抵当権抹消の方法と必要なケース3つ|必要書類と申請の手順を解説
2020 10.21この記事はPRを含みます
抵当権抹消とは?
住宅ローンを組んだ際に住宅に付けられた抵当権の設定は、お金の返済がすべて済んでも、自動的には外れません。そのため、抵当権抹消は自身で法務局から手続きを行う必要があります。
また、抵当権抹消が必要となるケースはいくつかあります。さらに、申請に必要な書類も多くあるため、スムーズな手続きができるよう、事前に把握しておくようにしましょう。
抵当権について
抵当権とは、住宅ローンのような大きくまとまったお金を借す場合に、その返済ができなくなってしまうことに備えて、お金を貸した側が家や土地などの不動産を担保として確保しておく設定のことです。
つまり、万が一、返済ができなくなってしまった場合には、その不動産をお金の代わりに差し出すという契約になります。
抵当権抹消の必要があるケース3つ
抵当権は自動的に消えることがありません。そのため、自身で抵当権抹消を行う必要があります。抵当権抹消する主なケースは、住宅ローンの返済が済んだときです。
内容を把握していないと、手続きをスムーズに行うことができなくなってしまうかもしれませんので、チェックしておきましょう。
ケース1:相続準備
もし、抵当権になっている不動産を相続する場合には、抵当権抹消の手続きが必要となります。抵当権が残ったままでは、その不動産を相続しても売却をすることができません。また、新しいローンを組んだりすることもできなくなってしまいます。
特に、相続人が複数人いる場合や、相続した人が抵当権抹消せずに亡くなってしまい、さらに相続が発生させてしまうと、抹消登記の手続きが難しくなってしまう場合もあるので注意が必要です。
ケース2:新たに融資を受ける
上記で述べ通り、抵当権が残ったままでは、新しいローンを組むことが難しいです。これは相続の場合に限りません。
また、すでに返済が済んでいたとしても、抵当権抹消が済んでいなければ、新しいローンを利用する際の審査で登記の流用と金融機関から判断されてしまう可能性もあります。そのため、不要な抵当権は事前に抹消しておかないと不利な状況になってしまいます。
ケース3:対象の不動産を売却する
抵当権は自動で消えることはないので、不動産を購入した際に利用したローンの返済が済んでいたとしても、抵当権は自身で手続きをしなければ抵当権は抹消されません。
そのため、もしローンの返済した家を売却しようとしても、抵当権が残っていれば、その不動産を購入しようとした人が本当にローンが完済されているか判断できないということもあります。
抵当権抹消登記に必要な書類4つ
先述した通り、抵当権が付いたままの住宅は様々なケースにおいて手続きが難しくなってしまうため、抵当権抹消はできるタイミングで速やかに行いましょう。
しかし、抵当権抹消登記には複雑な書類が多く必要となります。スムーズな抵当権抹消登記を行うためにも、事前に必要書類を把握し、準備しておくようにしましょう。
必要書類1:登記済証・登記識別情報
抵当権抹消をするためには、抵当権を設定した際に法務局から発行された登記済権利証、または登記識別情報通知の書類が必要となります。
これらは抵当権を設定した際に受け取る書類のため、返済が済むまでの長い期間の保存が必要となります。
もし、返済までの期間のうちに書類を紛失してしまった場合には、再発行ができず、特別な手続きを行う必要となってしまうので注意しましょう。
必要書類2:金融機関からの書類
返済が済むと、金融機関から抵当権抹消登記の申請を委任するという内容の書類が届きます。これも抵当権抹消登記に必要な書類となります。
場合によっては一部空欄になっていて、記入しなければいけない部分があります。もし、書き間違えをしてしまうと、再発行に時間も手間もかかってしまうので注意しましょう。
必要書類3:登記原因証明情報
返済が済むと、抵当権を抹消する原因を証明するための書類である登記原因証明情報の書類も金融機関から受け取ることになります。書類の名称は金融機関によって異なり、抵当権解除証書や放棄証書などの名前の書類となります。
この書類も一部空欄があり、自身で記入する部分があります。再発行には時間も手間もかかるので、書き間違えに注意しましょう。
必要書類4:住所・氏名変更を証明する書類
抵当権抹消には金融機関から受け取る書類だけでなく、自分で用意すべき書類もあります。しかし、自分で用意すべき書類は戸籍謄本、住民票など、用意することは難しくない物がほとんどなので事前に準備しておきましょう。
抵当権を設定したときと、住所や氏名などに変更がなければこれらは必要ない場合もあるので、事前の確認もするようにしておきましょう。
抵当権抹消登記の申請手順4つ
抵当権抹消は何度も経験するようなことではありません。そのため、申請の手順がわからずに、スムーズに抵当権抹消登記が進まないということもあるので、申請手順についても事前に把握しておくようにしましょう。
手順1:必要書類を用意する
まずは抵当権抹消登記に必要な書類を準備しておきます。場合によっては、上記で述べた4つの必要書類以外にも必要となる書類もあります。
そのため、事前に法務局に抵当権抹消登記の手続き申請について相談して、必要な書類聞き、申請の流れも確認しておきましょう。
手順2:登記申請書を作成する
必要書類の中には登記申請書も含まれています。登記申請書のフォーマットは法務局のホームページでダウンロードすることができます。
主な記載内容は、登記の目的や原因、抹消すべき登記、権利者、義務者などです。他にも記載すべきことがいろいろとあり、ややこしい項目もあるので、書き間違いに注意するようにしましょう。
手順3:法務局に書類を提出する
必要書類が準備できれば法務局に書類を提出します。もし、不備があれば担当者から教えてもらうことができるので、わからない部分がある書類は無理に記入したりせず、質問をまとめておくようにしましょう。
また、抵当権抹消登記の申請に必要な書類の中には、金融機関に返却しなければいけない書類もあるので注意し、印鑑も忘れずに持って行きましょう。
手順4:登記完了書を受け取る
申請が済めば、申請処理をした日付を書いた引換証を受け取ります。もし、提出した書類に不備がなければ、後日書類を受け取りに行きます。その際には登記申請に使用した印鑑と、本人確認書類、委任状が必要となります。
また、提出した書類に不備があれば、補正の連絡があるので、印鑑を持って法務局へ行きましょう。
抵当権抹消登記を司法書士に依頼するメリットとデメリット
抵当権抹消登記には準備する書類や申請の手続きがややこしい部分も多いです。そのため、抵当権抹消登記を司法書士に依頼して任せるという人もいます。しかし、司法書士に抵当権抹消登記を依頼することにはメリットだけでなく、デメリットもあります。
メリット:申請に関する手間が省ける
抵当権抹消登記では、ややこしい書類をいくつも準備する必要があります。しかし、司法書士に任せてしまえば、それら書類の準備から申請の手続きまで、任せることができるので大きく手間を省くことができます。
また、法務局の受付時間は平日の8:30〜17:15なので、ライフスタイルによってはなかなか法務局へ行けないという人も多いです。その点でも、司法書士に任せておけばすべて対応してもらうことができます。
デメリット:コストがかかる
抵当権抹消登記はややこしくはありますが、手間と時間をかければ自分で行うこともできます。自分で行えば、司法書士に頼んで、費用を発生させる必要はありません。
しかし、司法書士に抵当権抹消登記を頼むことで得られるメリットは多く、抵当権抹消登記の報酬も数万円ほどです。そのため、無理をして自分で抵当権抹消登記を行うよりも、司法書士に依頼することも検討してみましょう。
抵当権抹消登記の手続きは必要書類を用意してスムーズに行おう
抵当権は自動的には消えません。そのため、自身で手続きを行う必要があります。しかし、抵当権抹消登記はややこしい書類や申請手順があったりなどするので、事前に必要な書類や申請の流れを把握して、スムーズに抵当権抹消ができるようにしておきましょう。
もし、自分ではできないと感じた場合は無理をせずに司法書士に頼ることも検討しましょう。