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住宅性能評価とは|住宅性能評価を取得するメリット4つとデメリット3つ

2020 06.4この記事はPRを含みます

住宅性能評価制度とは

住宅性能評価制度とは平成12年「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき良質な住宅を安心して取得できる市場を形成するためにつくられた制度です。

住宅性能評価制度は、設計段階で図面を確認する「設計性能評価」と、建築中や住宅完成後に確認する「建設性能評価」の2種類に分かれています。

評価については「評価方法基準」という全国共通基準をもとに、国に登録されている第三者機関がおこないます。住宅性能評価制度により評価されることで建築関係に素人であっても安心して購入することができ、信頼性を増すことができます。

住宅の品質確保の促進等に関する法律:【国土交通省】

設計性能評価

設計性能評価とは登録住宅性能評価機関が「評価方法基準」をもとに設計段階で図面をチェックし評価することです。住宅性能評価制度にもとづく性能評価を受けるには有料となり、新築住宅の注文者が支払います。

住宅性能評価制度にもとづき、設計住宅性能評価書を交付された新築住宅については、住宅の設計に対し基準となる性能がクリアしているのを確認されたことになります。

建設性能評価

建設性能評価とは、登録住宅性能評価機関が設計住宅性能評価に表示された性能が実際に建築された住宅で発揮されているのかをチェックし評価することです。

ただし、建設性能評価を受けるためには、事前に設計住宅性能評価を受け基準をクリアしていないと申請出来ません。

建設住宅性能評価は一般的な木造の場合に基礎の配筋工事が完了後・構造躯体工事の完了後・内装下張り工事の直前・建物が竣工した時点で4回のチェックをおこないます。さらに検査時期以外の工程も、施工記録などで確認して徹底したチェックがおこなわれ評価されます。

住宅性能評価のメリット4つ

住宅性能評価制度により設計性能評価と建設性能評価をクリアすることで、各種優遇策や万が一のトラブルなどのときに役に立つメリットを利用することができます。

また、住宅の性能が数値化されているため、住宅購入時の判断材料として役に立つというメリットがあります。そのほか住宅性能表示制度を利用した住宅は、住宅ローンの優遇や保険料の割引を受けられるという点です。

住宅性能評価制度は単なる設計や完成までの建築評価だけでなく、登録住宅性能評価機関がきちんと評価している間違いのない建物ということから、評価のない建物とは違った優遇策が利用できるというメリットがあります。

これから、「地震保険の割引」・「住宅紛争処理機関の利用」・「欠陥住宅のリスクの減少」・「住宅ローンの優遇金利」について解説していきます。

住宅性能評価のメリット1:地震保険で割引が受けられる

住宅性能評価制度にもとづき住宅性能評価書を取得すると、火災保険などに特約としてつける地震保険料の割引を受けることができるメリットがあります。

評価された耐震性能の等級に応じ、平成26年6月30日以前を保険始期とする特約地震保険に適用されるメリットとしての割引率は耐震等級3等級:30%、耐震等級2等級:20%、耐震等級1等級:10%となり、平成26年6月30日以降のメリットとしての割引率は3等級:50%、耐震等級2等級:30%、耐震等級1等級:10%となります。

耐震等級割引;【一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

住宅性能評価のメリット2:低コストで指定住宅紛争処理機関を利用できる

住宅性能評価制度にもとづき住宅性能評価書を取得すると、住宅トラブルのとき指定住宅紛争処理機関を低コストで利用できることがメリットです。

指定住宅紛争処理機関は、裁判によらず住宅の紛争を円滑・迅速に処理するための機関で、各地の弁護士会にあり住宅トラブルの紛争処理を申請できることがメリットになります。

また紛争処理内容は評価書の内容だけでなく、請負契約・売買契約に関する当事者間のすべての紛争の処理を扱い、紛争処理の手数料は1件あたり約1万円程度で、迅速な解決を期待できることもメリットになります。

住宅性能評価のメリット3:欠陥住宅のリスクを大幅に減らすことができる

住宅性能評価制度にもとづき住宅性能評価書を取得すると、欠陥住宅のリスクを大幅に減らせるメリットがあります。

平成12年以降は「住宅品確法」により、すべての新築住宅には柱や屋根などの基本構造部分について10年間の瑕疵担保責任が義務づけられていますが、たとえ瑕疵担保が見つかっても基本構造部分に対する修繕対応になります。

住宅性能評価制度にもとづいた評価を得ることで、建築前の設計段階や工事期間中のチェックがあり、建築業者も指摘されないように施工するため丁寧な工事となり、欠陥住宅のリスクを大幅に減らせることがメリットです。

住宅品確法:【電子政府の窓口】

住宅性能評価のメリット4:住宅ローンによっては金利が優遇される

住宅性能評価制度にもとづき住宅性能評価書を取得すると、住宅ローンによっては金利が優遇されるメリットがあります。

埼玉りそな銀行では金利を1.0%優遇 、滋賀銀行では固定金利選択型の場合当初期間1.5%優遇、当初期間終了後0.8%優遇、 変動金利型で当初5年間1.3%優遇 ・6年目以降0.8%優遇され、住宅性能評価書を取得する費用以上にコストを下げられる可能性がありメリットとなります。

民間金融機関による性能表示住宅への住宅ローン優遇策

住宅性能評価のデメリット3つ

住宅性能評価制度で評価を得るためにはメリットだけでなくデメリットもあります。

住宅性能評価制度は、申請により設計段階で図面を確認する「設計性能評価」、建築中や住宅完成後に確認する「建設性能評価」がおこなわれるため基準をクリアさせるために建築コストが高くなることや、評価を受けるための費用がかかるなどのデメリットもあるでしょう。

住宅性能評価のデメリット1:建築コストが上がる

住宅性能評価のデメリットとして評価を受けない住宅と比較して建築コストが上がります。

建築基準に合った一般的に利用される建築資材や施工内容の住宅よりも、住宅性能評価を得るためには建築資材なども、よりよい資材を使うことや職人の手間も多くかかり、その分建築コストが上がることになり費用面でデメリットになるでしょう。

住宅性能評価のデメリット2:評価を受けるにあたって費用がかかる

住宅性能評価のデメリットとして評価を受けるにあたって、評価を受けない住宅と比較して費用がかかります。

評価を得るためには登録住宅性能評価機関に設計段階で図面を確認する「設計性能評価」と、建築中や住宅完成後に確認する「建設性能評価」を得るための申請をし、チェックを受けることになります。

申請にあたっては申請費用がかかり、住宅性能評価の等級を上げることで申請費用も高くなります。よって、評価を申請しない住宅より申請する分の費用がかかってしまいデメリットになるでしょう。

住宅性能評価のデメリット3:評価基準が細分化されて費用が分かりづらい

住宅性能評価のデメリットとして評価基準が細分化されており、素人には費用が分かりづらいところがあります。

しかし、費用については評価項目ごとに全国一律で単価が決まっています。追加項目や化学物質濃度測定、地盤の液状化に関する情報提供など素人では分かりづらいところがありデメリットとなるでしょう。

新築住宅に安心・安全の評価をしてもらうためには、分かりづらくても確認しながら必要な申請をすることが大切です。

住宅性能評価書受け取りまでの流れ

住宅性能評価書は申請から受け取りまでの流れがあります。

流れは住宅性能評価機関に正式に申請する前に相談し、その後申請し建築図面や建築現場のチェックを受け、その結果、問題がないと判断されれば住宅性能評価書を受け取ることができるでしょう。

住宅性能評価書受け取りの流れ1:打ち合わせ

住宅性能評価書を受けるためには事前の打ち合わせが必要です。

性能評価の手続きをスムーズに進めていくためには、正式な申し込みをおこなう前に事前に打ち合わせをおこないます。途中で再確認したり、変更点があったりする事態を減らすことができるからです。

主な打ち合わせ内容は、申請に必要な書類と記載内容、必要な建築図面や手続き方法、スケジュールなどについてです。

住宅性能評価書受け取りの流れ2:検査機関に評価の申し込みをする

事前打ち合わせ内容にもとづいて検査機関に対し所定の申請書類を作成し、正式に住宅性能評価を申し込みます。

申請後、内容の審査を受け、問題がないと判断されれば評価に進み、確認事項があれば「質疑表」が送付されます。質疑表の内容に対応しなければなりません。

住宅性能評価書受け取りの流れ3:評価の実施

申請後、内容の審査を受け、問題がなければ評価の実施に入ります。

設計住宅性能評価については、設計図面などを評価方法基準に適合しているかどうかの審査を行い、建設住宅性能評価については工事工程に合わせ現場検査を実施し、評価をおこないます。

住宅性能評価書受け取りの流れ4:評価書の交付

住宅性能評価書は申請内容が評価方法基準に適合しているのが確認されることで評価書が交付されます。

評価書は設計内容の評価が完了したときに設計住宅性能評価書を交付され、 すべての検査が完了したときに建設住宅性能評価書が交付されますが、新築の建設住宅評価書の交付については、建築基準法に定める検査済証の交付後に評価書が交付されます。

建築基準法

平成30年度の評価書交付割合

平成30年度の評価書交付割合は26.1%で過去最高となっています。

新設住宅着工戸数に対する設計住宅性能評価書の交付割合は、3年連続の増加となり平成30年度の交付割合が過去最高の26.1%となっています。

設計住宅性能評価書を交付された住宅のメリットが注目されて、交付をうける人たちが増えたと考えられるでしょう。

評価書交付割合:【国土交通省】

評価書交付割合

平成30年度の評価書交付割合は26.1%です。

平成30年度の新設住宅着工戸数952,936戸に対し、平成30年度中に設計住宅性能評価書が交付された住宅戸数が249,093戸で交付割合は26.1%です。

評価書交付実績

平成30年度の設計住宅性能評価書交付実績は249,093戸です。

平成29年度の新設住宅着工戸数は946,396戸で、そのうち232,062戸の住宅が設計住宅性能評価を受け、評価書を交付されています。前年度の交付された戸数と比較すると7.3%増加しています。

建築着工統計調査報告 平成29年度計:【国土交通省】

費用はかかるものの安心感とメリットも多い

住宅性能評価制度を利用するには申請費用だけでなく建築コストも上がりますが、安心感とメリットも多くあります。素人が住宅を購入するときに、住宅や内装、設備など仕上がった外観だけで判断するため、見えない部分などに不安が残るでしょう。

そんな時、全国共通基準をもとに、国に登録されている第三者機関が地震の対策や火災時の安全性、柱や土台の耐久性などきちっと評価していることで素人にも安心感を与える判断材料になるでしょう。

また、住宅ローンの優遇や地震保険料の割引を受けることなどができメリットも多いので、費用はかかるものの制度を利用することをおすすめします。

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