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家賃収入に対する消費税|課税条件6つと非課税条件5つ・納税の仕方

2020 06.4この記事はPRを含みます

家賃収入にかかる消費税の納税対象者とは?

今後不動産収入を得て暮らしていこうと考えている人にとって、家賃収入にかかる消費税がどのような仕組みになっているのか気になるのではないでしょうか。

家賃収入とひとことで言っても、不動産の使用用途によって、課税されるものと非課税になるものに分けられます。

今回は、家賃収入により消費税を納税しなければならない人、消費税が非課税になる人について詳しくご紹介します。

消費税の課税区分

消費税の課税区分には、消費税がかかる「課税取引」と、消費税がかからない「非課税取引・不課税取引・免税取引」の4つがあります。

課税取引は、通常の課税取引です。

不課税取引は、課税取引に該当しない取引で、国外取引、寄附や贈与、出資に対する配当などになります。

非課税取引は、住宅貸付や商品券の物品譲渡など、課税は好ましくないと判断された取引です。

免税取引は、国外での消費による取引です。

家賃収入の消費税の課税条件6つ

同じ家賃収入なのに、課税対象になる人と非課税になる人がいるのはなぜなのか、疑問に感じられた人もいるでしょう。どのような賃貸物件を保有している人が課税対象者になるのでしょうか。

ここからは、家賃収入によって消費税が課税される場合のよくある条件を6つご紹介します。家賃収入で課税される消費税に興味のある人はぜひご覧ください。

課税条件1:事業用はすべて課税対象

課税条件の1つ目として、事業用はすべてが課税の対象であることです。賃貸物件は大きく分けて、人が住むことを目的とした「居住用」と、事務所や店舗など事業をおこなうことを目的とした「事業用」の2つに分類できます。

事業用として家賃収入を得ている賃貸物件の場合は、すべて課税対象となります。たとえば、貸事務所・貸店舗・貸倉庫・貸工場など、人が住むこと以外の目的で使用される物件を貸し出している場合などが当てはまります。

事業用物件は、共益費・礼金・保証金の償却費も課税されます。

課税条件2:賃貸物件の貸看板等の広告収入

課税条件の2つ目として、賃貸物件の貸看板などの広告による収入です。賃貸物件の屋上・壁面・塀などに貸看板を設置させることで広告収入を受け取っている場合も「不動産所得」に該当し、消費税の課税対象になります。

たとえ居住用の賃貸物件であっても、貸看板などは広告収入を得る目的の事業用と判断されるためです。同じように携帯電話などのアンテナ設置による収入も事業用とされ、消費税の課税対象となります。合わせて覚えておきましょう。

不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)

課税条件3:賃貸期間が1カ月未満(住宅用でも)

課税条件の3つ目として、賃貸期間が1カ月未満であることです。居住用として貸している賃貸物件の家賃収入については、基本的に非課税対象であるとお伝えしましたが例外もあります。

居住用の家賃収入であっても「賃貸の貸付期間が1カ月未満の場合」には課税の対象とされています。これは、貸付期間が1カ月と短いことから住宅用と判断されないためです。

また、旅館・貸別荘・リゾートマンション・ウィークリーマンションなどは、利用期間が1カ月以上となっても消費税の課税対象となります。

課税条件4:水道や電気代を別途管理料とする場合

課税条件の4つ目は、水道・電気代を別途で管理料とする場合です。水道や電気代などの光熱費は、個人で契約して費用を負担するのが一般的ですが、賃貸物件によっては光熱費を家賃や共益費などに含めて徴収するケースもあります。

光熱費を家賃や共益費に含めて徴収している場合には非課税となりますが、家賃とは別の名目で徴収している場合は徴収分が消費税の課税対象となります。

課税・非課税の取り扱いは契約書がベースとなるので、扱いに迷った場合は契約書を確認してみるといいでしょう。

課税条件5:入居者以外も利用可能な付帯施設(有料)

課税条件の5つ目は、入居者以外も利用可能な付帯施設です。賃貸によっては施設内にプール・温泉等施設・アスレチックなどを備えた物件があります。

賃貸物件に付帯施設がある場合、入居者のみが利用可能か、入居者以外も利用可能かによって課税の有無が異なります。

入居者のみが利用可能で、かつ家賃と別に利用料を徴収していない場合は非課税です。家賃と別に利用料を徴収している場合は課税対象です。入居者以外に利用料を支払って外部からも利用できる施設は、利用料金分が課税されます。

課税条件6:土地付きの事業用賃貸物件

課税条件の6つ目は、土地付きの事業用賃貸物件です。土地付き事業用賃貸物件など建物と土地を一緒に貸す場合は、建物と土地の両方の家賃収入に対して課税されます。

通常土地は非課税ですが、同じ貸主が建物と土地の両方を貸し出す際は消費税の課税対象となります。たとえ建物と土地を契約書で分けて表記したとしても、土地だけを非課税にすることはできません。

ただし、更地を借りた人がその土地に事業用の建物を建てた場合は、土地を貸した貸主側の家賃収入は非課税となります。

家賃収入の消費税の非課税条件5つ

ここまで、家賃収入に関わる消費税にはどのような課税条件があるのかについてお伝えしてきました。では、どんな場合に家賃収入にかかる消費税が非課税となるのでしょうか。

ここからは、家賃収入に関わる消費税が非課税となる主な条件を5つご紹介します。消費税がかかるものと消費税がかからないものをよく区別して覚えておきましょう。

非課税条件1:居住用物件の家賃・礼金・敷金・共益費

事業用とは違い、居住用の賃貸物件の家賃には消費税がかからないことをお伝えしてきました。居住用の賃貸については、家賃以外にも付随の礼金・敷金・共益費が非課税となります。

これは、企業が従業員を住まわせるために借りた社宅についても同じです。目的が居住用であれば、会社が貸主へ支払う家賃も、従業員が会社へ支払う家賃も非課税となります。

居住用物件かどうかは、契約書に居住用と明記されているか否かで判断されます。

非課税条件2:事業用でも課税売上が1,000万円以下の場合

課税条件の項目で事業用の賃貸はすべて課税対象となるとお伝えしましたが、事業用であっても課税売上額が1,000万円を超えない場合には非課税として処理されます。

ちなみに、住宅用の家賃収入は1,000万円を越えても消費税の課税対象にはなりませんが、事業用と住宅用の両方の賃貸を保有していて家賃収入がある場合、事業用の家賃収入だけで1,000万円を越えてしまうと消費税の課税対象になるので覚えておきましょう。

納税義務の免除

非課税条件3:月極駐車場や賃貸付設の駐車場(条件あり)

月極駐車場や賃貸付設の駐車場も条件次第で非課税となります。

一般的な月極駐車場は、アスファルト舗装や駐車区画の設置がされているため、課税対象です。青空駐車場のような区画整備を行わない場合は、土地の貸付としてみなされ非課税となります。

駐車場の現況を見て課税か非課税になるのか事前に確認しておきましょう。

賃貸付設の駐車場は「1戸当たり1台以上の駐車スペースがある」「車の所有に関わらず、全戸に駐車場がある」「賃料に駐車場料が含まれる」ことのすべてを満たす場合に非課税となります。

非課税条件4:土地だけ借り物の場合

何もない更地を土地だけ借りた場合は原則的に非課税となります。土地は貸し借りによって消費されるものではないと判断されるためです。

しかし、土地も賃貸と同じように貸付期間が1カ月未満の場合には、例外的に消費税の課税対象となります。

これは、貸付期間が短いために通常の土地利用ではなく、一時的に土地を貸し借りしただけと判断されてしまうためです。また、土地を貸す場合には貸付期間にも注意しましょう。

非課税条件5:事業用と居住用併用の場合

事業用と居住用が併用された賃貸物件の場合は、事業用部分の賃料のみが課税され、居住用部分は非課税となります。たとえば事務所兼住宅の賃貸の場合、事務所部分の賃料を建物の床面積に応じて按分して消費税が課税されます。

また、マンションなどの一室を個人で居住用として賃貸契約し、その後事業用として使用していたとしても非課税となります。あくまで契約時に「居住用」として貸し出されていれば非課税扱いになるわけです。

家賃収入の消費税の納税の支払い方

ここまで、家賃収入の消費税が課税される条件と非課税となる条件をみてきました。では、家賃収入でご自身が課税対象者であることがわかった場合、確定申告による納税はどのように行えばよいのでしょうか。

ここからは、家賃収入の納税方法についてご紹介します。詳しい納税方法については国税庁のホームページに記載されているので、課税対象者の人は一度確認してみるといいでしょう。

納税の方法

前々年の課税売上が基準

ご自身が課税対象者となった場合でも、実際に納税するのは2年後です。家賃収入による納税は、前々年の課税売上を基準としているためです。課税対象者となった場合は忘れずに税務署へ届け出ましょう。

支払う消費税額は課税対象者となった年の売上げではなく、2年後の売上をベースに算出されます。課税対象者となった2年後の家賃収入が1,000万円に届かなかったとしても、納税しなければならないことを覚えておきましょう。

簡易課税制度の利用

簡易課税制度は、仕入税額控除を簡易計算できる制度で、中小事業者の負担軽減を目的に行われています。簡易課税制度の利用には「課税対象者となった年の売上が5,000万円以下」「事前に届出書を提出している」ことが条件となります。

簡易課税制度は業種ごとみなし仕入れ率が決められており、不動産業は40%です。納付税額は次の式で算出します。

納付税額=(課税売上高×消費税率)−(課税売上高×みなし仕入率×消費税率)

課税売上げに係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額 しかし、その課税期間の前々年又は前々事業年度(以下「基準期間」という。)の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができます。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/650…

簡易課税制度

アパート経営は事業所得それとも不動産所得?

賃貸物件などによる家賃収入がある場合、確定申告の際に事業所得としたらよいのか、不動産所得としたらよいのか分からない、という人もいるでしょう。

不動産による家賃収入の場合、「事業所得」ではなく「不動産所得」とするのが一般的です。

個人にアパートを貸し出している大家や、給与所得者で資産運用のためにマンションを貸しているビジネスマンなどは、「不動産所得」として確定申告する必要があるので注意しましょう。

家賃収入にかかる消費税は事業用か居住用かがポイント

家賃収入にかかる消費税は、保有している不動産が事業用であるか居住用であるかで異なることをご紹介してきました。事務所や店舗など「事業用」の物件は、家賃収入に対して消費税の課税対象となります。

一方、アパートの部屋を個人に対して貸し出すなど「居住用」の物件は、家賃収入および礼金・敷金・共益費も含めて非課税となります。

不動産の家賃収入は内訳だけでなく、契約書の内容もしっかりと把握しておくことが大切です。

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