不動産業界の2020年問題の懸念|暴落の根拠4つと疑問点2つ
2020 06.4この記事はPRを含みます
不動産業界の2020年問題とは?
不動産業界の「2020年問題」とは、東京オリンピック・パラリンピックの開催、閉幕を機に東京を中心とした不動産の価格が暴落するのではないか、と言われている問題です。
現在すでに2020年になっており、不動産業界にとって2020年問題は喫緊の課題となってきました。
都心マンション価格の高騰
2013年以降、都心マンションの価格の高騰が続いています。日本銀行の金融システムリポートでも、不動産業向け貸し出しがかつてのバブル期並みであると言われていますので、高騰しているのは間違いありません。
東京を中心としたマンションなど不動産価格の高騰は、オリンピックの影響や外国人投資家による投資、東京の人口が増加していることが原因と言われています。
不動産が暴落する可能性
まず現在において不動産、マンション価格の高騰がありました。いずれ不動産価格が下がるときがくるのは当然のことではありますが、低下どころか暴落するのではないか、というのが2020年問題です。
バブル期には不動産価格が高騰し続け、日本は好景気でした。しかし、バブル崩壊が起こり、不動産価格は暴落に転じてかつての価格の半額以下などで投げ売られていたことがまだ記憶に残っている人も多いでしょう。
2020年にも同じように不動産価格の暴落が起きるのではという懸念があります。
不動産業界の2020年問題の懸念
不動産業界の2020年問題の懸念はまったく根拠がない訳ではなく、ある程度の説得力があります。そもそも現在の不動産に対する熱が過熱気味であること、バブル期並みというのを危険な兆候ととらえる人は少なくありません。
しかし一方で、2020年問題とするのは大げさだ、という説もあります。多少不動産価格が落ち着くことがあるとしても、暴落まではいかないのではないかとする意見です。
不動産の価格が暴落するのではないか?
たしかに、2020年問題として不動産の価格が2020年を機に暴落に転じるのではないかという話が根拠にありますが、暴落というほどではないという話もあります。
2020年問題がいよいよ来る、不動産価格は暴落する、と考えていたけれどそれほど暴落しなかった、ということもあるでしょう。これからは、不動産価格が暴落すると考えられている2020年問題の根拠と、それに対する疑問点について紹介します。
東京オリンピック後の不動産が暴落する根拠
2020年問題として東京オリンピック後の不動産暴落説にはどんな根拠があるのでしょうか。
実際には2020年問題ではオリンピック関係で暴落すると考えられているものと、オリンピックとは関係のない他の根拠があります。
2020年問題は本当に起こり、暴落してしまうのかについての根拠を見ていきましょう。
不動産が暴落する根拠1:省エネ基準の厳格化
2020年問題の根拠の1つ、2020年に住宅の省エネ基準が厳格化されることにより基準を満たさないマンションなどの不動産価値が下落、暴落すると言われています。
「マンションの2020年問題」として有名な話で、2016年に施行された「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」がいよいよ義務化されます。これにより、省エネ基準を満たさない中古不動産の価格に大きな影響が出ると考えられています。
不動産が暴落する根拠2:東京オリンピック後の空室の増加
東京オリンピックに向けて、ホテルやマンションの新築がどんどん増加していますが、東京オリンピック後にはそれらの物件がそのまま空室の増加につながり、不動産価格が暴落するという根拠です。
東京オリンピックに向けてインフラ整備などが行われていますが、オリンピックが終わればインフラ整備・新築の不動産などは減少します。不動産高騰の原因の1つに建設費用の増加がありましたが、それがなくなるという根拠です。
不動産が暴落する根拠3:人口減少による空き家の増加
これは2020年問題に限った話ではないのですが、日本は少子高齢化であるためどんどん人口が減少しているという状況にあり、そのため空き室や空き家が増えて不動産価格が暴落するという予想です。
たしかに人口が減ってしまえば、不動産を購入する人や借りる人が減るため、価格は低下していくことになるでしょう。実際に人口減少が起こりつつあることを2020年問題で懸念されています。
不動産が暴落する根拠4:消費増税による不動産需要の落ち込み
明確に2020年から影響がでる、不動産の2020年問題と言われることになった根拠の1つが2019年10月に行われた消費増税です。この根拠には、過去に消費増税が行われた後、不動産販売数が減少したという根拠があるため説得力が高いでしょう。
実際に、消費増税に備えて住宅の駆け込み消費が行われた反動で、2020年から不動産の需要は落ち込み需要が減少することで不動産価格も下落していくだろうと予想されています。
本当に暴落する?暴落に対しての疑問点4つ
不動産業界の2020年問題、「2020年を機に不動産価格は暴落する」のは本当なのかというと、それに対する疑問点がいくつかありますので見ていきましょう。
といいますのも、不動産価格が暴落する、という話は2020年問題に限った話ではありません。不動産についても2020年問題以外に、2022年問題、2025年問題というのも言われています。暴落の予想というのは、そんなに珍しいことではないということです。
暴落に対しての疑問点1:今までの暴落予想に対しての下落率
バブルとまではいかなくても、もっと近いリーマンショックで不動産の下落率は新築で6%と、価格が暴落したもののそれほどの暴落ではなかったという例もあります。
実際に不動産が暴落した例で、この下落率です。土地価格は下落を続けたのですが、マンションはというと新規のマンション供給が滞ったことにより、それほどの下落率にはならなかったと言われています。
暴落に対しての疑問点2:良質な土地と物件は高止まりのままで安定
これまでのバブルやリーマンショックなどの不動産価格の暴落によっても、それほど価格が落ちなかった良質な土地や物件は2020年問題が起こったとしても、やはり高止まりしていると考えられています。
これらの良質な土地というのは、かつて一度暴落してもその後再び価格が上昇し、持ち直した物件です。好立地など需要が高い土地や物件は、2020年問題で暴落があったとしても、それほど影響を受けないと予想されています。
暴落に対しての疑問点3:オリンピックにより外国人居住者が増える
これは2020年問題に限った話ではないのですが、人口減少による空き室増加での暴落というのは、これから外国人居住者が増えることによって起こらないのではないか、という疑問です。
たしかに日本は少子高齢化を迎えているため、人口の減少は避けられません。しかし、政府は減った人口を補うべく、高度な技術を持った外国人の受け入れなどを随時増やしてきています。そのため思ったより人口減にならないのではないかという予想です。
暴落に対しての疑問点4:都内への人口流入が増える
よくも悪くも東京への一極集中は止まっておらず、今後も続くと考えられていることから都内への人口流入は続き、人口が増加し続けるなら不動産価格の暴落も起こらないのではないかとも考えられています。
日本は、地方では人口流出が続いていますが、東京などの首都圏や大阪などは逆に、人口がどんどん流入しています。この流れは2020年を迎えても変わらない、2020年問題の人口減少にはならないだろうという疑問点です。
不動産業界の2020年問題への対処法3個
現在のところ、不動産の2020年問題は起こるとも起こらないとも言えない状況にあります。しかし、確実に「不動産業界の2020年問題、暴落など起こらない」とは言えないわけです。
2020年問題が起こるかもしれないことを念頭において、そのための対処を行っておくことが大切です。ここからは、不動産において注意しておきたいポイントを紹介します。
2020年問題への対処法1:好条件の物件を探す
不動産の投資や売買の上では当然の話ではあるのですが、2020年問題への対処としてもより好条件で安い物件を探すことがポイントになるでしょう。
これから不動産に投資する、不動産を取得するのは多少勇気のいることです。しかし駅近や景観が良いなど、不動産価値が下がりにくい付加価値をもった好条件の物件なら、例え2020年問題が起こったとしても影響を限定的に抑えることが不可能ではないでしょう。
2020年問題への対処法2:個別の物件情報を見る習慣を付ける
個別の物件情報について、詳細な情報なども調べる習慣をつけておくと安心でしょう。公開されていないようなことでも問い合わせして、物件の詳しい情報を知ってから不動産取引を行います。
2020年からは住宅の省エネ基準厳格化もあります。物件がきちんと基準を満たしているかどうか、満たしていないなら価格は見合うものなのか、など細かい物件情報のチェックを心掛けて行っていきましよう。
2012年問題への対処法3:常に市場のチェックを怠らない
物件の価格だけにとどまらず、不動産市場の傾向についてもチェックをしておくとよいでしょう。
不動産市場で価格の低下がはじまったとか、何かしらの徴候を常に感じ取れるように、市場のチェックは欠かせません。こうした不動産市場の動きは、自分が所有する物件にも必ず影響してくるからです。
2020年以降の不動産投資の問題
不動産には2020年問題以外に2022年問題、2025年問題もあります。
どうして問題と言われているのか、2020年問題は消費増税や省エネ基準、東京オリンピックといった根拠がありますが、2022年や2025年の問題の根拠は何なのか見ていきましょう。
2022年問題
不動産の2022年問題は「生産緑地」の期限が2022年に切れるところが多い、ということが根拠となっています。
「生産緑地」とは、30年間農地としてしか利用できない代わりに税制で優遇を受けてきた土地のことで、これらの多くが首都圏や近畿圏にあると言われています。
2022年に期限切れとなった土地は農地から宅地に転用され、多くの土地が売りに出されて結果価格が暴落するという理由です。
2025年問題
2025年問題は少子高齢化が原因となっている問題で、2025年には最も人口が多い世代と言われている「団塊の世代」が後期高齢化になることで起こる、と言われています。
団塊の世代の人口が減少に転じていくことになり、それにともなって相続により売られる不動産が増えて供給過多に陥り、不動産価格が暴落するという予想がされています。
不動産業界の2020年問題に備えよう
現在のところ、起こるとも起こらないとも言えない2020年問題ですが、何もせずにいることはおすすめできません。
不動産業界に2020年問題が起こる可能性があることを考えて、それに備えた不動産投資の売買を行い、備えておきましょう。