不動産所得は原則確定申告が必要!確定申告の手続きと申告科目11個を紹介
2020 06.4この記事はPRを含みます
確定申告とは
確定申告とは、1年間の収入や支出などから所得を計算した申告書を税務署へ提出し、納付するべき税金を確定する手続きのことです。
一般的には会社勤めを行っている人の場合は会社が納税しているため、確定申告をする必要はありません。
一方、フリーランスや経営者、不動産収入がある人は確定申告が必要になるため、会社員でも条件を満たしていれば確定申告をする必要があります。
確定申告の手続きと期間
確定申告では、前年度の1月1日から12月31日までの1年分の所得を申告します。
手続き期間は基本的に毎年2月16日から3月15日の1ヶ月間ですが、16日が土日祝日の場合は翌営業日から1ヶ月となります。事前に確認をしておきましょう。
3種類の提出方法があり、その内訳は「税務署へ郵送する方法」、「税務署に手渡しで提出する方法」、「e-Taxというオンラインシステムで申告する方法」です。郵送の場合は、手続き期限までの消印があれば期限内の扱いになります。
不動産所得とは
「不動産所得」とは、所有している収益不動産による収入全般を指します。
所有している土地や建物などの貸し出しや、地上権などの不動産上にある権利、船舶や航空機の貸し出しが該当します。
具体的には、賃貸物件を貸し付けることによる家賃収入や駐車場の運営、所有する土地に建てた看板の使用料などが当てはまるでしょう。
また、事業的な貸し付けだけでなく、知人などに一時的に自宅を貸して家賃を受け取った場合なども不動産所得になるでしょう。
不動産所得は原則確定申告が必要
不動産所得が年間20万円を超える場合には、確定申告が必要です。
最近は不動産投資として不動産を所有するケースも多いですが、不動産の収入から経費を差し引いた不動産の所得が20万円を超過するケースでは確定申告が必須です。そのため、大規模な事業として賃貸を行っていなくても申告の義務が発生するケースもあるでしょう。
また、不動産所得での確定申告では必要書類が多いため、期日間近になって慌てないようにしましょう。
不動産投資の確定申告の科目11個
前述のとおり、不動産投資で年間20万円以上の不動産所得が発生した場合、確定申告の義務が発生します。また、不動産所得は不動産収入から必要経費を引いた分が該当します。
どのような科目が収入金額にあたり、また、どのような科目を経費として計上できるのか、ここからは不動産投資の確定申告の科目11個をご紹介しましょう。
収入金額
不動産所得を計上する場合は、まずは収入金額を把握する必要があります。
不動産投資における総収入金額は定義づけられており、国税庁のサイトで確認することができます。具体的には、賃料として設定している家賃をはじめ、礼金、更新料、管理費、共益費などが収入になります。
以下に、収入金額として計上する科目を具体的にご説明しましょう。
科目1:家賃
「家賃」とは、賃貸アパートやマンションなどの賃料として設定しているもので、確定申告の際に収入金額に含まれます。
家賃は借り主からオーナーに対して支払われ、一般的に1ヶ月ごとの金額として設定されています。賃貸借契約を結んだ後は入居日から月末までの日割りの家賃と次月の家賃を支払うことになるでしょう。
また、住居系の家賃は非課税となりますが、事務所や工場、駐車場などの住居系以外の賃料は課税対象となります。
科目2:礼金
「礼金」とは、賃貸物件オーナーに対してのお礼として支払われるもので、確定申告の際に収入金額に含まれます。
礼金は借り主からオーナーに対して支払われる一時金で、敷金とは異なり、借り主には返還されません。一般的には、家賃の1ヶ月分や2ヶ月分で設定される場合が多いでしょう。
近年では、入居率を上げるために敷金礼金ゼロの物件も増えてきています。また、URの賃貸住宅や公共機関が貸主となる物件も礼金は発生しないでしょう。
科目3:更新料
「更新料」とは、たとえば2年ごとに部屋の契約の更新時に支払うもので、確定申告の際に収入金額に含まれます。
地域や物件によっては更新料がない場合もありますが、一般的には借り主からオーナーに更新料が支払われます。関東圏の場合は家賃の1ヶ月分が相場となっていますが、賃貸需要が高い地域では、家賃の2ヶ月分、3ヶ月分に設定されている場合も珍しくないでしょう。
科目4:管理費
「管理費」とは、賃貸物件を管理するための費用で、確定申告の際に収入金額に含まれます。
管理費は、家賃とは別に借り主からオーナーへの月々の支払金額が設定されているもので、具体的な使い道の決まりはありませんが、一般的には必要な設備の維持管理費として用いられます。
たとえば、アパートの清掃費用やアンテナなどの設備点検、敷地内の花壇の手入れや害虫駆除などの費用として使われるでしょう。
科目5:共益費
「共益費」とは、管理費と同じく賃貸物件を管理するための費用で、確定申告の際に収入金額に含まれます。
共益費と家賃は、月々の支払金額が別に設定されているもので、やはり使い道に関して決まりはありません。
主に共有部分の管理のために利用されるため、共同で使用する水道や電気代の支払いや、共有部分の清掃費用などに用いられるでしょう。また、物件によっては町内会費や水道代が共益費に含まれているケースもあります。
必要経費
次の不動産所得を計上する際のポイントは、必要経費を把握することです。
不動産投資として賃貸物件などを所有する場合、管理のために必要な経費がありますが、それらの経費は、確定申告の際には「費用」として計上し、収入から控除することが可能です。
ここからは、必要経費として計上する科目を具体的に紹介していきます。
科目1:税金
「税金」には、「固定資産税」や「都市計画税」などの種類があり、確定申告において必要経費という扱いで計上できます。
不動産投資にかかる税金は、経費として計上可能なので確定申告のために書類を残しておきましょう。また、不動産を購入した際の不動産取得税や、収入印紙などの税金も経費になるでしょう。
科目2:保険料
不動産投資をする際に必須である「保険料」は、確定申告の際に必要経費として計上することができます。
不動産投資では火災保険や地震保険などに入る場合も多いでしょう。それらの保険料は経費として計上できるため、忘れないようにしましょう。
科目3:減価償却費
建物の耐用年数により計上できる「減価償却費」は、確定申告の際に必要経費として計上できます。
建物には、構造や素材などによって耐用年数が設定されており、耐用年数に応じて減価償却費を計算していきます。
初年度に発生する予定だった支出を、各年度に分けて経費として計上することになります。
科目4:修繕費
部屋の機能を回復させるための「修繕費」は、確定申告の際に必要経費として計上可能です。
建物と同じく部屋も劣化するため、入居者が入れ替わるタイミングなどでクリーニング代やエアコンの交換費用などが発生するでしょう。
ただし、機能を向上させるための費用については、修繕費として一括での経費計上はできず、固定資産と同じく減価償却する必要があるでしょう。
科目5:ローンの金利
毎月返済している「ローン金利」は、確定申告の際に必要経費として計上することができます。
不動産購入のために融資を受けた場合、毎月返済することになるローンの何割かは元本ではなく金利になります。それらの金利や、手数料などは経費として計上可能です。
科目6:不動産管理会社への業務委託料
不動産管理会社への「業務委託料」は、確定申告の際に必要経費として計上できます。
中には所有物件を自己管理しているオーナーもいますが、管理会社に家賃の5%程度を支払い、クレーム対応や管理、家賃回収といった業務を任せる場合もあるでしょう。
不動産投資の経費として計上できないもの2個
ここまで、不動産投資の必要経費として計上できるものについて見てきましたが、反対に経費として計上できないものが2つあります。
たとえば、不動産投資に関係なく発生するような費用は、必要経費として計上することはできません。
ここでは、不動産投資の経費として計上できないものをご紹介します。
1:住民税
「住民税」は、不動産投資に関係なく発生するため、費用に計上することはできません。
住民税は前年度の所得税をもとに決定されるもので、地方自治体による教育や福祉、行政サービスの資金のために用いられるため、地域や収入によって金額は異なるでしょう。
2:所得税
「所得税」は不動産投資に関係なく発生するため、費用に計上することはできません。
所得税は1年間の所得にかかる税金で、収入から経費などを差し引いた金額です。所得には、不動産所得や事業所得などがあります。
不動産投資の確定申告での節税方法2選
不動産投資での確定申告の際に、節税効果を高める方法があります。
サラリーマンなどの本職を持っている人で、税金の負担を軽くするために不動産投資を行う人も多いでしょう。また、不動産投資を行う場合には、方法によってはさらにその効果を高めることが可能になります。
ここでは不動産投資の確定申告にて税金を抑えるための方法を2つ紹介します。
1:不動産投資を法人化する
不動産投資を法人化することで、相続税や所得税を抑えることができる場合があります。
不動産会社として法人化することにより、所有している資産を「会社」と「個人」でわけることができるため、相続によって取得する財産を減らすことができるでしょう。
相続は個人間での財産の無償移転になるため、法人化することで相続税や贈与税の課税対象になることはありません。また、所得税も法人税に変わるため、税率が変わって節税できる場合があるでしょう。
2:青色申告をする
青色申告をすることで、10万もしくは65万円の控除によって税金を抑えられる場合があります。
不動産投資が事業的な規模だと認められる場合、青色申告で65万円の控除が受けられるようになります。
このような不動産投資の場合の事業的規模とは、アパートなどの場合は部屋数が10室以上、もしくは独立家屋の場合は5棟以上を所有していることが条件となります。
不動産投資を始めたら確定申告をしよう
不動産投資での確定申告は、事前に調べるようにしましょう。
不動産投資は節税効果も高いため、やってみようと考えている方も多いでしょう。しかし不動産投資での確定申告の方法について情報が少なければ、いざというときに困ってしまいます。
不動産投資をする場合は、収支をしっかりとつけて必要書類を用意し、抜けがないように確定申告を行いましょう。