レンタブル比の必要目安3つ|レンタブル比を考えるうえでのポイントは?
2020 06.29この記事はPRを含みます
レンタブル比とは
レンタブル比とは、賃貸面積比とも呼ばれる「延べ床面積に対する収益部分の床面積の割合」のことで、主に建築・不動産関係などでよく使われます。
エントランスや廊下などは賃貸することができない非収益部分となり、レンタブル比を求める際には、この非収益部分を考慮する必要があります。
レンタブル比の計算方法
レンタブル比は、貸室部分の面積÷延床面積で求められ、一般的に総延床面積の65%-80%と言われています。
レンタブル比が高いと賃貸スペースが広いということになり、収益を増やすことができる可能性があります。しかし、非収益部分であるエントランスや廊下のスペースが狭すぎてしまうと利便性が悪くなってしまい、場合によっては収益を増やすどころか入居希望者が集まらない可能性もあるでしょう。
マンションの建築などを考える際には、スペースの比率(レンタブル比)を考える必要が出てくるのです。
レンタブル比を高める必要性
レンタブル比が大きいということは収益部分が大きく、非収益部分は小さいということになり、建物を計画する際の目安とされます。
投資効率にとらわれすぎ非収益部分を小さくしすぎたために、物件の大きさに対してエレベーターの台数が少ない・エントランスや廊下部分が狭い・共有トイレが小さいとなると、入居者からすると不便な物件だと感じられてしまうでしょう。
投資効率にとらわれすぎず、入居者の利便性とのバランスをとることが大切です。
収益性をあげる
建物の延床面積に対し、収益部分となる場所の面積を広くとれば、その不動産の収益率は高くなります。逆に、エントランスや廊下、階段やエレベーターといった非収益部分が大きな割合を占めると収益率は低くなります。
レンタブル費が大きいということは収益部分が非収益部分より大きいということです。なので、レンタブル費を大きくすることで、収益性が上がる可能性があります。
賃貸ビルなどの投資の参考になる
賃貸マンションや賃貸オフィスなどの経営は、レンタブル比の大小が収支計画における目安になってくるので、重要な項目になってきます。
ただし、レンタブル比を重視して収益性を求めるあまりに入居者目線を失ってしまってはいけません。
確かに、エントランス、共用階段、廊下などからは賃料が入ってきません。しかし、入り口や廊下などの非収益部分が狭くなりすぎると、入居者にとっては不便です。そのため、その建物から離れていってしまう恐れがあります。
レンタブル比の必要項目2つ
延べ床面積に対して賃貸可能な収益部分であるスペースと、非収益部分である共用スペースの割合であるレンタブル比について説明してきました。
ここで、延べ床面積と共用部分の考え方についてもう少し詳しく説明します。
レンタブル比の必要項目1:総延べ床面積
延床面積とは、文字通り建物各階の床面積を合計した面積のことを指します。ここでいう床の面積は壁芯面積とも呼ばれ、外壁または柱の中心線で囲まれた部分の面積のことを指す面積を用います。
壁芯面積は、外壁や柱の半分の面積が含まれるので、実際に居住可能な部分の面積よりも大きくなる一方、押し入れ・クローゼットなどの収納部分やテラス・ウッドデッキ、玄関ポーチなど、延床面積として計算されない部分もあります。
レンタブル比の必要項目2:共用部分の面積
共用部分の面積は、延べ床面積から貸床面積を引けば求められます。貸床面積は建物の面積のうち、賃貸に回すことができる部分の床面積のことです。
一般的にマンションやオフィスビルは、共用部分であるエントランスや廊下、エレベーターは貸床面積として計算されません。
しかし、入居者にとっては共用部分が狭すぎると不便だと感じられてしまいます。そのため、適度な面積を確保しておくことも大切です。
レンタブル比の目安3つ
次は、賃貸マンション、ホテル、商業ビルのレンタルオフィスの3つの例でレンタブル比の違いを比較してみましょう。
一言で賃貸用投資物件と言っても、利用する目的によってレンタブル比も違ってくるからです。
レンタブル比の目安1:賃貸マンション
入居希望者がマンションを探すポイントとして、居住スペースの広さを重視するでしょう。しかし、居住スペースだけではなく、廊下やエレベーターホールなどの共用部分も見ています。
確かにレンタブル比が大きいほど収益性は高くなりますが、収益性ばかりを重視して入居者の利便性を損なってはいけません。
賃貸マンションの場合、通常は総延床面積の65%~80%と言われています。
レンタブル比の目安2:商業ビル
街を歩くと色々なビルがありますが自社ビルではなく、ビルを持つ所有者が投資用物件として部屋を貸しているものもあります。居住用ではないオフィスビルなどでは、レンタブル比を大きくして所有者の収益率を高められるよう設計されています。
一般的な賃貸事務所の場合、延べ床面積に対するレンタブル比は65~75%、基準床面積に対するレンタブル比は70~85%だと言われています。
レンタブル比を考えるポイント
レンタブル比は、建物の延べ床面積に対して、賃貸として貸し出すことのできる居住スペースの比率のことであると説明してきました。次に、土地を購入する際の指標である一種単価について説明します。
一種単価は分譲マンションや収益物件用の土地を仕入れる不動産業者が、収益性のある新築アパートや新築マンションをその土地に建てられるかというのを判断するための指標です。不動産投資に取り組むのであれば、合わせて理解しておいたほうが良いでしょう。
考えるうえでのポイント:一種単価で土地の価値を算定する
一種単価は、その土地を購入し投資物件を建築するにあたって採算にあうかどうかの目安を測るための指標になります。
収益物件を建てる際には利回り水準が非常に重要なので、マンションを建てる際建築主は期待利回りを設定します。土地1坪当たりにどれだけの広さの建物を建てられるかを考えるため、一種単価の計算をします。
賃貸アパート
総戸数が多いアパートやマンションは、戸建てに比べ比較的大きな家賃収入が期待できます。
反面、空室によって思ったような家賃収入が得られないという場合も考えられます。不動産投資の人気の高まりによって過剰供給であると言えますので、新築後3年目以降、家賃収入の下落が予想されます。
そのため、立地が良く、十分な賃貸需要が見込める地域など、さまざまな視点において慎重に判断する必要があります。
戸建て賃貸
アパート経営やマンション経営は、各部屋にキッチンやトイレなどを設置するため、建設費用がかかる割に利回りが低くなりがちです。しかし、戸建住宅の場合はアパート、マンションと比較して建設費用をおさえることが可能であるため、10%を超える利回りを期待できるメリットがあると言われています。
戸建住宅は、供給量が少なく子育て世代にとっては好条件な場合が多いので、同じエリアのアパートやマンションよりも高く家賃設定しても十分に需要があると言われています。
レンタブル比が大きい場合
ここまで、不動産経営を行うにあたって知っておくべき言葉である、レンタブル比とは何かについて説明してきました。
繰り返しになりますが、レンタブル比が平均値より大きい場合のメリットとデメリットについて説明していきます。
メリット
レンタブル比が大きいと建物の延床面積に対する収益部分の面積が広いということになります。
収益部分が広ければ広いほど不動産の収益率は高まります。そのため、このレンタブル比をいかに大きくするか建築士は様々な工夫をしています。
デメリット
レンタブル比が大きいということは、入居者の利便性が悪いということになります。非収益部分が小さいということは、物件規模に対してエレベーターの台数が少ない、エントランスや廊下や階段が狭い、共有トイレが小さいということだからです。
特にエントランスや廊下は物件を見に来た入居希望者に真っ先に見られる部分です。ここが極端に狭いと入居者にとっては使いにくい物件であると判断されることになってしまうでしょう。そんな印象を与えてしまったら、部屋の中が多少広くても挽回は不可能と言えます。
レンタブル比が小さい場合
レンタブル比は大きすぎてもいけません。それでは、逆にレンタブル平均と比較して比が小さい場合のメリット、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
次の項目で説明していきます。
メリット
レンタブル費が小さいということは非収益部分が大きいということです。つまり、物件の顔であるエントランスや廊下、共有トイレが広々としていると言えるので、入居者に良い第一印象を与えることができます。
賃貸マンションやアパートとしてではなく、レンタルオフィスとして利用を考えている場合には適していると言えるでしょう。
デメリット
逆に、建物の延床面積に対する収益部分の面積が狭いということなので、その不動産の収益率は悪くなります。
レンタブル比における収益部分とは居住スペースである部屋の広さですので、賃貸アパートやマンションの場合ですと入居者にとって住み心地が悪く、入居者の家族人数や成長、ペットの有無などによっては、すぐに退去されてしまい空室になってしまう可能性が高いでしょう。
レンタブル比の注意点
レンタブル比を計算するとき、業者にお願いする人が多いでしょう。
その場合、壁の表面から床面積を測る業者と壁心から測る業者がありますので注意が必要です。計算方法の違いで、同じ建物であるにもかかわらずレンタブル比に誤差が出てきてしまうからです。
業者にレンタブル比を計算してもらう場合は、計算方法も確認すると良いでしょう。
レンタブル比を目安に購入しよう
延べ床面積に対する収益部分であるレンタブル比は、その大小で建物の収益性に大きく影響すると言えます。ただし、収益面にばかり気を取られ、共用スペースを小さくすることで入居者の利便性をそこねてしまっては空室になってしまうリスクが高まるでしょう。
物件をどのように利用するかによって、レンタブル比のバランスを考えることが重要です。