債務償還年数の3つの構成要素|債務償還年数を良くする方法や注意点を理解し、融資を有利にする
2024 07.1この記事はPRを含みます
債務償還年数の構成要素がよくわからないんだよね。
そうなんだ。債務償還年数の構成要素について教えるね。
ありがとう、先生!債務償還年数を良くする方法や注意点についても知りたいな。
なるほどね。債務償還年数を良くする方法や注意点もあわせて教えるね。
債務償還年数とは
銀行としてはお金を貸すにあたり、貸付金を家賃などの利益によって滞りなく、確実にどれだけの年数で返済してもらえるかを重要視しています。
現在の利益やキャッシュフローで、借入金を何年で返せるかを見るための指標が債務償還年数です。
銀行の重要な評価項目の一つ
銀行が融資をする際、資金使途と返済能力の2つは特に重要視される審査項目と言えます。
特に返済能力は融資を受ける人に対する信用を意味します。
償還年数が長すぎず、許容範囲内であれば返済能力に問題なしと高評価で判断されますが、許容範囲を超え長期にわたる償還年数になると返済能力を疑問視され、低評価で格付けされてしまう可能性が十分考えられます。
15年以内がよい
ここで気になってくるのが、償還年数はどの程度の期間が望ましいのかということです。
不動産投資は、短くても10年以上、長いと35年程度にわたる返済になることがほとんどであると想定されます。
それを踏まえ、不動産投資における償還年数の理想的な期間としては、20年以内から15年以内を目指すことがよいと言われています。
最近では、45年という長期の償還年数であっても審査を通ることができるところもあるのですが、そのような銀行はまだまだ少数派であると考えたほうが良いでしょう。
どの銀行でも確実に審査に通れるようにしたいと考えるのであれば、15年以内に抑えるようにすれば不動産投資の償還年数としては優秀とみなされます。
20年以上は注意
古い築年数の物件の場合、残存耐用年数内を基準に償還年数を設定している銀行もあります。
残存耐用年数がなくなった場合の建て替えを想定していて、建て替え時にかかってくる多額の費用をまた融資しなければいけない点を考慮しているためです。
その為、償還期間が20年以上になってしまうと、返済能力を疑問視され信用格付にも大きく影響することになってしまいます。
債務償還年数の3つの構成要素
銀行から融資を受ける際に重要になってくる償還年数ですが、計算するにあたってどのような項目を見ていったらよいのでしょうか。
次の項目からは、計算式に必要な3つの構成要素について説明していきます。
債務償還年数の構成要素1:有利子負債
有利子負債とは、文字通りの意味で、利息が発生している負債のことです。
不動産投資の場合は、銀行から融資されているすべての金額の残債と思っておけば、ほぼ間違いないでしょう。
借入金の残高が、年間手取り額の何倍残っているかによって、債務償還年数に大きく影響してきます。
債務償還年数の構成要素2:正常運転資金
不動産賃貸の場合は物件取得費などの設備資金、会社設立のための資本金や書類作成費用、宅地建物取引士の資格取得や宅建協会加入費用、毎日の運営に必要な人件費や光熱費などが運転資金と考えられます。
しかし、銀行など一部の金融機関では不動産業の運転資金の融資に限っては、融資を拒否されるようです。何かを仕入れて販売する小売業や飲食業とは異なるため、運転資金が不要と考えているからです。
債務償還年数の構成要素3:キャッシュフロー
税引き後の利益に減価償却を足すと、簡易的なキャッシュフローを把握することができます。
時間の経過や使用により価値が減少していく固定資産は、購入費用をその耐用年数に応じて計上していきます。それが減価償却です。
実際には毎月使われているわけではない経費なので、減価償却の分だけお金が出て行ってないことになります。ですので、その分を足して計算するとつじつまが合うようになるのです。
債務償還年数=有利子負債合計-正常運転資金/キャッシュフロー
債務償還年数とは、有利子負債をキャッシュフローで何年で完済できるかという指標になります。
計算式は、債務償還年数=(有利子負債の合計-正常運転資金)/(キャッシュフロー)となります。
債務償還年数の3つの算式
借りすぎではないか、借金を返済する能力が十分にあるかどうかをチェックする指標として位置づけられている債務償還年数についてご理解いただいたところで、3通りの計算方法を説明します。
債務償還年数=借入金の残高和流(税引後利益+減価償却費)
(有利子負債の残高)÷(税引後利益+減価償却)という計算式は、債務償還年数計算方法の基本的なものです。
「税引後利益」は、年間利益から税金を支払ったあとの手取り額のことです。減価償却費とは「必要経費ではあるけれど、お金の支払いは過去に済んでいるもの」のことであり、その2つを足し、計算した計算式です。
債務償還年数=(借入金の残高-運転資金)÷(税引後利益+減価償却費)
「借入金の残高」から「運転資金」を除いた計算方法です。
事業を続けていく上で立て替え続けなければいけない経費である運転資金を、借入すべき金額として借入金の残高から控除したものがこの計算式です。
そのため、運転資金の金額が大きい場合には、債務償還年数は短くできると考えられます。
債務償還年数=(借入金の残高-運転資金-現金預金)÷(税引後利益+減価償却費)
運転資金を控除した借入金の残高から、現金預金も控除したものが上記の算式です。
一般的に、現金預金を持っているのであれば、借入金を返そうと思えば返せる状況にあると言ってよいでしょう。そのため、現金預金の金額が大きい場合、債務償還年数も短くなります。
債務償還年数をよくする方法
不動産投資をしていると、建物の建て替えやメンテナンスなどが必要となってきたタイミングで、再び融資が必要となるケースも多いでしょう。
そうなると返済期間の長期化が考えられます。そのため、きちんと返済できるのかどうか、どの程度の期間で返済することができるのかを、銀行側から不安視されることになってしまう可能性があります。
また返済に関しても、安定した家賃収入と言った利益が望めないと返済自体が滞ってしまうリスクも考えられます。
そのため、債務償還年数は特に重要視されていますので、よくするための努力が必要となってきます。どのような方法があるのか紹介していきます。
債務償還年数をよくする方法:有利子負債を小さくする
有利子負債/(経常利益+減価償却費)が債務償還年数の指標の計算式なので、これを良くするために、まず有利子負債を小さくする方法が思いつくと思います。
有利子負債を小さくするという観点から言うと「繰上返済」をするか、「元金均等返済」で借りる方法があります。
繰上返済をすると、債務償還年数だけで考えれば改善できたと考えられます。しかし、手元の現金は少なくなりますので、その他の指標ではマイナスの影響が出る恐れがあります。
借入を元金均等返済にすることで、最初のうちは毎月の返済額が元利均等より多くなってしまいます。しかし、その分元金を多く返していることになり元利均等よりは返済が早く進むため債務償還年数の改善に効果的な方法の一つです。
債務償還年数をよくする方法:経常利益+減価償却費を大きくする
債務償還年数をよくする方法に、経常利益と減価償却費を大きくするという方法もあります。
経常利益は毎月の収入のことなので、わかりやすいですね。減価償却費は支払い済みとはいえ必要経費ですので、計上することによって経常利益は少なくなります。
ただし、債務償還年数の指標上は、減価償却費を足し戻して計算しますので、その後の減価償却により定められた耐用年数にわたって費用となり、資産計上して減価償却費で処理すれば債務償還年数に影響を与えないのです。
債務償還年数に関する注意点
不動産投資をする場合、税理士に煩雑で細かい計算をお願いしたり、中古物件の投資を考えている人も多いでしょう。
しかし、その場合意注意しておくべき点がいくつかあります。どのような注意点があるのか説明していきます。
債務償還年数に関する注意点1: 古い物件は債務償還年数が短く設定される
古い物件の場合は、耐用年数内を基準に償還年数を設定する銀行もあります。
建て替えやメンテナンス時に多額の費用が必要になり、再び借り入れが必要となることが考えられます。そのため、耐用年数内で現在の借入金を返済ができるかどうかもチェックされるのです。
古い物件の場合耐用年数が短いため、債務償還年数も短めに設定されてしまうと考えたほうが良いでしょう。
新築物件をたくさん保有しているのであれば、減価償却が大きく取れる築古物件への投資も高利回りを狙うこともできるでしょう。しかし、そうでない場合は債務償還年数を考慮し、耐用年数をオーバーしてしまうような古い物件は避けて融資を依頼していくようにしたほうが賢明でしょう。
債務償還年数に関する注意点2:税理士に聞いても知ることができない
税理士と聞くと、「税金のエキスパートなので詳細な計算は税理士にすべてお願いすれば安心だ」と思っている人も多いことでしょう。
しかし、収益物件の銀行側の評価がどうなっているかまでは把握していないことが多いです。
そのため、不動産投資に詳しい税理士でなければ、債務償還年数まで意識した節税対策をしてくれないと思ってよいでしょう。
尚、税理士紹介センターでは、紹介料は一切無料で税理士に紹介してもらえます。
自分が希望する条件の税理士に出会うことが可能です。
土日祝対応しており、国内全国対応可能となります。
債務償還年数に関する注意点3:融資を受けられない時は債務償還年数が長いかもしれない
保有物件の債務償還年数が長期にわたるものであったり、耐用年数をオーバーしてると想定される築古物件である場合、融資が否決されてしまうこともあります。
中古物件は返済期間中に建物の建て替えやメンテナンスなどが必要になり、再融資が必要となると考えられます。銀行側としては、これ以上融資できない。するのは危険な状態であると判断してしまうのです。
債務償還年数は、返済能力の有無をチェックするための重要な指標であると説明してきました。融資が否決されるようでしたら、一度債務償還年数を計算しなおしてみましょう。
債務償還年数を理解すれば融資がしやすくなる
銀行員が融資を行う際に、重視している債務償還年数について説明していきました。
賃貸物件は、長期に渡って賃料を確保し返済していくものです。そのため、返済期間中に建物の建て替えやメンテナンスなどが必要となり、再び融資を受けることとなるケースも考えられます。
また返済に関しても、家賃収入などの投資で得られた利益のみで返済していこうとすると、安定した利益が望めなかった場合、返済自体が滞ってしまうリスクも考えられます。
常に貸したお金が戻ってくることを担保したい銀行側としては、どの程度の期間で返済することができるのかが不安要素となっているのです。
銀行側から貸倒れしてしまうことを不安視されない、安心して融資できる相手だと納得してもらえる債務償還年数に収めた賃貸経営が重要です。
その為に、現在のキャッシュフローや、投資をしようとする物件の築年数などを十分に見直し、できる限り債務償還年数を短くするようにしていきましょう。
不動産投資に関する記事を以下のリンク先にまとめていますので、興味がある方はご参照ください。
不動産運用を成功させるためのポイント7つ|不動産運用の方法についても紹介
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