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固定資産税における経費の考え方4つ|計算する上でのポイントは?

2020 06.4この記事はPRを含みます

固定資産税とは

固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物などの不動産を所有している人に対してかかる税金のことです。

不動産投資のために不動産を所有している方も多いでしょう、そういった投資目的の不動産物件であっても、不動産を所有していれば原則固定資産税は発生します。

しかし固定資産税として納税した分は必要経費として認められますので、申告をすることで所得から差し引くことが可能です。

固定資産税等について:総務省

概要

固定資産税は「固定資産税評価基準」によって納税額が決定し、一括払いあるいは年4回に分けて分割払いが可能となっている税金です。

基本的には年4回の分割払いが一般的です。固定資産税の納税通知書が届いてから、同封の納付書で支払うか、口座振替で納付します。また一括払いも可能なため、支払い方法を各市町村へ確認しておくとよいでしょう。

償却資産税との違い

「償却資産税」というのは通称です。固定資産税は通常土地や建物が対象となっていますが、土地建物でない器具や備品(パソコンなど)・自動車税の対象にならない自動車などにかかる税金が「償却資産税」と呼ばれています。

土地建物以外で、市町村が課税している固定資産が償却資産税と言われているため、償却資産税は厳密には固定資産税の1部です。設備投資をする際には、考慮しておいた方がよい税金となっています。

資産課税:財務省

固定資産税評価額の違い

固定資産税の場合は「固定資産税評価額」に標準税額を掛けて税額を計算しますが、償却資産税は1つ1つ評価額を算出する必要があります。

固定資産税は「固定資産税評価額」とイコールではなく、「固定資産税評価額×標準税率1.4%」が固定資産税額となっているのが特徴です。償却資産税の場合は、対象となる償却資産を取得した年月日や取得時価格や耐用年数から1つ1つの償却資産について評価額をつける必要があります。

非課税枠の違い

固定資産税の中には「免税点」といって課税の対象とならない、いわゆる非課税枠と呼ばれるものがあり、固定資産税のうち家屋は20万円、土地は30万円、償却資産は150万円が免税点です。

この免税点の金額に満たない家屋や建物、償却資産は非課税となり課税の対象ではありません。固定資産税といっても、家屋か土地か、償却資産かで非課税枠の額に違いがあるので確認してみましょう。

固定資産税における経費の考え方4つ

不動産投資などで不動産を購入する際には、固定資産税がかかることを加味して考えておかなければなりません。

固定資産税は必要経費として計上することができる経費です。しかも不動産投資用として家屋や土地を所有していれば必ずかかる税金でもあるので、経費としてどういう面があるのか見ていきましょう。

経費の考え方1:経費率の高さ

固定資産税は新築やマンションを所有したような場合に高くなり、経費の中でも多くを占める経費率の高さが特徴となっています。

不動産投資で物件を所有した際に発生する必要経費としては、管理費や修繕費などの他に固定資産税をはじめとした税金があります。固定資産税や都市部であればかかる「都市計画税」は物件の賃料収入の約5%~10%にもなると言われており、けして無視できる金額ではないでしょう。

経費の考え方2:キャッシュフローで厳しくならないか

固定資産税は家屋や土地を所有している限り必ずかかる税金なので、たとえ不動産投資が赤字になっていようと関係がなく、キャッシュフローを悪化させる要因にもなりえます。

不動産の賃貸収入が悪化していれば、管理費や修繕費をある程度減らしていくことはできるでしょう。しかし、固定資産税は建物・家屋や償却資産を所有していれば必ずかかる費用なので減らすことができず、赤字のときはさらにキャッシュフローが厳しくなります。

経費の考え方3:節税面

キャッシュフローを厳しくする面があるとはいえ、毎年かかる必要経費なので固定資産税を経費として計上することで支払う税金額を減らす、という節税効果があります。

固定資産税を経費にすることで不動産投資が赤字になった場合も、悪いことばかりではありません。不動産投資以外に所得があってそちらの収入が高い場合、「損益通算」によって不動産投資で出た損失を所得から引くことで節税することが可能になります。

損益通算について:国税庁

経費の考え方4:標準的な目安

すでに上で紹介したように、不動産における固定資産税(都市計画税を含める)の税金の標準的な目安は「賃料収入の5%~10%」にものぼります。

不動産投資を考えている方は、想定される賃料収入から支払う固定資産税についておおまかに計算してみましょう。実際に不動産投資をした場合は、この他の必要経費として管理費・修繕費があり、ローン返済なども行っていくことになるのできちんとシミュレーションしましょう。

固定資産税を計算する上でのポイント

固定資産税を計算する上では「住宅用地の特別措置」を受けることが可能な場合もあるため、軽減措置がないか確認してみましょう。

固定資産税は固定資産税評価額に標準税率を掛けて計算すると紹介してきました。この標準税率はほとんどの自治体が1.4%なのですが、違う税率を採用している自治体もあるので確認してみましょう。

計算する上でのポイント:住宅用地の特別措置

固定資産税を計算する上でのポイントとなる「住宅用地の特別措置」とは、居住用として使用されている住宅のある土地に対して、税負担を軽減することを目的として導入されている処置です。

したがって、「住宅用地の特別措置」の対象となるのは、あくまでも居住用に使われている土地に限ります。事業用に使われている建物がある土地などは対象となっていません。

小規模住宅用地の場合

「小規模住宅用地」は、住宅1戸あたり200平方メートルまでの住宅用地のことを指しており、住宅用地の特別措置として固定資産税は価格の1/6、都市計画税は価格の1/3に軽減されます。

居住用の住宅が建っている場合が対象となります。更地の場合は住宅用地の特例処置の対象とはなりません。また、今後誰も住む予定がないと管理を放棄していたような場合もまた、住宅用地の対象とならないことがあります。

一般住宅用地の場合

「小規模住宅用地」である1戸あたり200平方メートルまでの住宅用地以外が「一般住宅用地」となり、固定資産税は価格の1/3、都市計画税は価格の2/3に軽減されます。

例えば300平方メートルの住宅用地だった場合は、200平方メートル分は小規模住宅用地となり、残った100平方メートル部分が一般住宅用地となるため注意が必要です。

○小規模「住宅用地」以外の「住宅用地」を一般「住宅用地」という。たとえば、300 ㎡の「住宅用地」(一戸建住宅の敷地)であれば、200 ㎡分が小規模「住宅用地」で、残りの 100㎡分が一般「住宅用地」となる。

https://www.mlit.go.jp/common/001205353.pdf

新築の家屋の場合

新築の家屋だった場合、新築を対象とした「固定資産税の減額措置」が受けられます。令和2年3月31日までに建設された新築住宅に対して適用されるため、新築の建築時期について注意が必要になります。

戸建て住宅で3年間の固定資産税額1/2を減額、マンションは5年間固定資産税額から1/2が減額されます。土地は小規模住宅用地で評価額の1/6・都市計画税は1/3、一般住宅用地で1/3・都市計画税2/3の軽減となっています。

固定資産税が経費になるタイミング2つ

固定資産税を経費として計上するタイミングは大きく分けて2つあり、好きなタイミングで計上できます。このタイミングについては、個人も法人も変わりません。

以下では「税金の支払い額が決まった日」と「支払い日」をタイミングとしています。しかし、この2つの他に「納期が分割されていた場合、分割それぞれの開始日」もまた、固定資産税を経費として計上するタイミングとなります。

経費になるタイミング1:支払う税金の金額が決まった日

固定資産税を経費として計上するタイミングで分かりやすいのが、「支払う固定資産税の税金額が決まった日」、つまり固定資産税の納付額が決定した日「納税通知書の交付日」となります。

例えば4月30日に納税通知書が交付され、5月中に固定資産税の納付を済ませた場合は4月30日の日付で固定資産税を経費として計上します。

経費になるタイミング2:支払い日

固定資産税の額がいつ決まったかに関わらず、「納税通知書」を受け取り納付書で税金を納付する、あるいは口座振替で支払いがあった日を経費に計上するタイミングとします。

4月30日に納税通知書が交付された場合、支払いが5月10日ならば5月10日の日付で固定資産税を経費として計上します。口座振替だった場合は、口座振替日が計上する日付となります。

固定資産税の経費に関しての注意点2つ

ここからは、固定資産税を経費として計上する際に注意しておきたいポイントについて紹介いたしますので、見ていきましょう。

ここで紹介するのは、自宅の一部を事務所として使用している場合の固定資産税はどうなるのか、売買時の固定資産税の取り扱いについての2つです。

経費に関しての注意点1:自宅の一部を事務所として使用している場合

自宅住宅の一部を事務所として使用している方の場合は、固定資産税を経費とするにはプライペートな部分と事務所の部分をしっかり分けて、割合で経費に計上にします。

ここで注意が必要なのは、建物の構造上からプライベートの居住用と事務所用が分かれていないと、経費として認められない場合があることです。自宅の一部を事務所としていて経費にしたい場合には、事務所用部分をしっかり分けていることが必要になるでしょう。

経費に関しての注意点2:売買時の固定資産税の精算金が経費化できない

固定資産税は毎年1月1日に不動産を所有している人に課税されますが、その後に売却した場合は一般的に引き渡し日以降の固定資産税を日割りして買主が精算し、売主が納税するので買主側の精算金が経費化できない問題です。

これは売却した後も売主が固定資産税を負担するのは不公平である、という考えから行われている慣習であり、法律で決まっている訳ではありません。固定資産税を納付するのは、あくまでも1月1日の所有者です。

そもそも個人事業主の必要な経費とは?

個人事業主が必要経費として計上できるものにはどんな費用があるのか、ここでは個人事業主に必要となる経費について紹介します。

個人事業主がしっかりと経費を計上することで、正確な所得を計算できます。経費にできる費用を必要経費に計上していなかった場合、本来支払うべき税金よりも多くの税金を支払うことになるため、確認しておきましょう。

個人事業税

個人事業税は、「事業を行っている個人が地方に対して納付する税金」のことです。税率は業種によって違いますが、たいていは5%となっています。

個人事業主全てに事業税がかかるという訳ではなく、決められた業種にかかります。ちなみに不動産投資としてアパート経営やマンション経営をしていた場合、10室以上の部屋を貸し出している場合は個人事業税の対象となるでしょう。

個人事業税:東京都主税局

消費税

個人事業主で「前々年の課税売上高が1,000万円以上」であった場合は、消費税をきちんと計算してしっかり納付する必要がでてきます。

個人事業主の場合、「前々年の課税売上高が1,000万円以下」であれぱ、その年の消費税の納税義務は免除となります。不動産投資でアパートやマンション経営をしていた場合、非課税になる取引と課税対象となる取引があるので注意が必要になります。

消費税の中小・小規模事業者向けの特例に関する資料:財務省

償却資産税

すでに解説してきましたように、「償却資産税は固定資産税の一部」であるため、固定資産税と同じように個人事業主が必要経費として計上できます。

償却資産税の対象となっているのは減価償却資産です。減価償却資産は、耐用年数によって毎年計上する必要があります。不動産投資でいう償却資産では、駐輪場やゴミ置き場などの共用部分、エアコンや郵便受け、看板などが対象となるでしょう。

固定資産税

ここでいう固定資産税とは、土地と家屋にかかる固定資産税のことになります。

固定資産税は毎年1月1日に不動産を所有していた場合にかかる税金であり、個人事業主の必要経費として計上することが認められています。建物については築年数で固定資産税は減少していく他、土地に対しても軽減措置などが実施されていますので確認してみましょう。

自動車税

個人事業主が事業のために使用した自動車については、「自動車税」も必要な経費として計上できます。

個人事業主の場合は、プライベートで事業用の自動車を使ってしまうこともあるでしょう。その場合は、全額を必要経費として認められない場合があります。家事按分(かじあんぶん)でプライベートでの使用部分と事業用使用部分でしっかり分けて計上することが必要になるでしょう。

印紙代

個人事業主が使用した「収入印紙代」については、「租税公課(そぜいこうか)」という科目で必要経費として計上できます。

不動産投資においては、「不動産売買契約書」や新築・リフォーム時の「建築工事請負契約書」、住宅ローン契約のときの「金銭消費貸借契約書」に収入印紙を添付する必要がでてくるでしょう。

勘定科目の説明:厚生労働省

固定資産税は経費計上できる!

固定資産税は不動産を所有した場合に必ず支払う必要のある税金です。しかしながら、固定資産税は必要経費として計上できるため、所得から経費として差し引くことで節税できたりします。

利益を増やすためにも固定資産税のように経費として計上できる費用を押さえ、適切な申告をしていきましょう。

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