払い済み保険とはどのような制度?メリット3つとデメリット4つを理解しよう
2020 10.21この記事はPRを含みます
払い済み保険とは?
保険は私たちの生命に関するリスクに備えるために大切なものです。しかし、保険料の支払いが苦しい状況の場合、解約することも考えるかもしれません。
保険料の払い込みを中止して、解約返戻金をもとに保障額の少ない保険に変更できる制度を払い済み保険といいます。
今回は払い済み保険について紹介します。
「払い済み保険」にできる保険の種類
払い済み保険にできるものは貯蓄性のある保険に限られています。払い済み保険にすることが可能な「個人年金保険」「養老保険」「終身保険」について詳しくみていきましょう。
払い済み保険にできる保険1:個人年金保険
個人年金保険とは老後資金の準備を目的としていて、定められた年齢から毎年年金として受け取れます。個人年金保険には3種類あります。
1つ目は、生死に関係なく契約時に定めた一定期間年金を受け取れる「確定年金」です。2つ目は、被保険者が生きている限り年金を受け取れる「保障期間付き終身年金」です。3つ目は、保険料を保険会社が運用し、運用実績に応じて年金額が増減する「変額年金」です。
払い済み保険にできる保険2:養老保険
養老保険とは満期まで生存していれば、被保険者が亡くなったときの保険金と同額の満期保険金が受け取れる保険です。
貯蓄性の高い保険で、保障も兼ねているので老後資金の調達に向いた保険です。中にはドル建て養老保険もあり、特に貯蓄性が高いと言われています。
払い済み保険にできる保険3:終身保険
終身保険とは亡くなったときの保障が一生涯続く生命保険であり、解約した時には解約返戻金を受け取れます。
保障が一生涯続くので満期保険金はありません。しかし、保険料のかなりの部分が積み立てに回されているため、解約返戻金が多く貯蓄性が高くなっています。
払い済み保険のメリット3選
払い済み保険に変更することでどのようなメリットがあるのか、気になるところです。
保険料の負担が軽減されること、保障期間はそのまま継続されること、解約返戻金は消えないというメリットがあります。詳しくみていきましょう。
払い済み保険のメリット1:保険料負担の軽減
払い済み保険にすると、その時点での解約返戻金をもとに保障額の少ない保険を一時払いすることになります。よって、以降の支払いはありません。そして、契約が満期になれば満期金も受け取れます。
保険料は家計の中で大きな出費です。経済的に厳しいとき、保険料の支払いがなくなると圧迫されていた家計にかなり余裕が生まれることでしょう。
払い済み保険のメリット2:保証期間の継続
払い済み保険にしても保障は変わらずに継続できるということも大きなメリットです。
保険料の支払いが難しくなったとき多くの人が解約を考えるでしょう。経済的に苦しい時だからこそ保障が大切です。保障期間が継続できれば、万が一の事態になってしまったときに保険金が支払われます。
減額されたとしてもある程度の保障金額を維持したいと考える人におすすめです。
払い済み保険のメリット3:解約返戻金は消えない
解約返戻金をもとに新契約の保険料を支払っているため、解約返戻金は無くなってしまうのではないかと考える人もいるでしょう。
しかし、保険会社は運用の基準となる予定利率を定めているので、それをもとにその後も運用され、運用益で少しずつ増え続けることになります。これも大きなメリットです。
払い済み保険のデメリット4選
たくさんのメリットがありましたが、同じようにデメリットもたくさんあります。
保障金額が下がってしまうこと、特約の消滅、元契約に戻すには一定期間内でなければならない、さらに告知と審査が必要です。詳しくみていきましょう。
払い済み保険のデメリット1:当初より保障金額は下がってしまう
当初の契約より保障金額が下がってしまうことがデメリットとしてあげられます。
保障金額が下がってしまうと、万が一の事態になってしまったときに保障金額が不足するかもしれません。保険料の支払いが減った分の費用で別の安価な保険に加入して、不足している保障内容を補うなどの方法もあるので慎重に判断しましょう。
払い済み保険のデメリット2:特約の消滅
医療特約や収入保障特約など、特約を付けている方は注意が必要です。払い済み保険に変更した保険に特約が付いていたら、その特約は消滅する可能性があります。
特約の保障を失いたくないときは、同じ保障内容の保険に新たに加入しなおすことになります。
払い済み保険のデメリット3:元契約に戻せる期間が決まっている
保険会社の承諾を得られれば変更前の契約に戻せる「復旧」という制度があります。しかし、一定の期間を過ぎてしまうと、元契約に戻すことはできなくなります。
一定期間内でないといけないということはデメリットといえるでしょう。経済的な危機を脱出して元の契約に戻したいと考えたときにはもう遅い可能性があります。
払い済み保険のデメリット4:元契約に戻すには告知と審査が必要
復旧の制度を利用するには告知と審査が必要になってきます。それから復旧部分の積立金不足額の払い込みも必要だったり、保険会社によっては利息の払い込みも必要な場合もあります。
これだけの条件があると簡単なことではありません。デメリットといえるでしょう。
払い済み保険を検討すべきタイミング
払い済み保険を検討すべきタイミングとしては2つあります。「保険料の支払いが難しくなったとき」と「保険の内容を見直したいとき」に払い済み保険を検討してみるといいでしょう。それぞれみていきます。
保険料の支払いが難しくなったとき
さまざまな理由で収入が減ってしまったり、子供の進学や親の介護で経済的な負担が増えてしまうことは誰にでも起こりうることです。
経済的な事情で保険料の支払いが困難になってしまったとき、解約をする前にまずは保障をある程度維持できる払い済み保険という制度の利用を検討することをおすすめします。
保険内容の見直しを行いたいとき
家庭環境が変わってくると大きな保障が必要なくなってくるときもあります。そんなときは負担を減らすために保険を見直すことが大切です。
家庭環境が変わって保険の内容を見直したいとき、払い済み保険の制度を利用することもひとつの手段でしょう。
払い済み保険の注意点
これまでの内容をみて、払い済み保険の制度を利用してみようと考えた方へ注意点があります。「すべての保険会社で利用できるとは限らない」ことと、「損失が大きくなる可能性がある」ことです。
これから詳しく見ていきましょう。
すべての保険会社で利用できるとは限らない
払い済み保険の制度は、すべての保険会社で利用できるとは限りません。この制度の利用を考えている方は保険会社に確認しましょう。これから加入される方は事前に確認しておくといいでしょう。
損失が大きくなる可能性がある
払い済み保険にする場合、その時点での解約返戻金の金額によって保障金額が計算されます。
そのため、払い込み期間中の解約返戻金の金額が低い「低解約返戻金型終身保険」と、保険会社の運用実績によって年金額が変わる「変額終身保険」と「変額個人年金」は損失が大きくなる可能性があります。
「低解約返戻金型終身保険」「変額終身保険」「変額個人年金」に加入されている方は気を付けましょう。
払い済み保険のメリットとデメリットを理解しよう
それでは、払い済み保険のメリットとデメリットをまとめましょう。
メリットは、払い済み保険に変更する時点での解約返戻金をもとに保障額の低い保険を一時払いするので以降の支払いは無くなり、保険料の負担が軽減されます。
また、保証期間はそのまま継続されるので、ある程度の保障は維持されます。解約返戻金も無くなることはなく少しずつ増え続けるので安心です。
デメリットは、保障額が下がり特約は消滅してしまうことです。また、一定期間をすぎてしまうと元契約に戻すことはできなくなります。元契約に戻すためには告知と審査が必要であり、条件がそろうのはなかなか厳しいことでしょう。
経済的に苦しい状況にある方、または家庭環境の変化で保険の見直しを考えている方は解約を考える前にこの制度をひとつの手段として知っておく価値はあります。
払い済み保険に変更するときのメリットとデメリットをよく理解したうえで、今の自分とこれからの自分に合った保険を慎重に選んでいきましょう。