マンション売却にかかる税金は?かかる税金の種類や計算手順、税金の特例・控除などを紹介
2023 10.24この記事はPRを含みます
マンションの売却で税金がかかる場合
自分が住むマンションの売却を検討した場合、できるだけ高く売りたいと考えると同時にマンションの売却にかかる税金はどれぐらいになるのかという不安を抱えてしまう方もいるでしょう。
本記事では、マンション売却にかかる税金の種類や計算手順、税金の特例や控除について紹介します。
覚えておくべきポイントとして、マンションの売却で利益(譲渡所得)が出た場合には税金を払う必要が出てくることがあります。
譲渡所得がある場合は申告が必要
マンションの売却で譲渡所得が出た場合には、確定申告が必要になります。申告は一定以上の所得がある場合に必要なもので、普段は申告をしない給与所得者も必ずしなければなりません。
売却した翌年の2月16日から3月15日の間に申告しなければならない決まりで、無申告や期限を超過するとペナルティが課されてしまいます。
ただし、マンション売却で損失が出た場合は申告の必要はありません。
譲渡所得の計算式
譲渡所得の計算式は土地・建物の売却金額(譲渡価額)-(取得費+譲渡費用)です。
取得費は、土地・建物の購入代金やそのほか取得に要した費用から建物は所有期間中の減価償却費を引いて求めることができます。
譲渡費用とは、土地・建物の売却にかかった費用のことです。仲介手数料や売買契約書に貼る印紙代などが譲渡費用にあたります。
マンションの売却益にかかる税金3種類
譲渡所得の計算式が分かれば、申告が必要かどうか、税金がかかるのかどうかを知ることができます。
マンションを売って売却益(譲渡所得)が出た場合は、どのような税金がかかるのでしょうか。ここからは、マンションの売却益にかかる税金を紹介します。
売却益にかかる税金1:譲渡所得税
マンションの売却益にかかる税金の1つ目は譲渡所得税で、マンションの売却で得た税金に対してかかる税金です。
税率は、マンションを保有していた年数により異なります。マンションを売却した年の1月1日時点で保有期間が5年超のものは長期譲渡所得となり税率15%、保有期間が5年以下のものは短期譲渡所得となり税率30%です。
課税譲渡所得額に保有期間に合わせた税率をかければ納税額を計算できます。
売却益にかかる税金2:住民税
マンションの売却益にかかる税金の2つ目は住民税で、都道府県や市区町村が行う住民サービスを提供するために必要な経費を、そこに住む住民に負担してもらう目的で徴収されている税金です。
住民税も保有期間が5年超と5年以下で税率が変わり、長期譲渡所得は5%で短期譲渡所得は9%となっています。
売却益にかかる税金3:復興特別税
マンションの売却益にかかる税金の3つ目は復興特別税で、平成23年に発生した東日本大震災からの復興のため(被災者支援やまちづくりなど)に必要な財源の確保する目的で徴収されている税金です。
平成25年から令和19年までの25年の間、すべての納税者が納める義務があります。復興特別税額は、基礎所得税額に2.1%を乗じることで求めることができます。
マンション売却益がなくてもかかる税金3種類
譲渡所得税・住民税・復興特別税は売却益が出た場合に支払う税金ですから、マンション売却で損失が出た人には関係ないことですが、マンションの売却にかかる税金はこれだけではありません。
売却益の有無に関係なく、マンションの売却の手続きを行う人が共通で払う必要がある税金もあります。
ここからは、マンションの売却益がなくてもかかる税金を3種類紹介します。
売却益がなくてもかかる税金1:印紙税
マンションの売却で売却益がなくてもかかる税金の1つ目は印紙税です。
不動産の売買では売買契約を交わすことになります。不動産売買契約書には印紙を貼らなければならない決まりですが、その時に収める税金が印紙税です。
契約書に記載された金額が1,000万円超5,000万円以下は2万円など金額により収める税額に違いがあります(令和6年3月31日までは軽減税率が適用されます)。
売却益がなくてもかかる税金2:仲介手数料等の消費税
マンションの売却で売却益がなくてもかかる税金の2つ目は、仲介手数料等にかかる消費税です。
消費税は商品の販売やサービスの提供を受けた場合に支払う税金で、日常の買い物で商品代金に乗じて支払っているものです。
マンションの売却では不動産業者の仲介やハウスクリーニング、司法書士への手続きなどを利用することが考えられ、それらにかかる費用に対して消費税が課されます。
売却益がなくてもかかる税金3:抵当権抹消登記の登録免許税
マンションの売却で売却益がなくてもかかる税金の3つ目は、抵当権抹消登記の登録免許税です。
住宅ローンの返済中にマンションを売却する場合、登記簿謄本に記載されている抵当権を消すという手続きをしなければなりません。抵当権を抹消する手続きをするために登録免許税を支払う必要があります。
抵当権抹消登記に必要な登録免許税は不動産1個につき1,000円です。土地と建物の抹消する場合は2,000円支払う必要があります。
マンション売却益にかかる譲渡所得税の計算手順7つ
ここからは、マンション売却益にかかる譲渡所得税の計算手順7つを紹介ましす。
マンション売却益にかかる譲渡所得税は分離課税のため、給与所得や事業所得とは合算せずに分けて計算しなければなりません。
譲渡所得税を計算するためには、譲渡価額・取得費・減価償却費・譲渡費用・譲渡所得・控除額をまず求めなければなりません。これらの計算の手順を順番に紹介し、最後に譲渡所得税の計算手順を紹介していきます。
譲渡所得税の計算手順1:譲渡価額
基本的に譲渡価額とは、マンションの売却価格のことと覚えておいても構いませんが、売却価格に固定資産税や都市計画税の清算金を加えなければいけない場合もあります。
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課されるもので、新たに家主となる人に対して課されているわけではありません。ですから、固定資産税などの清算を行った場合は単純に値上げとみなされるため売却価格に精算額を加える必要があります。
譲渡所得税の計算手順2:取得費の計算
取得費とは、基本的にマンション購入費や購入にかかった手数料などを合わせたものです。建物の場合には合計額がそのまま取得費にはならず、減価償却費を引く必要があります。
もし、購入時期が古いなどの理由で購入額が分からない場合は、売却額の5%相当額を取得費とすることができます。これを概算取得費といいます。
また、実際の取得費が売却金額の5%相当額に満たない場合には、売却額の5%相当額を取得費にすることも可能です。
譲渡所得税の計算手順3:建物取得費から減価償却費を差し引く
マンションの購入費や手数料などを求めることができたら、建物の取得費から減価償却費を引かなければなりません。
減価償却費の計算式は建物購入価額×0.9×償却率×経過年数です。
償却率は、木造は0.031、(鉄骨)鉄筋コンクリートの場合は0.015などと区分により決まっています。経過年数は6か月以上の端数は1年、6か月未満は切り捨てという決まりがあり、経過年数が5年7か月の場合は6年で計算します。
新築マンションを購入した場合
新築で購入したマンションの場合の取得費の計算手順を紹介します。
売買契約書に土地と建物の価額が別々に書かれている場合はその価額を計算式に当てはめて計算できますが、価額が区分されていない場合は消費税額から建物の取得価額を計算する必要があります。
取得価額を消費税から求める計算式は、消費税額×1+消費税の税率/消費税の税率です。この計算式から建物の価額を求め計算しましょう。
中古マンションを購入した場合
中古で購入したマンションの場合の取得費の計算手順を紹介していきます。
中古マンションでは土地と建物の価額の内訳が分からないというケースが多いです。この場合、『建物の標準的な建築価額表』を基にして次の計算式で建物の価額を計算します。
建物の建築年に対応する建築単価(建物の標準的な建築価額表)✕建物の床面積-建築時から取得までの経年数に応じた減価償却費相当額で価額を計算し、取得費の式に当てはめ算出します。
譲渡所得税の計算手順4:譲渡費用の計算
取得費の計算が終わったら譲渡費用を計算します。この記事の最初の方でもお話ししましたが、譲渡費用とは土地・建物の売却にかかった費用のことです。
譲渡費用には、売却の時の仲介手数料・売却のための広告費・売買契約書に貼る印紙税・売却に伴う立ち退き料が含まれます。
ただし売却の時に必要となる抵当権抹消登録免許税や司法書士に支払う手数料、引っ越しのための費用などは含まれません。
譲渡所得税の計算手順5:譲渡所得の計算
譲渡価額、取得費、譲渡費用の計算が終わったら譲渡所得を計算します。
譲渡所得についてはこの記事の最初の方でも紹介していますが、譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算できます。
譲渡所得税の計算手順6:控除額を計算
マンションを売却すると高額な売却益が予想されますから、納める税金も高額になるのではと心配する人もいるでしょうが、不動産売却にはさまざまな控除が用意されています。
譲渡所得から控除額を差し引くことで税負担を軽減することができますので、譲渡所得の計算が終わったら使える控除は無いか確認し控除額を計算しましょう。
使える控除にどんなものがあるのかは次の章で紹介していきます。
譲渡所得税の計算手順7:譲渡所得税を計算
控除額を計算できたら譲渡所得から控除額を差し引き課税譲渡所得金額を算出し、譲渡所得税を計算していきます。
譲渡所得税は先述したように課税譲渡所得金額✕保有期間に応じた税率で計算できます。税率は、売却した年の1月1日時点での保有期間が5年を超えるマンションは15%(長期譲渡所得)、保有期間が5年以下のマンションは30%です。
マンション売却で使える税金の特例・控除6選
最後にマンション売却で使える税金の特例・控除6選を紹介します。
土地や建物といった不動産の売却では、特例として譲渡所得を計算する上で控除を受けられるケースがあり、控除を利用すれば税負担を軽減させることも可能です。どのような控除があるか、控除を利用できる条件や控除額などは売却前に調べておくようにしましょう。
使える税金の特例・控除1:居住用不動産を売ったときの軽減税率の特例
使える税金の特例・控除の1つ目は居住用不動産を売ったときの軽減税率の特例で、一定の要件を満たすことで長期譲渡所得の税率が低くなるというものです。
親子など特別な関係に対して売却したものではない、3,000万円特別控除以外の特例を受けていないことなど5つの要件を満たすことで控除を受けられます。
課税長期譲渡所得金額が6000万円以下の部分は10%、6,000万円を超える部分は15%で計算します。
使える税金の特例・控除2:居住用財産の3000万円特別控除
使える税金の特例・控除の2つ目は居住用財産の3,000万円特別控除で、マイホームを売却した時は保有期間に関係なく最高3,000万円まで控除されるというものです。
売主と買主が親子など特別な関係ではないこと、売却した年、その前年及び前々年に買換え特例や交換特例を受けていないなどの要件を満たすことで3,000万円特別控除を受けられます。
使える税金の特例・控除3:居住用財産の買換え特例
使える税金の特例・控除の3つ目は居住用財産の買換え特例で、マイホームを売却し新たな住宅に買い換えを行う場合に譲渡益への課税を将来の譲渡まで先延ばしできるというものです。
売却価格よりも高い住宅への買い替えで利用でき、売却価格が1億円以下であること、居住期間が10年以上で保有期間が10年超であることなど、一定の要件を満たすことで利用可能です。
使える税金の特例・控除4:譲渡損失の損益通算
使える税金の特例・控除の4つ目は譲渡損失の損益通算で、マンション買い換えにともなう旧居宅の売却で譲渡損失が出た場合、その年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)できるというものです。
売却した年の1月1日時点の保有期間が5年超であること、新居宅を取得した翌年12月31日までに居住用に供することなどの一定の要件を満たすことで利用できます。
使える税金の特例・控除5:譲渡損失の繰越控除
使える税金の特例・控除の5つ目は譲渡損失の繰越控除で、これは譲渡損失が売却した年の所得を超えた場合に損益通算しても控除しきれなかったら翌年以後最長で3年間に繰り越して控除することができるという特例です(繰越控除)。
売却した年と合わせれば最長で4年間は所得税や住民税が0になる可能性があります。旧居宅の敷地面積が500㎡超の場合などは繰越控除を利用できません。
使える税金の特例・控除6:相続したマンションを売却した場合
使える税金の特例・控除の6つ目は相続したマンションを売却した場合に使える特例です。
どのような特例があるかというと相続税額のうち一定額を取得費に加算することができる相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や一定の要件を満たすことで宅地の評価額が最大で80%減額されるという小規模宅地等の特例があります。
マンション売却にかかる税金の仕組みを知り特例や控除を活用しよう
ここまで、マンションの売却にかかる税金について紹介してきました。
マンションの売却で譲渡所得が発生すると税金が発生する可能性がありますが、不動産の売却では特例や控除を使え税負担を軽減できるるケースもあります。
売却にかかる税金の計算方法や仕組みを知り、自分が特例や控除を利用できるか確認するようにしましょう。
マンション売買に関連する記事を以下のリンク先にまとめていますので、興味がある方はご参照ください。
マンション購入時等の土地・建物の価格割合の確認方法や計算方法|建築価額表からの推計手順
マンション売却時に必要な費用5つ|マンション売却時に必要な手数料について
中古マンション購入までの流れ10個|中古マンション購入で失敗しないコツ
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