不動産所得とは|経費として計上できる13の経費と計上できない経費
2020 06.4この記事はPRを含みます
不動産所得とは?
不動産所得とは、不動産そのものや不動産に属するものによる権利、ほかにも船舶や航空機などの貸し付けにより発生した所得のことで、所得税法26条による所得税のなかの課税所得の区分の一つです。
事業所得又は譲渡所得に該当するものは不動産所得に含まれませんが、どちらに該当するかが判断の難しいものが存在します。
例えばマンションの賃貸からの所得は不動産所得ですが、ホテルの運営からの利益は事業所得となります。
必要経費とは
不動産所得の必要経費とは、その不動産所得を計算する際に、不動産の収入から差し引くことができる金額のことをいいます。
不動産所得の必要経費は、具体的には実際に支出した不動産の管理費、共益費、修繕費、固定資産税、都市計画税、損害保険料、借入金の利息、建物の減価償却費などがあります。
さらに、確定申告の青色申告をする際に家族でも従業員の給与を支出しても必要経費とすることができるなどのメリットがあります。
不動産所得に計上できる13の経費
不動産所得に計上できる必要経費は様々ですが、必要経費は把握しておくべきです。
不動産所得を得るためには投資をしていく必要がありますが、その投資により利益を上げるためには、経費を正しく計上し、節税する必要があります。
利益を確保のためには、不動産投資で認められる経費や、認められない経費を分けて、理解しておくことが大切ですので、詳しく必要経費となる経費とそうならない経費について紹介します。
不動産所得に計上できる経費1:旅費交通費
旅費交通費は、不動産の購入、不動産の物件の管理の際に、電車やバス、自動車を利用するためにかかる費用です。
公共交通機関の運賃や、タクシー代、そして自家用車のガソリン代や駐車場代などですが、移動先のホテルの宿泊費なども含まれ、必要経費として計上できます。
不動産の下見や、不動産会社に伺いにいく、所有している不動産の状況を確認に行くという行動が対象となります。
不動産所得に計上できる経費2:自動車関連費
自動車関連費用とは、不動産管理に関する自動車の維持費のことで、具体的には車両の購入費、メンテナンスの費用、自動車税や保険料が不動産所得にかかる経費として計上できます。
ただし、不動産投資に必要な範囲に限定されることに注意です。日常生活など、不動産投資以外で、自動車を使用する場合、不動産所得の必要経費に計上できません。
自家用車を不動産投資のために使う場合には、家事と社用を按分して、不動産所得を得るために必要な分のみ経費にできます。
不動産所得に計上できる経費3:情報収集や勉強のための費用
不動産所得を得るために行われる情報収集や不動産投資の勉強にかかる費用も、必要経費に計上できます。具体的に、新聞や書籍代、セミナー代、コンサルティング費用などは、必要経費に計上することができます。
ただし、資格取得費用は不動産関連で不動産所得を得るために必要な資格であっても、個人のスキルを高めるためであるので、経費としては認められない場合が多く、不動産所得を得るために無関係な雑誌、漫画などの費用は必要経費となりません。
不動産所得に計上できる経費4:通信費
通信費は、情報収集を行うためや、不動産会社や管理会社と連絡をするために、携帯電話やパソコンなどを使うための費用です。
例えば、携帯電話、パソコンの購入代金、携帯電話の使用料、インターネットのプロバイダー費用、ソフトウェア、アプリの購入代金などが必要経費となります。
携帯電話やパソコンを私用でも使っている場合は、自動車関連費用と同じく家事と社用で按分し、不動産投資のために使った分のみが必要経費となります。
不動産所得に計上できる経費5:減価償却費
減価償却費とは不動産を所有するためにかかった費用を法定耐用年数で割った費用です。
不動産には法定耐用年数という法定上定められた使用可能な年数が定められていますので、その期間の減価償却費は毎年必要経費として計上出来ます。
具体的には、木造住宅の場合は法定耐用年数は22年と定められていますので、木造住宅を購入した場合には、減価償却費の算出方法に従って得た金額を必要経費として22年間計上できます。
不動産所得に計上できる経費6:ローン金利
不動産をローンで購入した場合、返済時にかかる金利は必要経費として計上出来ます。
ただし、不動産をローンで購入した場合であっても、ローンの元金である不動産の購入費用は、必要経費となりません。
不動産の購入費用については減価償却が必要経費に計上できるため元金は必要経費になりません。
なお、経費計上ができる金利は建物取得の費用に対してのみで、土地取得に関わる費用に対しての金利は経費となりません。
不動産所得に計上できる経費7:保険料
不動産所得を得るための投資として、建物などの不動産を購入する場合にその管理上、火災保険や地震保険に加入してその保険料を支払います。
そのような火災保険や地震保険に加入するための保険料は、不動産所得の必要経費として計上ができます。
不動産所得に計上できる経費8:管理会社へ払った委託料
不動産の管理を自分が直接行わずに管理会社に委託する場合が多いのですが、その時に支払う管理委託料も、不動産所得にかかる必要経費に計上出来ます。
不動産管理委託量は不動産によって利益をあげるために必要な経費として考えられるために必要経費に認められています。
不動産所得に計上できる経費9:管理費
不動産所得を得るために投資して得た建築物では、共用部分の清掃や各種設備の保守・点検にかかる建物管理の費用がかかり、必要経費として認められます。
このような建物管理の費用を管理費といいますが、この建物管理は専門の会社に委託する場合が多く、専門知識やノウハウが必要な仕事になっています。
分譲マンションへ投資する場合、建物管理会社はすでに決まっていることが多く、その管理会社に毎月管理費が請求されます。
不動産所得に計上できる経費10:修繕費
不動産所得を得るために投資して得た建築物は、経年劣化や使用されていけば、建物自体が傷むことや設備の故障が発生してきます。
具体的には建物のリフォーム費用や、壊れた設備の交換費用などになります。
建築物本体や設備にかかる修繕費は、建物の所有者が負担することになっていますので、不動産所得を得ているものが支払います。
この修繕にかかる支払いである修繕量は、不動産所得にかかる必要経費に計上することができます。
不動産所得に計上できる経費11:税金
不動産所得を得るために取得した不動産の契約したときの印紙税や不動産取得税は、必要経費に計上出来ます。
さらに、毎年不動産にかかる固定資産税や都市計画税も不動産所得にかかる必要経費として認められます。
不動産所得を得るために自家用車を使っている場合は、その自家用車の自動車税や重量税なども経費として計上できますが、家庭用の分は案分して差し引かなければなりません。
不動産所得に計上できる経費12:司法書士などに払った報酬
不動産所得を得るために不動産を取得する際には、登記が必要になりますが、その際に司法書士に依頼した費用も必要経費に計上出来ます。
さらに不動産所得を含む年間所得を、税務署に確定申告する際に税理士に依頼した場合には、その税理士への報酬も不動産所得の必要経費として認められます。
不動産所得に計上できる経費13:交際費
不動産所得を得るために不動産を取得するためには、不動産会社の担当者や不動産の所有者、さらにはその不動産を管理する会社の担当者と打ち合わせが必須になっています。
そのような打ち合わせをした際の、飲食代を必要経費として計上出来ます。具体的には喫茶店で打ち合わせをした際のコーヒー代や、食事代は会議費として必要経費として認められます。
もちろん領収書があっても家族との食事代などは必要経費として認められません。
経費として認められない費用例
不動産所得の必要経費として計上できる費用を例示してきましたが、すべての費用が必要経費として認められるわけではありません。
例えば仕事で使う場合でも、自分の着る仕事着のスーツ代や、身体を鍛えるためのジム代、そして仕事上で発生した交通違反の反則金や罰金は経費として認められません。
不動産投資に必要な費用で必要な費用は必要経費となりますが、生活費やプライベートでの支出については経費として認められません。
経費として認められない費用例1:スーツ代
経費として認められない費用の一つが、仕事で着ているスーツ代があります。
不動産会社や管理会社の担当者との打合せ時に着用していくスーツであっても、スーツはあくまでも自分を主張する服飾です。
そして、スーツはプライベートでも着用できるので、不動産所得にかかる必要経費には計上できません。
スーツに限らず仕事で使用するビジネスバッグや身に着けている腕時計なども同様に必要経費にできません。
経費として認められない費用例2:ジムなどの会費
従業員のいる会社である場合は、スポーツジム、娯楽施設などの会費は福利厚生費として計上することで、その会社の必要経費として認められます。
しかし、個人事業主で不動産所得を得ている場合には、個人で事業をしているために福利厚生費は必要経費とならないので、スポーツジムや娯楽施設の会費は必要経費となりません。
経費として認められない費用例3:交通違反反則金
不動産所得を得るために車を運転する場合に、途中で交通違反を起こしてしまって、反則切符を切られ交通違反の反則金や罰金が発生してしまうこともあります。
交通違反を起こした時が仕事中であっても、交通違反の反則金や罰金は経費として認められません。
自動車関連費用は比較的必要経費として認められますので、故障などで自動車が移動させられた場合のレッカー代金などは必要経費として計上することができます。
経費として認められない費用例4:住民税・所得税
経費として認められない費用として所得税や住民税、法人税などがあります。これらの税金は個人に対して課せられる税金ですので、不動産所得にかかる必要経費として認められません。
このように、税金などは必要経費として認められませんから、何が不動産所得にかかる必要経費になり、逆に何が経費にならないかの判断が難しいものは、税理士や税務署に確認する必要があります。
損益通算がある
所得税法では総所得金額ほかの所得金額を計算する場合、不動産所得の金額、事業所得の金額ほかの金額の計算上損失の金額が生じたときは、他の各種所得の金額から控除することができることになっています。
不動産所得ほかの所得を計算して赤字になった場合は、他の所得から差し引いていけるのが損益通算制度です。
不動産所得の赤字分は他から給与が出ている事業主は、その分の所得税から差し引いてかまわないことになります。
確定申告に必要なものと手順
確定申告は毎年3月中旬までに行うことになっていますが、まず必要な書類を揃えることから始めます。
具体的には、必要書類は固定資産税の通知書、火災保険や地震保険の証券と支払証明書、修繕費などの領収書、管理費領収書、接待交際費、交通費の領収書、有る方は源泉徴収票になります。
税務署に提出する確定申告書を作成しますが、前年に確定申告をしている方などは、1月に確定申告書が送られてきますので記入し提出します。
不動産所得で経費の関係をきちんと把握しよう
不動産投資をして不動産所得を多く得るためには、節税のために収入から控除できる必要経費を把握して、しっかり計上する必要があります。
不動産所得から必要経費を差し引くことで、税金の額が大きく変わってきますので、必要経費については、認められる経費とそうでない経費を知っておくことが重要です。
今回は必要経費の項目について多く紹介していますし、不動産を保有して収益を得た場合に行う確定申告についてもまとめました。