相続した土地を売却する際にかかる税金とは|税金が安くなる特例4つ
2020 06.29この記事はPRを含みます
相続した土地を売却するメリットと注意点
土地を相続した場合、管理するのではなく、売却を選択する場合もあります。
実際、土地として相続するよりも現金化することでメリットになるケースがあります。たとえば、相続人が複数人いる場合、土地を現金化することで財産として分けやすくなるでしょう。
ここでは、相続した土地を現金化するメリットと注意点について解説しますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
平等に分けやすいなどのメリットがある
相続した土地は売却して現金化した方が平等に分けやすくなります。
相続した土地を分筆することもできますが、現金化して分ける方がより複数の相続人で平等に分けることが可能でしょう。また、現金の方がより資産の流動性が高まり、分配しやすくなります。
さらに、相続税も相続した土地を売却した現金から支払えるため、残った現金を分ければ先に相続税を支払う手間もなくなるといったメリットがあります。
税金や諸経費などに注意する必要がある
相続した土地を現金化する場合は、税金や経費に注意する必要があります。
土地を売却すれば譲渡所得税の課税対象になります。また、土地を現金化してから相続する場合、土地のまま相続するよりも相続税評価額が高くなるケースがあるので、現金化する場合は課される税金に注意が必要です。
ただし、実際にどのくらいの税金がかかるかといった内容は専門的な話になるため、専門家に相談してサポートしてもらうことをおすすめします。
相続した土地を売却する際にかかる2つの税金
相続した土地を売却した場合は、2種類の税金がかかります。
相続した土地に限らず、不動産売却時には税金を負担することになります。今回のように相続した土地を売却する場合には、印紙税と譲渡所得税という2種類の税金を支払う必要があります。
さらに、不動産会社に依頼するための諸費用などもかかります。ここでは、相続した土地を売却する際にかかる2つの税金について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
相続した土地を売却する際にかかる税金1:印紙税
印紙税は、不動産の売買契約書に収入印紙を貼りつけることで納付できる税金です。
不動産を売却した場合、契約金額に沿った印紙税分の収入印紙を貼りつけることで国に印紙税を納付します。実際に売買契約書を作成するのは不動産会社なので、印紙税がどのくらいかかるのかわからない方も多いでしょう。
相続した土地を売却する場合、10万円超50万円以下なら200円、100万円以下なら500円といった印紙税がかかります。なお、印紙税については、期限のある軽減措置適用後の金額なので、注意してください。
相続した土地を売却する際にかかる税金2:譲渡所得税
譲渡所得税は、不動産の売却時に一般的に課される税金です。
譲渡所得とは売却益のことで、譲渡所得税を計算するためには売却益を求め、さらに所得税や住民税の税率を求める必要があります。具体的には、収入金額、取得費、譲渡費用の3つの金額を求めます。
収入金額は、契約書に記載する不動産の売却額や固定資産税の精算金です。取得費は、不動産購入金額から減価償却費を差し引いた金額で、譲渡費用は売却するためにかかる費用です。
保有期間で税率が変わる
譲渡所得課税は、不動産の保有期間によって税率が2段階に変わります。
保有期間は、不動産の取得日から売却した年の1月1日までの日数です。相続した土地の場合の取得日は、相続日ではなく被相続人が不動産を購入した日になります。
保有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」とされ、所得金額に対して税率39.63%が課税されます。保有期間が5年以上の場合は「長期譲渡所得」となり、税率20.315%が課税されます。
なお、短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率は、所得税のみならず、住民税や復興特別所得税の税率を含んだものになりますので、注意してください。
譲渡所得の税額の計算式
譲渡所得課税の計算式は、「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除」となります。
所得金額が800万円の場合、短期なら所得税が800万円×30%=240万円、復興特別所得税が800万円×0.63%=5万400円、住民税が800万円×9%=72万円になります。
長期なら所得税が800万円×15%=120万円、復興特別所得税が800万円×0.315%=2万5200円、住民税が800万円×9%=40万円になります。
売却にかかる税金が安くなる4つの特例
相続した土地の売却にかかる税金が安くなることもあります。
相続した土地を譲渡すると譲渡益が生じることがあり、譲渡益には税金が課せられます。しかし、4つの特例を利用することで、売却にかかる税金を軽減することも可能です。
特例を知っているのと知らないのとでは大きく違います。ここでは、売却にかかる税金が安くなる4つの特例をご紹介しますので、ぜひ特例を活用して税金を安くしてみてはいかがでしょうか。
売却する際にかかる税金が安くなる特例1:相続税が取得費に加算される特例
相続税が取得費に加算される特例を利用することで、相続税の一部を取得費に加算し、譲渡益から控除することが可能です。
相続した土地を一定期間内に売却した場合、相続税額のうちの一定金額を譲渡資産の取得費に加算できる特例です。
この特例を利用するには、①相続人であること、②相続税が課税されていること、③相続した土地を相続日の翌日から相続税の申告期限の翌日以降3年以内に譲渡していること、の3つを満たす必要があります。
相続税申告期限から3年(と10か月)以内に売却した際の課税譲渡所得金額
4億円で購入した土地を相続税評価額5億円で相続したとします。
5億円の土地と1億円の現金を相続し、相続税1億4千万円を納付します。その後、土地を6億円で譲渡し、譲渡費用として1千万円かかったとします。
このケースの場合、特例を使用しない場合の譲渡益は1億9千万円になり、税額は3,859万8,500円になります。しかし、特例を適用すると譲渡益は7,333万3千円となり、税額も1,489万7,500円になります。
売却する際にかかる税金が安くなる特例2:3,000万円の特別控除の特例
3,000万円の特別控除の特例を利用することで、相続した土地を売却した譲渡所得から3,000万円控除することが可能です。
この特例は、保有期間なども問わずに居住用の不動産を売却した場合に適用できます。3,000万円を超えた金額に対しては税率が適用され、3,000万円に満たない場合は税金が0円になります。
特例を利用する場合は、相続した不動産を譲渡した翌年の確定申告の際に特例を受ける旨を申告しましょう。
売却する際にかかる税金が安くなる特例3:10年超所有軽減税率の特例
10年超所有軽減税率の特例を利用することで、長期譲渡所得の税額より低い税率で計算する、軽減税率が適用できます。
自分が住んでいた居住用不動産を売却する際に、不動産を10年以上所有していれば適用できる特例です。適用条件は、売却した不動産の所有期間が売却した年の1月1日時点で10年経過していること、前年と前々年に10年超所有軽減税率の特例を受けていないことが挙げられます。
3,000万円特別控除との併用が可能
10年超所有軽減税率の特例と3,000万円特別控除は併用可能です。
この特例は、3,000万円特別控除と併用できるため、3,000万円特別控除を適用してもまだ譲渡所得が残っているという場合に利用します。
残っている譲渡所得に対して、10年超所有軽減税率の特例を適用することで、さらに税額を軽減できるのでおすすめです。
売却する際にかかる税金が安くなる特例4:損失がでた場合のマイホーム特例
損失がでた場合のマイホーム特例を利用することで、不動産を売却した際の損失を他の所得から差し引けます。
正式には、「特定居住用財産の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と呼ばれ、5年以上保有しており、住宅ローンが残っている居住用財産を、住宅ローンを下回る価額で売却して損失が出た場合に適用できます。
また、損失を全て控除できなかった場合は、翌年以降3年内に繰越控除可能です。
特定の居住用財産の買換えの特例
特定の居住用財産の買換えの特例を適用することで、譲渡益への課税を繰り延べられます。
自分で住んでいた居住用不動産を売却して別の物件に買い換えた場合、売却価格よりも購入価格の方が大きければ課税を将来へ繰り延べられる制度です。
ただし、非課税になるのではなく繰り延べられるだけなので、買い換えた物件を売却する際に繰り延べた分の譲渡益を加えた金額で課税されることになります。また、適用条件も多いため確認が必要です。
適用要件について
ここでご紹介した特例には適用要件があります。特例を適用することで、相続した土地を売却した場合の税金を安くすることが可能ですが、どの特例にも適用要件があります。
たとえば、居住用の不動産なら5年以上保有していることや、以前住んでいた居住用の不動産なら3年以内に譲渡するといった要件が設定されていることがあります。
そのため、特例が適用できるかどうかは一度調べてみなければわからないため注意が必要です。
土地を売却した際にかかる税金はいつ納めるのか
土地を売却した際に課せられる税金はいつ納めるのでしょうか。
ここまでご紹介したとおり、相続した土地を売却した場合には税金を納める必要があります。しかし、売却したタイミングで同時に納めるわけではないため、税金が課されていることを忘れないように注意しましょう。
ここでは、相続した土地を売却した際の税金を納める時期について解説します。
翌年の3月15日まで
土地を売却した際の税金は、翌年の確定申告の際に納める必要があります。
相続した土地などの不動産売却によって発生した譲渡所得に対する税金は、翌年の3月15日までに確定申告することで納めることになります。
また、すでにご紹介している特例の3,000万円の特別控除や10年超所有軽減税率の特例でも確定申告する必要があるため、翌年の確定申告を忘れないように注意しましょう。
相続した土地の売却後も所得税に注意
相続した土地を売却した後も所得税を支払う必要があります。不動産を売却した場合に課される税金は複数あり、さらに支払うタイミングも異なります。
相続した土地を売却した際、購入時の金額よりも売却時の金額が上回って利益が出た場合は、確定申告後に所得税や住民税を支払う必要があります。
翌年の確定申告で申告した場合、現金一括で所得税を納めることになります。また、振替納税を適用する場合は銀行引き落としになります。
相続した土地を売却する際にかかる税金について知っておこう!
相続した土地を売却する場合は、特例を利用して税金を支払いましょう。
相続した土地を売却して現金化することで、複数の相続人に平等に分けやすくなります。しかし、現金化することで税金や経費がかかるといったデメリットもあり、税金の計算は非常にややこしいでしょう。
ぜひ、この記事でご紹介した相続した土地を売却する際にかかる税金や、税金を軽減する特例などを参考に税金について理解を深めてみてはいかがでしょうか。