健康保険の種類や給付範囲は?知っておきたい3つの制度もご紹介
2020 10.21この記事はPRを含みます
健康保険とは?
健康保険とは、病気やけがなどで治療が必要になった際に、医療費の一部を所属する組合や協会が負担してくれる制度です。この負担金の財源は、保険加入者の保険料、勤め先の事業主、国や地方の公費などです。医療費をみんなで出し合う相互扶助の制度といえるでしょう。
この健康保険のおかげで、医療費の3割程度を負担するだけで治療が受けられます。国民の安心・安全な暮らしを保障する目的があります。
公的医療保険の1つ
日本には国民皆保険制度というものがあり、すべての国民がいずれかの健康保険に加入することが義務付けられています。健康保険に加入すると、保険料の支払いはしなければいけませんが、病院にかかるときの負担が減ります。
海外には国民皆保険制度のような施策がない国もあり、医療費が高いため病院にかかれない人も多くいるでしょう。
健康保険はすべての人が加入し、互いに扶助をしあうというシステムから公的医療保険ともいわれます。
私的医療保険との違いは?
加入が義務の公的医療保険に対して、自分の意志で加入を決められる民間の保険を私的医療保険、または民間医療保険といいます。
民間医療保険では、公的医療保険ではカバーしきれない長期の入院費や先進医療にかかるお金に備えることができます。
公的医療保険は保険料が一律であるのに対し、私的医療保険は保障内容や年齢などにより保険料が変動します。また、健康状態などの条件によっては加入できないこともあります。
健康保険の3つの種類
健康保険には大きく分けて3つの種類があり、加入者の職業を基準にどの保険になるかが決まります。自分で選ぶことはできません。また、保険の種類によって医療費の負担割合が違います。
さらに、給付金や手当金などの制度も保険によって異なるでしょう。
健康保険の種類1:社会保険
社会保険とは被用者、つまり会社や企業に勤めている人とその扶養家族が加入する保険です。健康保険を運営するのは企業自体か、複数の企業が加入する協会です。保険料は基本的に給与から天引きという形で支払われています。
社会保険の保険料は、加入者と企業が折半で支払うことになります。社会保険には健康保険の他に介護保険と厚生年金保険も含まれています。
協会けんぽ
協会けんぽは、全国健康保険協会という協会が運営しています。協会けんぽは、おもに独自で健康保険を運営するには規模が小さい会社、つまり中小企業向けの社会保険です。
しかし近年では財政難により、健康保険の運営が困難になった大企業も加入するようになってきているようです。協会けんぽの保険料率は、都道府県によって異なります。
組合健保
組合健保は企業が単独、またはグループ企業などが複数で設立する大企業向けの社会保険です。単独で組合健保を設立するには常時700人以上、複数で組合健保を設立するには、合計で常時3000人以上の従業員がいなくてはなりません。
健保組合は、組合ごとに自由に保険料を設定することができます。一般的に協会けんぽよりも保険料が少し安く、医療費の自己負担額も少ない特徴があるでしょう。
健康保険の種類2:共済保険
共済組合も社会保険と同じ、被用者保険です。社会保険との違いは勤務先で、社会保険は一般企業の従業員向けであるのに対して、共済保険は公務員・私立学校教職員向けの保険です。
共済組合には3種類があり、国家公務員共済組合・各種地方公務員共済組合・私立学校教員共済制度があります。それぞれ根拠とする法律が個別にあり、保険料率も違うでしょう。
健康保険の種類3:国民健康保険
国民健康保険は、社会保険や共済保険に加入していない人向けの保険です。加入対象者は、自営業や職業に就いていない人になります。健康保険の運営は、地方自治体が行っているため、自治体の規定で保険料率が定まっています。
社会保険・共済保険は扶養家族が一緒に加入できるのに対して、国民健康保険は個人単位での加入になります。また、収入が一定以下の人や学生で保険料を支払うのが困難な人には、減免制度もあります。
健康保険の給付範囲
健康保険はその名の通り、国民が健康的な生活を送るためにさまざまな場面で使用されています。私たちはどのような場面で、その恩恵を受けているのでしょうか。
まず思いつくのは、病院で診察や治療を受けたときの医療費ではないでしょうか。実はそのほかにも、出産や亡くなったときなど意外なところでも使われています。
健康保険の給付範囲1:病気や怪我
病気や怪我の治療を受けた際の医療費は、健康保険で負担してもらうことができます。これを療養の給付といいます。治療にかかる医療費とは診察・薬剤や治療用の材料・手術や処置代・入院費などです。
ただし、医療機関は保険医療に対応している医療機関でなくてはなりません。また、社会保険や共済保険の加入者は、業務中の病気や怪我については労働災害の適用となるため、健康保険の対象にはなりません。
健康保険の給付範囲2:出産
出産の際には、出産育児一時金というものが受け取れます。出産育児一時金とは、分娩費用の補助を目的としたものです。産科医療補償制度に加入している医療機関で出産すると、42万円が支給されます。
出産育児一時金には直接支払制度というものがあり、健康保険から一時金を医療機関に直接支払ってくれる便利な方法もあります。また、国民健康保険以外では出産手当金という制度があり、出産のため休業した期間の収入を補えるでしょう。
健康保険の給付範囲3:亡くなったとき
健康保険の加入者が亡くなったとき、葬祭にかかる費用が遺族に支給されます。保険により違いますが、葬祭費や埋葬料という名称です。国民健康保険は市区町村の年金保険課、社会保険や共済保険は保険組合や協会、共済組合に申請します。
それぞれ必要書類が異なるので、申請先に確認しましょう。申請期限が短いものもあるため、注意が必要です。
健康保険で知っておきたい3つの制度
健康保険には、知っておくと役に立つ制度が3つあります。高額すぎる医療費を払わなくとも治療を受けられるなど、どれも加入者の状況によりそったありがたい制度でしょう。
ただし、自分で申請の手続きをする必要があります。加入している保険ごとにきちんと申請方法を調べておきましょう。
任意継続
任意継続とは、希望すれば退職後も元の職場の健康保険に加入し続けることができる制度です。継続期間は2年間で、その間は被扶養者ともどもそれまでと同じ医療給付を受けることができます。
任意継続をするには、退職から20日以内に加入していた健康保険組合に申請する必要があります。また、退職前の保険加入期間が2カ月を超えない場合は適用されません。
高額療養費
高額医療費とは、1カ月にかかった医療費の自己負担額が一定の限度額を超えたとき、その超過分を払い戻してもらえる制度です。限度額は所得や年齢により変動します。医療費は同一の保険に加入する家族で合算できます。
加入している保険組合や、国民健康保険の加入者は市区町村に申請しましょう。
限度額適用認定証
医療費が高額になってしまった場合、高額医療費であとから戻ってくるのでは支払いが大変、というときにありがたいのが限度額適用認定証です。
入院や手術の予定があり、医療費が高額になることがあらかじめ予想されている場合には限度額適用認定申請をし、限度額適用認定証をもらいましょう。支払い時に窓口で保険証と一緒に提示することで、1か月の支払いが自己負担限度額までで済みます。
健康保険の役割を把握しよう
健康保険には、加入者が費用の心配なく医療を受けられるという目的があります。そのためにもすべての人がきちんと保険に加入し、しっかりと保険料を支払う必要があるでしょう。
上記でご紹介したように、自分で申請をしないといけない制度も複数あります。健康的な生活を送るうえでも、きちんと健康保険に対する知識をもって活用していきましょう。