連帯債務と連帯保証の違いとは|離婚した場合の連帯債務について2つ
2020 10.21この記事はPRを含みます
住宅ローンに保証人が必要になるケース
住宅ローンでは基本的に土地や建物といった物的担保があるため、人的担保である保証人は必要ないですが、名義が夫婦共有、土地が親族の持ち物、夫婦で収入を合算して借りる場合などは保証人が必要になるケースがあります。
また、この他にも金融機関から保証人をつけて欲しいとお願いされるケースがあります。
連帯債務となるケース
住宅ローンが連帯債務となるのは、夫婦の片方だけが債務者となるのでは収入面に不安があるというケースが多いです。
片方の収入だけでは厳しいと判断された場合、連帯債務として夫婦で収入を合算して住宅ローンを組むことができます。連帯債務の住宅ローンは「フラット35」や民間で連動債務型住宅ローンを用意している金融機関もあります。
連帯債務と連帯保証とペアローンの違い
夫婦で新居を購入する場合に住宅ローンを組むための保証人には、「連帯債務」、「連帯保証」、「ペアローン」といった種類があります。
ここでは連帯債務・連帯保証・ペアローンで住宅ローンを組んだ場合、どんな違いがあるのか見ていきましょう。
連帯債務と連帯保証とペアローンの違い1:連帯債務の特徴
まず連帯債務は、住宅ローンの主な債務者は夫婦のいずれかであり、どちらか1人は連帯債務者として債務者になるという特徴があります。
どちらも等しく住宅ローンの債務者となっているため、住宅ローン控除は受けることができます。
ただし、団体信用生命保険の対象になるのは主たる債務者のみであり、連帯債務者も対象にしたい場合は「夫婦連生型」の団体信用保険に加入する必要がありますので気をつけてください。
連帯債務と連帯保証とペアローンの違い2:連帯保証の特徴
連帯保証の特徴は、夫婦のどちらか1人が住宅ローンの債務者となり、もう1人は連帯保証人となるだけで債務者にはなりません。2人とも債務者となる連帯債務との違いはここにあります。
住宅ローン債務者が返済不能に陥れば、連帯保証人となったもう1人が返済しなければなりません。しかし、連帯保証人の方は債務者ではないため住宅ローン控除の対象にはならず、団体信用生命保険に加入することもできません。
連帯責任との違い
連帯責任は、複数の人が共同で責任を負いますが、連帯保証は債務者が返済できなくなった場合、連帯保証人が返済の責任を負うことになります。
連帯責任の場合は、最初から複数の人に共同で責任が発生してしまいます。しかし連帯保証では、借りた人の返済が滞った場合などに、連帯保証人に返済する責任が生じます。また、借りた人の状況に関わらず、いきなり支払いを求められる可能性もあります。
連帯債務と連帯保証とペアローンの違い3:ペアローンの特徴
住宅ローンのペアローンは、夫婦それぞれが住宅ローンを組んで、お互いに相手の連帯保証人になるという特徴があります。連帯債務や連帯保証と違い、夫婦どちらも別々に住宅ローンを組みます。
2人が、それぞれに住宅ローンを組むのであれば名義を2人の共有にしておき、住宅ローンも2つ組むので手数料も倍になります。いくら借りられるかも夫婦それぞれの年収により違うので、団体信用保険も個別に加入する必要があります。
連帯債務のメリット
住宅ローンで連帯債務を選択するとどのようなメリットがあるのか、3つのメリットについて紹介します。
住宅ローンで連帯債務を選択した場合、主たる債務者は夫婦のどちらか1人に決めますが、連帯債務者も等しく債務を背負うという特徴があります。夫婦両方が共に債務を背負う、ということにはそれなりにメリットがあります。
連帯債務のメリット1:借入額が増える
1つ目のメリットとして、連帯債務では夫婦の収入を合算して住宅ローンの借り入れが行えるため、1人で借りたときや連帯債務なしで借りた場合よりも、借入額が増えることが挙げられます。
とくに近年では共働きの夫婦世帯が増えているため、夫婦の一方だけを債務者とするより連帯債務で夫婦どちらも債務者となった方が住宅ローンを借りやすくなり、借入額も増えるでしょう。
連帯債務のメリット2:住宅ローン控除が夫婦で適用される
連帯債務では主たる債務者を決めますが、夫婦2人とも等しく債務を背負う債務者となりますので、住宅ローン控除は夫婦のどちらも適用してもらえます。
例えば、連帯債務ではなく連帯保証だった場合、債務者は借りた人のみで連帯保証人になった方は、住宅ローン控除を利用できません。しかし、連帯債務の場合、夫婦2人が債務者なのでどちらも住宅ローン控除を利用することができます。
連帯債務のメリット3:団体信用生命保険に加入できる金融機関がある
連帯債務を選択した場合は、連帯債務者でも金融機関によっては「団体信用生命保険」へ加入し、そのメリットを受けることができます。
連帯債務では夫婦2人とも債務者になります。通常であれば住宅ローンを借りた人以外は団信に加入できません。しかし、連帯債務の場合は連帯債務者が加入できる場合があります。
万が一の際、住宅ローンの残高は生命保険で支払われるため、加入しておくことをおすすめします。
連帯債務のデメリット
ここまでは連帯債務のメリットについて紹介してきました。夫婦2人が債務者となることで受けられるメリットは増えますが、デメリットが発生する場合もあります。
ここからは、連帯債務によって発生する可能性があるリスクについて見ていきましょう。
連帯債務のデメリット1:返済リスクがある
住宅ローンを連帯債務で借りた場合、主たる債務者ではない連帯債務者にも債務があるため、失職や離婚したからといって返済の義務がなくなるわけではありません。
また、金融機関は夫婦両方に債権者として返済を要求する権利があります。そのため、連帯債務者を後から変更することは難しいでしょう。
連帯債務のデメリット2:連帯債務者の団信保険がない
メリットのところで連帯債務者も団信保険に加入できる金融機関があると紹介しましたが、連帯債務者では団信保険に加入できない金融機関もあることがデメリットとなります。
例えば、連帯債務者で団信に加入していなかった妻が亡くなった場合、夫は1人で連帯債務としている住宅ローンの返済を続けなければなりません。夫婦の収入合算ができなくなっても返済を続ける必要があります。
離婚した場合連帯債務について
住宅ローンを返済している最中に離婚することになった場合、債務はどうなるのでしょうか。離婚しても連帯債務者となっていた場合は、残った住宅ローンの返済を続ける必要がでてきます。
離婚して住んでいた家を出て行く場合でも、住宅ローンで連帯債務を選択していたら、基本的に連帯債務者としての返済義務が残ったままになります。
離婚した場合の連帯債務について1:共有も問題になる
夫婦どちらも債務者として、連帯債務選択時に物件を共有名義にしていた場合、共有であるということでさまざまな問題が発生する可能性があります。
土地や建物の名義が共有ならば、売却したくても相手の承諾がなければ売却することができなくなります。離婚で連絡がつかなくなれば、物件の売却も難しくなるでしょう。
離婚した場合の連帯債務について2:連帯債務と共有を解消するには
金融機関に相談して連帯債務を解消したり、共有名義を変えるのが難しかったりする場合はどんな手段が残されているのか、2つの方法を紹介します。
離婚した場合でも金融機関は、連帯債務者の解消や変更を簡単には認めてくれません。物件を共有したまま置いておくのも将来的な問題になる可能性があるため、なるべく早めに解消したいところです。
売却
連帯債務となっている住宅を売りに出し、その売却額で返済を行って連帯債務状態を解消する方法があります。共有していた場合は、共有者全員の同意で売却すれば共有状態が解消されるでしょう。
ただし、住宅を売却してもまだ住宅ローンが残っているような場合は、ローンがなくなるまで返済を続ける必要があります。
財産分与と借り換え
連帯債務となっている住宅を売却して財産分与で解決したり、新たな住宅ローン借り換えで対応する方法があります。
住宅売却額が、ローン残債以上なら共有財産としてきちんと分ける必要があります。ただし、売却しても残債に満たない場合は財産分与の対象にはならず、残った残債を2人で返済する必要があります。
離婚時の条件として返済義務をなくしたい場合、ローンの借り換えをして連帯債務となっている住宅ローンを返済する方法もあります。
連帯債務と連帯保証人の違いについて知っておこう
今回の記事では連帯債務や連帯保証人、ペアローンとの違いについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。住宅ローンは離婚時に問題になることが多いため、どれを選ぶかは慎重に考える必要があります。
連帯債務や連帯保証、ペアローンの特徴を知って、自分たちが利用しやすい住宅ローンを選んでみましょう。