業形態に関係なく住民税を申告しましょう。
仮想通貨(暗号資産)の住民税に関するよくある質問
仮想通貨(暗号資産)に課税される住民税について、よくある質問に回答します。
サラリーマンの場合も住民税の申告が必要?
サラリーマンや公務員であっても、住民税の申告が必要です。
年間20万円以上の雑所得がある場合には、確定申告によって住民税の申告を行わなければなりません。この確定申告で提出する内容が、住民税の納税額に反映されます。
一方で、サラリーマンや公務員で確定申告をしない場合には、住民税の申告をする必要があります。
この住民税の申告は、仮想通貨投資の収益金額に関わらず必要となる手続きです。
住民税の申告をしない場合ばれないで済む?
住民税を無申告のまま放置すると、ばれる結果となります。
住民税は市区町村が管理しているため、税務署とは組織が異なります。しかし、市区町村は、税務署との情報共有が可能です。
そのため、税務署への申告内容との相違があれば、市区町村は容易に住民税の無申告を発見できます。
税務署では、会社給与や銀行口座の取引履歴も参照する権限を持ちます。この権限は、仮想通貨取引所の口座に対しても適用可能です。
そのため、仮に納税者が仮想通貨投資で得た収益額を申告していない場合にも、容易に発見が可能です。
申告した時点で調査が及ばない場合でも、過去の会計年にさかのぼって税務調査が実施されるケースもあります。
このようなケースでは、仮想通貨投資による収益も調査の対象です。
もし、申告漏れが悪質だと認定された際には追徴課税が課せられ、より多くの税金を払う事態となってしまいます。
補足担当者
仮想通貨(暗号資産)にかかる住民税を正しく申告しよう
仮想通貨(暗号資産)にかかる住民税の説明をしました。
投資家の間では、確定申告に関する必要性は広く認知されている一方、住民税の申告についてはあまり浸透していません。
そのため、意図しないままに住民税の申告漏れが発生しているケースもあります。 このような場合、住民税の脱税と見なされるリスクがあります。
深刻な不備があった際には、追徴課税を課される可能性も否めません。
このような理由から、仮想通貨投資にあたっては、住民税に関する理解が重要となります。仮想通貨投資に課される住民税について知識を持ち、正しく申告をしましょう。