共有名義の土地全体を売却する際に必要なこと3つ|高く売却するコツ
2020 06.29この記事はPRを含みます
共有名義とは
不動産の共有名義とは、1つの土地や建物を複数の人数で所有していることです。
共有名義で不動産を管理するケースには、1人で購入するには資金が不足するため複数人で出資をする場合や、不動産を相続した場合など、さまざまなケースがあげられるでしょう。
共有名義の土地全体を売却する際に必要なこと3つ
共有名義の土地全体を売却したい場合は、土地を所有していても1人が勝手に売却することはできません。共有名義人すべての承諾が必要になります。
それでは、共有名義の土地全体を売却するにはどのような進め方があるのか、詳しくみていきましょう。
必要なこと1:共有名義者全員の承諾
共有名義の土地全体を売却するには、共有名義者全員の承諾が必要です。承諾を得るために、事前に準備が必要なものもあるため、早めに連絡をして確認してもらうことが大切でしょう。
それでは共有名義人に承諾をもらう際に、必要なものや書類にはどのようなものがあるのでしょうか。4つあげているので、それぞれみていきましょう。
承諾に必要なもの:身分証明書
共有名義に限らず土地を売却するときは、本人確認ができる書類である身分証明書が必要となります。
一般的に身分証明書とは、運転免許証、パスポート、健康保険被保険者証、住民基本台帳カード、マイナンバーカードなど、公的機関が発行する証明書のことを指します。氏名、住所、生年月日、性別、顔写真など、本人を特定する情報が記載してあるものを準備しましょう。
承諾に必要なもの:実印
共有名義の土地全体を売却するときは、実印が必要です。
実印とは、住民登録をしている市区町村の役所に、自分の戸籍上の姓名で作成した印を申請し、受理された印鑑のことです。
一般的に実印の登録は、登録する市区町村に住民登録をしていて、15歳以上であることが条件となります。しかし、市町村によって条件が異なる場合もあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
承諾に必要なもの:印鑑証明書
共有名義の土地全体を売却するときは、印鑑証明書が必要でしょう。
印鑑証明書とは、売却する際の書類に押された印鑑が、間違いなく本人の実印であるということを証明する書類のことです。
一般的には実印を市区町村に登録申請した際に、交付された印鑑登録証などのカードを、市区町村に提出・申請することで印鑑証明書が交付されます。印鑑証明書を発行するときは、実印は必要ない場合もあるため、事前に確認しておくとよいかもしれません。
承諾に必要なもの:住民票
住民票は、共有名義の土地全体を売却する際に、登記上の住所から現住所に至るまでの住所履歴を確認できる書類になります。何か月も前に取得した住民票は利用できない場合もあるため、新しく発行してもらうのがベターです。
また、登記上の住所から複数回住所が変わっており、住所履歴を追うことが難しい場合は、戸籍の附票が必要になるかもしれません。
必要なこと2:登記識別情報を管理する
平成17年3月7日から施行された不動産登記法により、権利証を紙で発行するのではなく、登記識別情報という個別の情報が発行されるようになりました。
登記識別情報通知書に情報が記載されていますが、通知書をなくしても情報を控えてあれば問題ないでしょう。しかし、情報が漏洩すると権利証が盗まれたのと同じことなので、しっかりと管理する必要があります。
また、登記識別情報は、共有名義人1人につき1通発行されますが、共有人数が多数の場合は、管理が大変になるため情報を持たない選択も可能です。
必要なこと3:土地測量図・境界確認書を作成する
土地を売却する際は、隣地との土地の境界を明確にする必要があるでしょう。土地が公簿面積と相違がないか、隣人との境界が明確になっているかが重要です。
境界が明確かどうかは、公簿面積の隣地との境に境界標が記されていて、それを明記した土地測量図や、境界確認書等で確認が可能です。
また、隣地との境界が明確でない場合は、売却の前に家屋調査士に依頼をして、境界確認作業を済ませておくことがベターです。
共有名義の土地を高く売却するコツ3つ
共有名義の場合は、複数人とやりとりがあるため、売却の手続きに時間がかかるかもしれません。そのため、不動産会社から査定を低く見積られるケースもありますが、土地を高く売却するにはどのような方法があるのでしょうか。
共有名義の土地を高く売却するコツを3つあげてみましたので、それぞれみていきましょう。
売却するコツ1:実績がある不動産会社を選ぶ
共有名義の土地を高く売却するコツは、実績がある不動産会社を選ぶことです。
売却をしたい不動産エリアにおいて、売買実績が豊富な不動産会社を選ぶことが大切でしょう。また、地方では大手の不動産会社より中小不動産会社のほうが強い場合もあります。インターネットの、一括査定サイトを活用することもよいのではないでしょうか。
売却するコツ2:共有名義人全員の同意をもらう
自分名義の分だけ売却するのは、低価格でしか売却できない可能性が高いでしょう。そのため、名義人全員から売却に同意してもらい、共有名義の土地全体を売却することが高く売却するコツとなります。
また、窓口を1人決めることで、不動産会社や司法書士などの対応がスムーズにいきやすくなるため、機会を逃さずに売却を進めることが可能です。
売却するコツ3:不動産会社を介して反対者を説得する
共有名義の場合、複数人で土地を管理しているため、不動産の売却に反対する人が現れるかもしれません。そのような時は、売却を依頼している不動産会社に間に入ってもらい、説得をしてもらうことも可能です。
土地全体を高く売却するには全員の同意が必要ですが、話し合いをしてもうまくいかないかもしれません。その際は第三者に入ってもらうことで、冷静に話し合える可能性もあるでしょう。
土地全体を売却する際に共有名義人が見つからない場合の対処2つ
共有名義の土地全体を売却するには名義人全員の同意が必要ですが、なかには連絡が取れず、不動産を売却ができないケースがあります。行方不明になった人にも連絡を取らないと、不動産を売却することはできません。
共有名義人が行方不明の場合に土地全体を売却するには、どのような方法があるのでしょうか。
見つからない場合の対処1:不在者財産管理人を選任する
共有名義の土地全体を売却する際に、共有名義人が行方不明の場合は、不在者財産管理人の制度を利用することによって、不動産の売却が可能です。
不在者財産管理人とは、家庭裁判所から選任された行方不明者の財産を管理する人のことです。不在者財産管理人は、財産の保存行為、性質を変えない程度の利用、改良行為に権限が限られます。
そのため、不動産を売却する際は、家庭裁判所から許可を得なくてならないでしょう。
選任基準
不在者財産管理人の選任基準は基本的に、不在者が1年以上行方不明であることや、利害関係者、検察官が選任請求をすることがあげられます。
そのため、共有名義の土地全体の売却が進まない場合、選任請求をするとよいでしょう。しかし、不在者がいても1年を経過していないときは、選任請求ができないため注意しましょう。
選任方法
不在者財産管理人の選任基準は、不在者の財産を守るのが基本となるため、原則として他の相続人から選ばれることはありません。また、親族の中から選ばれる場合は、相続とは関係のない人が選ばれることになるでしょう。
親族に候補者がいない場合は、家庭裁判所が弁護士や司法書士などの専門家を不在者財産管理人として選任します。
見つからない場合の対処2:失踪宣告の制度を使う
共有名義の土地を売却する際に、共有名義人が行方不明の場合は、失踪宣告の制度を利用することで不動産の売却が可能になります。
失踪宣告とは生死不明のものに対して、法律上亡くなったとみなす制度です。亡くなったことと同じ効力を発揮するため、行方不明の共有名義人の相続が開始され、土地の売却ができるようになるでしょう。
利用できる条件
失踪宣告には、生死が7年間明らかでない普通失踪と、危難が去った後その生死が、1年明らかではない危難失踪の2つがあります。
亡くなったとみなされる時期は、普通失踪は生死が不明から7年経過したとき、危難失踪は、危難が去ったときになるでしょう。
共有名義の土地を売却する方法を理解しよう
共有名義の土地全体を売却するには、複数人が名義人となるため全員からの同意を得る必要があります。
共有名義の不動産売却は、意見の食い違いや価値観の違いがあった場合は、まとまりにくいかもしれません。お互いが納得して売却できるように、よく話し合って進めていきましょう。