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IIRRと利回りの違い4つとIRRの特徴|IRRで最低限必要な利回り

2020 10.21この記事はPRを含みます

IRRとは?

IRRとは、日本語で「内部収益率」とも表現される投資用語です。

IRRは、複数の投資商品を比較する際に用いられる値で、IRRの値が大きいほど優秀な投資案件と捉えることができます。

これから投資について検討するという人は、IRRの定義を理解し、投資案件の選定の際の検討項目として注目しましょう。ここではIRRの定義について紹介します。

投資における収益率を出す計算式

野村証券の用語定義によると、IRR(内部収益率)は「投資によって得られる将来のキャッシュフローの現在価値と、投資額の現在価値が等しくなる割引率のこと」とされています。

IRRの計算式は以下の経産省のリンクにも掲載されていますが、毎年の利回りを加算していって、初期キャッシュフローと同額になる方程式を解くことで得られます。

野村証券 証券用語解説集
資産運用におけるベンチャー投資(経済産業省中小企業庁)

現在価値を出すこともできる計算式

「現在価値」はIRRの説明では、将来の金額を現在の価値として評価しなおした値だと理解できます。

例えば、IRR5%の投資を行えば、現在の100万円は1年後105万円になります。IRRの計算式の単年分として100=105/(1+r)で表せます。rはIRR値の5%(0.05)ということになります。

1年後の100万円の現在価値は、x=100/(1+0.05)の解から、95万2400円ほどと導き出せます。

IRRと利回りの違い4つ

IRRは日本語で「内部収益率」と訳せますが、ここまでの説明では「一般的な金融商品で使われる利回りと同じ用語ではないか」と考えられている人も多いでしょう。

元本に対してプラスαとなる金額が上乗せされるという点では、IRRも利回りと同等のもののように理解されがちですが、IRRは利率ではなく投資指標です。

ここでは、もう少し詳しくIRRと利回りの違いについて考えてみましょう。

IRRと利回りの違い1:割引率を考慮している

金融商品を単年だけで見ると、IRRと利回りは同じものになります。

投資案件には毎年安定した利回りが得られないものも多く、最終利回りが同じでも、早くに利益があがる案件の方がIRR値は高く表示されます。

割引率とは人の感覚に近いもので、初期投資から早い段階で利益を得られる商品には「お得感」を感じられ、収益に時間がかかる商品はお得感を割り引いた値として表現されます。

IRRと利回りの違い2:キャッシュフローが不安定でも利回りの比較ができる

利回りでは、投資期間に得られた利益を平均化して表現します。100万円投資して、「1年目に5万円、2年目以降の利益が0円で5年間投資」の場合も、「5年間の投資で毎年1万円ずつ利益を受ける」場合も、利回りは5%(年1%)です。

5年均等に1万円ずつ利益があがる投資のIRRは1.00%、最初の年に5万円の利益があり、以降は利益が0円の投資のIRRは1.02%となるので、後者の方が利益性は高いと判断できます。

IRRと利回りの違い3:期間が異なる対象でも利回りの比較ができる

投資によってどのくらいの利益をあげることができるのかを利回りから判断するには、検討対象となる投資商品の投資期間が同じ場合は、利回りで比較することも可能です。

「年〇%」や「5年の最終利回り〇%」など、利回りを算出している期間が同じなら比較も可能です。

IRRの値で比較する場合は、比較対象となる金融商品の投資期間が異なっても、どの商品の利益率が高いのかを判断することが可能です。

IRRと利回りの違い4:貯蓄ではなく投資判断に適している

銀行などの貯蓄商品は、多くが安定した結果を約束されています。年利〇%と謳われていれば、年を積み重ねれば確実にその利率で利子がつき、資産を増やすことができます。

金利の低い時代では、安定商品で資産を増やすのは難しくなります。投資商品であれば、成功すれば大きな利益が得られますが、失敗すると元本割れとなります。

リスクを含む投資を考える場合は、早くに利益を得られる可能性をIRR値で見極める必要があります。

IRR・内部収益率の特徴2つ

IRRと利回りの違い、IRRの使い方について、なんとなくでも理解が進んだでしょうか。IRRは「数学が苦手」という人は敬遠したくなってしまうような数式で算出することになります。

ここでは、実際のIRRの算出からは離れ、IRRの考え方についての特徴を2つ紹介します。

IRR・内部収益率の特徴1:時間の概念がある

IRRでは「現在価値」が考慮されています。現在の100万円と3年後の100万円では、「現在価値」として考えると後者の方が価値は低いことになります。

IRRの値は時間軸が意識されて算出されているので、その値の大きさによって短い時間で利益を得られるのか、利益を得るのに時間がかかるのかを判断できます。

IRR・内部収益率の特徴2:キャッシュフローは再投資して複利運用する

IRRの値が高い投資商品に投資し1年目で利益を得ることができたら、その利益は元本に加えて、さらに2年目の投資に回すことができます。

長い期間を同じ投資商品や金融商品に預けるよりも、IRRの値を見ながら短期投資を繰り返すことで、利益が利益を生む複利運用への期待も高まります。

IRRの代わりに利回り計算をした場合の問題点2つ

IRRと利回りの違いやIRRの特徴について紹介しましたが、それでも慣れ親しんでおり内容についても理解できている「利回り」による資産運用の方がわかりやすいという人もいるでしょう。

ここでは、IRRを使わずに利回り計算をした場合に考えられる問題点を2つ紹介します。

問題点1:収益率を無視した計算方法になる

「利回り」は、表記している商品の業者によって、経費を考慮していない単純な利益の場合や経費についても考慮した利益率の場合などの差異があります。

こうした差異にきちんと着目する必要があります。

投資指標として使うのであれば、割引率が加味されているIRRの値の方が正確に判断できることになります。

問題点2:時間軸が短い案件が高収益になる

「利回り」の表示は、1年という短期間で算出されるため、それ以降の将来変動は加味されません。1年単位の投資であれば、利回りで判断するのも悪くはないでしょう。

複数年にわたる投資を検討する場合は、投資期間のキャッシュフローを含んで算出されるIRRの方がより正確な判断を下せる指標となります。

IRRを用いた際の最低限必要な利回り4つ

IRR法による投資判断について、理解は進んだでしょうか。

IRR法を用いて投資判断をする際に、単にIRRの値が大きい・小さいだけで判断するのではなく、投資の基準となるポイントがあります。

ここでは、IRR法により投資判断するときに知っておきたい利回りの種類を4つ紹介します。

最低限必要な利回り1:ハードルレートは自分基準

IRR法により投資の意思判断をする際に必要となるのが「ハードルレート」と呼ばれる利回りです。

ハードルレートとは、最低限必要な利回りのことで、これは誰が決めるものでもなく、投資をする自分自身が設定しておくものです。

「IRR〇%の投資案件には手を出さない。貯蓄商品ならIRR〇%でも検討しよう」という自分の資金を投入する敷居値となる値です。

最低限必要な利回り2:長期的にみる7%前後が目安

ハードルレートは自分で決める値ですが、初めて投資をする場合などは目安がわかりません。

投資判断の目標とする値は、投資する対象や期間によっても異なります。

不動産投資ならばIRRは5%程度が目標になり、その他の投資は商品や期間によって10~20%程度が目標値だとされています。

最低限必要な利回り3:長期的にみるか短期的にみるかで変わる

IRRの目標値として掲げる値は、長期投資の目安とするのか、短期投資の目安とするのかによっても異なります。

短期投資の場合は、低価格の投資で高い利益を受けられる2年以内20%程度のIRR値が目標となり、10年以上の投資ならIRRは5%あたりが目安の利回りとなります。

最低限必要な利回り4:IRRの数値だけではなくリスクがある

投資判断をするときには、IRR法という一点のみで判断するのは危険です。

IRR法が投資判断に必要なすべての要素を含んでいるわけではないので、多角的に判断できるよう、ほかの利回りの値も参照しましょう。

目標配当利回りなども参考にし、利回りだけでなく投資の方法や期間、どのような投資家を対象としているかといった情報も参考にする必要があります。

収益率を比較する際の指標としてIRR活用しよう

IRR法は、一般的な「利回り」表記よりも投資に必要な情報を加味して算出される収益率が見える値であるため、投資の判断基準にできます。

大切な自己資金を投資に回す際は、投資リスクを下げるために、信頼性の高い指標を使いたいものです。

IRR法の内容を理解し、今後の投資判断に使っていけるようにしましょう。

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