駐車場経営でかかる固定資産税とは|金額の目安と節税のポイント3つ
2020 06.4この記事はPRを含みます
固定資産税とは
固定資産税というのは、毎年1月1日に土地や建物といった不動産を所有していた場合に課税される税金のことです。
固定資産税がかかるのは土地・建物が代表的ですが、この他に償却資産として器具や設備も対象となっています。償却資産に対する固定資産税は償却資産税として別にされていることもあるのですが、償却資産税は固定資産税の一部です。
住宅用地のとき
住宅用地とは、「人が居住するための家屋の敷地となっている土地」のことです。住宅用地は土地なので当然ながら固定資産税の対象となっていますが、「住宅用地の特例措置」として固定資産税を軽減する措置が行われています。
店舗などがある土地の場合は、居住に要する土地ではないため住宅用地とはなりません。オフィスや店舗・工場などは事業施設用地となるため、住宅用地に併設していた場合は注意する必要があるでしょう。
アパート・マンション用地のとき
アパートやマンション用地の場合も、人が居住するための家屋の敷地となりますので、取扱いは住宅用地と同じです。
一戸建ての住宅用地と同じように、アパートやマンション用地も「住宅用地の特例措置」の対象です。一戸建てとの違いがあるとすれば、一戸建ての場合は土地の割合が高いのに対して、アパート・マンション用地は土地が少なく建物の割合は多い固定資産税となることでしょう。
土地と上物でそれぞれ課税される
固定資産税で注意しておかなければならないこととして、固定資産税は土地といわゆる上物である建物、それぞれに課税される種類の税金であるというポイントがあります。
したがって、固定資産税の計算の仕方も土地と建物で変わってきます。建物(家屋)の場合は基本的に評価額が課税標準額と同額になるのに対して、土地の場合は最高でも評価額の70%程度となっていますので、計算してみることは可能です。
駐車場の固定資産税はいくら?
住宅を建てている敷地は「住宅用地の特例措置」があり、固定資産税が軽減されるというメリットがあります。しかし何も建てていない更地の土地はそういった軽減措置が受けられないため、固定資産税が高くなってきます。
土地を住宅用ではなく駐車場とした場合、固定資産税はいくらになるのか、課税対象となるものや住宅用地との比較などについて見ていきましょう。
1:課税対象は土地と駐車場設備
土地を駐車場とした場合に、固定資産税の課税対象となるのはその土地そのものと地上に設置した駐車場設備の2つです。
土地を駐車場にしたとしても、とくに駐車場設備を作っていない場合は駐車場設備に対する固定資産税は発生しないでしょう。しかし、駐車場に屋根やフェンスなどを設置した場合には、土地以外にそれらの償却資産に対しても固定資産税が課税されることになるので注意してください。
2:駐車場設備は償却資産に当てはまる場合のみ課税対象になる
駐車場設備といってもさまざまな設備がありますが、その中で固定資産税の課税対象となるのは償却資産にあてはまる設備のみ、となりますのでチェックしておきましょう。
例えば、駐車場設備として屋根やフェンスをつけたり、アスファルト舗装をしたりセンサー式停車機をつけたりすれば、それらはいずれも償却資産であるため償却資産税として固定資産税の課税対象となっています。
3:駐車場の固定資産税は住宅よりも6倍高くなる場合も
住宅用地ではなく駐車場にした場合の固定資産税は、実は住宅用地とした場合よりも6倍も高くなってしまうことがあります。
更地にしたり駐車場にしたりせず、建っている住宅をそのままにしておけば固定資産税は安くなります。
しかしこれはケースバイケースがあり、もしも建物にかかる固定資産税が高額であった場合には、建物を取り壊して更地や駐車場にした方が固定資産税が安くなる、ということがあります。
住宅用地だけの特例では減税される
どうして住宅用地が駐車場よりも固定資産税が安くなるのかというと、「住宅用地の軽減措置」により、居住のための敷地は固定資産税額が固定資産税評価額の1/3~1/6に軽減されるためです。
住宅用地は2種類に分けられます。住宅1戸につき200平方メートルまでの「小規模住宅用地」で固定資産税評価額の1/6、小規模住宅用地以外の住宅用地は「一般住宅用地」として固定資産税評価額の1/3です。
駐車場の固定資産税の計算方法5つのステップ
固定資産税の場合は毎年「納税通知書」が届きますので、自分で計算して申告する必要はありません。しかし、不動産投資などで駐車場経営をする前にあらかじめ固定資産税額を知っておきたい場合があるでしょう。
ここからは、土地を駐車場として運営した場合の固定資産税はいくらになるのか、あらかじめ自分で計算しておく方法を紹介いたします。それほど難しくはありませんので、ぜひご自分で計算してみてください。
ステップ1:土地の固定資産税評価額を算出
固定資産税評価額の算出をするには、固定資産税がかかる土地の路線価×面積で計算できます。
固定資産税を計算するための路線価については、時価を反映するために3年に1回の見直しが行われています。また、路線価には相続税を算出するためのものと、固定資産税を算出するためのものがあるので注意してください。
固定資産税路線価は各市町村が公表しています。一般的には、公示価格の7割程度が目安でしょう。
ステップ2:土地にかかる固定資産税を算出
固定資産税評価額を計算する際は、駐車場とする土地にかかる固定資産税を「固定資産税評価額×標準税率(1.4%)」で算出します。
注意ポイントとして、ここでは固定資産税算出のための税率を1.4%としていますが、必ずしもそうではない場合があります。多くの市町村は税率を1.4%としているのですが、この税率は市町村で変えられるため1.4%以上の税率にしている市町村もあります。確認しましょう。
ステップ3:償却資産税評価額を算出
続いて、駐車場に設置した設備のうち償却資産の対象となるものについて、「償却資産税評価額」を算出します。
償却資産税の対象となるのは、土地や家屋ではなく10万円以上の設備・器具です。また10万円未満でも、減価償却を行うことができるものは対象となる場合がありますので市町村の窓口にて確認しましょう。
償却資産は取得年月日によって、算出方法が変わります。償却資産取得初年度の算出方法は「取得費用×(1-減価率×1/2)」、2年目以降は「前年の償却資産税評価額×(1-減価率)」です。1つ1つの償却資産について算出しましょう。
ステップ4:駐車場設備にかかる固定資産税を算出
償却資産となる駐車場設備にかかる固定資産税は、「償却資産税評価額×標準税率(1.4%)」で算出できます。
ただし、上記で計算した償却資産税評価額が150万円未満であった場合には、課税されません。償却資産評価額の全ての合計が150万円以上であった場合にかぎって、駐車場の償却資産にかかる固定資産税が発生することになります。また、償却資産税額は償却により年々減っていきます。
ステップ5:課税される固定資産税を算出
駐車場の場合、実際に課税される固定資産税を算出するには「土地にかかる固定資産税」+「駐車場設備にかかる固定資産税」で計算できます。
上記で解説したステップ2の土地にかかる固定資産税、ステップ4の駐車場設備にかかる固定資産税を算出し、それぞれを足すことで駐車場にかかる固定資産税を算出できますので、やってみましよう。
駐車場の固定資産税を節税するポイント3つ
住宅用地よりも固定資産税が高額になりがちな駐車場、固定資産税を節税することはできないのでしょうか。たしかに駐車場は「住宅用地の特例措置」のような、固定資産税の軽減はありません。しかしやりようによっては、固定資産税を節税できますので見ていきましょう。
ここで紹介するのは、駐車場と住宅用地を繋げる・駐車場をアスファルトで舗装する、駐車場設備である償却資産を一括償却資産とする方法です。
1:駐車場を住宅用地と繋げる
駐車場にかかる固定資産税を節税するポイント、1つ目は駐車場と住宅用地を繋げてしまい、「住宅用地の特例措置」を受けて節税する、という方法です。
住宅用地と離れていて、独立している駐車場は住宅用地の特例措置の対象とはならないでしょう。しかし、住宅用地と隣接している駐車場など、住居建物と駐車場を一体型で運用していると認められた場合には、住宅用地の特例措置で軽減を受けられるでしょう。
2:駐車場をアスファルト舗装する
償却資産でもあるアスファルト舗装をすることで、駐車場にかかる固定資産税を節税するという方法もあります。
駐車場をアスファルトで舗装した場合、「貸付事業用宅地等」の200平方メートルまでの固定資産税評価額について、50%減額できるという特例を利用することが可能になるためです。
200平方メートルという制限はありますが、土地の評価額が高額な場合にとくに効果が見込めるでしょう。
3:駐車場設備を一括償却資産として処理する
最後は償却資産となる駐車場設備を節税する方法で、償却資産(10万円以上20万円未満)について「一括償却資産」として処理するという方法です。
駐車場設備として10万円以上20万円未満の償却資産があった場合、それらを一括償却資産として3年で処理するという方法です。この一括償却資産の処理により、通常の償却資産税での固定資産税処理よりも、支払う固定資産税を減額することが可能になるでしょう。
固定資産税のシミュレーション
ここからは、固定資産税のシミュレーションをする方法について紹介いたします。
すでに固定資産税の算出方法については解説してきましたので、固定資産税を計算することはできるでしょう。ここでは、住宅用地の特例措置が適用された場合の固定資産税のシミュレーション、住宅用地の特例措置か適用されなかった駐車場の場合の固定資産税について見ていきます。
住宅用地の特例が適用されたとき
住宅用地の特例が適用された場合の固定資産税は、1戸につき200平方メートル以下の小規模住宅用地については「(固定資産税評価額×1/6)×標準税率1.4%」、小規模住宅用地以外の一般住宅用地について「(固定資産税評価額×1/3)×標準税率1.4%」で計算できます。
このほかに住宅が新築だった場合には、固定資産税を1/2にするという特例があります。そのため、建物の固定資産税は半額として計算します。
住宅用地の特例が適用されない駐車場のとき
比較して住宅用地の特例措置が適用されない駐車場の場合には、「固定資産税評価額×標準税率(1.4%)」でシミュレーションします。
土地の固定資産税評価額を算出し、償却資産税評価額についても算出してそれを合計してシミュレーションします。
駐車場の固定資産税は高いが工夫すれば節税できる
駐車場は節税できないとよく言われていますが、工夫によっては節税することが可能です。また建物の固定資産税が高い場合には、建物を取り壊して駐車場にすることで節税になる、という場合もあります。
たしかに駐車場の固定資産税は住宅用ほど安くはありませんが、工夫することで節税できますのでぜひ活用していきましょう。