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賃貸不動産経営管理士の国家資格化に向けた取り組み3つと課題2つ

2020 06.4この記事はPRを含みます

賃貸不動産経営管理士とは

「賃貸不動産経営管理士」というのは、賃貸マンションなどの賃貸住宅に対して、管理を行っていくための知識を持っていること・技能や倫理観を持った専門家のことです。

この賃貸不動産経営管理士は将来的に国家資格になると言われています。国家資格になると、当然ですが試験の難易度は上がり、合格することが難しくなることが予想されます。そのため、民間の資格であるうちに取得する人が増えています。

賃貸不動産経営管理士の仕事内容

ここでは不動産に関係した資格の1つ、賃貸不動産経営管理士とはどういう仕事を行っているのか、仕事内容について紹介していきます。

賃貸不動産経営管理士の資格で行える仕事の種類は、賃貸住宅の「管理受託契約」、「賃貸借契約」の2つに関するもので大きく分けることができます。以下でそれぞれの仕事内容について紹介していきますので、見ていきましょう。

仕事内容:管理受託契約に関するもの

国家資格化に向かって動いている賃貸不動産経営管理士の管理受託契約に関する仕事としては、不動産の所有者(オーナー)に重要事項の説明をすることと、記名して押印するという仕事があります。

不動産の管理受託契約というのは、簡単に説明すると不動産の所有者(オーナー)が管理会社に不動産の管理を依頼する契約のことになります。その契約の内容について、重要なことなどをオーナーに対してしっかりと説明する仕事があります。

仕事内容:賃貸借契約に関するもの

賃貸不動産経営管理士の賃貸借契約に関する仕事としては、借主から家賃や敷金を受領し管理する仕事、賃貸借契約の更新の際に文書を作成したり、交付するといった仕事、賃貸借契約の終了時の交渉などが業務内容となるでしょう。

借主に対する管理についての説明、賃貸借契約の説明なども行うことがあります。とくにトラブルが起こりやすい賃貸借契約の終了時に、物件の原状回復や敷金についての交渉が専門家として期待されます。

国家資格はいつになるのか?

賃貸不動産経営管理士の国家資格化については以前から噂があったのですが、国家資格に向けての活動はずっと続いており、いつとは決まっていませんが近いうちに国家資格化される可能性はあります。

国家資格化の取り組みが始まった2007年以降、2011年度の国交省の賃貸住宅管理業者登録制度の創設、国家資格にするための検討会議などが開催されています。2020年には試験の出題数や難易度も他国家資格レベルに近づきます。

賃貸不動産経営管理士の国家資格化に向けた取り組み3つ

すでに上でも紹介しましたように、賃貸不動産経営管理士の国家資格化に向けた取り組みはいくつも行われてきています。

民間の資格が国家資格化することは、「知的財産管理技能士」や「FP技能士」などこれまでにもあったことです。しかし、民間資格の国家資格化には大きなハードルがあります。賃貸不動産経営管理士については、2017年以降とくに国家資格化への取り組みが本格化していると言われています。

取り組み1:国家資格昇格への検討会議が開催

賃貸不動産経営管理士の国家資格化への取り組みとして、国土交通省が「賃貸住宅管理業者登録制度に係る検討委員会」として、国家資格昇格に向けた検討会議を何度か開催しています。

現在(2020年1月)までのところ、「賃貸住宅管理業者登録制度に係る検討委員会」は平成27年10月の第1回、平成28年1月の第2回、平成28年2月の第3回の検討会議が行われています。検討会議の委員として、10名以上が参加しています。

取り組み2:賃貸住宅管理業士登録制度の一部改正

賃貸不動産経営管理士の国家資格化が近い将来にあると言われる理由の1つに、国土交通省もまた「賃貸住宅管理業士登録制度」の一部改正をして特定の業務を付与したという経緯があります。

国交省の「賃貸住宅管理業士登録制度」の一部改正では、任意の登録制度ではありますが賃貸住宅管理業務にルールを設けること、賃貸マンションやアパートなど賃貸住宅の管理適正化を目的として、資格者による設置の義務化などが改正されています。

取り組み3:国家資格化実務検討会の立ち上げ

賃貸不動産経営管理士の国家資格への昇格に向けた取り組みとして、検討会議として「(仮称)国家資格化実務検討会」が2017年に発足し、同年3月6日に初会合が開催されています。

これは「賃貸不動産経営管理士協議会」が行っている検討会議です。「賃貸不動産経営管理士協議会」は、2007年に複数の業界団体が結成し、発足させた協議会です。「(仮称)国家資格化実務検討会」のメンバーは弁護士1名を含めた8名程度です。

賃貸不動産経営管理士が国家資格になることの影響4つ

賃貸不動産経営管理士が実際に国家資格になった場合、どんな影響があるのか起こりうる影響やすでに起こっている現象について4つほど紹介いたします。

賃貸不動産経営管理士については、国家資格化への噂はかなり前からありました。そのため国家資格になると言いつつならないパターンも予想されていましたが、国家資格化に向けた活動が本格化した昨今は、近い将来に国家資格になるだろう、と言われており影響を受けています。

国家資格になることの影響1:信頼性の向上

賃貸不動産経営管理士の資格に限った話ではないのですが、やはり民間の資格だったものが国家資格になると、その資格に対する信頼性が大きく向上することになります。

同じような資格であっても、民間の資格よりも、国家資格の賃貸不動産経営管理士を取得しています、と言われると受ける印象が違ってくるでしょう。賃貸不動産経営管理士を国家資格にすることで、資格を有する人や資格に対する信頼性が上がります。

国家資格になることの影響2:ネームバリューが上がる

国家資格になることによって起こる影響の2つ目には、賃貸不動産経営管理士という資格のネームバリューが上がる、知名度が上がるという影響も考えられるでしょう。

民間資格である今は賃貸不動産経営管理士と言われても、不動産に詳しい人以外、ピンとこない人のほうが多いでしょう。しかし国家資格になれば、国家資格としてのネームバリューで賃貸不動産経営管理士の知名度がかなり上がることが予想されています。

国家資格になることの影響3:受験者が増える

国家資格の人気は高いため、賃貸不動産経営管理士が国家資格になると資格試験の受験者数が増えることは間違いありません。というのも、国家資格化するだろうと言われている昨今すでに、試験の受験者数が増加しているからです。

2019年の賃貸不動産経営管理士試験では、申し込み者数は過去最高の2万5千人を超え、まさに激増しました。ただこの激増の理由には、2020年からの試験厳格化の影響もあることでしょう。

国家資格になることの影響4:制度の変更

賃貸不動産経営管理士が国家資格になるためには法律で定められる必要があるため、賃貸不動産経営管理士に関する制度がいくつか変更になる可能性が高いです。

不動産投資でトラブルが起こることが増えており、そのようなトラブルを防ぐために国土交通省も賃貸不動産経営管理士を明記し業務を認めています。賃貸不動産経営管理士を国家資格化するときには、さらに制度が変わる可能性は高いと考えておきましょう。

賃貸不動産経営管理士が国家資格になるメリット3つ

賃貸不動産経営管理士は不動産投資のトラブル防止や、賃貸契約に関するトラブルへの対応のためにその活動が認められてきている資格です。そこで、国家資格になることのメリットには何があるのか紹介します。

国家資格になるメリット1:賃貸管理に詳しくなれる

賃貸不動産経営管理士が国家資格になることで、資格を取得した人が増えて賃貸管理に詳しくなれる他、資格を取得人からしっかりした賃貸管理の説明を受けることができるようになるでしょう。

昨今では、サラリーマンでも不動産投資に手を出す人が増えてきています。中には賃貸管理に詳しくない人も多く、それが元でトラブルが起こることもあります。賃貸管理に詳しくなれば、そういったトラブルが起こりにくくなることでしょう。

国家資格になるメリット2:第三者的な目線になれる

賃貸不動産経営管理士の国家資格化によって、第三者的な目線で不動産の管理ができるようになることや、第三者から見た目線での説明を受けることができるようになる、などのメリットがあるでしょう。

自分が所有している賃貸住宅について、第三者的の目線になれる人ばかりではありません。国家資格になってその資格を得ることで、第三者的の目線に立つことができたり、資格所有者からアドバイスをもらいやすくなるでしょう。

国家資格になるメリット3:判断力の向上

国家資格のネームバリューや信頼性はかなり高いものがありますので、賃貸不動産経営管理士が国家資格となったときには、オーナーや借主の判断力も向上することが見込まれています。

賃貸不動産経営管理士は、オーナーへの重要事項の説明や借主との交渉などが業務にあります。国家資格になることで賃貸不動産経営管理士の言葉に信頼性が増し、それによってオーナーや借主の判断力の向上も期待できるでしょう。

賃貸不動産経営管理士が国家資格になるための課題2つ

賃貸不動産経営管理士は国家資格になるだろうと言われていますが、実際に国家資格になるためにはいくつか課題があります。

国家資格化に向けた取り組み自体は、2007年頃からすでにありました。それでも現在(2020年1月)にいたるまで賃貸不動産経営管理士が国家資格となっていないのは、民間の資格が国家資格となるためにはいくつも超えなければならない課題があるためです。

国家資格になるための課題1:試験関連

賃貸不動産経営管理士が国家資格になるための課題の1つ目は、試験関連が国家資格にふさわしいものになることです。民間の試験なので、難易度が低いことが課題です。

ただ、この課題について解決することが明示されています。賃貸不動産経営管理士の試験については2020年から出題数や試験時間が変わり、すでにある不動産関係の国家資格と同様レベルの試験内容へ変わることになります。

国家資格になるための課題2:法律での規定

賃貸不動産経営管理士が国家資格になるためには、国会で法律に規定されなければならない、という課題はまだ残っています。

今はまだ、国土交通省の賃貸住宅管理業者登録制度で定められているだけで、他の不動産関係の国家資格のように法律で規定されている訳ではありません。法律で規定するためには政治家も関わることになりますので、この課題がいつ突破されるかは今のところ分からないのが現状です。

賃貸不動産経営管理士が国家資格になる可能性は大いにある

賃貸不動産経営管理士については、試験の変更や制度の改正などを受け、だんだんと国家資格となるための課題を突破してきていることは間違いありません。国家資格化に向けた動きは、本格化してきています。

まだいつになる、とまでは断言できる段階ではないのですが、将来的に賃貸不動産経営管理士が国家資格になる可能性は大いにあるため、資格取得を目指して勉強するのは無駄ではないでしょう。

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