【家主の義務】火災報知器を取り付ける上でのポイント4つと設置方法
2020 06.29この記事はPRを含みます
火災報知器は設置義務がある?
火災報知器は、正式には火災警報器といいますが、2004年の消防法改正により、全ての住宅に設置が義務づけられました。2006年以降の新築住宅から設置が義務化され、既存の住宅も順次導入が進み、2019年には設置率が82.3%になっています。
【設 置 率】全国 設 置 率 82.3%(参考:平成30年6月1日時点 81.6%)
大家が自分で取り付けることは可能?
火災報知器というと、専門の業者に頼むイメージをお持ちの方も多いようですが、自分で取り付けることができます。
ネット通販やホームセンターなどで手に入れることができますし、作業時間も10分程度で取り付け可能です。このあとでご紹介する、設置場所などのポイントさえ押さえれば、初めての方でも自分でできるので、ぜひ参考にしてみてください。
火災報知器を取り付ける上でのポイント5つ
火災報知器の取り付け場所は、国が決めた基準に沿って、市町村の火災予防条例で定められています。大家自らが火災報知器を設置する場合は、国の基準や物件のある市町村の条例を守る必要があります。
大家自身で火災報知器を取り付ける際に、必ず押さえておいていただきたいポイントを5つご紹介します。
ポイント1:どこに設置すべきかを知る
火災報知器は、どこかに設置すればよいというものではなく、市町村の火災予防条例で定めた場所に取り付ける必要があります。
全国共通で決められている設置場所、市町村の条例で決められている設置場所の一部の事例についてご紹介します。設置に関して疑問点があったら、お住いの市町村の窓口に問い合わせてみましょう。
全国共通で設置が必要な場所
全国共通で設置が義務づけられているのは、寝室、寝室がある階の階段です。
住宅火災の被害で多いのは、就寝時に発生した火災の逃げ遅れによるものです。就寝時の逃げ遅れを防ぐために、子供部屋も含むすべての寝室に設置が義務づけられています。また、煙は階段から上の階へ広がるため、階段への設置も義務づけられているのです。
市町村条例により定められた設置箇所
各市町村では、全国共通の設置場所以外に、独自の基準を設けて火災予防条例を定めています。
たとえば、東京23区であれば、寝室、寝室がある階の階段以外に、台所や居室も設置義務対象として定めています。東京23区のとなりの川崎市は、共通部分以外に台所を設置義務対象としています。
また、沖縄県は、「台所は設置をおすすめする」としており、義務化対象は全国共通箇所のみです。
市町村条例別の設置場所
ポイント2:火災報知器の取り付け箇所
火災報知器は、設置する部屋だけでなく、取り付け箇所についても壁または天井と定められています。
壁や天井それぞれに、壁や天井でも決まった範囲で取りつける決まりがあるので、それぞれご紹介します。
壁に取り付ける場合
火災報知器を壁に取り付ける場合は、天井から15~50cm以内に設置するよう定められています。
また、各市町村の条例で、取り付け位置についてさらに細かく定めています。たとえば、東京消防庁では、「30平方メートル以上の台所の壁に取り付ける場合は、煙式の住宅用火災警報器とする」などがあります。
天井に取り付ける場合
火災報知器を天井に取り付ける場合は、火災報知器の中心を壁から60cm以上離すことや、火災報知器の中心をはりから60cm以上離すこと、換気扇やエアコンの吹き出し口から1.5m以上離すことが定められています。
また、市町村の条例でさらに細かく定められている場合もあるので、アパートのある地域の条例を必ず確認するようにしましょう。
取り付けを避けたい場所
設置場所については条例によって決められています。取り付けを避けたいというよりは、取り付けてはいけない場所が決められていると考えてください。
先ほどご紹介したとおり、天井に取り付ける場合は、火災報知器の中心を壁から60cm以上離す、火災報知器の中心をはりから60cm以上離す、換気扇やエアコンの吹き出し口から1.5m以上離すといった決まりを守りましょう。
ポイント3:火災報知器の選び方
住宅用の火災報知器には、「煙式」と「熱式」という2種類があり、設置場所によって適切な方式の火災報知器を設置します。
「煙式」と「熱式」のそれぞれの特徴と、それぞれどのような場所への設置が適しているか解説します。また、防音性の高い住宅で効果があるとされる「ワイヤレス連動型」も防災効果を期待できるので、併せてご紹介します。
煙式と熱式の違い
「煙式」の火災報知器は、煙を検知する方式で初期の段階で火災を検知できるため、寝室や階段への設置に適しています。特別な理由がなければ、「煙式」を設置するのが基本です。
「熱式」の火災報知器は、炎により周囲の温度が60℃以上になると、警報が鳴る仕組みです。台所など火災以外の煙で、火災報知器が反応する恐れがある場所にも設置できます。
便利なワイヤレス連動型
火災警報機能のみの火災報知器は、火災の警報のみを発するため、防音性の高い住宅では、火災元以外の部屋では警報が聞こえにくいという弱点があります。
そんな弱点をカバーするのが「ワイヤレス連動型」の火災報知器です。「ワイヤレス連動型」は、1つの部屋の警報器が火災を感知すると、ほかの部屋の警報器に信号を送信し、火災を知らせる機能があります。離れた部屋の火災にもすぐ気付けるため、早い段階で避難ができます。
ポイント4:費用の負担について
東京消防庁では、火災報知器の設置義務を「建物の所有者・管理者・占有者」とし、「賃貸住宅の場合は、話し合って決める」としています。
賃貸住宅の場合、一般的には大家は大家が負担することが多いです。
新築の場合と既存物件の場合
新築アパートの場合、条例で火災報知器の設置が義務づけられているため、大家が設置する場合が多いです。
既存物件の場合、大家が借り主負担で設置をお願いする場合もあるようですが、一般的には入居者の安全確保のために、大家が設置するケースが多いです。
賃貸アパートには、大家負担で火災報知器を設置すると考えておいた方がよいです。
ポイント5:取付費用
火災報知器は、ホームセンターなどで1個あたり約2千円前後から販売されています。火災報知器の設置には特別な資格は必要ないので、自分で設置すれば安く済ませることができます。
火災報知器の取り付けを業者へ取り付けを依頼する場合、単独の火災報知器は約5千円~1万円前後、連動式の場合は、約1万円~2万円前後です。
市町村によっては補助金が出るところもあるので、確認してみてください。
大家が火災報知器の取り付けで注意する点
大家が自分で火災報知を取り付ける場合、火災報知器選び以外にどのような注意点があるのでしょうか。火災報知器の取り付けの際に用意するものや、取り付け後のメンテナンスについてご紹介します。
交換目安は10年
住宅用火災報知器の交換目安は約10年で、古くなると電池切れや電子部品の劣化で火災を感知しなくなることがあります。
定期的に警報音が鳴動するか確認し、さらに、10年経過したら正常に作動していたとしても、新しいものと交換することをおすすめします。
本体以外にも道具が必要
配線がない火災報知器の取り付けは、特別な資格が必要ないため、大家自身がホームセンターなどで購入した火災報知器を取り付けできます。取り付けの際には、ドライバーが1本あれば十分ではないでしょうか。
天井へ取り付ける場合は、高い場所での作業となるため、電動ドライバーがあると作業が楽になりますし、安全といえます。安定した場所で脚立を使うなど、取り付けの際は安全対策に注意して作業を行なってください。
火災報知器は必ず取り付け対応を行おう
火災報知器の設置は、市町村の火災予防条例に従い設置する必要があり、賃貸アパートなどは大家が設置することが多いのではないでしょうか。
未設置の状態で火災が発生した場合は、民事的責任が問われる可能性も出てきます。
火災報知器は、安いものだと2千円程度で設置でき寿命も10年程度あるものですので、入居者の安全を考え、必ず設置することをおすすめします。