免責がある理由って?免責の種類5つや免責金額を設定するポイント
2020 10.21この記事はPRを含みます
免責とは
免責には「義務や責任を問われないこと」または「責任から免れること」といった意味があり、保険の契約の際によく使われています。
保険会社では、損害や事故などが発生した場合、契約に基づいて、建物や自動車など保険の対象になっているものに、保険金を支払う義務がありますが、損害や事故が発生しても保険金を支払う責任を負わなくてもいい場合があります。 それが、免責になります。
保険契約には、免責事項というものが定められています。特定の事項により発生した損害や事故については、保険金の支払いをしなくてもいいことが約款上規定されており、自動車保険や、生命保険、火災保険などそれぞれの保険によって内容が違ってきます。
免責がある理由って?
しかし「保険に免責があるのはどうして?」や「保険会社が責任を逃れたいだけでは…」などと免責について色々と疑問に思ってしまう方も多いのではないでしょうか。各保険に免責がある理由としては、次のようなことがあります。
例えば、保険契約後に、契約者が故意に事故などを起こした場合に、保険金が支払われているとどう思いますか。やはり、不満に思ってしまいますし、気分のいいものではないでしょう。
これでは、他の保険加入者との公平性が保たれなくなるだけではなく、保険会社がリスクを背負うことになります。このような不正などを防ぐためにも、各保険には免責事項が定められています。
万が一の場合に、保険金が支払われないことがないように、保険を契約する際には、免責事項をきちんと確認するようにしましょう。
免責金額の方式2つ
免責には、免責事項以外にも、損害などのある一定額を契約者が自己負担する「免責金額」があり、契約者がその金額を自由に決めることができます。設定した金額が高くなればなるほど保険料は安くなり、契約者の負担を軽減することができます。
自動車保険では、自分の車の修理等を補償する車両保険があります。その車両保険では「定額方式」と「増額方式」のどちらかで免責金額を設定することができます。
定額方式
定額方式は保険期間中、車両事故の回数にかかわらず、定められた免責金額を自己負担する方式のことをいいます。
免責の金額は、0万円、3万円、5万円、10万円などがあり、免責金額が高いほど保険料は安くなります。定額方式は、どちらかと言えば、保険料を安く抑えたい人に向いているでしょう。
増額方式
増額方式は保険期間中、初回の車両事故と2回目以降の車両事故で免責金額が変わり、初回よりも2回目以降の方が免責金額が高くなる方式のことをいいます。
初回の免責金額を少なくすると、増額方式は定額方式よりも保険料の方が高くなります。特に、初回の免責金額を0円にした場合は保険料が高くなってしまうといわれています。
免責の種類5つ
保険には、主に自動車保険や生命保険、がん保険、火災保険があります。これらの保険には全て免責がありますが、内容がそれぞれ違ってきます。
ここでは、保険の免責の違いについて詳しく解説していきます。
免責の種類1:車両保険の免責
自動車に関する保険には「任意保険」と「強制保険」の2種類があります。強制保険は自賠責保険のことで、法律で加入することが義務付けられています。
一方、任意保険では、個人の意思で加入するかどうかを決めることができます。しかし、自賠責保険だけでは、万が一の事故の際に補償が足りなくなることが多いため、任意保険への加入が推奨されています。
強制保険は、他人を補償する「賠償保険」、自分や同乗者を補償する「傷害保険」、自分の車を補償する「車両保険」に大きく分類されています。その中でも、車両保険では定額方式と増額方式のように免責金額を設定することができます。
車両保険では、地震や噴火、津波などによる車の損害は免責事項により補償されなくなっています。
車両保険の免責金額
車両保険の免責金額とは、修理代などを自己負担する金額のことで、次のような仕組みになっています。
【定額方式の場合】
例えば、免責金額を3万円に設定した場合、初回の車両事故で10万円の修理代がかかるケースでは、自己負担額は3万円で、保険会社が7万円を負担することになります。
そして、2回目の車両事故の修理代でも自己負担額は3万円となり、修理代が免責金額3万円を下回っている場合は全額自己負担になります。
【増額方式の場合】
免責の金額が「3-10」の場合、3の数字が初回の免責金額で3万円、10の数字が2回目以降の免責金額で10万円を表しています。初回の事故よりも、2回目以降の免責金額が高くなるようになっています。
免責ゼロ特約
免責ゼロ特約は車両事故免責金額ゼロ特約というのが正式名称で、車両保険の免責金額が1回目の事故に限りゼロになる特約です。
一般的には、1回目が5万円、2回目以降を10万円というように免責金額が設定されているところもあり、ノンフリート等級によっては1回目が7万円などの場合もあります。(ノンフリート等級が7級以上の方しか利用できないこともあります。)
免責ゼロ特約は、この1回目の免責金額5万円がゼロとなり、自己負担額がありません。しかし、この特約では、車対車といった相手が特定できる事故に適用され、単独事故や当て逃げで相手が特定できない場合には適用されないなど保険会社によって違うこともあります。
全損してしまった場合はどうなる?
全損には「物理的全損」と「経済的全損」があり、車が全損してしまった場合、免責金額は発生せずに保険金を受け取ることができます。
【物理的全損】
事故にあった車が修理不可能な状態まで損害を受けたことを指します。また、車が盗難にあった場合も全損として扱われます。
【経済的全損】
損害を受けた車の時価額よりも、修理代が高い場合をいいます。例えば、修理に80万円かかる車の時価額が30万円だった場合、修理は可能ですが、車の時価額より修理代が高くなってしまうため、経済的全損として扱われます。
免責の種類2:生命保険の免責
生命保険では、死亡や入院などの支払事由に対して保険金、給付金等の支払いをする義務がありますが、約款に定める免責事由に該当する場合は保険金、給付金等を受け取ることができません。
また、生命保険では約款上で「自殺免責期間」を定めています。この期間は保険会社によって違ってきますが、1年から3年としているところが多いようです。この期間の自殺では保険金は受け取ることができなくなっています。
免責の種類3:がん保険の免責
がん保険の場合、契約が成立してもすぐに保障が始まらず、契約成立から一定期間後からの保障になります。その免責期間は3ヶ月から90日としているところが多くなっています。
そして、免責期間中にがんを発症したり、がんと診断されていたりした場合は、保障の対象にならず、契約は無効になります。
免責の種類4:火災保険の免責
火災保険は、住まいが火災の被害にあった際の損害を補償する保険ですが、他にも、水災や風災、雪災、盗難などによる損害も補償の対象になっています。また、火災保険に家財保険や地震保険をセットでつけることもできます。
火災保険には「建物の経年劣化による損害」「重大な過失で発生した火災による損害」「地震、津波、噴火による損害」などの免責事項が定められており、このような場合は、補償の対象外となり、保険金を受け取ることができません。
しかし、地震保険に加入することで「地震、津波、噴火」が補償されますが、保険料の方が高くなってしまいます。
火災保険の免責金額
火災保険では、契約者が自己負担する免責金額を設定することができます。保険会社によって設定できる免責金額は違ってきますが、1万円、3万円、5万円、10万円などがあります。また、免責金額を0円にすることができますが、免責金額が小さいほど保険料は高くなってしまいます。
そして、保険会社によっては「風災、ひょう災、雪災」だけ、別に免責金額を設定することができます。
免責の種類5:それ以外の免責
レンタカーを借りる際にも免責があります。レンタカーを借りた際には、必ず「自動車損害保険」と「自動車損害賠償責任保険」の保険が基本料金に含まれています。
もし、レンタカーで事故を起こしてしまい、車などに損害がでた場合、保険会社がその賠償金を支払うことになりますが、その賠償金の最大15万円万まで契約者が負担する「免責額」があります。
契約の際に「免責補償制度(CDW)」に加入すれば、対物、車両補償の免責額の支払いが免除されます。そして、加入するかどうかは契約者が決めることができます。
免責金額を設定するポイント
だけど、免責金額はどうやって決めたらいいのかわからない人も多いのではないではないでしょうか。
次に「自動車保険」と「火災保険」について、免責金額を設定するポイントを紹介します。
自動車保険の場合
自動車保険では、車両保険金額を車の時価で上限を決めるため、自分で変更することはできませんが、免責金額の設定によって、保険料を安くすることができます。
免責金額が大きくなると、保険料は安くなりますが、事故などにあった際の自己負担額も大きくなってしまいます。補償額と保険料のどちらを重視するかを考えて、免責金額を決めることが大切といえます。
また、修理費などに車両保険を使うと、翌年度から保険料が上がってしまうことがあります。修理代が自己負担できる範囲であれば、車両保険を使わないのも一つの手段です。
車の運転では、事故にあわないという保証はありません。もし、事故を起こした時、どのくらいなら自己負担できるか確認して免責金額を設定しましょう。
火災保険の場合
火災保険で免責を設定する場合、火災や水災や風災などを一括で免責を設定することができますが、住んでいる地域によって災害などが発生する危険性が違ってきます。
例えば近くに海や川がある場合は、水災の補償を充実する、また、マンションなどの上層階に住んでいる場合は、水災の補償は必要ないというように、住んでいる地域や場所によって免責金額を設定するようにしましょう。
免責の理解を深めよう!
免責金額を設定するポイントは、無理のない範囲で決めることが大切です。免責金額を高く設定すれば、保険料を安くすることができますが、万が一の事故などのことも考えて、自分が負担できる範囲で免責金額を設定するようにしましょう。
そして、保険に加入する際には、保険会社に勧められるままではなく、自分で免責事項などをきちんと理解した上で契約をするようにしましょう。