家賃滞納者への督促はいつからできる?対応手順と法的手段の種類3つ
2020 06.4この記事はPRを含みます
家賃滞納とは
家賃滞納というのは、アパートやマンション経営をしているときに入居者が家賃を支払わず、本来入るはずの月々の家賃収入が入らないことを言います。
マンション経営・アパート経営ではよくあるリスクです。なるべく家賃滞納をしないような質の良い住人のみを入居させるように気をつけることはできますが、必ず家賃滞納を防ぐという方法は存在していないのが現状です。
家賃滞納が起こる理由
本来、入居する際に勤務先などを聞いていたはずの入居者ですが、転職やリストラされたりなどの理由で金銭的に困窮していることによって家賃滞納が起こります。
中には収入があるのに家賃を支払わないようなパターンもあります。しかし一般的には、入居したときとは違う金銭状況になり、金銭的に困窮した入居者が家賃滞納を起こしてしまうことがほとんどでしょう。
家賃滞納はいつまで待つ
入居者の家賃滞納をいつまで待つかということですが、実は督促をそんなに待つ必要はなく、支払い予定日を過ぎたらなるべく早めに訪問・電話による督促を行うことができます。
家賃滞納かと思いきや、入居者がただ単に振り込むのを忘れていただけ、といったことがあります。そういう場合は電話や訪問による督促ですぐに支払ってもらえるので、支払い予定日を過ぎたら入居者に確認してみても問題ないでしょう。
家賃滞納者への対応手順3つ
家賃滞納が起こるということは、オーナーにとって家賃収入が絶たれることになりますので長く放置できることではありません。できるだけ早めに対応しなければ、取り返しのつかないことになる可能性すらあります。
家賃滞納をしている入居者に対してどう対応していけばよいのか、手順を見ていきましょう。
手順1:翌日から1か月以内に本人へ連絡・督促
支払い予定日を過ぎても家賃の入金がなく、家賃滞納が起こった場合、まず行うことは入居者本人への電話や訪問での連絡・督促になります。行うのは支払い予定日を過ぎて家賃滞納を確認してすぐ、または滞納が起こって1週間以内です。
本人が支払いを忘れていただけの可能性もあるので、家賃滞納しているからといって深夜の訪問やしつこい督促をしないよう気をつけましょう。円満に解決させるため、オーナー側も行動に気をつける必要があります。
手順2:内容証明の送付・連帯保証人へ連絡
入居者本人に訪問したり電話をして家賃滞納の連絡・督促を行っても返答がない場合、いっこうに家賃の入金がない場合などには、滞納発生から2週間程度で「内容証明」の送付と連帯保証人への連絡を行うことになります。
督促状を内容証明で送ることで、入居者が慌てて家賃の振り込みを行ってくることがあります。また連帯保証人に連絡を入れれば、連帯保証人から本人へ連絡がいくことも期待できるでしょう。
手順3:裁判の申立て・強制退去
督促状を何度送っても返信がなく家賃滞納が続いた場合、3か月を経過した時点で賃貸借契約解除のための「催告書」を内容証明で送付し、それでも何もなかった場合にはいよいよ裁判の申し立てや強制退去といった法的手段に訴えることになります。
法的処置として建物明け渡し訴訟の申立を行って、退去とともに滞納した家賃の支払いを求めます。裁判をして判決が出てからさらに執行文付与の申立、強制執行の申立をして執行となります。
家賃滞納でも強制退去できないケース3つ
入居者が家賃滞納をしたからといって、すぐに強制退去させられる訳ではなく下手をすれば1年くらいかかる場合があります。また、そもそも強制退去を求めることができないケースもあります。
家賃滞納をしているのに、オーナー側が強制退去を求めることができないケースというのはどのような場合なのでしょうか。
ケース1:電話に出る・支払う気がある
家賃滞納をしているけれど訪問した時に入居者が対応する、電話に出る、本人が支払う気がある、などこのような場合は法的手段に出ることはできません。
「〇日までにはなんとか払いますので」といったように支払う気があることをアピールしている場合は、円満な解決のためにもオーナー側は大人しく待つしかないでしょう。しかし、家賃滞納が3か月を超えた場合はまた別の話になります。
ケース2:正当な事由でたまたま遅れた
家賃を振り込みで行っているような人の場合は、振り込みを忘れたり、入院などをしていて家賃の引き落としができず支払いが遅れたような場合にも、強制退去を執行することはできません。
たまたま遅れたため家賃滞納になっただけであって、相手に支払う意思があるということになります。ただし、この場合であっても家賃滞納が3か月を超えていないことが条件となるでしょう。
ケース3:2か月以上の滞納はない
よく家賃滞納をする人がいるから強制退去させたい、と考えるオーナーさんもいますが、2か月以上の滞納がない場合は強制退去のような法的手段をとることができないでしょう。
家賃滞納2か月までは、オーナー側が法的手段をとることは難しいです。しかしケース1とケース2で挙げたとおり、家賃滞納が3か月を超えていた場合は別で、オーナー側が賃貸借契約の解除や法的処置をとることができるようになります。
家賃滞納者への法的手段3つ
家賃滞納が3か月以上になったとき、オーナー側はいよいよ法的処置をとることができるようになります。ここでは家賃滞納者にとれる法的手段について、契約解除や差し押さえ・明け渡し請求について見ていきましょう。
ただ気をつけて欲しいのは、実際に法的処置をとるとなっても決して迅速ではないということです。裁判を起こす場合は家賃滞納から半年程度はかかるでしょうし、下手をすれば1年近くかかるようなこともあります。
法的手段1:契約解除
実際に法的手段による解決を図ることは、入居者と交わしている「賃貸借契約」の契約解除の予告通知、法的処置で解決をはかる旨を記載した「催告書」を内容証明郵便で送ることからはじまります。
賃貸借契約は、通常はどちらか一方から解除することはできません。悪質性・常習性が高く家賃滞納が3か月以上となってはじめて、家賃滞納者に対して契約解除をする旨伝えることができるようになるのです。
法的手段2:差し押さえ
オーナー側がとることのできる法的手段として、裁判所で債権差押命令申立を行って滞納者の給料の差し押さえを行ったりすることができます。
しかし、給料の差し押さえをすると確実に勤務先に知られてしまいます。さらに手取り額の1/4までしか差し押さえできないデメリットがあります。
もしも家賃滞納が勤務先に知られたことによって入居者が退職した場合、さらに支払いが滞る可能性があるので、基本的には建物の明け渡しの方を優先した方がよいでしょう。
法的手段3:明け渡し請求
催告書を送っても進展しなかった場合、「明け渡し訴訟の申立」を行い裁判をし、判決がでてから「執行文付与の申立」、判決の「送達証明書」の取得を行い「強制執行の申立」となります。
「強制執行の申立」を行うと執行官との打ち合わせがあり、明け渡しの催告をして強制執行日を伝え実際の強制執行、明け渡しとなります。「明け渡し訴訟の申立」から裁判をはさむので早くても3か月程度はかかることになります。
家賃滞納の対策ポイント3つ
完全に家賃滞納リスクを防ぐということは非常に難しいのですが、気をつけておくことで多少は防ぐことが可能だと言われています。
どのようなポイントに気をつけていれば家賃滞納リスクを下げることができるのか、見ていきましょう。具体的には家賃の支払いに口座振替を利用することや、契約前の審査を慎重に行うこと、家賃保証会社の利用などの方法があります。
ポイント1:口座振替を利用する
入居者のうっかりミスで家賃滞納を起こさないために有効なのが、家賃を自動で口座引き落としにする口座振替の利用です。
振り込みでは入居者が忘れただけで家賃滞納が起こる可能性があります。口座振替なら、入居者の口座から自動引き落としをすることでより確実に家賃収入を確保できるメリットがあります。
ただし、この方法では入居者のミスでの家賃滞納は防げても、金銭的困窮による滞納には対応できません。
ポイント2: 契約前の審査を慎重に行う
いったん賃貸借契約を結んでしまっては簡単に解除することはできないので、大事なことは契約前に入居希望者の審査を慎重に行うことです。管理会社に任せる場合にも、その管理会社がきちんと審査をして質のよい入居者を入居させているかどうか確認しておくとよいでしょう。
ここで大事なことは、本人の身の丈にあった家賃かどうかということです。給料に占める家賃が高すぎれば家賃に支払いが困難になり滞納リスクが上がります。
ポイント3:家賃保証会社を活用する
家賃滞納を防ぐというよりも、滞納が起こったときになるべく損失を出さないために有効なのが「家賃保証会社」を活用するという方法になります。
家賃保証会社が入居者の審査を行ったり、万が一家賃滞納が起こったときの立て替え、そして入居者への滞納家賃の督促や回収を行います。夜逃げや事故の対応などをサービスとしているところもあるため、サービス内容を詳しくチェックすることをおすすめします。
家賃保証会社の特徴2つ
家賃保証会社は賃貸保証会社とも言い、物件を借りるときに必要となる連帯保証人の代わりとなる保証会社です。
昨今では連帯保証人がいるからといって安心できないとも言われており、逆に家賃保証会社の方が信頼できるというオーナーさんもいます。
特徴1:保証人の代わりになってくれる
昔は連帯保証人として家族がなることが多かったのですが、昨今では連帯保証人の代わりに家賃保証会社に頼むこともできるようになってきました。
連帯保証人が家族である場合、昔は効果があったのですが、昨今は保証人も金銭的に困窮していれば家賃滞納しても支払いをしてくれないなどの問題がありました。家賃保証会社なら、滞納された家賃の立て替えなどを行ってくれます。
特徴2:万が一の滞納督促から残留処分まで保証
もしも万が一入居者が家賃滞納をした場合、家賃保証会社は滞納家賃の立て替えをはじめとして入居者に直接滞納催促をすることや、入居者の残した家財道具などの処分まで保証内容としています。
この他に入居者が亡くなった時の原状回復費保証なども行っていますが、これらのサービス内容には家賃保証会社によって違いがあるため、あらかじめどのような保証があるのか確認しておくことが重要です。
家賃滞納者への対応はプロに任せよう
家賃滞納は不動産投資としてマンション経営をするなら、想定しておくべきリスクです。また、家賃滞納の入居者に対して、オーナーは慎重に対応を行わなければ円満な解決を妨げてしまう可能性もあります。
家賃滞納者への対応は、できれば信頼できるプロに任せた方が安心でしょう。