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贈与契約書について|書き方や作成するためのステップ3つを紹介!

2021 05.6この記事はPRを含みます

贈与契約書とは?

贈与契約書とは、どのようなものなのかはっきり答えられますか。一見難しく感じても、「贈与」も「契約書」もわかるのではないでしょうか。「贈与」は誰かに何かを贈ること、プレゼントのイメージです。「契約書」は契約を締結する際に作成する文書のことです。

 

つまり、誰かに無償で金銭や物をあげる時に作成する文書のことです。しかし、普段の生活でお菓子など身近なものをあげたりするときには、贈与契約書を作成していません。贈与契約書は、どのような時に必要で、どのようなメリットがあるのでしょう。

贈与契約書を作るメリット4つ

契約書を作成する機会は、普段の生活でそう多くないと思います。それを書くとなると多少のハードルを感じるかもしれません。贈与について、民法第549条によると、「あげる」「受け取る」の合意があれば成立するとされています。

 

それなのに、わざわざ贈与契約書を作成するメリットとは、どのようなものなのでしょう。ここからは、そのメリットを4つ紹介します。

第二節 贈与

贈与契約書のメリット1:贈与の事実証明

相続の際、被相続人が相続人に生前贈与していたものは、年数の制限なく遺産分割の対象となります。そこでどれだけ贈与があったのか、第三者に対して証明できる贈与契約書を作成しておけば、遺産を分割する際のトラブル回避になります。

贈与契約書のメリット2:確実な履行

贈与契約書など書面のない、口頭での「あげる」「受け取る」では、「言った」「言っていない」の水掛け論になることがあります。こういったことがないように、書面で契約しておけば将来のトラブルを回避でき、確実な履行が出来ます。

贈与契約書のメリット3:解除ができない

贈与契約書を作成して交わした契約は、解除できないので受贈者の利益が守られます。

 

逆をいうと、口約束は、「やはりあげない」と贈与を解除されることがあるのです。それは法律違反ではなく、書面によらない贈与は、契約を履行する前なら解除できると民法第550条に記載されているのです。

第五百五十条

贈与契約書のメリット4:税務調査時の証明

贈与の一般的な例は、生前のころから、子供や孫に少しずつ財産を渡していく、暦年贈与といわれるものです。

 

1月1日から12月31日までの1年間の間に110万円以下なら非課税になる仕組みです。子や孫に対する贈与は、法定代理人(親権者)の同意があれば受贈する意思表示を行うことができ、贈与契約を成立させることができます。

 

相続税の税務調査で不当に課税されないようにするためにも、贈与契約書を作成しておくメリットはあります。この部分は民法だけではなく、税法も絡んで複雑な部分です。

1 暦年課税

贈与契約書を作成するための3ステップ

贈与契約書を作成するメリットがわかったところで、いざ作成するためには何が必要なのでしょうか。特に、法律が関わってくると、何から手を付けていいのかわからなくなると思います。

 

贈与契約書を作成するためにどのように進めていけばよいのか。贈与の目的物によって違いがあるのか。ここからは、贈与するものが金銭、不動産、株式といった場合の作成方法について紹介していきます。

ステップ1:契約内容を話し合う

贈与契約で大切なのが、お互いの「あげる」「もらう」の意思です。(民法第549条)その意思がお互いにあることを契約書に書いていくわけですが、まず当事者間で話し合いをして、その合意内容を確認しましょう。

ステップ2:書類を作成する

次に契約書の作成についてですが、実際には何を書く必要があるのでしょう。贈与するもの(株式、現金、不動産)によって、記載する内容も変わってきますので、注意が必要です。

 

また、契約書は二通作成することになります。一通はコピーでも構いませんが、契約後、贈与者と受贈者がそれぞれ保管することになります。

株式を贈与する場合

株式を贈与する場合、非上場会社(譲渡制限付き)と上場会社の場合で仕組みが変わってきます。それぞれの流れを紹介します。

 

非上場会社の株式を贈与する場合、会社によって株式譲渡の承認機関が変わってきます。そのことは会社の登記簿謄本や定款で調べられます。

 

例えば、株式譲渡には株主総会の承認が必要とあれば、贈与契約書に「株主総会の承認をもって、権利を移転する」と記載する必要がでてきます。

 

また、株式譲渡承認請求書と承認された株主総会の議事録を、贈与契約書につけておく必要があります。

 

上場会社の株式を贈与する場合は、贈与契約書に、株式の種類、株式の数量、譲渡の条件を明記しましょう。また、受贈者が未成年の場合は、親権者の住所、氏名を記載して押印します。

現金を贈与する場合

現金の贈与契約書はとてもシンプルです。「いつ」「誰に」「いくら」「どんな条件で」「どのようにして」を、記載するだけなので簡単にできます。一つ注意するのは現金の動きを手渡しにするのか、振り込みにするのかについてです。

 

お勧めは振り込みです。手渡しが危険な理由としては、相続になるのか生前贈与になるのか証拠が残っていないので、その事実を実証するのが難しくなるためです。

不動産を贈与する場合

土地や建物など不動産を贈与する場合、贈与契約書には、対象の不動産に関する事項を、登記事項証明書に記載されている通りに記載します。

 

また、所有権移転登記手続きが必要となり、そのための費用や不動産所得税、固定資産税などが発生します。それらを贈与者、受贈者どちらが支払うかも話し合い、贈与契約書に明記します。

不動産所得税
固定資産税

ステップ3:贈与者と受贈者それぞれで保管する

契約書の基本的条項の後、通例として、契約の証として贈与契約書を2通作成し、双方が1通ずつ保管する旨、記載しておきます。これは、もし1通だけなら保管している側が変造することが可能になってしまうからです。

贈与契約書の書き方

さて、贈与契約書を作成するのに、様式や記入例はあるのでしょうか。記名、捺印の仕方にルールはあるのでしょうか。手書きとパソコン、どちらで作成してもいいのでしょうか。いざ作成しようとするとわからないことに直面することがあると思います。

 

答えは様式や例文などもあります。印鑑についてもルールがあります。また、手書きでもパソコンでもどちらでも構いません。ただし、後日の争いになるのを避けるために、署名と日付だけは自筆で記入するのがよいとされています。

 

また、中身は何を記載する必要があるのでしょうか。書き方やルールをしっかり確認しましょう。

必要な記載項目

贈与契約書に必要な記載事項は、いつ贈与をするのか、誰が誰に贈与するのか、何を贈与するのか、贈与するために条件(負担)について、贈与する方法(現金手渡し、振り込み等)になります。

 

実際に作成したら漏れがないか、確かめましょう。

贈与契約書を作成する際の注意点4つ

あとからトラブルが起きないように贈与契約書を作成しても、効力があるものでなければ意味がありません。

 

贈与契約書を有効なものにするために、いくつかある注意点の中から4つ紹介していきます。

贈与契約書を作成する際の注意点1:印紙が必要な場合がある

贈与の目的物が、不動産の場合と負担付贈与の負担が大きい場合、贈与契約書に収入印紙が必要になります。

 

つまり、贈与の目的物が株式や金銭の場合は必要ありません。そして、受贈者が贈与を受ける代わりに負担がかかる負担付贈与の際、収入印紙が必要になります。

 

負担付贈与の例は、建物の贈与を受ける代わりに残りのローンを返済する場合や、財産の贈与を受ける代わりにペットの世話を引き受ける場合などです。

 

印紙の貼付位置に決まりはありません。たいてい契約書は1枚目左上に貼付し、消印は印鑑を用いますが、シヤチハタでも署名でも構いません。消印は贈与者、受贈者、代理人のうち一名以上になります。

贈与契約書を作成する際の注意点2:署名押印を自筆する

贈与契約書に贈与者、受贈者の住所、氏名を記載し押印します。その際、住所はあらかじめWordなどで記載していてもかまいませんが、氏名はお互いに合意した証として署名が望ましいとされています。

 

また同じ理由で、契約日の日付も手書きが望ましいとされています。押印は、実印でなく、認印でも有効性はあります。

 

また、未成年で自署・押印が出来ない場合は法定代理人が自署・押印したり、高齢で署名できない場合は、契約に第三者に立ち会ってもらい、立会人にも押印してもうなど、本人が合意をもって契約したことを立証する必要があります。

贈与契約書を作成する際の注意点3:事実証拠を備えておく

贈与契約書さえあれば大丈夫、と安心してはいられません。客観的に当事者間の合意を証明する必要があります。

 

たとえば、金銭の贈与の場合、手渡しではなく口座に振り込んだり、株式や不動産の贈与の場合、名義を受贈者に変更するなどです。

 

そして、より客観性を持たせるには、公正証書の作成をお勧めします。贈与契約書は大抵、当事者間で作成し、それぞれ保管しますが、公証役場にもっていき、確定日付をもらうとよいでしょう。

贈与契約書を作成する際の注意点4:連年贈与にならないようにする

連年贈与とは、1年間の贈与を110万円以下にして、毎年贈与するというものです。

 

例えば、親から子に1,000万円贈与する際、一括で贈与すれば贈与税は177万円になります。ところが110万円以下ずつ数年に分けて贈与すれば、贈与税はかかりません。その贈与税額の差は177万円です。

 

また、連年贈与に似た仕組みで、毎年一定の額を贈与することを決めた贈与を定期贈与といわれます。例えば1,000万円を毎年100万円ずつ、10年間贈与する場合です。これは、年間110万円以下であっても1000万円の贈与税が課税されることになります。

贈与税がかかる場合

贈与契約書を作成しよう

贈与契約書の作成について、どのような印象を持ちましたか。初めは難しいと感じたかも知れませんが、出来そうな気になってきませんか。とは言っても、贈与契約書の書式が分からないかも知れません。

 

その場合は「ひな形」を探してみましょう。贈与の目的別であったり、いくつかのパターンがあり、自分に近いものをアレンジしてみるとイメージが付きやすいでしょう。

 

また、作成費用について、誰が負担するかは決める必要がありますので、当事者間で話合いましょう。

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