積算法のメリット2つと計算するポイント3つ|相場との兼ね合いは?
2020 06.4この記事はPRを含みます
積算法とは
積算法とは、不動産の「鑑定評価方式」の「原価方式」において「賃料」を求める手法のことをいいます。積算法自体の本来の意味は「不動産の売買取引額」を決める時の目じるしです。
つまり、積算法自体は不動産売買取引額を決める際の指標であり、家賃算定で使用されることは多くはありません。しかし実際の積算法では元本に対し、どれぐらいの利益が得られるだろうかといったところから家賃を算出します。
積算法の概要
積算法は、具体的には「元本」に対し「利益」がどれだけ得られるのか、という視点から家賃を算出するため、「適切な賃料設定ができる」という利点があります。
その計算式は「物件の時価×投資の利回り+必要諸経費等」となっており、所有者の立場に立って、正当な利益を得ることができる「家賃」を算出します。実際の賃料は、これに立地や環境などの諸条件を加え、総合的な判断で決定しましょう。
収益還元法との違い
積算法と収益還元法の違いは歴然です。
積算法はマンションやアパート、一戸建ての際に、収益還元法はホテルや店舗等の家賃を計算する際に使用します。もう一つ両者は違う点があり、収益還元法は収益性に着目した方法ですが、積算法は費用面に着目した方法であるということです。
積算法の他に「賃貸事例比較法」というものもありますが、これは地域の他の競合物件の家賃と比べて算出する方法で、対象物は積算法と同じです。
積算法のメリット2つ
賃貸物件の賃料を算出するための「積算法」は、貸主側の論理や要請に基づくものなので、賃貸経営側の立場から考察できる便利な計算法であるといえます。
積算方法にはメリット、デメリットがあります。おもにメリットと思われるものを2つあげてみましょう。まずデメリットとして、積算法だけだと賃料を十分に決めにくいため、相場との兼ね合いが必要になる点が挙げられます。
積算法のメリット1:適切な賃料設定ができる
賃貸経営において、適切な賃料設定ができなければ入居者を集められません。積算法のメリットのひとつに「適切な賃料設定ができる」というものがあります。積算法を用いて賃料設定する際は、元本に対してどれだけ利益を得られるのかで家賃の算出しましょう。
また積算法は「基礎価格」や「利益」そして「必要諸経費等」などを考慮して、最適な賃料設定ができます。ですので物件所有者の目線から見ても、適正な利益を確保できる家賃を計算してくれるでしょう。
積算法のメリット2:新規の賃料を求めるのに向いている
もうひとつの積算法のメリットは「新たな事例の賃料を求める」のに向いているということです。「基礎価格」や「賃料」は時代とともに推移しますし、もともと不動産の新規賃料を求める手法の一つとされています。
また「必要諸経費」などの後に行った設備もあり、新たに計算する必要があります。基礎価格に、期待利回りを乗じて得た額と必要諸経費等を足し、対象不動産の賃料を求めるので、その時点での賃料の算出が可能です。
積算法を計算するうえでのポイント3つ
積算法を計算する時のポイントはいくつかありますが、重要なものを3つ挙げましょう。そのポイントとは「土地価格」「建物の価格」「利益」です。この要素が結果に大きく作用するので、計算する時は知っておく必要があります。
積算賃料を求めるための基礎となる価格である「物件の時価」は「土地価格」と「建物の価格」を加えたものですし、「利益」は「期待利回り」で積算法の計算には大切なものです。
計算するうえでのポイント1:土地の価格の求め方
積算法を計算するうえでのポイントは「土地の価格」の求め方です。土地の価格は年々変動しており、時代や地域によっても大きく違います。「土地価格」の求め方は結果に影響するでしょう。
また現行賃料を定めた時点での「基礎価格」に対する「賃料の割合」を標準としますので、基礎価格の要素である「土地価格」はとても重要です。また、賃貸物件を建築する場合に積算価格を重視しないと、融資が組めない可能性もあります。
計算するうえでのポイント2:建物の価格の求め方
積算法を計算するうえでのポイントの2つめは「建物の価格」の求め方です。建築してからの年数や建築様式、大きさ、素材も考慮されて価格が決められます。その度合いによって「賃料」が左右されるのは「借主」にとっても納得ができる要素です。
一般に「建物の価格」は年月とともに低下していき、 不動産業界では、一戸建て住宅の価格は築20年でゼロになります。何故なら、木造住宅の耐用年数は22年と定められているからです
計算するうえでのポイント3:期待する利回りの決め方
積算法を計算するうえでのポイントの3つめは「期待する利回りの決め方」です。期待する利回りの決め方というのは、「不動産から期待できる利益」のことを指します。これにより、賃貸業でどれだけの利益が期待できるか予測できます。
積算法は「基礎時価」にこの「期待利回り」を掛け合わせ、「必要諸経費等」を加えることで、適正な賃料を求めます。都心部での平均的な不動産投資の利回りは、3%から3.5%が理想です。
積算法で出した賃料と相場との兼ね合い5つ
積算法で出した賃料は適正なはずですが、相場との兼ね合いも重要な要素です。「借主」は必ずまわりの「競合物件」をしらべて比較してきます。積算法で算出した賃料だけでなく、相場との兼ね合いを5つ挙げてみましょう。
ただし、積算法で出した賃料の他に「駅からの距離」「どれくらいの築年数がたっているか」「そなわる設備」「物件までの階数」「建物の構造」「物件の居住面積」「敷金や礼金の有無」なども含めて考慮します。
出した賃料より相場の方が高い場合
積算法で算出した賃料より相場の方が高い時、「賃貸物件」として出した場合の反応は悪くはないですが、あまりに違うと「なぜ極端に安いのか」という不安を招く場合があります。世間の相場からあまりにかけ離れている場合、条件や時代を考慮して再計算する必要があります。
逆に相場が低くすぎる場合、「自己賃貸物件」として出した際の反応は悪くなります。この場合も含めて適正な「賃料」の求め方を再察する必要があります。
相場との兼ね合い1:相場レベルまで賃料を上げられる
「相場との兼ね合い」で比較した場合、積算法の結果があまりに低いと「相場レベル」まで賃料を上げられる可能性があります。まわりの同程度の競合物件が高いのですから、公募の反応が悪くなる心配はありません。
管理会社への管理手数料や、マンションの管理組合に支払う修繕積立金、そして固定資産税や住宅ローン、火災保険料等も支払わなくてはいけませんので、それらに見合う「賃料」にする必要があります。
相場との兼ね合い2:オススメの上限は競合より少し下
「賃料」の設定は「競合する物件」よりも少し低めがおすすめです。まわりも積算法により適正な額をきめています。募集の時の反応のよさを考慮して、上限は「競合物件」より少し低めがよいでしょう。これにより賃貸業を有利に進められます。
「競合する物件」は自己所有物件と同レベルの「賃料」を参考にします。明らかにランク差のある競合物件を基準にしてはいけません。
出した賃料より相場の方が低い場合
積算法により出した賃料より相場の方が低い場合は問題です。よほど有利な条件や付加価値が備わっていないと、有利に「賃貸業」を進めることができません。この場合、物件に付加価値を付ける努力をしましょう。
顕著に新しいとか、広さがあるという物件はまだいいのですが、そうでない限りは理由もなしに相場よりも高く設定するのは得策ではありません。この場合も同レベルの物件を基準に考慮します。
相場との兼ね合い3:物件に付加価値を付ける
相場との兼ね合いで今一番注目されているのが、「物件に付加価値を付ける」というものです。具体的には、耐震性や耐久性、省エネルギー性などに長けた「長期優良住宅」にしたり、Wifiなどの「ネット環境整備」をしたり、「ペット共生賃貸住宅」にしたりといったことが挙げられます。
それによって、積算法により算出した結果よりも高い「賃料」を得られたり、人気物件にしたりすることもできます。特に最近では、ネット環境の整備が人気です。
相場との兼ね合い4:賃料を下げる
相場との兼ね合いで有利になれる方法は「賃料を下げる」ことも選択肢にあります。すこしでもよい環境や立地条件、あるいは交通事情を得たいのはどの「借主」でもおなじです。ここでも同じようなランクでの競合物件で考えます。
そうすると、似たような立地では少しでも「賃料」低い方が人気が集まります。積算法により得た結果を考慮して、競合物件よりも少し「賃料を下げる」というのも最終選択として候補に挙がるでしょう。
相場との兼ね合い5:周辺環境を冷静に見極める
緑視率というのがあります。緑視率というのは、町並みや建物を眺めた時に、目に入る緑の割合を表す「指数」のことです。都市部にある物件では「緑視率」の高い不動産は、それだけで付加価値があるといえるのです。このような周辺環境を見極めることも重要です。
相場との兼ね合いで「周辺環境を冷静に見極める」とは、第三者的な立場に立って自己の物件を見つめることをいいます。ここでも積算法の結果と照らし合わせて考慮しましょう。
積算法で計算したときの注意点
積算法で計算したときの注意点があります。積算法自体の本来の意味は「不動産の売買取引額」を決める時の目じるしであり、家賃算定で使われるという定義ではないのです。しかし賃料を計算する時には使われています。
積算法によって賃料を計算した場合、その額が必ずしも信頼できるものでないことに注意しましょう。理由は賃貸物件の賃料は、物件の魅力や立地環境、周辺の競合物件との比較によって割り出されるからです。
賃料の引き下げは慎重に
賃料収入が減ってしまうと、「不動産経営」に直接影響がありますので「賃料の引き下げ」は慎重にしましょう。万が一「物件」を売らないといけなくなった場合には「賃料」というものが「物件の評価額」を決めるときに重要な要素になります。
また付加価値を上げるなどの対策やリニューアルなどをして、競合物件との「競争力」を高めましょう。「賃料の引き下げ」は最終手段とする必要があります。
積算法で平均賃料を計算しよう
「平均賃料」を求めるのは、これからの賃貸経営をする人にとって、競合物件との競争に勝つため大切なことです。そのためにも、積算法で平均賃料を計算することは重要なことでしょう。
また賃貸物件の価値を図るためにも「積算価格」と「賃料」などの価格を知ることは、これからの賃貸経営に必要なことです。したがって、まずはその利点を知り、事故物件の価値を知るために「積算法」で平均賃料を計算してみましょう。