投資信託はいつ解約する?解約のタイミング8つとチェックすることを紹介
2021 12.9この記事はPRを含みます
投資信託を解約するのはいつ?
投資信託を始めたものの、解約の仕組みについてはあまりよく知らない、という方はいらっしゃいませんか。もしくは、急にお金が必要になったので、投資信託を解約して現金を用意したい、という方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、投資信託の解約を検討している方に向けて、解約のタイミングについて紹介します。
投資信託は長期保有するもの
基本的に、信託投資は長期保有を前提とした投資方法です。
長期保有にはいくつかのメリットがあり、例えば、投資によって発生した利子や分配金を再投資することによる複利効果が得られることや、解約時にかかる手数料のコストを減らせることなどが挙げられます。
また、一般的に、5年、10年の長いスパンで投資信託を運用することで、値動きの幅が縮まるため、リスクが減らせると言われています。
「投資信託は長期保有するもの」と言われるのはそのためです。
投資信託を解約するタイミング8つ
投資信託は長期保有が原則であることは分かりましたが、投資を回収するためには、いつかは解約して現金化しなければいけません。また、やむを得ない理由で急遽解約しなければいけない時もあるでしょう。しかし、やみくもに解約したのでは、思わぬ損をしてしまう可能性もあります。
ここからは、投資信託の解約時期について、8つのタイミングを検討していきます。
投資信託を解約するタイミング1:目標を決めておく
一つは、目標額に到達したタイミングです。
投資信託をするにあたってあらかじめ目標を決めておきましょう。その目標金額に到達したときが解約のタイミングです。例えば、「マイホームの頭金として使うために、10年後に1,000万円必要」ですとか、「老後資金として、2,000万円貯めたい」などが目標値になります。
具体的なゴールを決めておくことで、投資のモチベーションにもなりますし、その時までコツコツ続けることができます。
投資信託を解約するタイミング2:リスク許容範囲を決めておく
投資先の業績が下がり続けている時も、解約のタイミングの一つです。
投資信託はリスク許容範囲を前もって決めておきましょう。リスク許容範囲とは、「投資した元本がどれくらいマイナスになっても生活に支障がないか」の範囲のことです。リスク許容範囲を超えてしまったら解約のタイミングと言えるでしょう。
どのくらい赤字になったら解約するというのを事前に決めておき、その通りに解約することで、株価が下落し続けている場合にリスクを最小限に抑えることができます。そのためにも、リスクについて事前に検討し、許容範囲を見極めておくことが必要です。
投資信託を解約するタイミング3:投資配分のバランスを維持する
投資信託を長期間続けていると、手持ちの資産のバランスに変化が生じます。
例えば、当初は国内株式・国内債券・海外株式・海外債券をバランスよく保有していたのに、時間が経つ内に一部分だけ極端に増加したり、減少したりしていることもあります。
このような場合には、増加している部分の投資を一時的に解約し、他の部分に投資することで資産配分を保つことも効果的です。これが投資配分のバランスを維持するということで、リバランスとも呼ばれます。
投資信託を解約するタイミング4:資産配分の見直し
資産配分を見直したいときも解約のタイミングの一つです。
資産配分のバランスそのものを見直すことを、リアロケーションと呼びます。リバランスは、変化した配分比率を元に戻すことですが、リアロケーションは配分比率を積極的に変化させていくことを指します。
景気や投資環境の変化に合わせて、「株式を増やしたい」「債券を増やしたい」という方は、現状の投資信託を解約して新たに他の銘柄で投資するのが良いでしょう。
投資信託を解約するタイミング5:運用方針の変更がある
投資ファンドの合併や事業計画の改定などで、投資信託の運用方針に変更が生じることがあります。
変更後の運用方針が、自分の投資目的や方針と合わなければ、解約が必要になるでしょう。投資を行う際には、自分がどのような投資信託を利用しているのかを把握し、運用方針に納得してから投資すると良いでしょう。
投資信託を解約するタイミング6:運用成績の悪化
投資信託の購入後に、景気悪化などの影響により運用成績が悪化することもあります。基準価額をあまりにも大きく下回ってしまい、リスク許容範囲を超えてしまった場合、思い切って解約するという手もあります。
投資信託は長期保有が基本であることから、少々の下落は静観するのが一般的ですが、あまりにも運用成績が悪ければ解約を検討するタイミングとなるでしょう。
投資信託を解約するタイミング7:ブームが去った投資信託
AIやロボットなど、特定の産業分野に着目して選択された銘柄で構成された投資信託を「テーマ型ファンド」と呼ぶことがあります。
これらテーマ型ファンドは、急成長が期待できる分野に絞って投資を行います。テーマ型ファンドは、あるテーマに集中して投資することで大きな値上がりが期待できます。その一方で、テーマのブームが去り、下火になった場合に急速に株価が値下がりするリスクがあります。
投資信託のブームが去ってしまった場合、解約のタイミングと言えるでしょう。
投資信託を解約するタイミング8:時間分散で解約する
必要な分の投資信託だけ解約するのもオススメです。
きちんと目標があって始めた方であっても、急に思いがけないライフイベントがあり、現金が必要になることがあるでしょう。そのような時に、全額を一気に現金化するのではなく、必要な分だけ現金化することで、タイミングをずらしながら少額ずつ解約できるのでリスクを分散することができます。
もちろん、残りの保有分は継続運用できますので、また現金が必要になった際に必要な分だけ現金化できます。
投資信託の解約でチェックすること4つ
ここまで、8つの解約タイミングについて見てきました。
ここからは、それらのタイミングを踏まえた上で「解約したい」と強く思う方に向けて、事前にチェックすべきポイントを4つ紹介します。
投資信託の解約でチェックすること1:クローズド期間の確認
投資信託には、原則として解約が禁止されている解約禁止期間が設けられている場合があり、この期間をクローズド期間と呼びます。
クローズド期間は、投資信託の運用を安定化させるためなどの目的で、ファンド新規設定後の3カ月から1年程度の期間が設定されている場合があります。近年ではクローズド期間が設けられていないファンドもありますが、念のために確認しておくと安心です。
投資信託の解約でチェックすること2:返金までの所要日数
投資信託を解約してから現金が返金されるまで、一般的に、解約申し込みが受け付けられた「解約日」から、最低3営業日かかると言われています。
正確な日数は商品ごとに異なり、5~8営業日かかる投資信託もあります。
解約しようとしている投信信託が売却から現金化まで何日かかるのかは、投資信託説明書(目論見書とも)に記載されていますので、解約する予定のある方は余裕をもって確認しておく必要がありそうです。
投資信託の解約でチェックすること3:基準価額
解約を検討している方は、自分が投資している投資信託の基準価額もチェックしてください。
投資信託を売るときの値段は、解約申し込み当日の証券取引所が終了した後に計算された基準価額をベースにして計算されます。投資信託の中には、時差の関係で、解約申し込み当日ではなく翌日の基準価額がベースになる場合もあります。
買ったときに比べて基準価額が値上がりしていれば利益が出ますが、値下がりしている場合もあります。余裕を持って事前にチェックし、最適なタイミングで解約できるようにしましょう。
投資信託の解約でチェックすること4:手数料
投資信託の解約に当たって、見落としがちなのが解約手数料です。
商品によっては手数料無料の場合もありますが、一般的には0.3%前後の割合で解約手数料がかかると言われています。基準価額を元に代金から差し引かれるため、あらかじめ手数料分を加味しておかないと、せっかく出た利益が相殺されてしまうかもしれません。
投資信託はいつかは解約するものですので、解約を想定して事前に手数料をチェックしておくと良いでしょう。
投資信託の税金
ここまで、投資信託解約にあたってチェックすべき4つのポイントを紹介しました。
ところで、投資信託を解約するにあたって、税金はかかるのでしょうか。かかるとしたらいくらでしょうか。金額をしっかり把握できている方は多くないのではないかと思います。
ここからは、投資信託を解約するにあたって徴収される税金を見ていきましょう。
株式投資信託の場合
投資信託のうち、株式投資信託とは、株式を組み入れて運用することができる投資信託のことです。実際は、株式を組み入れずに運用しているものもあります。
株式投資信託の場合、投資信託から生じる利益には、投資ファンドが運用利益を投資家に払い戻す「分配金」と、購入時と解約時の基準価額の差額である「譲渡益」の2種類があります。
これらの利益にはそれぞれ税金が課せられますが、その内容について、「分配金」と「譲渡益」に分けて見ていきましょう。
分配金
まず、分配金に課せられる税金についてです。
投資信託の分配金には、「普通分配金」と「特別分配金」があります。このうち特別分配金とは、分配金が支払われ分配後の基準価額が元本を下回る場合に、元本を下回った部分のことを呼びます。特別分配金は元本の取り崩しなので、非課税になります。
株式投資信託の分配金には、20.315%の税金がかかります。「源泉徴収ありの特定口座」を利用している方は、分配金が支払われる際に源泉徴収が行われるので、改めて確定申告をしなくてもよくなります。
譲渡益
譲渡益は、投資信託を解約した際の基準価額が購入時の基準価額を上回っており、手数料などを引いた後に出る利益のことを言います。
投資信託の譲渡益には20.315%の税金が課せられています。分配金同様、原則として確定申告が必要ですが、源泉徴収ありの特定口座を利用している場合は確定申告は不要になります。
公社債投資信託の場合
続いて、公社債投資信託の場合を見ていきます。
公社債投資信託とは、約款上、株式を一切組み入れず、国債や社債などの債権を投資対象とする投資信託のことです。主な商品としては、MMF(マネー・マネージメント・ファンド)、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)などがあります。
分配金
公社債投資信託の分配金には、20.315%の税金が適用されます。
特定口座での取り扱いが可能なため、源泉徴収ありの特定口座を利用している場合は確定申告が不要です。
また、2016年1月から、申告分離課税の対象となったため、上場株式等の譲渡損益との通算や3年間の繰越控除が可能となっています。
譲渡益
譲渡益についても、分配金と同様に20.315%の税金が課せられます。
こちらも、源泉徴収ありの特定口座を利用している方は、源泉徴収が行われた額が支払われるため、確定申告を行う必要はありません。
特定口座の場合
証券口座を開設する際には、特定口座か一般口座かを選ぶことができます。
特定口座と一般口座の主な違いは、特定口座の場合、証券会社が1年間の売買の内容を計算し、「年間取引報告書」を作成してくれますが、一般口座は自分ですべてしなければいけない点です。
そのうち、特定口座は「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」から選択します。「源泉徴収あり」を選択している方は、投資信託の分配金と譲渡益及びそれらにかかる税金が自動的に損益通算され、証券会社によって税金が納付・還付されます。
「源泉徴収なし」を選択している方は、証券会社が1年間の売買損益を計算した「特定口座年間取引報告書」を作成・発行するので、これを元に自分で確定申告をし、税金を納付する必要があります。
一般口座の場合
一般口座を選択している方は、確定申告が必須です。
年間の取引によって生じた利益や損失なども、自分で計算しなければいけないので、初心者の方は一般口座ではなく特定口座を選択する方が簡単でオススメです。
一般口座の方で、投資信託を解約したい場合、自分で譲渡益などを計算し、税金を納める必要があります。
投資信託の解約はタイミングを押さえて実行しよう
今回は、投資信託の解約タイミングなどについて紹介しました。せっかくの投資ですから、やみくもに解約するのではなく、最適なタイミングを見極めて利益増加を目指しましょう。
投資信託を始めてみたい方や、始めたもののいつ解約すべきか悩んでいる人の参考になれば幸いです。