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NOIとは?表面利回りと実質利回りの違いや求め方|注意点6つ

2020 10.21この記事はPRを含みます

NOIとは?

「NOI」とは、Net Operating Incomeの略語で「純利益」という意味です。

投資用不動産などの収益から、実際にかかった運営費を差し引いた金額がNOIです。ここでいう運営費とは、物件を購入した金額も含まれる他、固定資産税などの税金や管理費などを指します。

表面利回りとの違い

実質利回り(NOI利回り)と表面利回りとの違いは、「経営する物件に対し、実際にかかる経費等を計算に入れているか、入れていないか」です。

表面利回りは、「想定される年間賃料収入÷物件価格」で算出します。表面利回りは満室時の賃料収入で計算します。

NOIとは、営業純利益(賃料収入-必要経費)なので、「(実際の年間家賃収入-年間経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)」で算出します。

表面利回りと実質利回りー株式会社大京ー

NOIの特徴3つ

ここからは、不動産投資用語で純利益を指すNOIの特徴3つをご紹介します。

正しいNOIの知識を身に着けることで、不動産投資用物件を購入する際の良い判断基準にすることができるので、マンションなどの賃貸経営を始めたい人はチェックしてみてください。

NOIの特徴1:諸経費など実際の出費を含んだ計算ができる

NOIの特徴は、「収益物件の経営に必要な諸経費」や「空室リスクや納税額」などを含んだ純利益を算出できるので、投資する際の良い判断基準になるということです。

NOIとは、Net(正味の)Operating(経営・運営する)Income(収入)で、純粋に運営した結果の現金収入のことをいい、表面利回りでは見えてこないものが見えてきます。

NOIの特徴2:表面利回りや満室賃料からNOI率が算出できる

NOI率とはNOIやNOI利回りが算出できる指標です。先述した表面利回りや投資物件の満室賃料で簡単に計算できることができます。

NOI率はNOI÷総潜在収入で算出できます。表面利回り×NOI率=NOI利回り、満室賃料×NOI率=NOIというようにして計算に使用することができます。

NOI率の計算方法ーIREM JAPAN事務局ー

NOIの特徴3:表面利回りより精度の高い実質利回りがわかる

先述した通り、NOIは表面利回りより現実的な実質利回りが明確になります。

表面利回りは、満室時の賃料収入で計算されるので、賃貸経営における収益計算に必要な空室リスクや運営費用が反映されません。空室リスクや運営費用を反映したNOIの特徴を活かして計算された実質利回り(NOI利回り)は、精度が高いです。

NOI算出に必要な資料2つ

NOIを算出するためには、運用費用がわかる資料が必要です。必要な資料は収益物件の購入時のものと賃貸経営業務の時のものに分かれます。

購入時の購入諸費用は、表面利回りの計算にも必要ですが、NOI利回り計算時に見落とされがちなので、しっかりと押さえておきましょう。

NOI算出に必要な資料1:購入時にかかった購入諸費用

購入時にかかった購入諸費用を確認するための資料は、所有権移転までに受け取った領収証です。不動産取得税や不動産会社に支払った仲介手数料および所有権移転登記費用(登録免許税・司法書士費用)などの領収証です。

これから収益物件を購入しようとする人は、売買代金に意識が行ってしまい、購入諸費用について見落としがちになります。NOIとは純利益でNOI利回りを算出しますが、購入諸費用を見落とすと正確な純利益を知ることが難しくなってしまいます。

NOI算出に必要な資料2:保有にかかった諸費用

保有にかかった諸費用を知るために必要な資料は、固定資産税と都市計画税の通知書や賃貸管理委託契約書、火災保険の契約証書、テナント斡旋にかかる仲介手数料の領収証および小規模修繕の領収証などです。

保有にかかった諸費用には、店子や借家人の入れ替え時の改装費用や設備更新費用は含めないので注意しましょう。店子や借家人の入れ替え時の改装費用や設備更新費用は資産計上されるので、利回り計算では分母に加算されます。

NOIに関する計算方法5つ

NOIとは、純粋な営業利益なので、NOIを使って計算すれば、実質利回り(NOI利回り)や満室時賃料収入に対するNOIの割合(NOI率)を算出できます。

NOIの計算手順と割り出し方を複数の収益物件に対して繰り返し行うことで、NOI利回りが表面利回りよりも精度が高いことが理解できます。収益物件の比較検討に有効です。

ここからは、計算手順に必要な勘定項目の求め方とNOI利回りやNOI率の割り出し方を5つ紹介します。

NOIの計算手順と割り出し方1:満室時の想定家賃収入の求め方

1つ目は、満室時の想定家賃収入の求め方です。現状の家賃収入は不動産業者から入手できます。レントロールと言い、部屋(号室)毎に賃料や共益費、賃貸面積が記載されています。合計賃料等に空室の予想賃料等を加算して満室時の想定家賃収入を求めます。

NOIとは営業純利益なので、満室時賃料は意味が無いのではと考えがちですが、そうではありません。現状と満室時賃料の乖離が、将来可能な収益伸び率を示しています。

NOIの計算手順と割り出し方2:空室率の求め方

2つ目は、実際の家賃収入はいくらなのか知るために必要な空室率の求め方です。現状の空室率は不動産業者から入手したレントロールから空室数/全室×100%で求められます。NOIを算出するためには、ある程度の期間の空室率平均が必要になります。

物件の2~3年のレントロールが入手できたら、空室率を平均して求められます。別の方法は、大手不動産会社が発行する機関誌などで地域別などの平均空室率を確認できます。

NOIの計算手順と割り出し方3:NOI率の求め方

3つ目はNOI率の求め方です。NOIとは実際の現金収入のことで、NOI率は満室時の想定賃料収入に対するNOIの割合、NOI率は「100%-(平均空室率+運営率)」の式で算出できます。

運営率とは、満室時の想定賃料収入に対する諸経費(公租公課・管理費など)の割合です。

満室時の年間想定賃料収入が600万円でNOI率が50%の場合、NOI(実際の現金収入)は600万円×50%=300万円です。

NOIの計算手順と割り出し方4:NOI利回りの求め方

4つ目は、表面利回りよりも精度が高いNOI利回りの求め方です。NOIとは実際の現金収入なので、収益物件購入価格(物件価格+購入費用)に対するNOIの割合がNOI利回りです。式にすると「NOI/物件購入価格×100%=NOI利回り」となります。

NOIとは営業純利益(実際の現金収入)なので、NOIをもとに算出されるNOI率やNOI利回りは、収益物件を選別するためや比較するための道具として用いられます。

NOIの計算手順と割り出し方5:表面利回りから実質利回りを求めるには

NOIの計算手順と割り出し方4つを紹介しましたが、5つ目に、非常に便利なNOIの使い方、表面利回りから実質利回りを求める方法を紹介します。

NOIとは営業純利益で表面利回りでは見えてこない係数(経費や空室率)がみえてきます。経費や空室率を勘案したものが実質利回りです。表面利回りにNOI率を乗ずると実質利回り(NOI利回り)になります。

表面利回り10%でNOI率50%の場合、実質利回りは5%です。

NOIの注意点6つ

NOIとは、精度の高い実質利回り(NOI利回り)や便利なNOI率を求める基準となるものですが、NOIを扱う上で注意すべき点6つを紹介します。

NOIとは営業純利益で、実際に入ってくる現金収入です。収益物件の賃料は、物件の築年数や環境、テナントの質あるいは時代の相場感など、その他多くの要因が複雑に影響して形成されます。NOIを物件価値の指標として使う時は注意が必要です。

NOIの注意点1:利回りはあくまでも目安

NOIの注意点の1つ目として、利回りはあくまでも目安になります。

NOIとは実際の現金収入で、諸費用や空室分の賃料減額分が反映されていて、NOIをもとに算出された利回り(NOI利回り)は精度が高いのは事実です。

しかし、NOIを算出する時、データを基に空室率や諸経費を算出するので絶対のものではありません。経済情勢などによる変動リスクが潜んでいます。

NOIの注意点2:新築物件は過去の実績がない

NOIの注意点2つ目は、新築の収益物件は過去の実績やデータがないということです。

NOIとは、営業純利益ですが、新築物件の場合、過去の数字がないのでNOIを物件自体から算出できません。近隣の物件や不動産情報誌などから空室率や諸経費を推計することになります。

NOIの注意点3:築年数や周辺相場との見比べも必要

NOIの注意点3つ目は、築年数や周辺相場との見比べも必要ということです。

NOIとは当該収益物件の現在の営業純利益です。築年数が進むと、空室リスク増や賃料減のリスクが高まります。現状のNOI利回りが維持できる保証はありません。

NOIとは現状の当該物件の賃料水準で算出しています。周辺の物件の賃料相場と見比べて割高になっていないか注意が必要です。テナント入替の度、賃料減となり、NOIが下がります。

NOIの注意点4:将来性の見通し・判断は難しい

NOIの注意点4つ目は、将来性の見通しや判断は難しいということです。

NOIとは実際の現金収入ですが、将来については経年劣化や経済情勢の変動などから、実際の金額の確定は難しいです。NOIは、あくまでも現在の数字なので将来の見通しや判断の材料にはなりません。

どの収益物件を購入するかどうかという、現在において比較検討する材料として、NOIは優れています。

NOIの注意点5:NOI利回りを重視しすぎない

NOIの注意点5つ目は、NOI利回りを重視しすぎないことです。

NOIとは現在の実際の現金収入で、将来の賃料変動リスクや空室率上昇リスクで下がっていく可能性があります。NOIを基に算出されるNOI利回りも下がっていく可能性があります。

現在のNOI利回りを重視しすぎると、将来の収益を見誤ることもあるので、考えられるリスクに対応して検討する必要があります。

NOIの注意点6:空室対策が必要

NOIの注意点6つ目は、空室対策が必要なことです。

NOIとは実際の現金収入(営業純利益)で、空室率が上がるとNOIは下がり、NOI利回りも下がります。NOIを維持するために空室対策が必要です。

空室対策として、不動産管理会社などに一括で借上げてもらう方法があります。満室時の想定賃料よりも減収になりますが、許容できる条件なら一考の価値があります。

NOIを参考とした物件を選別することも必要

収益物件を選別するときに、建物の築年数やテナントの質、表面の賃料収入などで検討しがちです。しかし、金融資産ということを考える必要があります。NOIを参考として収益物件を選別することも必要です。

NOIとは営業純利益です。NOIやNOI利回りで物件を比較検討できます。NOIを基に収益物件を比較検討することは、金融資産としての基本になります。基本を押さえ、様々なデータで将来性などを考慮し選びましょう。

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