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接道状況を確認する際に知っておきたい知識5つ|接道義務対策の協定道路とは?

2020 06.4この記事はPRを含みます

接道義務とは

接道状況を確認する前に「接道義務」を知っておく必要があります。建築基準法によると、接道義務とは敷地に建物を建てるときに、建築基準法に定められた道路に2メートル以上接していなければならないという決まりのことを言います。

接道義務は、都市計画区域と準都市計画区域内にのみ発生するので、区域外では接道義務はありません。

接道義務:【国土交通省】

旗竿地に注意

接道状況を確認する際に重要なポイントの1つは、物件が旗竿地であるかどうかです。旗竿地とは、道路に接する部分が細長い、旗のような形の土地の事を指します。

旗竿地は土地価格が安く、道路から距離があるため静かに生活できるというメリットがあります。しかし、路地部分を活用しにくい場合、無駄なスペースができたり、外構工事費が高くなったりするなどのデメリットもあるので注意しましょう。

接道義務を満たさなかった場合

建築基準法では、幅員4m以上の道路に2m以上接道していないと建物が建てられないという規制があります。なぜ2m必要かというと緊急車両がスムーズに通れるのが2mだからです。

したがって、敷地の一部が2mの接道を満たしている場合、条件を満たしているので認可されます。接道義務が満たされていない場合、都道府県別に建築基準法43条に基づいた救済措置もあるのでチェックしておきましょう。

建築基準法

接道状況を確認する際に知っておきたい知識5つ

ここからは接道状況を確認する際に知っておくと役立つ知識を5つ紹介します。接道状況について、より知識があると不動産を購入する際、失敗のリスクを減らせるかもしれないので、ぜひ参考にしてみてください。

不動産での専門用語もあるので、合わせて解説していきます。

1:建築基準法で定められている道路は6種類

建築基準法で定められた道路は6種類あります。道路法による道路、開発道路、既存道路、計画道路、位置指定道路、みなし道路です。

これらの条件を満たしていれば建築許可が得られ、初めて建物を建てられます。逆にこれらが満たされていない場合、「道路」として認可されません。

これらを確認した上で接道状況を見ていきましょう。

建築基準法上の道路の種別:【大阪市】

2:セットバックとは

セットバックとは道路に面している敷地を道路の中心線から2m後退させることをいいます。建築基準法が定められたのは1950年なのでもともと建っている家は接道義務を満たしていないものが多くあります。

元々、家が建っている場合や中古物件を購入する際に接道義務を満たしていない場合、セットバックをしなければいけない決まりがあります。

セットバック:【公益社団法人 全日本不動産協会】

4m以上の公道でもセットバックを求められることも

接道が4m以上の公道であってもセットバックを求められる場合があります。それは道路の管理方法が関わってきます。

道路の管理には「現況管理」と「認定管理」があるのですが、この内の認定管理に引っかかるとセットバックを求められることがあります。

道路の幅は「道路台帳」というものに記載されているのですが、認定管理では、道路台帳に記載された幅員と現地の実際の幅員が異なる場合があるため問題が生じるケースがあります。

道路台帳:【一般社団法人 東京都測量設計業協会】

3:擁壁について

擁壁とは敷地と道路に高低差があるときに、コンクリートや石積みなどで作る壁状のものを指します。

擁壁には崖などの崩壊を防ぐための土留めとしての役割もあります。重要な役割がある擁壁ですが物件の接道状況によっては擁壁を作り直さなければならない場合もあります。

これは、「道路内や道路に突き出て建物を建ててはいけない」という決まりがあるためです。擁壁がある物件はデメリットが大きくなる場合があります。

道路内の建築制限建築物や擁壁(付属する門やへいを含む。)は、原則として道路内に突き出して建築してはいけません。

https://www.city.niigata.lg.jp/smph/kurashi/jyutaku/kench…

4:角地について

角地は不動産でも希少価値が高く人気でしょう。同じ大きさの敷地でも角地の場合、不動産価値も高くなると考えられます。そのため、購入する場合はある程度覚悟が必要です。

接道状況も角地なら2方面が道路に面するため大抵の場合クリアします。ただし、角地であっても「建築制限」を受ける場合があります。それがすみ切りと呼ばれるものです。

隅切りとは:【一般社団法人 東京都測量設計業協会】

すみ切りに注意

角地は「すみ切り」に気を付けるべきでしょう。見通しの確保や通行上の安全を確保するため、すみ切りを求められることがあります。

建築制限は自治体によって内容が異なるので、まずは自分が該当する自治体の建築制限を確認しましょう。

道路に関する基準

5:接道が私道の場合

接道が私道の場合、接道状況は気にしなくてもいい、と思われがちですが建築基準法上、公道も私道も関係なく接道義務は義務づけられています。

そして接道状況によっては接道義務を果たすため、私道を負担するケースがあります。

ただし私道の場合、各自治体で「公衆用道路」として申請し受諾されれば、固定資産税、都市計画税、不動産取得税が非課税となります。

私道の課税と評価

接道状況が悪い土地は安い?

接道状況が悪い土地は安くなる、というのは避けられないでしょう。どれほど良い土地であっても、接道状況が悪いというだけでかなり安くなってしまう可能性があります。

逆に少し狭い土地であっても、間口が広く接道状況が良ければ価値は落ちにくいと考えられます。

接道義務の対策

建築基準法で定められた接道義務を満たしていない場合、再建築の許可は下りません。そのため接道状況をしっかり確認した上で、土地を購入する事が1番の対策となるでしょう。

また、不動産売却時に再建築不可物件はなかなか買い手が見つかりません。そこで「建築基準法第43条第1項ただし書きの規定に基づく許可」があります。

この中にある条件を満たしていれば再建築の許可が下りることもありますので、再建築不可物件を売買しようと考えている人は、ぜひチェックしてみてください。

43条ただし書き許可

協定道路とは

ただし書きの許可の中に「協定道路」というものがあります。この協定道路は「敷地が適切な幅員を有する『通路』に接する幅員=避難、通行の安全のため適切である」という決まりとなります。

つまり道路(例:私道)上の敷地の所有者全員が建築基準法に記載されている協定書にサインする事で協定道路となります。ただし協定道路はデメリット部分も多いので注意が必要です。

協定道路の注意点

協定道路はメリットもありますが、デメリットもあるので注意しましょう。メリットとしては例えば、旗竿地を繋げれば間口が広くなり接道状況が良くなることです。

デメリットとしては協定を守らない人がいるリスクがあることです。道路の復旧費を払わないなどでトラブルに発展する可能性があるでしょう。

接道状況による土地の価値について知っておこう!

接道状況が悪いとどうしても不動産価格は悪くなってしまう事は避けられないでしょう。大前提として物件を売買する場合は、接道義務を満たしているかを入念にチェックしておきましょう。

ただ、考え方によっては接道状況が悪いからこそ、安く物件を購入できるというメリットととらえられます。どちらがいいかは個人の考え方次第ですが、知識があればトラブルが起きるリスクも減らせるので覚えておくといいでしょう。

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