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土地信託を始める前に|土地信託の6つのメリットと4つのデメリット

2020 06.4この記事はPRを含みます

土地信託とは

土地信託とは所有している土地の所有権を信託会社に移し、代わりに運営してもらうことで利益を得る方法です。

地主自身が土地活用を行うのではなく、専門家に信託することで収益を上げてもらい、収益の一部を配当金として利益を得る方法です。

一般的な建物の建設を前提とした土地活用では初期費用がかかる点がネックですが、土地信託の場合は建築費用の借入から信託会社に任せることが可能です。

信託の基本:一般社団法人信託協会

土地信託の種類

土地信託は賃貸型と処分型の2種類です。

土地信託は一般的に賃貸型を意味していることが多いでしょう。賃貸型は地主と信託会社で契約を結び、土地管理・運用で得られた利益の中から必要経費等を差し引いた額を信託配当として受け取ります。契約期間が終われば土地は地主に返されます。

一方、処分型の場合、信託会社の計画に沿って開発を行い、最終的に付加価値を上げた状態で売却することになるでしょう。

土地信託の6つのメリット

土地信託には6つのメリットがあります。

土地活用と言えば、一般的には所有している土地に建物を建てて行う賃貸経営を指す場合が多く、信託会社に所有権を移して運営を任せる土地信託はメジャーではないでしょう。

そのため、土地活用の方法として土地信託を検討している場合は、事前にメリットやデメリットについてしっかり確認しておく必要があります。ここでは土地信託の6つのメリットを紹介します。

メリット1:経営の手間やコストが省ける

土地信託ならすべて専門家に任せられるため、経営の手間やコストがかかりません。

個人で土地活用を行って収益を上げようと思っても、規模など限界があります。しかし信託会社なら、土地活用に関して蓄積しているノウハウの量が個人とは段違いでしょう。

また、運営にかかるコストも信託会社が払い、経営自体も任せられます。地主は信託会社の事業計画を信用するだけで、他には何もする必要はありません。

メリット2:不動産投資の知識や経験が不要

土地信託なら不動産投資のための知識が必要ありません。

所有している土地を活用した不動産投資で収益を得ようと思うと、専門的な知識や経験が必要になってきます。また、不動産投資会社などの専門家に協力してもらう場合は、それだけコストもかかるでしょう。

しかし土地信託なら事業開始前に行うマーケティング作業や収益性の分析、実際の土地運用もすべて信託会社が行うため、地主に知識や経験は不要でしょう。

メリット3:資金がなくても不動産投資を始められる

土地信託は不動産投資を行うための資金が必要ありません。

土地活用というと大抵の場合アパートやマンション、倉庫などの建物を建てる必要があり、どうしても事業資金が高額になってしまいます。自己資金でまかなえる人は少ないので、多くの場合は土地と建物を担保に数千万円以上借り入れることになるでしょう。

しかし土地信託なら、実際に運用を行う信託会社が資金を借り入れるため、地主は資金を心配する必要がありません。

メリット4:信託受益権を担保にできる

土地信託なら信託受益権自体が財産になるため、担保にした借り入れも可能です。

信託受益権は財産なので、信託受益権を売買したり、担保にして借り入れを行ったりすることが可能です。この点において、借地と土地信託には大きな違いがあります。

たとえば、借地は借り主に権利があるため、地主は自由に土地を処分することはできなくなります。しかし土地信託の場合は、信託受益権を土地の代わりに売買できるため、その心配がないでしょう。

メリット5:相続問題を回避できる

土地信託なら土地の所有権が信託会社に移るため、相続問題を回避することができます。

地主は土地信託により信託会社に土地を預ける代わりに信託受益権を受け取ることになります。信託受益権の相続は土地を相続する場合と比較して手続きが簡単な上、相続税を抑えることが可能な場合があります。

そのため、土地信託で土地の所有権を信託会社に移しておくことにより、土地の相続を行う場合の相続税問題を避けることができるでしょう。

相続税法関係:国税庁

メリット6:大規模な事業も可能になる

土地信託なら賃貸だけでなく、土地の規模によっては大規模な事業も可能です。

一般的に土地活用をしようと思うと、個人で負担できる資金を考慮するとアパートなどの賃貸経営になる場合が多いでしょう。また、商業ビルは金銭的負担が大きいだけでなく、規模が大きければ大きいほどリスクも高くなります。

しかし信託会社なら、賃貸住宅だけでなく、規模の大きな商業施設やビルなど、土地の条件に適した事業を行うことが可能でしょう。

土地信託の4つのデメリット

土地信託には4つのデメリットがあります。

ここまで紹介したように、土地信託では信託会社にすべてを任せられるため、一般的な土地活用による不動産投資とは異なるさまざまなメリットがありました。

しかし不動産投資である以上、土地信託にもデメリットは存在します。特に土地信託の場合、メリットと同様に信託会社に全てを任せることがデメリットにも繋がっています。ここでは土地信託の4つのデメリットについて紹介しましょう。

デメリット1:土地信託できない土地もある

土地信託ではすべての土地が信託できるわけではありません。

土地信託は、信託会社が土地を活用して収益を上げ、収益の一部を配当金として地主に返すシステムです。そのため、そもそも収益を上げられる見込みがない土地だった場合は、信託会社に契約を断られる可能性もあるでしょう。

信託会社が行う土地を活用した事業は幅広いですが、地域に需要がある施設を建設できる土地かどうか考えてみるとよいでしょう。

デメリット2:運用失敗のリスクがある

土地信託では信託会社次第で運用失敗の可能性もあります。

土地信託は信託会社が事業運営を行いますが、失敗した場合の負債まで信託会社が責任を持って負ってくれるわけではありません。発生した負債は地主が抱えることになります。

個人で土地活用を行う場合の規模はそれほど大きくないでしょう。しかし、企業主体である以上、事業規模の大きさゆえに恐ろしい額の負債を抱えるリスクがあることは念頭に置いておきましょう。

デメリット3:信託報酬を払うため収入が減る

土地信託では信託会社に報酬を支払うことになるため、他の土地活用よりも収入が少なくなります。

土地信託では事業運営をすべて信託会社に任せることにより、地主自身は低リスクで収益を得られます。しかしその分、実際の収益から信託会社の利益が引かれた分が配当金になるため、収益性も低くなります。

ただし、土地活用を行う場合のコストやリスクを考慮すると、収入が少なくてもリスクが少ない方がいいという場合もあるでしょう。

デメリット4:配当金の減額リスクがある

土地信託では必ず配当金があるとは限りません。

信託会社が事業運営により収入からさまざまな経費を差し引いた金額が収入となり、さらにその中から信託報酬が引かれた額が地主への配当金です。そのため、収入が少ない場合は配当金がないこともあるでしょう。

専門家に任せているのに収益が出ないのは納得ができないかもしれませんが、これは土地信託を行う以上、理解しておかなければいけない点になります。

土地信託の契約の5つの流れ

土地信託を契約する場合には5つの流れについて知っておきましょう。

土地信託を契約する場合、その信託会社と契約する場合でも基本的に決まった流れがあります。土地信託の契約において重要なことは、土地の所有権が信託会社に移ること、信託会社が土地を活用した運用を行うこと、信託期間が終わると土地が地主へ帰ってくることの3つです。

ここでは上記の3つを含めた、土地信託の契約の5つの流れについて紹介します。

土地信託の契約の流れ1:土地信託会社を探す

土地信託を契約する場合は、まずは土地信託会社を探しましょう。

信託会社や信託銀行など、土地信託を行う企業はさまざまです。もちろん選ぶ会社によって結果も異なるため、信託会社選びは慎重に行いましょう。

土地信託では土地の事業運用はすべて信託会社に委託しますが、地主自身も内容について理解しておきましょう。その上で、いくつかの信託会社や信託銀行に相談してみて、良いと思う信託会社を選ぶようにしましょう。

土地信託の契約の流れ2:信託契約締結および所有権移転

土地信託を契約する場合は、信託契約を結んで所有権を移します。

契約する信託会社が決まったら、信託契約を締結します。信託契約を結ぶことによって土地の所有権が信託会社に移転するため、土地の所有者は信託会社です。また、地主は信託受益権を得ることになります。

また、信託契約では信託会社が賃貸収入で事業計画のために要した借入金を返済していく期間が必要になるため、長期的な契約になるでしょう。

土地信託の契約の流れ3:信託会社による土地運用

土地信託を契約する場合は、信託会社による土地運用が行われます。

信託会社が事業計画や運営などを行うため、土地運用に関して地主が行うことはないでしょう。建築費用の借入なども信託会社が行うことになります。

また、信託会社は賃貸収入を得られる建物を建築して、運用していきます。ここで紹介する流れは前述した賃貸型の土地信託なので最後は返還しますが、処分型の場合、最終的に行うのは土地の売却です。

土地信託の契約の流れ4:地主への配当

土地信託を契約する場合は、得た収益から地主への配当があります。

信託会社が得た収入から借入金や各種税金、管理委託料などの諸経費が引かれ、さらに信託会社の報酬を差し引いた残りが配当として地主に支払われます。そのため、これらを差し引いて収益が残らなければ、地主への配当金はありません。

もちろん信託会社も地主への配当金が出るように事業計画を行いますが、必ず配当金があるわけではないことは覚えておきましょう。

土地信託の契約の流れ5:信託契約終了および土地建物の返還

土地信託を契約する場合は、契約満了で土地と建物が返還されます。

賃貸型の土地信託の場合、期間が満了すれば土地だけでなく建物も残った状態で返還してもらうことが可能です。ただし、信託期間が終了しても借入金が残っている場合は、売却して返済するか、収益を出すために引き続き信託契約を行うことになるでしょう。

信託期間中に借入金が完済され、期間終了と共に事業自体を手に入れるのが土地信託の理想だと言えるでしょう。

不動産投資の方法として土地信託を検討しよう

土地信託を土地活用の選択肢の一つとして考えてみましょう。

所有している土地に建物を建築することを前提とした不動産投資は、初期投資が高く、リスクをともないます。土地活用に手間やコストをかけたくないなら、信託会社にすべて任せられる土地信託も1つの方法です。

ただし土地信託にもデメリットはあるため、内容についてしっかりと理解した上で契約を検討するようにしましょう。

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