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農地を売買するルール2つとは?農地の相場や売買するときのポイントも紹介

2020 10.21この記事はPRを含みます

農地の売買とは

活用予定がない農地を持っている人は、固定資産税のデメリットから農地売却を考えている人も多いのではないでしょうか。

しかし、農地は農地法で制限されているため普通の宅地のように売買することはできません。農地は国にとって、食料自給率に関わってくる非常に重要な土地ということもあり、売買が難しいという面を持っています。

農地法|e-Gov法令検索
農地の保有に対する税金(固定資産税)|農林水産省

通常の不動産売買との違い

農地の売買は、農業委員会の許可が必要であり、売り手と買い手が申請者となり申請を行い、信用の有無や転用する農地の関係権利者からの同意など、やや厳しめの審査が行われます。

通常の不動産売買の場合は不動産の査定を依頼、査定価格を確認して不動産会社と契約、さらに売却までの手配は契約した不動産会社が対応してくれるという形が多いでしょう。

農地の売買の場合には、通常の不動産の売買よりも複雑になるといえます。

農地が売りづらい理由

使わない農地であればすぐにでも売却したいところですが、農地を売却するのは難しい面があります。

農地が売買しづらい理由には、農家または農業従事者と購入できる人が限定されていることと、収益性が不透明なことがあげられます。

詳しく見ていきましょう。

1:購入できる人が限定されている

農地が売りづらい理由として1つ目は、購入できる人が限定されているためです。

一般の宅地であれば、購入に必要な資金、またはローンを組むことができれば購入できますが、農地となるとそうはいきません。

また、農地を売買後も農地として使う予定なのか、転用する予定なのか、さらに個人として購入するのか、法人として購入するのかによって購入できる人の条件に違いがあります。

農家または農業従事者

農地法により、農地を購入できるのは農業従事者または地域の農業委員会から許可を受けた農家に限定されています。これから農家を始めたい、という人が急に農地を購入してスタートできるものではないでしょう。

農地を買うには、農地法で定められた条件を満たす必要があり、農地のすべてを効率的に利用でき、必要な農作業に従事する、一定の面積を経営する、周辺の農地利用に支障をきたさないことが条件になります。

農地法 第三条|e-Gov法令検索

2:収益性が不透明

農地が売りづらい理由として2つ目は、収益性が不透明なことです。純農業地域の農地価格は25年連続で全国的に下落しているといわれています。

これは、農業は利益的に見通しが立ちにくい産業であり、買い手の減少や生産意欲の減退が広がっていたことが影響していると考えられています。

また、一時期使用していない農地で太陽光発電事業が人気となりましたが、収益性が不透明な上、環境問題が発生してしまったことも問題になりました。

令和元年田畑売買価格等に関する調査結果(要旨)|(一社)全国農業会議所

農地を売買するルールとは

農地を売買するルールには、農地として売却するときと、農地を別の地目に転用して売却するときで異なります。

農業を継続しないにもかかわらず農地を持っていることになった場合は、固定資産税を払わなくて済むという観点から農地を手放すことも考えるでしょう。

では、売買するにはどうしたらよいのでしょうか。次は、農地を売買するルールについて紹介していきます。

1:農地として売却するとき

農地をそのまま農地として売却するときは、売却する相手は農業従事者であり、さらに耕作面積など一定の条件を満たしている相手でなくてはいけないというルールがあります。

前述のように、これから農家を始めたいという人が農地を購入して、すぐにスタートできるものではないということになるでしょう。

売却する相手は農業従事者

農地として売却するときは、売却する相手は農業従事者になります。近隣で農家を行っている人で持っている農地の規模を拡大したいという人がいれば、その人に買い取ってもらうとやりとりもスムーズでしょう。

しかし、経済的問題や後継者問題など、大規模農地を経営していこうと考えている人が少なくなっているのが現状です。

耕作面積など一定の条件を満たす

近所や知り合いの農家の人に、売却しようとしている農地を買ってもらうのが不可能な場合は、購入者を見つける必要がありますが、購入者は耕作面積など一定の条件を満たしていることが前提となります。

農地を売買する場合、買い手も農家であることはもちろん、耕作面積が50アール以上か、必要な農機器を所有しているか、定められた人数が農業に従事しているか、などの項目を満たしている相手が対象です。

農地の権利取得における下限面積要件|農林水産省

2:農地を別の地目に転用して売却するとき

農地を売買するルール2つ目として、農地を別の地目に転用して売却するときがあります。農地は農地法という国の法律で特殊な扱いをされていますが、そもそもこの農地を農地ではなく、転用して売却する方法があります。

農地でなくなれば、売買しやすくなるというメリットがあります。農地を転用するためには、2つの条件、立地基準と一般基準の条件をクリアする必要があります。

立地基準

立地基準は、農地を5つの区分にわけたものであり、それぞれの区分に応じた許可基準があります。立地基準には、農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地・第2種農地・第3種農地、の5つがあります。

5つの区分の中で、第2種農地と第3種農地は転用できる可能性があります。農地の転用を考えている場合は、所有している農地がどの農地に分類されるのか、住んでいる市区町村に確認しておきましょう。

一般基準

一般基準とは、農地を転用した後に、土地の効率的な利用を確保できるか判断するための基準です。立地基準を満たすかどうかを確認した後、一般基準の項目を満たせているか、一つずつ確認する作業に入ります。

一般基準の審査項目には、転用に必要な資力や信用があるか、農地転用面積が転用目的からみて適正と認められるか、周辺農地に係る営農条件に支障をおこさないか、などがあります。

農地の相場とは

農地を増やしていきたい人は、農地の相場について興味があるでしょう。利用用途を農業に限定された土地が農地ですが、農地の価格の相場はどのくらいなのでしょうか。

売買契約を行う上でも農地の相場を知っておくことは大切です。農地の相場は、純農業地域、都市的農業地域など種類によって異なります。これから農地の売買を行う人は参考にしてみてください。

純農業地域

純農業地域とは、市町村の中で都市計画法によって境界線が引かれることがない、農用地区域内の農地のことをいいます。イメージとしては、都市から離れている農村部です。

「令和元年田畑売買価格等に関する調査結果」(令和2年3月)によると、純農業地域の農用地区域の農地価格は、10アールの田が116万5千円、畑が86万1千円という価格が(一社)全国農業会議所から発表されています。10アールとは1000ヘクタールのことです。

令和元年田畑売買価格等に関する調査結果(要旨)|(一社)全国農業会議所

都市的農業地域

市街化調整区域は街を活性化させるために活用されるために用意された区域ですが、都市的農業地域とは、市街化調整区域の中で定められた、農用地区域内の農地のことをいいます。

「令和元年田畑売買価格等に関する調査結果」によると、都市的農業地域の農用地区域の農地価格は、10アールあたり田が、308万7千円、畑が295万1千円という価格が(一社)全国農業会議所から発表されています。

農用地区域

農用地区域とは、農業で使われることを前提に指定された区域で、農業振興地域の整備に関する法律により農業振興地域の中で指令されている区域です。

農用地区域は、優れた農地として判断されているため、農業目的以外の用途で使用することは基本的に認められません。宅地転用や宅地転用目的の売却は、厳しく禁止されています。

農業振興地域の整備に関する法律|e-Gov法令検索

農地を売るために不動産会社を利用する?

土地の売買というと多くの人は不動産会社を想像するのではないでしょうか。実際に、農地を売るためには不動産会社を利用するのか気になっている人も多いでしょう。

農地を転用する際は、まず農業委員会に許可申請を行います。農地法で定められている土地である以上、自分が所有しているからといって勝手に農地を転用することはできません。

ここでは、農地として売却する場合と、農地を転用して売却する場合について紹介していきます。

農地として売却する場合は不動産会社を利用しない

農地として売却する場合は不動産会社を利用せず、地域の農業関連機関を利用する方法と個人間の取引で完結させる方法があります。

農地を転用せず、農地のまま売却を行うと高額な利益は望めない傾向にありますが、複雑な手続きは不要という点がメリットでしょう。

何も活用していない農地を持っている期間が延びていけば、それだけ固定資産税はかかってきてしまうので、早く手放したほうがいいという見方もあります。

農業関連機関を利用する

農地として売却する方法には、農業関連機関を利用する方法があります。農業関連機関を利用する方法とは、地域の農業関連機関に取り持ってもらい、買い主を見つけます。見つけた買い主と契約、所有権移転登記を行うことで、農地の引き渡しは完了します。

手続きにかかってくる費用も、司法書士報酬などの登記にかかる費用や登録免許税のみなので費用面での負担も少ないでしょう。

農地の売買・貸借・相続に関する制度について|農林水産省

個人間の取引で完結させる

農地として売却する方法には、農業従事者で、耕作面積など一定の条件を満たしている必要がありますが、自分で買い主を探して個人間の取引で完結させる方法もあります。

個人間の取引なので、金額や条件などで農地売買のトラブルが発生する危険性があるでしょう。例えば、先祖代々守ってきた農地なので、農地として利用してほしいという名目で農地を売ったのに、購入者は転用目的で購入していたためトラブルに発展した、などです。

転用して売却する場合は不動産会社を利用する

農地を転用して売却する場合は不動産会社を利用します。一般的には、農業委員会から許可が下りて指令書が交付されたら、仲介を不動産会社に依頼して売却するという流れになるでしょう。

農地を転用して売却する場合は、複数の不動産会社に査定をお願いして査定額を比較すること、不動産会社の農地転用の経験を調べることが重要といえます。

複数の不動産会社に査定をお願いする

転用して売却する場合は、不動産会社に査定を依頼しますが、このとき一つの不動産会社に依頼するのではなく、必ず複数の不動産会社に査定をお願いしましょう。

査定額などを比較するという意味もありますが、ここで大切なことは農地転用、売却に強い不動産会社と契約できるかどうかです。農地を宅地に変えるには、土壌改良が必要になってくるので経験豊富な不動産会社を選択しないと、農地の売却が難航する危険性があります。

不動産会社の農地転用経験を調べる

農地転用、売却に強い不動産会社を見つけるには、その不動産会社の農地転用経験や実績を調べることが必要になるでしょう。

農地売却に強い不動産会社でなければ、土壌改良などのノウハウが乏しく、転用しても思ったように売却できない事態になってしまうことがあります。媒介契約を結ぶ前に、必ず過去の農地転用経験の資料などを請求して確認しておきましょう。

農地を売買するためのルールを確認して売買しよう

農地を売買するルールと農地の相場や売買するときのポイントについて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

農地の売買は宅地などの売買とは違って農地法によって、購入者が農家または農業従事者であり、耕作面積を満たしている必要性など、多くの規定や制限があります。農地を売買する際は、必ず農地を売買するためのルールを確認してから売買を行いましょう。

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